「プラトニック」最終回

NHKのBSプレミアムのプレミアムドラマ「プラトニック」を最終話(第8話)まで見ました。

最終回は、10分拡大版で放送されていました。番組表には、最後の10分に衝撃の展開、というようなことが書かれていたように思うのですが、まさに最後の10分の展開が、このドラマの第1話で伝えられていたことの目的の展開だったのだと思います。

そのため、ドラマの5分の6というか、大半は、第7話までの続きの物語でした。

脳の腫瘍が手術可能なまでに小さくなったにも関わらず、先天性の心臓疾患を患う娘の沙莉(永野芽郁さん)への移植の約束のために、手術をしないという道を選ぼうとしている青年(堂本剛さん)との別れを決意した望月沙良(中山美穂さん)は、私は夢から覚めたのだからあなたも夢から覚めてほしいと、青年に自分の分の記入を終えた離婚届を渡して、沙莉の心臓移植のために会社を辞めてアメリカへ行くと言っていた元夫の佐伯武彦(吉田栄作さん)と会い、ホテルの一室で自殺を企てていました。

沙良さんの様子がおかしいことに気付いた佐伯さんは、青年に会えなくなったことと娘の沙莉さんの病気の悪化のことで悩み続けて朦朧としていた沙良さんを助け出し、青年に言われた通り、ずっと前から愛しているのだと言葉に出して沙良さんに熱心に伝えていました。

この頃が、最後の10分頃だったのだと思います。沙良さんのコンビニエンスストアの夜勤に出ていた青年が、レジの脇に置いていたリュックサックの中から離婚届を出して見ていると、そこへ刃物を構えた一人のコンビニ強盗がやって来て、お金を出せという風に、店員の青年に指示を出していました。

それは防犯カメラの映像として描かれていたので、音声はなかったのですが、レジからお金を出した青年は、それを犯人に渡さずに突然犯人を押してコンビニの奥へ走り出し、少しした後、犯人は慌てた様子で外へ逃げて行きました。

青年は、腹部に刃物が刺さったまま、沙莉さんの主治医の心臓外科医の倉田敦司(尾美としのりさん)に電話をかけ、コンビニで刺されていることを説明し、お願いしますと頼んでいました。沙良さんに救われたから、と切り出していた青年は、「私は」を「僕は」、「俺も」と言い換えて、救いたいのだと話していました。

倉田医師は、すぐに救急車の要請をしていたのですが、そうして佐伯さんと沙良さんの元に、今から沙莉さんの心臓移植の手術を始めるという連絡が来たので、二人はタクシーに乗って、急いで病院へ向かっていました。沙良さんも、佐伯さんも、まさか青年が瀕死の状態にあるとは思ってもいないため、ドナーが見つかったのだと考えていたのですが、病院に到着し、病室を出ていく沙莉さんを見送った沙良さんは、弟の望月和久(小泉孝太郎さん)からの連絡で、コンビニで強盗傷害事件があったことを知り、愕然とするのでした。

娘に移植されるのが青年の心臓であることに気付いた沙良さんは、狂ったように廊下を走り出し、佐伯さんに止められていたのですが、目の前の倉田医師の元には、すでに取り出された青年の心臓が担当者から届けられていました。

みかん色の一筋の光が、とか、沙良さんは青年との夢の中の幻の世界に自分が入り込む感じを思い描いていたようだったのですが、沙良さんにとって、青年の存在は、沙良さんが沙莉さんにも勧めていたような、「秘密の恋」になったようでした。

伯母の油井雅子(加賀まりこさん)が生前の青年に話していたように、沙良さんは、青年との「秘密の恋」の思い出を支えに、バランス良く生きていくのかもしれません。

コンビニの防犯カメラの映像には、青年が犯人に刺されるところも残されていたのですが、それによると青年は、お金を奪いに来た犯人に腹部を刺されるように仕向けていたようでした。刺された後、倉田医師の指示に反して刃物を抜き、意識を失っていったのですが、沙良さんが映像を見ることを意識してか、角のカメラを見つめながら、手で作り笑顔を作っていました。

最後、沙莉さんは、未来を見ることのできるアルバイト店員の広末省吾(前田公輝さん)が見ていた映像と同じように、青空の下の浜辺を元気に走っていました。佐伯さんと沙良さんが再婚をしたのかどうかは分からないのですが、沙良さんは、青年のいなくなった世界で、穏やかに暮らしていくように見えました。

脚本は野島伸司さん、演出は大塚恭司さんでした。

沙莉さんの様子からすると、青年の脳腫瘍が小さくなっているところまでを聞かされていた沙莉さんは、青年の心臓を移植されたことを聞かされていないようにも思えたのですが、事件のことを知らないままでいるのは難しいかもしれないですし、どうだったのだろうと、少し気になりました。

沙良さんが防犯カメラに残された青年の映像を見ながら、少し笑っているようだったところが、私には少し怖いようにも思えたのですが、このドラマでは、そのような女性の強さも描かれていたのだと思います。

あと、私には、青年と親しかったホームレスのテツ(尾藤イサオさん)が、もしかしたら雅子さんのダンスの先生だったのかもしれないとも思えていたので、そのような背景が特に描かれないまま早くに亡くなってしまったことは、意外でしたし、残念でもありました。

時々少し揺れる手ぶれのような映像の場面があったのも、私としては、少し残念に思えてしまったところでした。最近の他のドラマでも使われていると思うのですが、例えばそれが登場人物の心の動揺などを表すものだとしても、登場人物の感情は、演じている役者さんたちがとても上手く表現してくださっているので、撮影用のカメラを動かして画面を揺らす必要はないのではないかなと思います。それに、そのような画面は、見ていて少し船酔いのような感覚になってしまう時もありますし、見辛く思えてしまいます。

ただ、全体的にはきれいな映像のドラマだったと思います。青年のような繊細な役柄は、堂本剛さんによく合っていたと思いますし、中山美穂さんの沙良さんの、「母親」と「少女」の女性らしさが同時に混在しているというような雰囲気も、良かったように思います。沙良さんに対してなかなか素直な気持ちで接することができないでいた吉田栄作さんの佐伯さんも、良かったです。

それでも、私には、このドラマが面白かったのかどうかということは、最後まで見てもいまいちよく分かりませんでした。「プラトニック」というのは、「プラトン的な」という意味ですが、タイトルの「プラトニック」がもしも美しい理想の世界を愛することだとするのなら、あなたが夢の中にいる限り私は目覚めない、という沙良さんと青年の思いは、やはり「プラトニック」だったのかもしれないなと思いました。

「55歳からのハローライフ」最終回

NHKの土曜ドラマ「55歳からのハローライフ」の第5話(最終話)「空飛ぶ夢をもう一度」を見ました。

第5話は、長年勤めていた小さな出版社が倒産し、ホームレスになってしまうかもしれないという悪夢にうなされながら、妻と大学生の息子との暮らしを守るために腰痛に耐えて職探しを続けていた因藤茂雄(イッセー尾形さん)が、工事現場の誘導をする派遣の仕事に就いていたある日、佐賀県鳥栖の中学校時代の友人の福田貞夫(火野正平さん)に声をかけられるのですが、それから度々仕事場に現れるようになった体調の悪そうなその友人は実はホームレスだった、という話でした。

もともと物を書くことが好きだった因藤さんは、小説家になるという夢を叶えるために出版社へ就職したようでした。その夢は叶わなかったものの、毎日自身の見た夢を「夢日記」に書くことを欠かさない人でした。

ドラマの冒頭で、山の遠足の最中に靴擦れで歩くことができなくなって列から離れてしまっていた小学校4年生の因藤さんを探しに来た教師(塙宣之さん)は、因藤さんが水筒にジュースを入れてきたというのを聞いて、それはいけないと、自分の水筒の水を因藤さんに飲ませて、山の湧き水の場所を教えた後、辛いことや嫌なことがあった時には先ず澄んだきれいな水を飲みなさいと話していたのですが、その先生の教えが因藤さんに大きな影響を与えたということが、このドラマの因藤さんの人生の物語によく活かされていました。

その日以来、因藤さんは、青色の水筒に新鮮な水を入れてそれをいつも肩に掛けて持ち歩いていたようでした。

そして、ドラマはその50年後の物語でした。

福田さんに頼まれて携帯電話の番号を教えた一ヶ月後、腰痛が悪化して工事現場の仕事を休むことになってしまった因藤さんは、佐々木(美保純さん)という旅館の女将さんから、福田さんが2ヶ月分の家賃を滞納していて、このままでは出ていってもらわなくてはいけないという連絡を受け、驚くのでした。

福田さんのことが心配になった因藤さんは、酷い腰痛のまま、出かけることにしたのですが、水筒にペットボトルの水を入れて出かける準備を始めた夫を見た妻の潔子(梅沢昌代さん)は、パートの仕事で得た僅かな生活費の中から、何かあったらタクシーで帰ってきてと2万円を渡し、杖代わりにとビニール傘を持たせていました。逃げたら家族は崩壊するとか、因藤さんに対して少し苛立っているようだった妻も、本当は因藤さんのことを気にかけていたようでした。

東京スカイツリーのよく見える路地裏の小さな旅館を訪れた因藤さんは、病気で動くことができなくなっている福田さんから、母親の指輪の入った封筒を手渡され、母親に届けてほしいと頼まれていました。

中学1年生の頃、福田さんは、自衛官の父親に付き添って、都会から鳥栖の中学校へ転校してきたばかりでなかなか友達ができなかった時に、因藤さんに話しかけられて友達になったようだったのですが、大きくなってその父親から自衛官になるよう言われ、反発して家を出たきり、実家には帰っていないということでした。

福田さんはバブル時代に作った借金が原因で、今のホームレスの状態になってしまったようでした。家を出るときに母親が持たせてくれていた祖母の形見でもある指輪だけは母親に返したいと思い、何度も実家を訪ねようとしたが、家の近くまでしか行くことができなかったと、福田さんは因藤さんに話していました。

ここから連れ出してほしいと頼まれた因藤さんは、福田さんを支えながら旅館を出ていました。因藤さんは、旅館の女将の佐々木さんを、冷たそうに思えたけれど本当は優しい人なのかと福田さんに言っていたのですが、福田さんによると、佐々木さんが宿泊客に優しい言葉をかけるのは、お客さんが逃げていかないようにするためだということでした。

旅館の周辺の路地にもホームレス風の人たちがたくさんいたのですが、福田さんが因藤さんに連れていってもらっていた地下の謎の労働福祉センター?にも、ホームレスの人たちがたくさん、階段に座ったり、ベンチで横になったり、隅で麻雀をしたりしていました。ここはお前のいるところではないと福田さんに言われた因藤さんは、周囲を見渡して驚いていました。

そうして因藤さんは、指輪は自分で返すべきだと、福田さんをその場所から連れ出す決意をしていました。

勢い良く階段を上がって外へ出て、タクシーに乗って、池袋のバス停へ向かっていました。タクシーの中で少し吐いてしまっていた福田さんの上着を脱がせた因藤さんは、チケットをバスの運転手に渡し、バスの座席へ着いたのですが、福田さんから放たれる臭気に、お客さんたちは嫌な顔をしていました。

実家のある町へは、そこから30分ほどで到着するということだったのですが、走り出すバスの中でも、福田さんの咳は治まりませんでした。席を移動していたお客さんたちの中には、福田さんたちを降ろせという人も出てきていたのですが、乗客の一人だった、前回の主人公の下総源一(小林薫さん)は、この人は病気なのだと二人をかばい、水を飲ませてはいけない、早く病院へ連れていって喉を切って管を通すようにしなくてはいけないと、因藤さんに話していました。

無事に目的のバス停で下車した因藤さんたちは、下総さんに頭を下げて別れ、それからいつものジグザグの道のある公園を通り、以前福田さんが因藤さんを連れて来ていた坂道を上ろうとしたのですが、因藤さんの腰痛も限界に達してしまい、座り込んだ坂道の手前で、ついに救急車を呼んでいました。

病院で福田さんの母親の吉沢明子(奈良岡朋子さん)と会った因藤さんは、福田さんの手紙を渡し、俺はすぐに病気で死ぬと思うが父親とお同じお墓には入れないでほしいと書かれていた封筒の手紙と、赤い珊瑚のような石の付いた指輪を見た明子さんは、あなたの話は息子から聞いていましたと、青い水筒を提げた因藤さんにお礼を言っていました。

帰ってくれば良かったのに、と残念そうに話す明子さんに、因藤さんは、何度も近くまで行ったようですと伝えていました。

一週間後、腰が少し治った様子の因藤さんは、アルバイトに忙しそうな大学生の息子の考志(永嶋柊吾さん)に、大学を辞めて好きなことをやれと言っていたのですが、息子は、絶対就職すると元気に答えて外出していました。

因藤さんは、入院している福田さんに会いに、病室へ通っていたようでした。喉に管を通しているために話すことができない福田さんは、因藤さんに持ってもらった画用紙に「水くれ」と書いて伝えていて、因藤さんは、水筒の水を綿に含ませて、それを福田さんの口へ運んでいました。

それからしばらくして、福田さんは亡くなったようでした。工事現場の誘導の仕事を再開していた因藤さんは、休憩時間のベンチで明子さんからのお礼の手紙を読んでいたのですが、そこには、すばらしい友人に恵まれた、それだけで生きた甲斐があったと生前の息子が話していたということが書かれていて、因藤さんは、救われたのは俺の方だよと青空を見上げていました。

さっぱりとした表情で水筒の水を飲んでいた因藤さんの手元には、「空飛ぶ夢をもう一度」と表紙に書かれたノートがありました。

脚本は大森寿美男さん、演出は中島由貴さんでした。

何と言って良いのかよく分からないのですが、すばらしかったです。イッセー尾形さんの因藤さんと、火野正平さんの福田さんがとても良かったのだと思うのですが、物語の展開も良かったのだと思います。画面から目を離すことができませんでした。

福田さんは、現在の自分の姿を見て自分だと認めてくれたのは因藤さんだけだったと言っていたので、それまでにも何人もの友人や知人たちに声をかけていたのだと思うのですが、母親の家への通り道で偶然、昔と同じように青い水筒を提げた因藤さんを見かけ、思い切って声をかけたら因藤さんも自分のことを思い出して受け止めてくれたということは、福田さんにとって、本当に嬉しいことだったのだろうと思いました。

酷い臭いを放っていたらしい福田さんの様子に戸惑いつつも、中学校時代の友人として素直に接していた因藤さんの優しさも、本当にすごいなと思えたのですが、因藤さん自身も、福田さんに会えたことで、ホームレスになってしまうかもしれないという恐怖心を乗り越えることができたようでしたし、同時に、小学生や中学生の頃のまだ明るい未来への希望が残されていた時期のことを思い出し、きれいな清水に入れ替えるように、澱んでいた気持ちを晴れやかにすることができたのかもしれないなと思いました。

奈良岡朋子さんの明子さんが、自分より先に亡くなる息子のことを静かに受け止めているようだった描写も、良かったです。

「55歳のハローライフ」という土曜ドラマのタイトルを聞いた時には、面白いのかどうかよく分からないようにも思えていたのですが、毎回その世代の人々の気持ちに寄り添うような物語が展開されていて、私にはまだ実際の55歳前後の人の気持ちは分からないと思うのですが、何となく、自分のことと合わせてこのドラマの登場人物のことを見ることができたような気がします。

村上龍さんの『55歳からのハローライフ』という短編小説がドラマの原作だそうで、私はその本を未読なのですが、短編小説らしい余韻のあるオムニバスドラマでした。音楽も良かったですし、私も最後まで見ることができて良かったです。

「55歳からのハローライフ」第4話

NHKの土曜ドラマ「55歳からのハローライフ」の第4回「トラベルヘルパー」を見ました。

第4話は、元運送会社の長距離ドライバーで、リストラされた後の今は不定期の中距離ドライバーの仕事をしながら、寂しさを隠すように暮らしている独身の下総源一(小林薫さん)が、最近になって通うようになった古本屋さんで店主の島田(麿赤兒さん)と話している時に出会った上品な雰囲気の堀切彩子(安田成美さん)に一目惚れをし、10回ほど二人でファミリーレストランでのデートを重ねた後に突然もう会えないと切り出してきた堀切さんへの気持ちを断ち切ることができず、何とか堀切さんの力になろうとして、新しい人生へと踏み出す話でした。

脚本は大森寿美男さん、演出は中島由貴さんでした。

これまでの下総さんは、スナックの女性と付き合ったり別れたりすることを繰り返す人だったようで、今一人で暮らしていることを、その結果だという風に少し後悔していました。

ドラマの冒頭は、死にたくなったというその下総さんが、両親の離婚によって預けられていた母方の祖母の海女小屋を訪ね、その中で一人で寂しそうにしている5歳の頃の自分の姿を見つめる場面だったのですが、最後も、その海女小屋の場面に戻っていました。

面白いと勧めた松本清張の『ゼロの焦点』のあらすじを、犯人とその生い立ちまで話してしまった下総さんに、彩子さんは、人は何を隠して生きているのか分かりませんね、と寂しそうに少し笑って言っていたのですが、それがその後2転するとは思いませんでした。

元小学校教師で、別れた夫の借金の保証人になっていたために人には言えないお店で働いていると彩子さんが告白したことは事実ではなく、本当の彩子さんは、慢性疲労症候群という難病を患っている元教師の夫を平日は施設に預けながら暮らしていたようでした。

シャワーを浴びながら号泣してしまうほど彩子さんに会いたくなっていた下総さんは、島田さんにしつこく頼んで彩子さんの家の場所を教えてもらい、彩子さんにプロポーズをするために田上専務(有薗芳記さん)に大型トラックとネクタイを借りて、彩子さんの帰りを夜まで待っていたのですが、帰宅した彩子さんが車椅子を押しているのを見て、事態を把握したようでした。

彩子さんは、突然訪ねてきた下総さんに困り、警察を呼びますよと言っていたのですが、それから少ししてドアを開けて、下総さんを家に上げ、本当のことを説明し、あなたが会っていたのは嘘の私だと言って、今までのことは良い思い出にしますからと俯いたまま、下総さんを帰していました。

5歳の頃の自分から、寂しいと誰かに言ったのかと訊かれていた下総さんは、本当に言いたいことは誰にも言わないし、誰からも言われない、と答えていました。

今の私にはまだはっきりとは分からないことなのですが、その下総さんの独り言のような会話を聞いていて、寂しいという個人的な状況だけでも寂しいのに、その寂しい気持ちを誰にも伝えることができないということの孤立した寂しさを思うと、それは何か本当に死にたくなるような、あるいはこの世界から消えたくなるような寂しさなのかもしれないなと思いました。

断崖に佇んでいた、そのような下総さんの後ろに、「ドリーム旅行プラン」という会社のワゴン車が停車し、現地の観光協会の人と間違えられた下総さんは、介護の必要な方に快適な旅行を楽しんでもらうという「トラベルヘルパー」の方から名刺をもらい、そのような仕事があることを知ったようでした。

両親の離婚で会うことができなくなった大好きな父親が三輪自動車で物を運ぶという運送の仕事に誇りを持っていたことや、亡くなるまで現役の海女さんだった元気な祖母(宮下順子さん)から、寂しいのは仕方がないのだから自分のやりたいことをやりなさいと言われていたことを思い出していた下総さんは、トラベルヘルパーさんの名刺を見て、彩子さんと車椅子の夫の力になる道を思いついたようで、力強く歩き出していました。

「老いらくの恋」という言葉は私も聞いたことがあるように思うのですが、その言葉の内容の重さのようなものは、私にはまだよく分かりません。でも、きっと、小学生や中学生や高校生の「恋」とは、違うのだろうと思います。

人は何を隠して生きているのか分からない、という安田成美さんの彩子さんの言葉は、私には、ミステリーやサスペンスの要素のある言葉にも聞こえます。そのため、本当にそうなのだろうなと、少し怖くも思うのですが、隠し続けたくなってしまうのには、例えば好きな誰かに自分の隠している事実を話してみて、そのことで軽蔑されるのも嫌だなと思ってしまうこともあるのではないかなと思います。彩子さんも、もしかしたらなのですが、下総さんのことを少し好きになりかけていることろがあったのかもしれません。

あと、今回の下総さんや彩子さんも、前回の主人公の中米志津子(原田美枝子さん)と同じく、第1話と第2話のマンションの住民ではなかったのですが、近所ではあるようで、下総さんは、志津子さんの勤めているスーパーマーケットへ買い物に来ていました。

今回は、サブタイトルの「トラベルヘルパー」が一体何なのか、最後の場面を見るまで私には分からなかったのですが、運ぶことで人を幸せにするという仕事を、トラック運転手の下総さんが新たに見つけることができたようですし、良かったのだと思います。

本当の気持ちを誰にも言わないし、誰からも言われないような人間にこの先生きている価値はあるのだろうか、という下総さんの迷いが、トラベルヘルパーとして?生きる道を見い出したことで、いつか解決されるといいなと思いました。

次回の最終回も楽しみにしたいと思います。

「俺のダンディズム」最終回

テレビ東京のドラマ「俺のダンディズム」を最終話(第12話)まで見ました。

地味なサラリーマンだった段田一郎課長(滝藤賢一さん)が、「マダムMの店」で買い揃えたダンディアイテムによって少しずつおしゃれな人に変わっていき、外見が変わっただけではなく、そのダンディの心で、密かに気に入っている女子社員の宮本南(石橋杏奈さん)を、南さんの本当のストーカーだった会社の後継者の伊達次郎部長(前川泰之さん)から守った前回(第11話)が、私としては、このドラマの本当の最終回だったような気がします。

第12話の最終回は、段田課長が壇蜜さんによく似た雑誌記者の取材を受けるという話だったのですが、総集編というか、これまで番組で紹介されたダンディアイテムのおさらいという印象でした。

毎回、様々なアイテムがその歴史と共に紹介されていたのが面白かったです。私にはなかなか買うことのできない高額なものが多かったように思うのですが、中途半端な作りの品物を買うくらいなら、一生使う物として、思い切って質の良い物を買うということが本当はいいのかもしれないなと思いました。

ドラマの段田課長は、アイテムを一つずつしか買っていなかったのですが、ダンディな装いを長く続けるためには、例えば靴やシャツやスーツは複数持っていなくてはいけないかもしれないので、ダンディを維持するのは、やはり簡単なことではないのかもしれません。

「マダムMの店」には、店主の美幸(森口瑤子さん)とCEOの美鈴(大方斐紗子さん)とインコだけではなく、第7話では、温泉へ行った美鈴さんの代わりにバイヤーの美麗(渡邉このみさん)が来て段田さんに応対していたこともあったので、何というか、この「マダムM」の人たちが、登場することのなかった段田課長の家族のようにも見えました。

毎回のエンディングで流れる、滝藤賢一さんの段田さんと、斉藤和義さんと中村達也さんのMANNISH BOYSの「I am Dandy」の映像も、「ダンディズム講座」の流れる喫茶店の場面も、何だか楽しかったです。

ドラマらしいドラマではなかったかもしれないのですが、何となくかわいい雰囲気のドラマでした。

段田さんにとってのダンディズムとは、ダンディーになりたいと思うことだそうです。シローラモさんのような感じの?ダンディーな人になることは少し難しいかもしれないのですが、ダンディズムが一つの生き方ということなら、高級で洗練されたおしゃれなアイテムを持たなくても、南さんを守った段田課長のように、ダンディズムを持つ人になることはできるのかもしれないなとも思いました。

深夜のドラマということもあって、私は録画をしつつこのドラマを見ていました。現実の商品をドラマの中で紹介しているという点では、ドキュメンタリーの要素とドラマの要素が混ざった「孤独のグルメ」のような作品と似ているようにも思えていたのですが、庶民感覚としては、松重豊さんの井之頭五郎さんが、有名ではないけれども値段の安くておいしい街角の小さなお店を巡る「孤独のグルメ」のシリーズのほうが、馴染みやすいのかもしれないなとも思いました。この枠の次回作にはその「season4」も始まるそうですし、また何となく、楽しみにしていようと思います。

「55歳からのハローライフ」第3話

NHKの土曜ドラマ「55歳からのハローライフ」の第3回「結婚相談所」を見ました。

第3話は、定年退職後の再就職に失敗し一日中家でテレビに向かって愚痴を言い続けるようになった夫(浅野和之さん)に愛想を尽かして離婚を決意した中米志津子(原田美枝子さん)が、離婚後、経済的な不安から通い始めた結婚相談所で、担当の小宮山智恵子(草笛光子さん)に紹介された様々な男性とのお見合いに迷い、これで最後と決めたお見合いパーティーにも迷って入ったバーで、彼女に別れを切り出されたと泣く、アメリカで映画の機材を卸す仕事をしている男性(池内博之さん)と出会ったことで、女性としての自信を取り戻し迷いを断ち切ることができるようになり、どう生きたいのか、どう変わりたいのか、何を望んでいるのかという自分の気持ちと向き合い、後悔しない自分の人生を生きるために自分で選択するということの大切さに気付いていく、という話でした。

脚本は大森寿美男さんと川崎いづみさん、演出は加藤拓さんでした。

今回は、いつもの(過去2回の)物語の作り方とは、少し異なっていたような気がします。

志津子さんの物語は、冒頭から、結婚相談所の小宮山さんのナレーションで進み、志津子さんに未練のあるメールを送り続けていた元夫の心境の変化の理由のようなものも、離婚をしたことで自立したと元夫自身が志津子さんに説明していたこと以外は、特に描かれていませんでした。

また、今回の志津子さんと元夫は、第1話と第2話の人たちと同じマンションの住民というわけではありませんでした。最後、志津子さんと元夫が会っていたいつもの公園のベンチで、前回の高巻淑子(風吹ジュンさん)が猫を抱いていたのですが、ボビーの亡き後に猫と暮らし始めたのではなく、その猫は公園の猫だったようでした。

志津子さんが、孤独よりも後悔を背負っていきることのほうが怖いと気付き、再会した元夫から持ち出された寂しさを埋めるための「縒りを戻す」再婚の話を断ったところなど、志津子さんの自立への決意が伝わってきて良かったと思うのですが、今回は、性的な要素が入っていたこともあったためか、趣味のハチミツ入りのアールグレイの紅茶で知り合ったアメリカ在住の男性との出会いの場面も含めて、私には少し分かり辛く思えてしまいました。

志津子さんがパート仲間の尾山さん(根岸季衣さん)に相談をしたり、新潟から孫を連れて買い物に出てきた?娘の香織(安藤サクラさん)から何か良いことあったのと聞かれたりしていた場面は良かったと思います。

でも、志津子さんから、これからは娘の父と母、孫の祖父と祖父母として付き合っていこうと言われた後に寂しそうにバスに乗って帰った元夫は、まだ納得できていないというか、未練やわだかまりの気持ちが残されているような感じに描かれていたので、志津子さんが「縒りを戻す」選択をしなかったところはそれはそれで良かったと思うのですが、私としては、第1話や第2話を見た時ほどには、すっきりとした終わり方ではなかったように思います。
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Author:カンナ
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