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ドラマ「R134/湘南の約束」

NHKのBSプレミアムで放送されていた神奈川発地域ドラマ「R(ルート)134/湘南の約束」を見ました。NHK横浜放送局制作のドラマです。

10年前のある出来事から5年間一度も故郷の葉山町に戻っておらず、何事にも真剣に向き合うことができないまま運送会社の仕事をクビになって横浜のバーでやけ酒を飲んでいた須和洸太(宮沢氷魚さん)が、洗面台に置き忘れられていたタンザナイトの指輪を盗もうとしたことをきっかけに、その指輪の持ち主だった、バーで歌うアメリカ出身の老婦人のマリア・モーガン(ニーナ・ムラーノさん)を江の島が見える場所に連れていくことになり、老婦人の恋人だというアメリカ兵の写る古い写真と同じ江の島の見える海の風景を探す旅に半ば強引に付き合わされる形で、海岸沿いの国道134号線の道を歩き、避けてきた故郷の葉山町で車椅子に乗る弟の須和海翔(佐久間悠さん)と再会する、という話でした。

脚本は桑村さや香さん、音楽は荻野清子さん、演出は藤並英樹さんでした。

何気なく見てみることにしたドラマだったのですが、良い話で良かったです。

ルート134というのは、国道134号線のことで、海岸通りと呼ばれているそうです。その湘南を舞台にしたドラマということで、七里ヶ浜や稲村ヶ崎や由比ヶ浜やサザンビーチちがさきなどの浜辺が紹介されていました。鎌倉から逗子を過ぎて、葉山町まで歩いていたのですが、どのくらいかかるのでしょうか。ドラマでは、様々な人たちと話しながらゆっくり歩いていたということもあるかもしれないのですが、朝から夕方になっていました。

洸太さんは10年前、キャッチボールをしようとどこまでもついてくる弟を疎ましく思い、釣りに出かけた海岸の岩場で、ここを飛び越えることができたらキャッチボールをすると約束したのですが、飛び越えるのは無理だろうと思いながらそう言った洸太さんの目の前で、約束だからねと念を押して飛んだ弟は岩場の隙間に転落してしまい、命は助かったものの、脊髄を損傷して下半身不随となってしまいました。責任を感じていた洸太さんは、しかし、歩けなくなったことを気にしないかのように常に笑顔で話しかけてくる弟の存在に耐えきれなくなり、高校を卒業すると家を飛び出したということでした。

弟との約束から逃げ続けていた洸太さんが、アメリカ海兵隊の兵士として日本に渡った昔の恋人との約束を信じ続けるマリアさんと海岸通りの旅を続ける中で、少しずつ良い方向へ変わっていく様子が、丁寧に描かれていたように思います。

登場人物たちの服装からすると、冬の終わりか春の初め頃の季節の物語だったように思うのですが、湘南の海の風景もきれいでした。海は心の鏡だと、マリアさんは洸太さんに話していたのですが、そうかもしれないなと思いました。マリアさんによると、その海の青のようなタンザナイトの石には、人生を良い方向へ導く力があるのだそうです。

葉山へ近づくことを恐れていた洸太さんは、昔の恋人のジャックを探し続けるマリアさんにジャックは死んだのだと言い、傷ついたマリアさんが翌朝、指輪を残して消えた直後に道で聴いた救急車の音に、弟の時のことを重ねて衝撃を受けていたのですが、実際に病院に運ばれていたマリアさんと再会すると、マリアさんが自分をジャックと呼ぶことに戸惑いました。

病院に駆け付けたマリアさんの孫の天野リサ(池田エライザさん)は、ジャックは自分の祖父だと洸太さんに言い、日本の米軍基地からベトナム戦争に参加して負傷した祖父はアメリカに戻って祖母と結婚したのだが、祖父が亡くなって日本で暮らす息子夫婦と暮らし始めた祖母は少しずつ祖父のことを忘れていき、江の島へ連れていくと約束した祖父に会うために日本に来たのだと思うようになって、時々祖父を探しに出かけるようになったということを話しました。

マリアさんの事情を知った洸太さんは、僕をアメリカ人にしてください、とリサさんに頼み、マリアさんの夫だった昔の恋人のジャックになりきって、バイクにマリアさんを乗せて湘南の旅に出かけ、鎌倉の観光などをした後、細い路地を歩いて、ある海岸へ案内しました。富士山と江の島を臨む写真の海岸は、葉山の海岸だったのでしょうか。私はその場所を知らないのですが、遠くに小さな赤い鳥居と赤い橋が見えました。洸太さんが子供の頃よく遊びに来ていた海岸であり、弟が事故に遭った海岸でもあるということでした。マリアさんと二人だから来ることができたけれど、もしも一人だったらここへ来ることはできなかったと言う洸太さんに、最初からか、途中からか、アメリカ兵の“ジャック”が洸太さんだと気付いていたマリアさんは、洸太さんにありがとうと伝えていました。

マリアさんとの旅で弱い自分を叩きのめすことができたという洸太さんは、自分を待っていてくれた弟に会いに行き、自宅から取ってきたグローブを渡して、キャッチボールをする約束を果たすことにしました。弟の海翔さんは、兄が自分を責めているのが辛くて自分は何も変わっていないと笑顔を見せていたが、それが余計に兄を追い詰めていたのかもしれないと心配していました。今はヨットを頑張っているという海翔さんは、兄ちゃんの本当は優しいところは昔と変わっていないと喜んでいました。

洸太さんのスマートフォンの翻訳アプリのことをマリアさんは魔法みたいだと感激していたのですが、何というか、波のきらめきもそうなのですが、魔法のような小さな奇跡が積み重なっている印象のすてきなドラマでした。

故郷に戻ることを恐れていた洸太さんの固まっていた心が少しずつ柔らかくなっていった後の、最後の穏やかな洸太さんと車椅子の海翔さんのキャッチボールの場面も、さわやかで良かったです。約束の中には果たされないままになっているものもたくさんあるのだろうなと、ドラマを見ていて思いました。信じて待ち続ける人の強さというものも、すごいなと思いました。

兄弟の絆の物語としては、桑村さや香さんの脚本のドラマということもあり、物語の内容は全く異なるのですが、私は昔のフジテレビヤングシナリオ大賞のドラマ「輪廻の雨」のことを少し思い出しました。昨夜の「R134 /湘南の約束」は何気なく見始めた作品だったのですが、見ることができて良かったです。

「花のち晴れ~花男 Next Season~」最終回

TBSの火曜ドラマ「花のち晴れ~花男 Next Season~」の最終話(第11話)を見ました。

英徳学園高等部の「C5」のリーダーの神楽木晴(ハルト、平野紫耀さん)に幸運をもたらすブタを返しに行くことにした江戸川音(杉咲花さん)は、1日目の柔道の試合で右手首を怪我した晴が道場で弓道の練習をしているところに遭遇しました。桃乃園学院の副生徒会長の近衛仁(嘉島陸さん)が自分を襲わせた犯人たちに絡まれているのを目撃した音さんは、晴さんにそのことを話しました。晴さんは震えながらも犯人たちに立ち向かっていったのですが、逃げた犯人たちをその場で取り押さえたのは桃乃園学院の生徒会長で婚約者でもある幼馴染みの馳天馬(中川大志さん)でした。

音さんの言った通り近衛さんが音さんを襲わせた犯人だったと知った天馬さんは、音さんを傷つけた近衛さんに自分の前から消えるよう言うと、一人にしてほしいと落ち込んだ様子で二人の前を去っていきました。そして、動揺していた天馬さんは、2日目の弓道の試合で失敗し、右手の力が入らないという怪我の功名で成功した晴さんに敗れました。

道場で剣道の練習を始めた晴さんの前に、西留めぐみ(飯豊まりえさん)がお弁当を持って現れたのですが、めぐみさんは、思い切り晴君を応援したいからと、晴さんに別れを切り出しました。晴さんを「解放する」ことにしためぐみさんは、めぐみさんに謝る晴さんに、好きを諦めない、と伝えて笑顔で道場を出て行きました。階段で泣いていためぐみさんの背中に、小さなボールが飛んできたのですが、そこに現れたのは「C5」の真矢愛莉(今田美桜さん)でした。

その頃、音さんは、近衛さんと連絡が取れないと心配する天馬さんと二人で、近衛さんが行きそうな場所を探していました。天馬さんと初めて出会った場所かもしれないと気付いた音さんが天馬さんと一緒に歩道橋に向かうと、近衛さんがいました。天馬さんと音さんを見た近衛さんは、音さんに向かってごめんなさいと土下座をして謝りました。許さない自分にはなりたくないと言う音さんに許された近衛さんに歩み寄った天馬さんは、剣道の練習の相手になってほしいと近衛さんに頼みました。

音さんは、愛莉さんに誘われて、めぐみさんと3人でたこ焼きパーティーの準備をしてコンビニエンスストアの先輩店員の紺野亜里沙(木南晴夏さん)の部屋を訪ねました。ドアが開けた紺野さんは、部屋に飛び込んできた彼氏のミータン(浜野謙太さん)に突然指輪を見せられ、プロポーズされました。たこ焼きパーティーの時、めぐみさんは、音さんに、晴さんと別れたことを伝えました。それでも音さんは、自分は天馬さんを応援すると決めていました。

3日目の剣道の試合が始まると、晴さんは、「F4」の茶道の家元の西門総二郎(松田翔太さん)に教えられた「抜き胴」を失敗したのですが、好きを諦めない、江戸川が好きだ、と繰り返し唱えている中で「突き」が決まり、一本勝ちしました。三種目の武道の内二種目に勝った晴さんは、試合を見に来ていた父親の神楽木巌(滝藤賢一さん)に、完璧になれるよう努力すると伝えました。父親は、いつものように、完璧な息子しかいらないと晴さんのことを切り捨てて立ち去ろうとしたのですが、立ち止まって振り返り、今日は10点中6点だったと褒めていました。その言葉を聞いた晴さんは、父親に少し認められて嬉しそうにしていました。

音さんの母親の由紀恵(菊池桃子さん)と試合を見ていた天馬さんの継母の利恵(高岡早紀さん)は、こんな試合で天馬さんの人生が決められるのかと不満そうだったのですが、マグロ漁船?から一時的に東京に戻って来ていたらしい誠(反町隆史さん)は、子供たちの決めたことを尊重して応援したいという趣旨のことを利恵さんに話していました。

試合に勝ったら恵比寿ガーデンプレイスで待っていると晴さんに言われていた音さんは、試合後、負けた天馬さんのもとへ向かいました。天馬さんは、音の野菜炒めが食べたいと言いました。アパートの部屋で音さんの作った野菜炒めをおいしそうに食べた天馬さんは、音さんとの思い出がたくさんできたことに感謝し、音さんに、音を変えたのは神楽木晴だ、自分の心に従ってほしい、最後まで僕を選ぼうとしてくれてありがとうと伝えました。そして、行ってこい、と晴さんのもとへ行くことを迷っていた音さんの背中を押しました。

走り出した音さんを少し寂しそうに見送った天馬さんは、愛莉さんに声をかけられました。愛莉さんは、めぐみさんや「C5」の平海斗(濱田龍臣さん)と成宮一茶(鈴木仁さん)と栄美杉丸(中田圭祐さん)と遊びに出かける途中でした。あんたかっこいいよ、と天馬さんの背中を叩いた愛莉さんは、失恋の先輩として言っておく、これから楽しいことがいっぱいあるよ、と天馬さんを元気付けました。

継母の利恵さんは、負けを知って強くなると、天馬さんを家で待っていることにしたようでした。天馬さんは、人混みの中を一人で歩きながら、空を見上げていました。その頃、晴さんは、恵比寿ガーデンプレイスで音さんを待っていました。音さんは、神楽木に会ったら大好きだと言おう、これから神楽木としたいことがたくさんある、それから、それから、と晴さんとの楽しい未来を考えながら、晴さんに会うために街を走っていきました。

脚本は吉田恵里香さん、演出は石井康晴さんでした。

めぐみさんは晴さんから、天馬さんは音さんから、自ら身を引くという結末でした。音さんと晴さんは、相手を積極的に振ることなく、相手が身を引いたことで、解放されて自由になり、自分らしく生きることができるようになりました。

「好きを諦めない」まま、好きな人を自由にするために自ら別れを切り出しためぐみさんと天馬さんの決断が、切なくもあったのですが、本人たちが納得しているという感じでもあったので、比較的後味は悪くないというか、さっぱりとしたさわやかな結末でもあったように思います。(「好きを諦めない」という言葉を聞いて、私は「ユリ熊嵐」というアニメのことを思い出しました。)

私は、このドラマ「花のち晴れ~花男 Next Season~」の後半からは、天馬さんと晴さんの間で揺れる音さんや、音さんを好きなままめぐみさんと付き合うことにした晴さんのことよりも(杉咲花さんの演じる音さんも、平野紫耀さんの演じる晴さんも良かったのですが)、どちらかというと、中川大志さんの演じる天馬さんや飯豊まりえさんの演じるめぐみさんや今田美桜さんの演じる愛莉さんのことが気になっていました。主役の二人以外の重要な人物たちの感情も、最後まで丁寧に描かれていて良かったです。「C5」自体の全体の存在感はやはり薄かったような気もするのですが、早めにすっきりと晴さんを諦めた愛莉さんの存在感は大きかったと思います。

登場人物(出演者)たちが名前を書いたりタイトルのパネルを持ったりしていたオープニングの映像もかわいかったですし、主題歌のKing & Princeの「シンデレラガール」もドラマに合っていて良かったです。挿入歌として使われていたイメージソングの宇多田ヒカルさんの「初恋」は、決して悪いということではないのですが、曲が流れる場面がその場面でいいのかがよく分からないように思えるところもありました。あと、最近の宇多田ヒカルさんの歌を聴いていると、もしかしたら亡くなられたお母様のことを歌っているのかなと、どうしても思えてしまいます。

ドラマでははっきりとは描かれていなかったと思うのですが、音さんと天馬さんの婚約は正式に解消されたのでしょうか。天馬さんが幼馴染みの音さんと婚約を続けていた背景には、病気で亡くなった母親の美代子(堀内敬子さん)との約束もあったのではないかと思いますが、音さんから身を引いた天馬さんはその寂しさからも解放されたということなのかなと、何となく思いました。

私は神尾葉子さんの原作の漫画も未読ですし、約10年前のTBSのドラマ「花より男子」もよく知らないのですが、その続編にあたるという今作の「花のち晴れ~花男 Next Season~」のドラマは、「ラブコメディー」にしては見ていて複雑な気持ちになるところや、音さんと晴さんの妄想?の映像で終わるという最終回に少しすっきりとしない部分はあったものの、それでも、音さんや晴さんや愛莉さんや天馬さんやめぐみさんたちの成長物語として、最後まで楽しく見ることができたように思います。

今春からTBSの「火曜ドラマ」の枠のドラマは“15分拡大版状態”が通常の放送時間になっているのですが、その点は、上手く作らないと難しそうというか、良し悪しであるような気もしました。

ドラマ「あにいもうと」

TBSのドラマ特別企画「あにいもうと」を見ました。

東京の下町で工務店を営む赤座家は、大工の棟梁の忍(笹野高史さん)とその妻のきく子(波乃久里子さん)、大工職人の長男の伊之助(いの、大泉洋さん)と運送会社のトラックの運転手をしている長女の桃子(もん、宮﨑あおいさん)と心理学を学ぶ大学生の次女の佐知(瀧本美織さん)の5人で仲良く暮らしていた家族だったようなのですが、ある日、伊之助が自分の娘のようにかわいがって育てて来た妹の桃子が交際相手の男性との間にできた子供を妊娠し死産したことを家族に打ち明けたことから、兄の伊之助は激怒して妹の桃子と殴り合いの大喧嘩となり、出て行けと言われた桃子は家を出て近所のアパートで一人暮らしを始めました。

半年後、伊之助は、父親の忍の古希のお祝いを計画しました。妹の桃子に帰ってきてもらうためでした。妹の佐知からそのことを聞いた桃子は、仕方なく兄のいる家に帰ることにしたのですが、その頃、赤座家には、桃子さんに会いたいと、突然桃子の交際相手だった小畑裕樹(太賀さん)が訪ねて来ました。小畑さんが差し出した名刺によると、東京大学の研究室で働いている人のようでした。父親の忍は、桃子の妊娠を知らなかったと謝罪する小畑さんを丁重に追い返したのですが、玄関先で小畑さんの姿を見かけた兄の伊之助は、話があると小畑さんを荒川の土手に連れて行き、娘のように育てて来た大切な妹を傷つけた小畑さんを一方的に殴り倒し、二度と来るなと帰しました。古希のお祝いに来た桃子は、兄の伊之助が小畑さんに暴力を振るったことを知って激怒し、再び兄と殴り合いの大喧嘩になりました。

その後、体調を崩した父親は、先代から受け継がれてきた大事な大工道具を長男の伊之助に譲りました。伊之助は、大工の棟梁となりました。40歳独身の伊之助を心配していた家族は、近所で花屋を営んでいる岡村咲江(西原亜希さん)が最近子供を連れて離婚したことを知ると、咲江さんを伊之助の結婚相手として考えるようになりました。アパートの近くの行きつけの女将のシマ(一路真輝さん)が営む小料理屋で小畑さんと再会した桃子は、兄に一方的に殴られたのにお兄さんからは妹への愛が溢れていたと感動している様子で話す小畑さんと、再び付き合うことにしたようでした。

一年後、父親の忍は他界していました。伊之助と再婚したらしい咲江さんと母親のきく子は、着物を着ていました。その日は、桃子と小畑さんの結婚式だということでした。しかし、兄の伊之助は、結婚式には行かないと拗ねていました。桃子は、ただ座っているだけでいいから結婚式に来てほしい、最後亡くなった父親の代わりに挨拶をしてほしいと兄に頼みました。兄は、それでも行かないとごねていたのですが、妹たちが出掛けると、やっぱり行くと、弟子の三四郎(七五三掛龍也さん)のバイクに乗って結婚式の会場へ向かいました。妹の佐知の語りによると、兄の伊之助は挨拶をしようとして泣き、その場にいた参加者全員も泣くという、感動的な結婚式になったということでした。

脚本は山田洋次さん、音楽は木下忠司さん、演出は清弘誠さん、プロデューサーは石井ふく子さんという作品でした。

原作は、私は未読なのですが、1934年(昭和9年)に発表された詩人で小説家の室生犀星の小説『あにいもうと』です。

私は知らなかったのですが、これまでに何度も映画化やドラマ化がなされてきた有名な作品だそうです。山田洋次さんの脚本、木下忠司さんの音楽、石井ふく子さんのプロデュースというのは、TBSの「東芝日曜劇場」の枠で1972年にドラマ化された時と同じだそうで、その時には映画「男はつらいよ」シリーズの俳優さんたちが出演していて、渥美清さんが兄の伊之助を演じ、倍賞千恵子さんが妹の桃子を演じていたということでした。

兄の伊之助さんは、両親にかわいがられていた下の妹の佐知さんのことよりも、気性が近い?上の妹の桃子さんのことをかわいがってきたということなのですが、それは妹としてというよりも、父親代わりとしてということのようでした。赤座家の長男と長女と次女の年齢差がよく分からなかったのですが、「サザエさん」の磯野家の姉と兄妹のように、長男は妹たちよりも年齢が離れていて、長女と次女は年齢が近いように見えました。

ただ、もしも「あにいもうと」というタイトルではなかったなら、このドラマの物語が兄と妹の物語であるということに、もしかしたら気付かなかったかもしれません。「あにいもうと」というタイトルを念頭に置きながら見ると、確かに兄と妹の物語に思えるという感じでした。

ドラマの解説には「野性味にあふれ本能的に生きる一家を舞台に、兄と妹の狂おしいほどの情愛を通して家族の在り方を見つめる人間ドラマ」と書かれていたのですが、私がこのドラマを見た限りでは、それは少し違っていたようにも思います。

父親のような兄の、その娘のような妹の自立に対する葛藤は描かれていたと思うのですが、「野性味にあふれ本能的に生きる」や「狂おしいほどの情愛」が描かれていたのかどうかは、私にはよく分かりませんでした。いわゆる「シスターコンプレックス」と呼ばれるような種類のものとも、少し違うような気がしました。東京スカイツリーの風景や電化製品や伊之助に日本の大工仕事について質問する建築デザイナーのパティ(シャーロット・ケイト・フォックスさん)などに現代らしさもありましたが、ごく普通のというか、昭和的な生活を送る仲の良い家族を描いた、少し古風な雰囲気のドラマでした。でも、それなりに見やすいホームドラマになっていたように思います。

映画は、1953年(昭和28年)に公開された成瀬巳喜男監督の大映映画(主演は京マチ子さん)や、1976年(昭和51年)に公開された今井正監督の東宝映画(主演は秋吉久美子さん)が有名だそうです(兄の名前は伊之助ではなく、伊之吉となっているようです)。

私は室生犀星の小説を少ししか知らないのですが、読んだことのある中では、『後の日の童子』という短編小説がとても好きです。怪談の部類に入っているようなのですが、本当に美しい名作だと思います。

「ブラックペアン」最終回

TBSの「日曜劇場」のドラマ「ブラックペアン」の最終話(第10話)を見ました。

東城大学医学部付属病院の心臓血管外科医の佐伯清剛教授(内野聖陽さん)の緊急手術を国産の内視鏡外科手術支援ロボット・カエサルの遠隔操作で行った外科医の渡海征司郎(二宮和也さん)は、完治させるための再手術を行う条件として、ペアンが心臓付近に残されたままになっている患者・飯沼達次さんの居場所を教えるよう迫るのですが、佐伯教授はそれを拒否し、理事長選挙の行われる日本外科学会に出席するため、東京へ向かいました。

一方、東城大病院では、新人看護師の花房美和(葵わかなさん)が看護師長の藤原真琴(神野三鈴さん)に秘密裏に頼まれていた飯沼さんの容態が急変しました。佐伯教授の代理を任されていた外科医の高階権太(小泉孝太郎さん)は、花房さんが出て来た誰もいないはずの特別室の様子を見に行き、飯沼さんの存在を知ることになりました。渡海さんは、医療過誤は見逃せないという治験コーディネーターの木下香織(加藤綾子さん)に、飯沼さんの存在を打ち明けました。

渡海さんは、佐伯教授の命令で自分を見張っている研修医の世良雅志(竹内涼真さん)が眠っている隙に東京から東城医大病院へ戻り、最初に心臓の手術を行ってからもずっと自分の担当医となっている佐伯教授を信じている飯沼さんの許可を得てレントゲン写真を撮影し、心臓にペアンの影が映っているのを再確認しました。そして、渡海さんは、佐伯教授のいない間に、渡海さんの味方になった高階さんと木下さん、花房さん、手術室看護師の猫田真里(趣里さん)の協力を得て、飯沼さんの胸部から、父親に医療ミスの罪を着せた佐伯教授の罪の証拠となるペアンを取り除く手術を行うことにしました。

飯沼さんの胸部を開き、心臓の奥にペアンを見つけた渡海さんがそれを外そうとした時、学会での演説を黒崎誠一郎准教授(橋本さとしさん)に任せてドクターヘリで東城医大病院へ戻って来た佐伯教授が藤原さんの押す車椅子で手術室に現れ、ペアンを外すな、と忠告しました。しかし、父親に罪を着せた佐伯教授を恨んでいる渡海さんは、これで佐伯教授は終わりだと、ペアンを外しました。すると、長期間体内に残されていたペアンを外された飯沼さんの心臓からは血が噴き出し、渡海さんでも止められない状態となってしまいました。

佐伯教授は、自分が行うと渡海さんに執刀を代わり、飯沼さんの出血を止めました。佐伯教授の話では、飯沼さんの心臓のペアンは、当時の佐伯教授があえてペアンで血管を止めたまま閉胸したものでした。大事故の手術で忙しい中、道具が足りなかったということでした。その後、飯沼さんの再手術を行うことができないまま、海外の医療現場へ出ていた佐伯教授は、飯沼さんのペアンのことを手紙で伝えて託していた「盟友」の「一郎先生」が、飯沼さんのレントゲン写真を見て驚いた黒崎さんたちに医療過誤を追及され、弁明せずに東城大病院を去ったことを知ったということでした。佐伯教授が帰国した時には、一郎さんはすでに病死していたようでした。

佐伯教授のブラックペアンは、医者は患者のことだけを考えろと言い残して飯沼さんのことを誰にも言わずに亡くなった一郎さんのことを忘れないためのものであり、そのカーボン製のブラックペアンは、飯沼さんの再手術の際に使うためのものでした。佐伯教授は、ブラックペアンを使う時は自分が医者を引退する時だと決めていたようでした。

佐伯教授から「ペアンの秘密」を教えられた渡海さんは、呆然と手術室を後にしました。しかし、その直後、飯沼さんの閉胸を高階さんたちに指示した佐伯教授がその場に倒れました。

佐伯教授の再手術が行われることになりました。世良さんは渡海さんを探しに行き、倒れた時に佐伯教授が渡海さんに、医者は患者のことだけを考えろ、ただ人の命を救え、と言っていたと聴いた渡海さんは、佐伯教授の手術を行うことにしました。その後、渡海さんは、病室で佐伯教授に、医者は患者のことだけを考えろ、ただ人の命を救え、と言い、尊敬する医者の言葉です、と伝えて頭を下げ、病室を出て行きました。そして、引き止める世良さんに、ご飯を炊いておくよう指示して、そのまま東城大病院を去ったようでした。

理事長選は、佐伯教授が帝華大学病院の西崎啓介教授(市川猿之助さん)に僅差で勝利したようでした。医者として研究に力を入れている西崎教授は、新たな研究に取り組み始めたということでした。病気の治った佐伯教授は、しかし、すぐに理事長の座を別の大学の教授に譲り?自分は後進の育成を行うことにしたようでした。世良さんたちは、渡海さんが戻って来るのを仮眠室で待っていました。

脚本は丑尾健太郎さんと神田優さんと槌谷健さん、演出は田中健太さんでした。音楽は木村秀彬さん、主題歌は小田和正「この道を」です。

東城大病院を辞めたらしい渡海さんは、“フリーランスの外科医”になったのでしょうか。15分拡大版の最終回でした。もったいをつけた演出のために?少し冗長的になっていたのがもったいないようにも思えたのですが、最後までそれなりに楽しく見ることができたように思います。

第1話や第2話で描かれていた佐伯教授と渡海さんのブラックペアンの秘密を解き明かしていく物語としては、途中を飛ばして第9話と第10話を見れば分かるという作りになっていたような気もします。

ただ、気になったこともあります。医者が患者を自分たちの出世や研究のための道具として扱うという部分は、今回の患者の飯沼さんの場面にもあったように思うのですが、佐伯教授が倒れる直前の飯沼さんの閉胸の手術は、どうなったのでしょうか。その手術の続きの場面がなかったので、(もしかしたら私が見逃してしまったのかもしれないのですが)よく分かりませんでした。

渡海さんの父親の一郎先生(辻萬長さん)と盟友だった当時の佐伯教授が飯沼さんの胸部にペアン(鉗子)を残したまま閉じることを決断したことが医療として正しかったのであるなら、それは一郎先生にも理解できることであるように思いますし、一郎先生に理解できることであるなら、説明をすれば他の外科医たちにも理解できたことだったのではないかと思います。飯沼さんの身体にペアンを残したことが医療ミスではなく医療として正しい判断であるなら、どうしてそれを他の外科医たちに隠したのでしょうか。どうしてきちんと説明しなかったのでしょうか。それが“罪”でないなら、一郎先生がその“罪”のために佐伯教授の代わりに大学病院を辞めることもなかったはずですし、帰国した佐伯教授がその後も一郎先生の名誉を回復しなかった(開腹するよう努めなかった)理由も不明に思えます。

飯沼さんの再手術にブラックペアンを使ったことも、私には奇妙に思えました。どこか飯沼さんの心臓内の一部に止めておく必要がある箇所があるとして、それがペアン(ペアン型のもの)である必要があるのかどうか、私には分かりませんでした。

佐伯教授は、ブラックペアンはカーボン製だからいつか飯沼さんの死後遺体が焼却される時には燃えて証拠も残らないというようなことを渡海さんに話していましたが、佐伯教授が飯沼さんの再手術をするまでには長い時間があったのですから、カーボン製がどうかという素材の問題ではなく、飯沼さんの健康の負担にならないような、もっとちゃんとした医療用の小さなものを用意しておいて、それを飯沼さんの再手術に使うようにしたほうが良かったのではないでしょうか。

そもそも、患者である飯沼さん自身にそのペアンの説明をしないというのは、医師として不誠実であるように思います。結局、佐伯教授も渡海さんの父親も、飯沼さんの体内のペアンのことを飯沼さんに隠蔽していたということになります。その時の処置としてはそうするしか他に方法がなかった、ということなら医者はそのことを患者に話すべきなのではないかなと、ドラマを見ていて思いました。

医者は患者のことだけを考えろ、という割には再手術が行われた患者の飯沼さんのその後も描かれていないので分かりませんが、謎の心臓病で入院していた飯沼さんは、今度は体内にカーボン製のブラックペアンが残されていることを教えてもらうことができたのでしょうか。

あるいは、私が知らないだけで、もしかしたら、体内に残しておいても安全なカーボン製のペアン(またはペアン型の医療器具)というものが医療業界には存在するのかもしれませんが、ドラマを見ながら、一体どういうことなのかなと、気になってしまいました。普通に考えるなら、やはり医療ミスだと思います。少なくとも、仮にその時にはそうするより他に仕方がなかったのだとしても、心臓にハサミのような形をした金属製のペアンを残して閉胸した飯沼さんの再手術をすぐに行わなかったことは、危険なことであるように思いました。渡海さんはあれほど佐伯教授を恨んでいたのに、どうしてすぐに佐伯教授の解説に納得することができたのだろうかというところも、少し不思議に思いました。

患者の命を助けるために医者に必要なものは何か、ということがテーマになっていたドラマだったように思うのですが、人の技術も医療用の機械も大事だと思うと同時に、患者やその家族や同じ医療従事者たちに対する誠実さが何よりも大切であるように思いました。

このドラマの原作は、『チーム・バチスタ』のシリーズの作者でもある海堂尊さんの小説『ブラックペアン1988』だそうです。私は未読なので、小説とドラマとを比べることはできないのですが、小説でも、ブラックペアンの秘密に関してはこのような物語になっているのでしょうか。

小泉孝太郎さんの演じる高階さんや、竹内涼真さんの演じる研修医の世良さんは、いつも「教授命令」に従っていました。「教授命令」に対して「はい」と即答して従う医師たちの「“御意”の世界」が、この大学病院を舞台にしたドラマにも描かれていました。テレビ朝日のドラマ「ドクターX ~外科医・大門未知子~」のようなすっきりとした感じは、このTBSのドラマ「ブラックペアン」にはなかったように私には思えるのですが、例えばもしも2時間のスペシャルドラマだったなら、もっと面白く思うことができたのかもしれないなとも思います。

私は、どのドラマや映画作品についても基本的には「続編」を望まないほうなのですが(完結した作品の「続編」の物語よりは、全く別の「新作」の物語のほうを見たいと思うからです)、嵐の二宮さん主演の「ブラックペアン」の最終回を見終わって、いつか「続編」を作る予定のありそうな終わり方だったようにも思えました。

「西郷どん」第24回

NHKの大河ドラマ「西郷どん」の第24回を見ました。

奄美大島から薩摩に戻った西郷吉之助(鈴木亮平さん)は、命に背いて下関を離れたことなどで藩主の島津久光(青木崇高さん)の怒りを買い、切腹を命じられたものの、大久保一蔵(瑛太さん)の助命嘆願により、島流しの刑に処されることとなりました。吉之助さんは、薩摩藩士同士の殺し合いとなった「寺田屋騒動」を手紙で知りました。同じく島流しの刑となった村田新八(堀井新太さん)は、喜界島に遠島されました。

徳之島に流された吉之助さんは、岡前で大島にいるはずの妻の愛加那(二階堂ふみさん)と長男の菊次郎と再会し、1か月前に生まれたばかりの長女の菊草と初めて対面しました。夫が徳之島にいることを知った愛加那さんは、龍佐民(柄本明さん)に頼み、兄の富堅(高橋努さん)と一緒に子供たちを連れて吉之助さんに会いに来たのでした。愛加那さんの幸せそうな「旦那さまー!」の声と、その声にはっと驚いて振り向く吉之助さんの場面が良かったです。

吉之助さんが徳之島にいたのは5日ほどで、愛加那さんと子供たちが吉之助さんと一緒にいることができたのは、その内の二日ほどだったようでした。江戸で一橋慶喜(松田翔太さん)から田舎者扱いされ、話のできる人として西郷吉之助を呼ぶよう言われた島津久光は、吉之助さんをさらに沖永良部島に遠島する命令を下したようでした。

愛加那さんや二人の子供たちと別れ、沖永良部島に流された吉之助さんは、伊延の浜辺に建てられた野ざらしの小さな高床式の、日差しや風雨にさらされる過酷な環境の牢の中に囲われることとなりました。

薩摩へ留学した経験のある島役人の土持政照(斎藤嘉樹さん)とその母親の土持鶴(大島蓉子さん)は、尊敬する「先生」の吉之助さんに豪華な食事を運んでいたのですが、薩摩藩からの指示では食事として与えられるものが塩のみであったということを知った吉之助さんは、「藩命」に従い、食べ物は島のみんなで分けてほしいと、食事を採らなくなりました。

いつもお酒を飲んで酔っている流人の川口雪篷(石橋蓮司さん)は、自分を極刑に処した藩主の下で出世している「親友」を信じていると話す吉之助さんのことを呆れていたのですが、牢の中で健康を害して倒れていた吉之助さんに水を飲ませて助け、土持政照さんたちは藩命に背いてでも西郷先生を助けたいと、衰弱した吉之助さん自宅へ運びました。

脚本は中園ミホさん、演出は盆子原誠さんでした。

第24回は、徳之島と沖永良部島に流刑となった吉之助さんの話だったのですが、予告によると、次回にはまた薩摩に戻るようでした。

流人の川口雪篷が吉之助さんに水を口移しで飲ませる場面には少し驚いたのですが、石橋蓮司さんの演じる薩摩出身の川口雪篷という人は(私は知らなかったのですが)実在する人でした。流刑の理由はよく分からないのですが、吉之助さんより10歳ほど年上の、陽明学をよく勉強した書家の方だそうです。

先日のNHKの古舘伊知郎さん司会の「日本人のおなまえっ!」も奄美大島や喜界島のお名前の特集で、番組の内容自体は面白かったのですが、また大河ドラマ「西郷どん」の宣伝も兼ねていました。

NHKのBSプレミアムの歴史学者磯田道史さん司会の「英雄たちの選択」は、「橋本左内 維新を先駆けた男 安政の大獄に死す!」という、橋本佐内の特集でした。大河ドラマ「西郷どん」では、風間俊介さんが演じていました。越前藩の藩医の家に生まれ、松平慶永(松平春嶽)に取り立てられて武士となり、「安政の大獄」で安政6年に26歳で処刑されたという橋本佐内のことも私はよく知らなかったので、番組の解説を聴きながら、適塾では同い年の福沢諭吉と学んでいたという優秀な人が幕末の日本からいなくなってしまったのだなと少し残念に思ったのですが、もしも佐内さんが徳川幕府の大老の井伊直弼(ドラマでは佐野史郎さんが演じていました)と直接会って話し合う機会があったなら、幕末や明治以降の日本社会の未来はもっと違った結果になっていたのかなとも思いました。
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