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「満島ひかり×江戸川乱歩」

NHKのBSプレミアムのドラマ「満島ひかり×江戸川乱歩」を見ました。

2016年の頃に放送されていた「シリーズ・江戸川乱歩短編集」の第3弾です。私は「太宰治短編小説集」以降のこの短編小説集映像化シリーズを好きで見ているので、また、江戸川乱歩の作品を好きなので、短編小説を“ほぼ原作通りに映像化”する今作を見るのもまた楽しみにしていました。

約30分ずつの3作品が連続で放送されるオムニバス形式のドラマです。

第一幕は満島ひかりさんと宮藤官九郎さんによる『お勢登場』(朗読は眞島秀和さん、演出は佐藤佐吉さん)、第二幕は満島ひかりさんとハライチの岩井勇気さんによる『算盤が恋を語る話』(朗読は松澤匠さん、演出は森ガキ侑大さん)、第三幕は満島ひかりさんと高良健吾さんによる『人でなしの恋』(朗読は満島ひかりさん、演出は渋江修平さん)でした。

これまでは名探偵・明智小五郎が登場する短編小説が映像化されていましたが、今回は明智さんの登場しない短編小説が映像化されていました。

それぞれのドラマの冒頭には作家の江戸川乱歩自身によるの「自作解説」の一部が紹介されていました。第一幕と第二幕の間、第二幕と第三幕の間には、満島ひかりさんが演出した?コントのような、息抜きのような短い「幕間」が挟まれていました。

第一幕の「お勢登場」は、東京新宿の歌舞伎町で終わる最後が意外でした。第二幕の「算盤が恋を語る話」は、会社の従業員たちの舞踊?が個性的でした。

第一幕も第二幕もそれなりに楽しく見ることができたので良かったと思うのですが、私としては、第三幕の「人でなしの恋」が良かったです。

満島ひかりさんの演じる妻の京子さんの軽妙な語りと高良健吾さんの演じる夫の門野さんの深刻な秘密の恋との差も良かったですし、何といっても、夫の愛する土蔵の中の「人形」を、よくぞあのようなはっとする美しい容貌の球体関節人形にしてくれたと思いました。このドラマの夫が愛する人形であるなら、日本人形にするよりもリアリティがあります。説得力もあります。違和感なく見ることができたという以上に、人形の美しさに惹き込まれました。

そのため、「暗視カメラ」の暗い緑色の映像の中で、嫉妬心から土蔵に乗り込んだ京子さんが長持に収められていた人形を激しく虐待する場面は、とても残酷で、怖くて、悲しい場面でした。

あの美しい人形を、本気で壊したのでしょうか。ドラマの京子さんの狂気もそうなのですが、ドラマの制作スタッフの方たちの勇気?にも驚きました。エンドクレジットによると、人形を制作したのは、陽月さんという方でした。

人形の口が人間のように素早く動く合成は不気味に思えたのですが、嫉妬に狂った妻によって無惨に殺された人形の後を追って刀で命を絶った夫の鮮血と、バラバラに壊された人形の口元から流れ出る血の映像も、美しかったように思います。

過去を語る京子さんの背後の棚のガラス戸の中の人形の首(頭部)の演出も良かったです。人形に重ねられた、京子さんを演じる満島ひかりさんの微笑まで、一貫していて見事でした。音楽も良かったです。

現代の新しい映像の中で「人でなしの恋」の雰囲気がよく出ていたように思います。「人でなしの恋」は人間ではない人形を愛する夫の恋を指すのかもしれませんが、夫の愛する人形を殺し、夫を自殺に追い込んだ妻の嫉妬に燃える恋を指すのかもしれないとも思いました。

ただ、今作の「江戸川乱歩短編集」の第3弾のタイトルから「短編集」が消え、主演の女優さんの名前を全面に打ち出したタイトルに変わってしまったことについては、「文学」の印象が弱まってしまうようにも感じ、少し残念にも思えました。「江戸川乱歩短編集」の第2弾の時には「妖しい愛の物語」という副題がついていたのですが、文豪の短編小説集をほぼ原作通りに映像化するとしているこのシリーズのタイトルは、そのままのシンプルなものの方が良いように思います。


このドラマは夜11時半からの約1時間半のドラマだったのですが、その前の時間(夜10時半から夜11時半)には、江戸川乱歩の長編小説『孤島の鬼』を特集した「シリーズ・深読み読書会」が放送されていました(「シリーズ・妖しい文学館」では名探偵・明智小五郎と少年探偵団と『青銅の魔人』が特集されていたこともあります)。でも、私はまだ昨夜のこの『孤島の鬼』の特集の全部を見ることはできていません。録画をしてあるままです。

私は乱歩の作品を好きなので、テレビ番組や雑誌の企画などで時々乱歩の特集があると知ると、嬉しく思う一方で、なぜか何となく少し不安のような寂しいような気持ちにもなります。ただ、今回の『孤島の鬼』の小説の内容を深く読み解く文学探偵が、佐野史郎さんと高橋源一郎さんと綾辻行人さんと鹿島茂さんの4人ということについては単純に嬉しく思いました。ほっとしました。

昨夜に番組の後半の一部だけを見た印象では、物語を紹介するためのイラスト(挿し絵)が多かったように思います。発表当時の江戸川乱歩の小説にも挿し絵のついているものはありますが、近年の、あるいは著作権が切れてからの最近に出版されたものには特に絵のついているものが多いような気がします。先日に本屋さんの本棚で見かけて、少し驚きました。

絵がついている本のほうが読みやすいという方もいるのだと思うのですが、私としては、乱歩の作品には特に絵はないほうが良いように思います。文字の文章で表現された作品の持つ世界やそのイメージが絵によって制限されてしまうような気がするからです。でも、あまり深く気にしないほうが良いのかもしれません。ある小説作品を読みたい人が、文字だけのものか、絵のついているものか、どちらか読みたいほうを選べばいいというだけのことなのかもしれません。

「忘却のサチコ」最終回

テレビ東京の「ドラマ24」のドラマ「忘却のサチコ」の第十二歩(第12話・最終話)を見ました。

結婚式の当日「幸子、すまない」という置き手紙一枚を残して姿を消した新郎の俊吾さん(早乙女太一さん)の記憶をおいしい料理を食べることで忘却しようとしてきた中学館の文芸雑誌・月刊「さらら」の編集者の佐々木幸子(高畑充希さん)は、編集長の白井智昭(吹越満さん)が楽しみにしている年に一度の編集部の宴会の翌朝、新人編集部員の小林心一(葉山奨之さん)が「クズ」と断定した俊吾さんと街中で再会し、北海道の新鮮な鮭を手に「ただいま」と何事もなかったかのように帰って来た俊吾さんと帰宅したのですが、俊吾さんが結婚式から消えた理由や今まで連絡してこなかった理由を訊くことができませんでした。

幸子さんは、小林さんと二人で人気小説家の姫村光(長谷川朝晴さん)と打ち合わせをする時、「放浪癖」のある姫村さんが「逃亡癖」との違いについて、「放浪」は見たいものを見に行くことで「逃亡」は見たくないものから逃げることなのではないかと話すのを聞いて、俊吾さんの失踪が自分との結婚からの「逃亡」だと納得したようでした。

逃亡中、全国各地でさまざまなおいしい料理を食べてきたらしい俊吾さんは、北海道の漁師さんに教わったという石狩鍋を作ってテーブルのガスコンロの上に載せると、突然幸子さんに向かって土下座をするように頭を下げ、「幸子さん、ごめん」と謝りました。俊吾さんを忘れるために、サバの味噌煮定食を始め、おいしい料理を食べ続けてきたということを俊吾さんに打ち明けた幸子さんは、俊吾さんのことが好きでした、と過去形で言って、俊吾さんが伸ばしてきた手を振り払い、さようなら、と告げました。

それから俊吾さんが出て行った部屋で、幸子さんは、出来上がった二人分の石狩鍋の味を噛みしめながら、少しずつ俊吾さんの顔を忘れていきました。

翌朝、幸子さんの部屋を訪ねてきた母親の佐々木和代(ふせえりさん)は、「心の仏壇」を片付けた幸子さんに驚いていました。幸子さんは、「元気?」と送ってきた俊吾さんの絵葉書きを折り畳んで噛んでごみ箱に捨てました。編集部の白井編集長や小林さんや後輩編集者の橋本玲奈(逢沢りなさん)や同僚編集者の大野恭助(重岡漠さん)や岡田友里奈(上地春奈さん)たちは、俊吾さんと別れたと言い「しゅんご」の言葉にも無反応になった幸子さんを、それでも、心配して気遣っていました。

幸子さんは、編集部のみんなをランチに誘ったのですが、幸子さんがみんなを連れて行ったお店は、最初にサバの味噌煮定食を食べて救われた「三宝食堂」でした。幸子さんは、サバの味噌煮とお味噌汁という味噌味尽くしの和食の「クレイジー」さを小林さんと共有しながら、俊吾さんのことを忘れたように食事を続けていました。しかし、白井編集長や小林さんや同僚たちは、お店のテレビのクリスマス中継先に俊吾さんが映り込んでいることに気付きました。幸子さんも気付きました。俊吾さんは、画用紙に書いた「サチコさん、メリークリスマス!」という言葉を能天気な笑顔でカメラに向けていました。幸子さんとよりを戻したいらしい俊吾さんは、まだ幸子さんのもとへ帰る気でいるようでした。

俊吾さんのことを完全には忘却できていない幸子さんは、俊吾さんの再登場に動揺しながら、「おかわりください!」と店主に空になったお茶碗を出していました。

第十一歩と第十二歩の脚本は大島里美さん、監督は山岸聖太さんでした。原作は、阿部潤さんの漫画『忘却のサチコ』です。

第3話以降の感想を書くことができなかったのですが、私も録画をしつつ、毎回の幸子さんの物語を楽しみにして見ていました。

幸子さんと編集部の人たちとの場面も楽しかったですし、前回の宴会の小林さんのオペラや、仕事中なのに「スマホゲーム」と「PC動画」に興じている白井編集長を「ディスる」幸子さんのラップの場面も面白かったです。連続ドラマの「忘却のサチコ」には、ミュージカルの要素が少し混ざっていました。

編集者としては優秀な幸子さんが、編集部の優しい仲間たちとおいしい料理に支えられながら、結婚式の当日に婚約者の俊吾さんに逃げられたという辛い現実を受け入れていく過程が、“グルメドラマ”としてだけではなく、“お仕事ドラマ”として描かれていたところも良かったのだと思います。

高畑充希さんの演じる幸子さんがいつもおいしそうな料理をおいしそうに、きれいに食べる姿を見るのも好きでした。スカートの「忘却のサチコ」が流れるオープニングの映像も、eddaの「ループ」の流れるエンディングの映像も、楽しかったです。

幸子さんも風変わりな人ですが、幸子さんと付き合っていた俊吾さんも少し変わった人だったようです。ドラマを見始めた頃には、「俊吾さん」は、スペシャルドラマの時のような、誰か分からない幻のような俊吾さんのほうが良いのではないかと思えていたのですが、これほどに俊吾さんの登場場面が多いのであるなら、具体的に登場するのも仕方がないのかなと思うようにもなりました。俊吾さんを追い続けていた幸子さんは、今度は(ストーカー的な)俊吾さんに追いかけられることになるのだろうかと、幸子さんのその後が少し心配にもなる最終回でもあったのですが、最後まで楽しく見ることができて良かったです。


ところで、この「忘却のサチコ」のドラマとは直接には関係がないのですが、CMの予告によると、ドラマ「孤独のグルメ」(主演は松重豊さん)の「大晦日スペシャル」が今年も放送されるそうです。放送時間に見ることができるかどうかは分からないのですが、楽しみにしたいと思います。

それから、BSテレ東の「真夜中ドラマ」枠の東京の築地場内市場(今はもうありません)と銀座を舞台にしたお寿司屋さんドラマ「江戸前の旬」(主演は須賀健太さん)は、今日の深夜の放送が最終回(第12貫)です。このドラマも、“グルメドラマ”なのかもしれないのですが、さっぱりとした温かさのある、良い江戸前人情ドラマだと思います。

一昨日のドラマ「犬神家の一族」と、横溝正史と吉備真備の岡山県の真備町のこと

フジテレビのスペシャルドラマ「犬神家の一族」を見ました。(といっても、全部ではなく、後半部分です。前半部分は、録画できていませんでした。)

原作は、横溝正史の長編推理小説「金田一耕助シリーズ」の『犬神家の一族』です。

過去に何度も映像化されている有名な作品なのだと思うのですが(特に市川崑監督の映画が有名なのだと思います)、私はこの何作かをドラマや映画で知っているはずの有名な「金田一耕助シリーズ」の物語の内容を、次に見る時にはなぜかいつもほとんど忘れているような気がしています。

フジテレビの2時間ドラマの「金田一耕助シリーズ」というと、私はSMAP時代の稲垣吾郎さんが名探偵・金田一耕助を演じていたシリーズ(全5作でした)を思い出します。でも、今回金田一さんを演じているのは、稲垣吾郎さんではなく、NEWSの加藤シゲアキさんでした。その上で「犬神家の一族」をドラマ化するということは、もしかしたらですが、加藤シゲアキさんを主演とした新シリーズを始めるということなのかもしれません。

たくさんの金田一耕助作品の中でどうしていつも「犬神家の一族」や「八つ墓村」ばかりを繰り返し映像化するのだろうということも少し気になるのですが、他の作品よりも映像化しやすい作品なのでしょうか。

今作の「犬神家の一族」の脚本は根本ノンジさん、演出は澤田鎌作さんでした。

以前に「犬神家の一族」のドラマを見た時にも思ったことなのですが、結局犬神家は地元の名家のまま?存続するということを考えると、青沼親子はかわいそうだなと思います。強い恨みの気持ちを持って誰かを呪ったとしても、その呪いが相手に通じるとは限りません。

青沼静馬は、犬神松子(黒木瞳さん)が殺人者だと知りながら、松子さんに正体を打ち明けていたのですが、どうして殺されると思わなかったのでしょうか。それとも、あえて殺されるように仕向けていたのでしょうか。

自身も復員した金田一耕助さんのシリーズには、戦争直後の時代の空気感が出ていることが大切であるようにも思えるのですが、犬神佐清(賀来賢人さん)が告白する場面で使われていた戦争の映像はあの映像で合っていたのかなということも、少し気になりました。

盲目の琴の先生の宮川香琴(梶芽衣子さん)の場面には、静かなリアリティがあったように思いました。(稲垣吾郎さんが金田一さんを演じていたドラマでは、 岸田今日子さんが宮川香琴を演じていました。)

あと、その稲垣吾郎さんの金田一さんのドラマには、小日向文世さんの演じる作者の横溝正史さんも登場していたのですが、今作の加藤シゲアキさんのドラマには登場していませんでした。

面白かったというのとは少し違うかもしれないのですが、でも、これはこれで、新しいフジテレビの「金田一耕助シリーズ」のドラマとしては良かったのだろうと思います。


ところで、私は江戸川乱歩を好きなのですが、その編集者で親しい友人でもある横溝正史の作品をまだほんの少ししか知りません。今年の7月6日の西日本広域多発豪雨による増水の被害を受けて水没していた岡山県倉敷市真備町では、51人の方が亡くなったということが報じられていましたが、真備町の岡田という地区は、太平洋戦争中に横溝正史が疎開していた場所でもあるそうで、「横溝正史疎開宅」が保存されていて、名探偵・金田一耕助のイベントも開かれているそうです。金田一さんのイベントのことを、私は、西日本豪雨の災害報道の中で知りました。(山梨県山梨市の「笛吹川フルーツ公園」という夜景でも有名な公園の近くにある「横溝正史記念館」は数年前に一度訪れたことがあります。行ってみたいなと思っていた場所でした。東京の世田谷区にあった自宅の木造の書斎を移築して当時を再現したものだそうです。書斎ということもあり、それほど広い建物ではないのですが、良い記念館でした。横溝正史さんの遺品や作品や関連品などの展示品の中には、乱歩の手紙もありました。)

2005年までは「吉備郡」にあった真備町は、奈良時代の高官で学者の吉備真備の出身地でもあるそうです。真備町の真備は「まび」と読むそうなのですが、昔は「まきび」と読んでいたのでしょうか。吉備真備は、阿倍仲麻呂や玄昉と同じく遣唐使の船に乗って当時最先端の唐の都の長安に留学した一人で、日本史の教科書にも載っている有名な人物ですが、鑑真和上を唐から日本に連れて来た人でもありました。有名だけれど詳しいことはよく知らない歴史上の人物でもあったので、NHKのBSプレミアムの「英雄たちの選択」(歴史学者の磯田道史さんが司会を務める歴史番組です)の「右大臣吉備真備」の特集を見て、藤原仲麻呂(藤原恵美押勝)に恐れられて何度左遷させられてもその場で能力を発揮して歴代天皇に重用され続けたという吉備真備は、天才的な人だったのだなと思いました。学問の神様としては、全国にたくさんの神社(天満宮、天神社)のある、平安時代の右大臣菅原道真(左大臣藤原時平に今の福岡県太宰府へ左遷されたそうです)が有名ですが、吉備真備が有名な学問の神様(あるいは文化や医術や戦なども含めた総合的な学問の神様)になっていても良いように思えました。

「アシガールSP」

NHKの特集ドラマ「アシガールSP」を見ました。

昨年の秋にNHKの夕方の「土曜時代ドラマ」枠で放送されていたSF時代劇「アシガール」をとても好きで見ていたので、その続編がスペシャルドラマとして放送されると知り、私も見るのを楽しみにしていました。

夜9時から夜10時半までの、いわゆる“ゴールデンタイム”に放送されるというところには少し意外な感じもしたのですが、前作の続きとなる今回の「アシガールSP」の物語も最後まで楽しく見ることができました。

永禄3年(1560年)、黒羽城主の若君・羽木九八郎忠清(伊藤健太郎さん)とついに婚約した女子高校生の速川唯(黒島結菜さん)は、祝言を上げる日を楽しみに待っていたのですが、その矢先、和議を結んだはずの高山宗鶴(村田雄浩さん)が、織田信長の家臣・相賀一成(西村まさ彦さん)にそそのかされ、羽木家に再び戦を仕掛けてきました。羽木家と羽木の民を守りたい忠清は、高山と話をするため、僅かな家臣たちと共に小垣城へ向かいました。婚約者であり足軽の唯之助でもある唯さんは、一緒に行きたいと若君を追いかけて頼んだのですが、5日後の祝言には間に合うように戻るからと、黒羽城に帰るよう言われました。

高山勢に取り囲まれた黒羽城の天野信茂(イッセー尾形さん)は、共に高山の陣に斬り込みに入った千原元次(升毅さん)を喪いました。最後の一個の「煙玉」を使って悪丸(MAXさん)と一緒に信茂たちを助けに行った唯さんは、誰も死なせないという約束を守ることができなかったと落ち込んでいました。

事情を知った天野吉乃(ともさかりえさん)は、若君から預かっていた刀型のタイムマシンの起動スイッチを唯さんに渡しました。唯さんは、生きることこそが勝ちだという若君の思いを、籠城を考えていた羽木忠高(石黒賢さん)や天野信近(飯田基祐さん)や天野小平太(金田哲さん)たちに伝え、羽木家の人々と羽木の民を「まぼ兵くん」を使って裏門から野上の領地へ逃がすことにしました。野上良元を連れて来た如古坊(本田大輔さん)によると、若君は事前に隣接する野上家と酒を酌み交わして和議を結んでいたようでした。松丸の阿湖姫(川栄李奈さん)も、羽木成之(松下優也さん)の行くところへついて行きたいと、羽木家の人たちと一緒に逃げることにしました。

唯さんは、忠高の許可を得て、若君を助けるべく一人走り出しました。2日間走り続けて小垣城の見える場所までたどり着くと、戦場を通り抜けて行こうとしたのですが、転んだ拍子に唯一の武器の「でんでん丸」を壊してしまい、高山軍に捕まってしまいました。総大将を務めていたのは宗熊(加藤諒さん)でした。唯さんは宗熊の裏切りに怒るのですが、宗熊は自分はお飾りの総大将だと、高山が相賀の配下になっている状況を唯さんに話しました。

若君に会わせてほしいと宗熊に頼んだ唯さんは、小垣城に入り、木村政秀(正名僕蔵さん)と共に軟禁状態にあった若君と再会しました。若君とは離れたくない唯さんは、ここで祝言を上げたい、若君のお嫁さんにしてほしいと頼み、分かったと理解してくれた若君と、木村さんの前で小さな結婚式を挙げて、晴れて夫婦となりました。

満月の夜、刀型スイッチを布団の下に隠したまま眠ってしまった唯さんが目を覚ますと、縁側に若君がそのスイッチを手に座っていました。若君は、後の世へ帰るよう唯さんを説得しました。必ず生きるという若君の言葉を信じることにした唯さんは、若君の言う通りに未来へ帰るため、刀を抜きました。

しかし、2018年の世界に戻った唯さんは、黒羽城址公園内にあるお墓を知っていた歴史の木村先生(正名僕蔵さん)から、黒羽城で忠清は自刃したらしいと教えられました。唯さんは、若君を残して未来に帰って来たことを後悔していました。心配する父親の速川覚(古舘寛治さん)と母親の美香子(中島ひろ子さん)は、唯さんの弟の尊(下田翔大さん)に、早く新しいタイムマシンを作るよう促し、アイデアをまとめたメモを尊さんに渡しました。

すぐには無理だと困っていた尊さんは、しかし、姉と話す中で、未来の自分にタイムマシン作ってもらえばいいのではないかと思い付き、両親から渡されたメモに未来の自分に宛てたメッセージを書き足しました。もしも未来の僕がタイムマシンを作ったならここに届くはずだと、尊さんは台の上をじっと見ていました。唯さんと両親もじっと見ていたのですが、すると尊さんが指定した時間通りに、刀型の新しいタイムマシンが届いたのでした。

唯さんは、刀を抜き、2018年から1560年に戻りました。森を抜けると、羽木の人たちがひっそりと暮らしている集落にたどり着きました。成之の母親の久(田中美里さん)たちは、野草を取ったり大根を作ったりして、前向きに過ごしていたのですが、吉乃さんは、生きると約束した若君を残して一人で未来へ帰った唯さんを、若君の命というのは名や城や民のことでもあるのだと叱りました。

成之から若君の書状を見せられ、相賀に気に入られた若君が相賀の娘と祝言を上げることになったと教えられた唯さんは、若君の命を取り戻すと決意し、大叔父を頼ることに決めた忠高たち、吉乃さんや民たちに応援されて、若君を相賀のもとから救い出すため、再び走り出しました。

祝言の夜、その席にいた宗熊は、余興として、旅一座の女形のあやめ(森優作さん)を呼び入れました。白拍子たちが舞を披露する中、あやめさんは、唯さんと入れ替わりました。“むじな”に気付いた信茂は宗熊と一緒に宴会を盛り上げ、その隙に唯さんは若君を外へ連れ出しました。

しかし、少しして相賀一成に気付かれ、若君と唯さんはあっという間に相賀の家臣たちに取り囲まれてしまいました。若君は再び唯さんを一人で未来に帰そうとするのですが、離れたくないと言う唯さんと同じ思いでいた若君は、派手に消えようという唯さんの提案を受け入れ、唯さんを抱えて矢倉へ上ると、妻が迎えに来たから月へ帰ると、満月に向かって刀を投げ、その間に刀型のスイッチを入れた唯さんと共に姿を消して見せました。

未来へ戻った唯さんは、高校の制服を着てもらった若君と「制服デート」をするなどして楽しんでいたのですが、次にタイムマシンを使ったら時空が歪んでしまうと尊さんに言われ、新型のタイムマシンでもそれを使って気軽に過去と未来を行ったり来たりすることはできないと知りました。

黒羽城址の城壁に触れて考え込む若君の姿を見た唯さんは、若君が幸せになるのはあの場所しかないと、二人で戦国時代に戻る決意をしました。ついて参れ、と自転車を漕ぎ始める若君に唯さんが走ってついて行った先は、速川家でした。若君と唯さんは、両親に頭を下げ、結婚の許しを得ました。両親は、娘を幸せにしてやってください、お願いしますと若君に頭を下げ、尊さんも、姉ちゃんをよろしくお願いしますと若君に頼みました。

レンコンのはさみ揚げや大きなケーキのクリスマスパーティーを楽しんだ唯さんと若君は、満月の夜、実験室で家族に見送られる中、刀型のスイッチを引き抜いて1560年に戻ったのでした。

原作は、森本梢子さんの漫画『アシガール』です。脚本は宮村優子さん、音楽は冬野ユミさん、演出は伊勢田雅也さんでした。

クリスマスのケーキを切る二人を見て結婚式のようだと密かに思っていた弟の尊さんの、その後の二人のことは知らない、という語りでドラマは終わっていました。

「アシガールSP」はこのような物語だったのですが、馬を下りて待つ若君のもとへ走って行く唯さんと、唯さんを抱きとめる若君の二人の幸せそうな雰囲気が温かい終わり方で、良かったです。黒島結菜さんの唯さんと、伊藤健太郎さんの若君の雰囲気がさわやかです。

羽木の人々がどうなったのか、信茂さんや宗熊は相賀一成の下から逃げることができたのか、未来に残された歴史書の記述がどのように変わったのかというようなその後のことなども、分からないままですが、もしかしたら、2018年の世界には、以前には滅亡したはずだった羽木家の子孫の誰かが暮らしているのかもしれません。

“ラブコメディー”らしく唯さんと若君の物語も楽しかったのですが、「アシガール」のSFの要素を楽しみにしている私としては、尊さんの閃きの通りに未来の尊さんから新型タイムマシンが届く場面を面白く思いました。尊さんは未来でも姉思いの真面目な天才科学者であるようです。唯さんと若君を見守る両親の場面も、ほのぼのとしていて良かったです。

ただ、今回のスペシャルドラマは、「アシガール」を見ていた人のための続編という印象でした。物語の説明が少なかったので、前作の連続ドラマの「アシガール」(あるいは先日に放送されていた総集編)を見ていないと分からない部分も、もしかしたら多かったのではないかなと思います。

でも、とにかく、私も「アシガールSP」を楽しく見ることができて良かったです。

「下町ロケット ヤタガラス」最終回

TBSの「日曜劇場」のドラマ「下町ロケット ヤタガラス」の第11話(最終話)を見ました。15分拡大版で放送されていました。

大企業「帝国重工」の次期社長候補の的場俊一(神田正輝さん)は、会長(品川徹さん)から、いつまで下請けに作らせる気かと、完全帝国重工製のトラクターを作るよう圧力をかけられていました。

その頃、「佃製作所」の社長の佃航平(阿部寛さん)は、新型無人農業用トラクター「アルファ1」の31回目の走行試験を無事に終えました。

一方、元帝国重工社員の伊丹大(尾上菊之助さん)が社長を務めるベンチャー企業「ギアゴースト」でも、無人農業用トラクター「ダーウィン」が走行中に突然停止するというトラブルを検証していました。技術者の柏田宏樹(馬場徹さん)は心配していたのですが、設計の主任の氷室彰彦(高橋努さん)は、再設定し直したら動いたというのなら使い方が悪かっただけだろうと改良には取り組もうとしませんでした。

内閣総理大臣も来るというデモンストレーションのイベント当日、「アルファ1」を見に来た帝国重工の的場さんと機械事業部製造部長の奥沢靖之(福澤朗さん)は、佃製作所の新しいエンジニアの島津裕(イモトアヤコさん)を「我が社からお払い箱になった人」と佃社長たちや財前道生(吉川晃司さん)の前で侮辱しました。

外に設置された会場の観客席はたくさんのお客さんたちで埋まっていたのですが、総理大臣が30分遅刻したことにより、総理大臣は“下町トラクター”のデモンストレーションだけを見学して帰ることになりました。慌てた的場さんが直談判したのですが、中小企業をいじめちゃだめだとあしらわれてしまいました。

デモンストレーションでは、「ダーウィン」も「アルファ1」も、ミスなく走行させることができました。人間に見立てた案山子にぶつかることもありませんでした。開発の成功を喜ぶ伊丹さんと小型エンジンメーカー「ダイダロス」の代表取締役社長の重田登志行(古舘伊知郎さん)は、的場さんに声をかけ、倒産も退職も自業自得だと言い張る的場さんに、地獄を見た負け犬は恐ろしく執念深いですよと詰め寄りました。

デモンストレーションの結果、「アルファ1」の速度のほうが「ダーウィン」より3分速かったことが分かりました。佃製作所の社員となったかつての仲間の“天才エンジニア”の島津さんに声をかけた伊丹さんは、「ダーウィン」に自分の設計したトランスミッションを使っていることに気付いた島津さんから、本当にそれでいいのかと問われました。そして、佃社長たちと楽しそうに帰って行く島津さんの姿を寂しそうに見つめていました。

島津さんは、走行中の「アルファ1」から何か異音がしたと佃社長たちに報告し、改良することにしました。佃社長は、良いものを作るのが島津さんの仕事だと、任せることにしました。島津さんは、トランスミッション内の歯車の一つが黒く変色しているのを見て、耐えられる回転数を5万回から10万回にしないといけないと、技術開発部の立花洋介(竹内涼真さん)や加納アキ(朝倉あきさん)や軽部真樹男(徳重聡さん)たちと研究を始めました。なかなか10万回に達するものを作ることができない中、立花さんと軽部さんは、シャフトに問題があるのではないかということに気付きました。島津さんもそれに気付き、シャフトの設計を変更して、新しいシャフトを作り出しました。

ダイダロスが「ダーウィン」の量産に入ると知った的場さんは、帝国重工の役員会議で、帝国重工製の部品を使った大型の無人農業用トラクターを製造することを社長の藤間秀樹(杉良太郎さん)に提案しました。的場さんと会長は、日本の農家向けの小型トラクターではなく、海外の大農地向けの大型トラクターの開発・製造・販売を行おうとしていました。佃製品の良さを知る財前さんが反対の声を上げると、水原重治(木下ほうかさん)はそれを止めたのですが、藤間社長は、第三者機関に帝国重工製のトランスミッションと佃製作所製のトランスミッションの性能比較を依頼してそのデータを基にどちらの製品を使うか決めると的場さんに指示しました。

佃社長と山崎光彦(安田顕さん)は、製品を「モーター技研」に届けました。すでに届いていた帝国重工製のものは、佃製のものよりもかなり大きいものでした。

それから、佃製作所の社員たちは、モーター技研の試験結果が届くのを、バイク便の人が動揺するほどに気合を入れて待っていました。訪ねて来た財前さんは、帝国重工のためにも勝ってくださいと、佃製作所と佃社長を応援していました。(この社長室で佃社長と財前さんが話している場面の、テーブルの上に置かれていた湯飲みから湯気が上がっていたのも、細かいところまで丁寧に作られている感じがして良かったです。)

バイク便の人が持ってきたモーター技研の封筒を開けた佃社長は、圧勝だ!と社員たちに伝え、社員たちと一緒に喜びました。佃製作所のトランスミッションは「A」判定で、帝国重工製のトランスミッションは「C」判定でした。結果に愕然とする的場さんは、財前さんに促されてコメント欄を読んだのですが、そこには、御社の設計思想は古いと書かれていました。

そのころ、「ダーウィン」の製造を行うギアゴーストの伊丹社長は、200台の発注依頼があったという報告に喜んでいました。しかし、伊丹さんは、ダーウィンが停止したというモニターの農家からの苦情のメールにはまだ目を通していませんでした。

新潟の燕市で実家の米農家を継いでいる元経理部長の殿村直弘(立川談春さん)は、佃製作所の役に立ちたいと考えていた時、妻(工藤夕貴さん)から、世界一おいしいお米を作ることがあなたにとっての“佃プライド”なのではないかと言われ、納得していました。そして、殿村さんは、佃製のトラクターを使うことを楽しみにするようになった父親の正弘(山本學さん)と二人で、農協の「のうりん銀行」へ「アルファ1」を申し込みに行きました。殿村家に嫌がらせをする職員の吉井浩(古川雄大さん)は、多くの人たちが注文する「ダーウィン」を買わない殿村親子を笑っていました。

帝国重工のロケットが無事に飛ぶのを見届けた佃社長たちは、殿村家に佃製のエンジンとトランスミッションを使った帝国重工の無人農業用トラクターを届けに行きました。新しいトラクターは、「アルファ1」から「ランドクロウ」と名前を変えていました。殿村さんのお父さんにリモコンを手渡した佃社長は、衛星ヤタガラスを使ったGPSシステムで無事に田んぼに進んで行った「ランドクロウ」に、行け!ランドクロウ!と日本の農業の未来を託していました。

脚本は丑尾健太郎さんと吉田真侑子さん、演出は福澤克雄さんでした。ナレーションは松平定知さんでした。

最終回にしては話が少し中途半端なまま終わってしまったのではないかという風に思えていたのですが、最終回の本編の直後のお知らせによると、新春スペシャルドラマとして続編が放送されるということで、なるほどなと納得しました。新年になった来週に続編の放送があるということを、少し面白く思いました。そして、映画に続く、となっていなくて本当に良かったとも思いました。

日本の農業を良くしたいと製品作りを頑張っている佃製作所の佃社長は、同じ夢を見てくれませんかと的場さんに頼んでいたのですが、利益を追及することと社長に出世することしか頭にない的場さんは、夢や理想を追い求める佃社長を鼻で笑って突き放していました。

原作の池井戸潤さんの小説『下町ロケット』シリーズを私は未読です。2015年の「日曜劇場」だった「下町ロケット」が面白かったので、その続編となる今年(2018年)の「下町ロケット2」も楽しみにして見始めたのですが、また最後まで面白く見ることができました。

第一章の「ゴースト編」は確かに「ギアゴースト」が描かれていたと思うのですが、主に特許の訴訟が関わった物語で、第二章の「ヤタガラス編」は衛星の「ヤタガラス」を開発するというものではありませんでした。ヤタガラスを利用した無人農業用トラクターを具体的に開発していく物語でした。

イモトアヤコさんの演じるエンジニアの島津さんも、とても良かったです。佃社長は、島津さんたちに、佃製のトランスミッションの部品の特許を取得しようと提案していました。今の時代は、というか、中小企業の佃製作所が国内外の大企業と戦うためには、そうするしかないのかもしれません。

日本の未来を良くするために研究・開発を続ける佃製作所のような中小企業が、日本の未来を良くしていくような気がします。

同僚たちと「夢」を共有することができた軽部さんが、残業を頑張ることを決めた場面も良かったです。でも、心臓病の娘さんのことは大丈夫だったのでしょうか。

技術力は人の心を相手にしていると、島津さんは良い技術者になりたいと考えている佃社長の娘の利菜(土屋太鳳さん)に話していたのですが、この「下町ロケット」のドラマは、ものづくりにかけては一切妥協しない佃製作所に対する信頼で成り立っているドラマなのかもしれないなと思いました。

来週の1月2日の放送時間に見ることができるかどうかは分からないのですが、最終回の続きとなる?新年の新春スペシャルドラマの「下町ロケット2」の物語も楽しみにしていようと思います。
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Author:カンナ
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