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「his~恋するつもりなんてなかった~」最終回

tvk(テレビ神奈川)で放送されているメ~テレ(名古屋テレビ)制作のドラマ「his ~恋するつもりなんてなかった~」の第5話(最終話)を見ました。

熊切千歌(志田彩良さん)は、日比野渚(倉悠貴さん)が好きなのは井川迅(草川直弥さん)だと気付きました。変なことなんかじゃない、俺にとってはそれが当たり前だから、と迅さんに会うために江の島の割烹旅館を飛び出して自転車を走らせる渚さんを、千歌さんは、待って、どうして、と叫びながら慌てて自転車で追いかけたのですが、交差点で車にぶつかりそうになり、自転車ごと倒れてしまいました。その時千歌さんは、大丈夫?、と通りかかった高校の先輩の飛島松子(川添野愛さん)に声をかけられました。

千歌さんの実家のサーフショップを訪ねた渚さんは、母親の梓(河井青葉さん)から、お父さんが帰って来たからさっきマンションに戻ったと教えられると、お店を飛び出して迅さんの父親のマンションへ向かいました。その様子を見ていた梓さんは、もしかしてあの子、と何かを考えていました。

その頃、千歌さんはカフェで松子さんと話していました。三つ年下で、時々寂しそうな目で海を見つめていたと、渚さんのことを話し始めた松子さんは、付き合っていくうちにクールというよりも冷たくなっていった、他に好きな人ができたのかと思ったが大当たりだったと言いました。渚さんは誰が好きだったんですか、と千歌さんが訊くと、松子さんは、名前は知らないけれど渚は私との話し合いの場にそいつを連れて来た、それって俺はこの子が好きだって言っているのと同じでしょう、頭に来たけれど別れることにした、他に好きな人ができたというのが諦めるには一番納得できる理由だから、と静かに答えました。

夕方、渚さんが迅さんを呼び出そうと、マンションの玄関先で部屋の番号を押そうとしていた頃、迅さんは、帰って来たカメラマンの父親の司(斎藤陽一郎さん)とリビングで夕飯を食べていました。明後日何時に名古屋に帰るかを決めたのかと父親に訊かれ、遅くならないように変えるつもりだと答えた迅さんは、せっかく来てもらったの親子の時間があまり取れなくて悪かったなと言う父親に、これくらいで十分だと笑い、でもこっちに来て良かったと言いました。

夏休みにまた来いよ、でも受験生だからそんな暇はないかと言う父親に、迅さんは、東京の大学を受験しようと思うと切り出し、帰ったらお母さんに話してみると伝えていました。

一方、迅さんの気持ちに気付いた平原亜子(栗林藍希さん)は、迅さんのマンションの玄関前に佇んでいる渚さんを見かけ、咄嗟に身を隠しながら、構えたカメラのシャッターを切りました。

帰宅した千歌さんは、リビングのテーブルで何かを書いていた母親から、渚さんの風邪のことを訊かれて、大したことなかったと答えました。今まで渚君のところにいたのかと訊かれると、高校の先輩と会ってちょっと話したと答えました。お風呂に入った千歌さんは、渚さんに言われた言葉を思い出して、涙を流していました。しばらくして、お風呂から上がった千歌さんは、テーブルの上に封筒を見つけました。封筒には「千歌へ、ママより」と書かれていました。

その頃、渚さんは、“秘密の場所”の屋上で、夕闇の海を見つめていました。

翌日、千歌さんは、亜子さんと一緒に、母親から渡された手紙の内容を実践していました。母親の手紙に書かれていたのは「失恋から立ち直る方法」でした。

一番高い骨付き肉を注文する、本能のままその骨付き肉をむさぼる、残った骨を箱に入れて持ち帰る、箱を土の中に埋める、こうすればあなたを振った相手は死んだも同然、すぐに記憶から消えます、という亜子さんの朗読する手紙の内容も、それを実行する千歌さんも面白く思えたのですが、土を掘って「箱」を埋めようとしていた時公園の清掃員から穴を掘って埋めてはいけないと注意されて「ごみ」として持って行かれるというところも、何だか面白かったです。亜子さんはこの方が忘れられるかもと言い、千歌さんも納得していました。くそったれー!と穴に向かって叫んだ千歌さんが、その穴を埋め戻していたところも良かったです。

渚君の好きな相手って迅君ですか、と千歌さんに訊いて驚かれ、何となくそうかなってと言った亜子さんは、迅君も渚君のことを好きです、と千歌さんに話しました。千歌さんは、そんなことってある?と驚きました。うちらは同じ悲劇に見舞われているのかと言う千歌さんに、亜子さんは、悲劇なのか喜劇なのかと返すと、このままだと渚君も迅君も気持ちを伝えられないまま別れることになりますよ、と切り出しました。ほっとけばいい、何で振られたうちらが心配しなきゃいけないの、と不平を言っていた千歌さんでしたが、協力することにしたようでした。

亜子さんは、海でサーフィンをしている迅さんに会いに行きました。その頃、割烹旅館のアルバイトで渚さんは、窓ガラスを息を吹きかけながら磨いていました。店主の横溝さん(永岡佑さん)は、渚さんに、昨日迅君と会えたかと声をかけました。渚さんが、はい、と答えると、横溝さんは、迅君は夏休みにまたこっちに来るかなと言いました。そこへ、横溝さんの息子(松浦理仁さん)が、お客さんだと渚さんに伝えに来ました。リコーダーの音が良いです。また帰っちゃうかも、と言われた渚さんが急いで玄関に向かうと、待っていたのは千歌さんでした。

千歌さんだと分かった時の渚さんの様子に、そんながっかりしないでよ、と苦笑していた千歌さんは、それから海沿いを歩きながら、渚さんと話していました。渚さんは、思春期になると異性への関心が高くなると保健体育の授業で言われたけれど、俺の場合は同性にしか惹かれなくて、だから自分は普通じゃないんだって相当悩んだ、男は女を、女は男を好きになるのが当たり前という環境にいたから相談できる相手なんかいなかったと言い、でも高校で気の合う友達ができて、こいつなら受け入れてもらえるかもと思えるほど仲が良くて、その人に思い切って告白したら、その気はないごめんと言われて、しばらくしたら噂が学校中に宏買っていて、親がビビッて俺だけこっちに越してきたってわけ、と千歌さんに打ち明けました。

そうだったんだ、と渚さんの話に耳を傾ける千歌さんに、渚さんは、そいつ自体は全然男が好きとかじゃないのに噂されて相当ショックだったと思う、男の人を好きになっても受け入れてもらえない、だったら女の人と付き合えば自分も女の人を好きになれるかもしれないと思ってそれで女の人と付き合ってみたけれど何か違った、自分は男の人が好きなのだと気付かされただけだった、と言いました。

千歌さんは、そんなに迅君のことを思っているなら伝えればいいと渚さんに言ったのですが、あの時みたいに迅を傷つけたくはないと渚さんが答えるのを聞いて、傷つくか傷つかないかを決めるのは迅君だ、誰かを好きになったら傷ついたり傷つけられたりするのは当たり前だと苛立ちながら、迅君に好きって言って、そうでなければ私も松子先輩も浮かばれないと強い口調で言いました。渚さんは、千歌さんが鼻血を出していることに気付き、ハンカチを差し出しました。ありがとうと言う千歌さんに、こっちこそありがとうと言いました。

その頃、カフェでは、亜子さんが迅さんに、迅さんのマンションの玄関前にいた渚さんの写真を見せていました。迅君は渚君のことどう思っているの、好きなのと訊かれると、迅さんは、好きなのかどうか分からない、でも僕も渚に会いたいって思うことがあると答えました。それを聞いた亜子さんは、それ「好き」ってことだよ、「好き」より「会いたい」のほうが何か本当の気がするよ、と言いました。少し考えた迅さんは、じゃあ僕初めて人を好きになったのかも、と亜子さんに言いました。何それと呟いた亜子さんは、渚君に気持ち伝えてみたらと提案したのですが、迅さんは、首を小さく横に振り、渚を困らせたくないし、それに何て言っていいか分からない、と俯きました。

その夜、迅さんは、デジタルカメラに収められた渚さんの写真を見ながら、渚、とその名前を呼びました。そして、そのデジタルカメラの中の渚さんの写真を全て消去しました。同じ頃、渚さんは自分の部屋で、迅、とその名前を呟いていました。

翌日、千歌さんと亜子さんは、海沿いを歩きながら、迅さんと渚さんについて話していました。迅君から告白することはないと思いますという亜子さんの報告に、千歌さんは、何で男ってこんなに憶病なわけ、と怒っていたのですが、その時亜子さんは、海を見つめながら浜に立っている迅さんの姿を見つけました。迅さんはリュックサックを背負っていました。そして、亜子さんと千歌さんは、迅さんの名前を呼びながら駆け寄る渚さんに気付き、急いで隠れました。

渚さんは、渚さんの声に振り返った迅さんに、俺、初めて会った時から迅のこと気になってた、と思いを伝えました。それを聞いた迅さんは、僕は逆、日が経てば経つほど渚のことが気になって、と言いました。そして、もし迷惑じゃなかったらこれからも迅のことを好きでいたい、と告白する渚さんに、僕も渚のこと好きでいたいと告白し、渚さんを抱きしめました。渚さんは迅さんを抱きしめました。思い合っていた二人の絆を強めるように、波の音が響いていました。

脚本はアサダアツシさん、音楽は渡邊崇さん、監督は今泉力哉さんでした。主題歌のガラパゴスの「黒い酸素」という曲は、最終回では流れていなかったような気がします。

最終回の第5話は、このような物語でした。

千歌さんと亜子さんが海沿いを歩いていた辺りでエンドクレジットが流れてきて、まさかそこで物語の終わりが近づくとは思っていなかったので、一体このドラマの物語はどのような結末を迎えるのだろうと不思議な緊張感と共に気になり始めていたのですが、最後には、渚さんが迅さんに告白し、両思いになるという展開が待っていました。

名古屋へ帰る迅さんが江ノ島を離れるところまで描かれるのではないかという風に、私は勝手に思っていたので、浜辺で抱き合う二人の場面でドラマ本編がぱっと終わった時、ここで終わりなのかと、何か少し物足りないような気持ちになりました。

このドラマが今から13年前の2006年の3月の物語であるという点も、ドラマを最後まで見ていけばその理由が分かるのかもしれないと思っていたのですが、最終話となる第5話の中ではそれは分かりませんでした。あと5分あったならもっと良かったのではないか、あるいはあと一話あったなら良かったのではないかというような気持ちにもなったのですが、本編の後の「予告」を見て、なるほどと思いました。

そこには「あれから13年…迅と渚の物語が再び始まる 『his』 2020年映画化決定」と書かれていました。「his」は映画化するのかと驚きつつ、13年前の物語として描かれていた理由は「映画」の中で明らかになるということなのかと、何となく納得できるような気もしました。

最終回の最後の、渚さんと迅さんの二人の「恋」が叶う場面に、ほっとしました。抱きしめたのが、渚さんからではなく、迅さんからだったというところも、良かったのだと思います。誰を好きなのか、何が好きなのかということがはっきりと描かれてこなかった“受け身”の迅さんの気持ちが、渚さんを好きになったことを自覚して、一歩前に進んだような印象でもありました。

千歌さんと亜子さんが、渚さんと迅さんの背中を押す感じも、良かったです。

最終回には千歌さんの父親の雄作(田中要次さん)は登場していなかったように思うのですが、娘に失恋から立ち直る方法を記した手紙を書いていた母親の梓さんも、割烹旅館の横溝さんも、もしかしたら、渚さんの「恋」に気付いていたのかもしれないなと思いました。

みんなが迅さんと渚さんを見守っているという感じが、最後まで温かいドラマでした。

春休みの迅さんが受験生ということは、今は高校2年生ということなのかなと思うのですが、その後、名古屋へ帰ったであろう迅さんは、高校最後の夏休みに、また江ノ島へ遊びに来たのでしょうか。

草川直弥さんの演じる迅さんと、倉悠貴さんの演じる渚さんの、繊細でぎこちない雰囲気もとても良かったですし、志田彩良さんの演じる千歌さんと、栗林藍希さんの演じる亜子さんもとても良かったです。このドラマの迅さんと渚さんに関しては、演じる俳優さんが草川直弥さんと倉悠貴さんでなかったなら、当然のことかもしれませんが、違う印象のドラマになっていたのだろうと思います。

登場人物を丁寧に演じる俳優さんたちも、登場人物たちの距離感も、誰も傷つけない優しい脚本と演出も、効果的な音楽も、きれいな映像も、良かったです。

渚さんの告白していた「初めて会った時」は、カメラを持って海岸沿いにいた迅さんに自分のサーフボードを預けた時のことでしょうか。もしも渚さんが、その時に一目惚れした少年(迅さん)にサーフボードを預けていたのだとしたら、渚さんは本当に行動的な人だと思います。

このドラマの物語は、ピュアラブストーリーといえば、確かにピュアラブストーリーでした。タイトルにある「恋するつもりなんてなかった」は、迅さんや渚さんの思いだけではなく、「恋」をした人みんなの思いを表す言葉だったのかもしれません。主人公の迅さんと渚さんのことを考えると、このドラマは、偶然出会ってお互い気になる存在になっていった二人の「友情」がはっきりと「恋」に変わっていくまで、二人の「恋」が始まるまでの物語だったように思います。

「会いたい」は「好き」よりも本当の気がする、という亜子さんの言葉も良かったです。最終回では、迅さんと渚さんの感情と、迅さんと渚さんを応援することにした千歌さんと亜子さんの感情が、バランス良く描かれていたように思います。松子先輩の話や母親の梓さんの手紙の場面も、効果的でした。

来年に公開予定という映画では、完全新作の物語としてドラマの続きを描くのでしょうか。それとも、ドラマの部分も半分ほど盛り込みながら、残りの半分ほどを続きの新作の13年後の物語として描くのでしょうか。13年後の世界では、今高校生の迅さんと渚さんは、30歳くらいになっているということになります。その世界では、二人は大学を卒業して、“普通の社会人”になっているのかもしれません。例えばテレビ朝日のドラマ「おっさんずラブ」やテレビ東京のドラマ「きのう何食べた?」はとても良かったのですが、“大人”になった迅さんと渚さんの物語を見るのは、このドラマを見終わったばかりの今はまだ少し怖いような気もします。

でも、とにかく、上手く伝えることができないのですが、「his~恋するつもりなんてなかった~」は、とてもすてきな青春物語、優しい江ノ島恋物語でした。「LGBT」を題材に扱ったドラマということで、同性愛(同性を好きになること)への偏見のようなものをなくそうとしている意識も、よく伝わってきたような気がします。このように考えるのはもしかしたら間違っているのかもしれませんが、何というか、迅さんと渚さんを演じていた二人の俳優さんの今の美しさを閉じ込めたようなドラマでもあるような気がしました。同性とか異性とかに関係なく、人を好きになることの輝きが描かれていたような気がします。私は「dTVチャンネル」の会員ではないので、もしもテレビ神奈川で放送されることがなかったなら、このメ~テレ制作のドラマを知ることはなかったと思います。偶然第1話を見ることができて、最終回まで無事に見終えることができて、本当に良かったです。ありがとうございました。

「四月一日さん家の」最終回

テレビ東京の「ドラマ25」枠のドラマ「四月一日さん家の」の第12話(最終話)「四月一日さん家の最後の晩餐」を見ました。

第12話は、四月一日家を出て行くことになった次女の二葉(猿楽町双葉さん)の結婚式の前日、長女の一花(ときのそらさん)と二葉と三女の三樹(響木アオさん)の三姉妹が、“最後の晩餐”には何を食べたいかを話し合うという物語でした。

脚本はふじきみつ彦さん、企画・構成は酒井健作さん、演出は住田崇さんでした。音楽は遠藤浩二さん、オープニングテーマはchelmicoの「switch」という曲で、エンディングテーマはSILENT SIRENの「四月の風」という曲でした。

Vチューバーの方が登場人物を演じるという斬新な企画のドラマで、当初はアニメと変わらないのではないかという風にも思えていたのですが、見ていくうちに、Vチューバーの方が女優さんとして登場人物を演じているドラマなのだと、少しずつ思えるようになっていきました。

三姉妹のキャラクターというか、描かれていた分かりやすい個性の違いも良かったです。ドラマということは、同じVチューバーさんの三人が別のドラマで別の登場人物を演じることもできるということでしょうか。私はほとんどVチューバーのことを知らないのですが、少し馴染むことができたような気がします。

一話完結のドラマという部分もあったと思うのですが、私としては、全12話の中では、恋愛マスターの二葉さんが長女の一花と三女の三樹に言い寄って来る胡散臭い男たちを切り捨てる第5話の「四月一日さん家の恋バナ」(脚本はふじきみつ彦さん、演出は渡辺武さん)が、良かったです。このように言われた時にはどう返せばいいのかという言葉(スマートフォンでのメッセージ)のやり取りを考える感じも、面白かったのだと思います。

私はどのテレビ局のドラマの場合でも、深夜のドラマを見る時は基本的には録画をしておいて後で見ることが多いのですが、近年のテレビ東京の深夜のドラマは、地上波で放送が終了しても、BSテレ東で早めに再放送されるようです。この「四月一日さん家の」も、「きのう何食べた?」も、今再放送されているようです。

ドラマの本編の後の「四月一日さん家のアフタートーク」というコーナーも、ほのぼのとしていて、楽しく見ることができました。ドラマの監督さんたちが四月一日家のカメなどの姿を借りて出演者と話すというところも、何となく新鮮でした。

二葉さんのために一花さんと三樹さんが用意した最後の家族全員分のカレーライス(ナマコカレー?)の食卓の場面も、温かい感じがして良かったです。舞台のような、会話劇のワンシチュエーションドラマのホームコメディードラマとして、意外と、と言ってはいけないのかもしれないのですが、私も最後まで楽しく見ることができました。

「his~恋するつもりなんてなかった~」第4話

tvk(テレビ神奈川)で放送されているメ~テレ(名古屋テレビ)制作のドラマ「his ~恋するつもりなんてなかった~」の第4話を見ました。

高校生の井川迅(草川直弥さん)とカフェに来ていた平原亜子(栗林藍希さん)は涙を流していたのですが、それは亜子さんが1分以内に涙を出すことができるという初心者向け俳優ワークショップに通っている成果の一部を迅さんに見せるためでした。亜子さんは、俳優ワークショップへ通っている理由を、自分を知って自分に自信を持つため、もっと素直になるためだと迅さんに話していました。

カラオケ店でアルバイトをしている高校生の熊切千歌(志田彩良さん)は、店長の住澤さん(伊島空さん)からいつもと違うと言われ、春が来たのだと幸せそうに答えていました。日比野渚(倉悠貴さん)が娘と付き合い始めたことについて、千歌さんの父親の雄作(田中要次さん)は、女性に興味なさそうだったのにと少し不思議そうにしていました。雄作さんは、母親の梓(河井青葉さん)から、渚君はこの前まで千歌の高校の先輩と付き合っていたと教えられると、そんなチャラい奴だったのかという風に少し怒り出したのですが、梓さんに、話すと賢いし箸の使い方もきれいだし、しっかりした家の子だと言い返されていました。

江の島の割烹旅館では、アルバイト中の迅さんが部屋の中から息を吹きかけて窓の拭き掃除をしているのを、向かい合うようにベランダ側から窓を拭いていた渚さんが見ていました。千歌さんから聞いたよ、千歌さん喜んでいたよ、と千歌さんとのことを迅さんに切り出された渚さんは、迅はどう思うのと訊き返し、良かったと思うけど、と答えた迅さんに、そっか、わざわざ祝福してくれてサンキュ、とそっけなく言って、迅さんの目の前のガラス窓に掃除用の白い泡のスプレーをシュッと吹き付けて部屋を出て行きました。

新江ノ島水族館の前で待っていた渚さんのそばを、サーフボードを抱えて海のほうへ歩いて行く二人の青年が、俺たち二人でつるんでいるからそっち系だと思われて迷惑だというようなことを言って笑い合いながら通り過ぎて行きました。渚さんは、千歌さんとデートの待ち合わせをしていたようでした。大きな青い水槽を見ながら、したかったらキスしてもいいよ、と言った千歌さんから、したくない?と訊かれた渚さんは、いや、でもこうしているだけでもいい、今の関係を大切にしたいからと答えました。千歌さんは、嬉しい、と幸せそうに言いました。それから、渚さんは、「カタクチイワシの繁殖展示」の水槽の中を泳ぐ小さな稚魚たちを見ていました。

夕方、帰宅した千歌さんは、ケーキを食べて待っていた両親から「ギフト」を渡されました。望まない妊娠で不幸になってほしくないと言われた千歌さんは、分かってる、でもこういうの親に言われたくないと複雑そうに答えていました。

熊切家の二階の部屋にいた迅さんは、渚さんに借りたパトリシア・ハイスミスの小説『太陽がいっぱい』を布団の中で読んでいました。本を閉じ、仰向けに寝た迅さんは、ふと空いている右側に顔を向けました。その頃、旅館の部屋の布団の上に横になっていた渚さんも、二人で熊切家に泊まった夜のことを思い出しながら、迅さんがいた左側に顔を向けていました。

翌日、渚さんは千歌さんとサーフィンに来ていました。二人でサーフボードを抱えて浜を歩いていると、迅さんと亜子さんが並んで歩いているのが見えました。迅君と亜子はデートだよ、と言った千歌さんは、二人付き合っているの?と渚さんに訊かれ、きちんと告白したわけじゃないみたいだけど、私たちだって、と答えました。

迅さんは、亜子さんと一緒に、亜子さんの通う初心者向け俳優ワークショップを体験していました。迅さんと亜子さんは、海辺で告白をするという演技に挑戦することになりました。僕と付き合ってくださいと迅さんが告白すると、亜子さんが、ごめんなさい、他に気になる人がいるんです、でも、ありがとうと断りました。他の生徒たちと一緒に二人の演技を見ていた講師(芹澤興人さん)は、役を入れ替えてみようと提案しました。好きです、私と付き合ってくださいと亜子さんが告白すると、迅さんが、ごめんなさい、他に気になる人がいるんです、でも、ありがとうと断りました。拍手の後、二人は講師から、何かさっきよりも全然良かったと思いますと褒められました。

ワークショップの帰り際、迅さんは、ちょっといいですか、と講師に声をかけました。変な質問かもしれないんですけど、と切り出した迅さんは、本当の自分を知られるのが怖くてそれを隠して演技をし続けるとどうなりますか、と講師に尋ねました。講師は、少し考えた後、ストレスで壊れちゃうんじゃないかな、と言いました。そして、演技は自分を隠すためではなく開くためにあると思うから隠すのはお勧めしないかな、でも、怖いっていう気持ちはすごく大切だから大事にしたほうがいいと思いますと迅さんに伝えました。迅さんは、ありがとうございますとお礼を言って俳優ワークショップを後にしました。

亜子さんとカフェに来た迅さんは、亜子さんにお礼を言いました。もうすぐ名古屋に帰らなくちゃ、と迅さんが言うと、じゃあ、あと少しでお別れだね、と亜子さんが言いました。

その帰り、暗くなった橋の上を一人で歩いていた亜子さんは、ワークショップで迅さんから言われた、ごめんなさい、他に気になる人がいるんです、という言葉を繰り返し呟き、持っていた肉まんを食べながら泣いていました。

翌日、江の島の割烹旅館で迅さんは、店主の横溝さん(永岡佑さん)に短い間でしたがお世話になりましたと挨拶し、手渡されたアルバイトのお給料の封筒を受け取りました。自分で良かったのかと横溝さんに訊いた迅さんは、正直に言うとアルバイトは渚一人で十分だったけど彼がどうしてもって言うから、でもいいの、と話す横溝さんの言葉を聞いて少し驚き、風邪で寝込んでいるという旅館の二階の渚さんの部屋に寄ってから帰ることにしました。横溝さんの息子(松浦理仁さん)が、渚さんに会いに行こうとしている迅さんを、リコーダーを吹いて見送っている感じもまた良かったです。

渚さんの部屋の前に立った迅さんは、呼びかけても返事のない渚さんの部屋のドアを開けようとしたのですが、開きませんでした。迅さんはそのまま、渚、風邪大丈夫?寝てる?と話しかけ、何かいろいろありがとうとお礼を言い、何か上手く言えないけれど本ここに置いておくねと、『太陽がいっぱい』の文庫本をドアの前に置き、本当にありがとね、と静かに言って帰りました。

渚さんの机の上には『幸福な王子』や『こころ』や『知と愛』などの小説とたくさんの駄菓子が置かれていたのですが、部屋に渚さんはいませんでした。

渚さんは、外へ出ていました。コンビニエンスストアに入った渚さんは、棚に並んでいたシャンプーを手に取ると、蓋を開けて吸い込むようにその匂いを嗅ぎました。その様子を、偶然買い物に来ていたカラオケ店の住澤さんが見ていました。渚さんは、シャンプーとコーヒーを買おうとしたのですが、お金が足りないことに気付きました。しかし、シャンプーをやめることをレジの人に伝えた直後、後ろに並んでいた住澤さんが、一緒に清算してくださいと自分の買い物かごをレジの台に置きました。

その後、二人はカフェで話していました。大学時代に定点観測同好会にいたから気になると見てしまう癖があると言う住澤さんから、もしかしたらそのシャンプーは好きな人が使っているのと同じとか?違った?と訊かれた渚さんは、いえ、違わないです、と答えました。その相手には好きだと告白したのかと訊かれた渚さんは、首を小さく横に振り、伝えたらたぶん壊れちゃうから、今の関係性を大事にしたくて、と言いました。

それを聞いた住澤さんは、どんな事情は知らないけれど、好きな人に好きって伝えられない苦しさは分かるよ、僕も絶賛片思い中だからと言いました。どんな人なんですかと渚さんが訊くと、住澤さんは、明るい子、でも最近彼氏ができたみたいなんだけどねと言いました。いいんですか、それで、と渚さんに訊かれた住澤さんは、「彼女が幸せなら僕も幸せ」的な、でも仕事にいけばいつでも会えるし、と力なく笑いました。

旅館に帰った渚さんは、自分の部屋の前に迅さんに貸した本が置かれているのを見つけ、はっとしました。本を拾い上げた渚さんは、そこへ急いだように現れた千歌さんから、渚!と声をかけられました。千歌さんは、迅君から風邪でバイト休んだって聞いたからと、渚さんを心配していました。大丈夫なの?と千歌さんに訊かれた渚さんは、それには答えずに、迅は?と訊き返しました。千歌さんが、うちにいる、迅君明後日名古屋に帰るって、と渚さんに伝えると、渚さんは、迅に会って来る、とそのまま歩き出し、ちょっと待って、と掴む千歌さんの手をぱっと振り払い、我に返って、ごめんと千歌さんに謝りました。

その渚さんの様子に少し驚いた千歌さんは、渚って、もしかして迅君のこと、と言いかけて、違うよね、ごめん私変なこと心配して、と打ち消そうとしました。しかし、渚さんは、少しして、変なことなんかじゃない、俺にとっては、それが当たり前だからと言い、階段を下りて行きました。千歌さんも慌てて渚さんの後を追いかけました。

脚本はアサダアツシさん、監督は今泉力哉さんでした。

第4話は、このような物語でした。

自分の本当の気持ちを隠して千歌さんと付き合い始めた渚さんが、迅さんへの思いを断ち切ることができない一方、亜子さんの通う俳優ワークショップに参加して告白の演技に挑戦した迅さんは、本当の気持ちを隠し続けることの辛さを理解したようでした。

今回は、迅さんと渚さんが二人でいる場面は、ドラマの最初のほうにしかありませんでした。迅さんと渚さんとが別々に過ごす中で、会えないお互いのことを、より意識していくという感じでもありました。

渚さんと過ごす千歌さん、迅さんと過ごす亜子さんは、それぞれ、渚さんと迅さんの「本当の気持ち」を察していたようでした。

意外と親切な人だったカラオケ店の住澤さんと(知らない人のまま)自分の「好きな人」について話すことができたことも、渚さんにとっては良いことだったのかもしれないなと思いました。

「気になる人」が「好きな人」なのだとするのなら、渚さんのことを何となく気になっている迅さんと、迅さんを好きになった渚さんは、もしかしたら、実は最初から、以前に渚さんの話していた「伝説」の僧侶と美しい少年のように、両思いだったのかもしれません。

渚さんの部屋に並んでいた本も良かったですし、迅さんの質問に答えていた俳優ワークショップの先生の言葉も良かったです。

予告によると、次回が最終回だそうです。全5話のドラマだったようです。迅さんと渚さんの「恋」は、どのようなものになっていくのでしょうか。怖くて好きな人に好きだと告白できないという人は、弱いのではなく、優しいのだと思います。

ドラマでは、どちらかというと、第1話は主人公の迅さん、第2話と第3話は渚さん、今回の第4話は迅さんを中心にして描いていたように思います。偶然に見始めた第1話を見終わった時には、何となく良さそうなドラマだなというくらいの気持ちだったのですが、第2話を見た後は第3話を見るのが、第3話を見た後は第4話を見るのが、とても楽しみでした。上手く伝えることができないのですが、みんなが高校生の迅さんと渚さんの関係性を見守っているような温かい雰囲気にも、ほっとします。

もう終わってしまうのかと少し寂しいような気持ちにもなるのですが、最終回の物語もまた楽しみにしたいと思います。

「きのう何食べた?」最終回

テレビ東京の「ドラマ24」の「きのう何食べた?」の第12話(最終話)を見ました。

年が明けたお正月、弁護士の筧史朗(シロさん、西島秀俊さん)は、美容師の矢吹賢二(ケンジ、内野聖陽さん)を実家へ連れて行きました。出迎えた母親の久栄(梶芽衣子さん)と父親の悟朗(田山涼成さん)は、初めて息子の交際相手の賢二さんと対面しました。賢二さんは、明けましておめでとうございます、と手土産を渡しました。

久栄さんは、賢二さんが母親と同じ美容師になった話などを聞き、母親は喜んでいるだろうなどと言いながら、唐揚げを作るのを手伝ってと、史朗さんと台所へ向かいました。悟朗さんと賢二さんは二人になってしまったのですが、すると悟朗さんが突然、君、高校の時の史朗の卒業アルバムを見るかい?と切り出し、2階の史朗さんの部屋で卒業アルバムを開いて見せました。

若いですね、と平静を装いながら、シロさんかわいい!と心の中ではしゃいでいた賢二さんは、ふと、この頃には史朗さんは自分がゲイ、同性愛者であることに気付いていたのではないかと悟朗さんに言いました。賢二は勉強ばかりしていたと話していた悟朗さんに、お見合いを勧められる可能性のある会社員を避けて一人でも仕事のできる弁護士になったのではないか、弁護士になったのは自分のためでもあったが両親を喜ばせるためでもあったのではないかという趣旨のことを話しました。悟朗さんは、思いつめたような表情をしていても親を責めるようなことは言わなかったと賢二さんのことを思い返し、良い子だったんですねという賢二さんの言葉を静かに聞いていました。

一方、史朗さんは、久栄さんと二人で、かぶの葉のじゃこ炒めと唐揚げを作っていました。料理が完成すると、階段の下から2階の部屋に向かって、「お父さん!賢二!できたよ!」と声をかけました。この場面も、とても良かったです。

しかし、唐揚げ大好きの賢二さんが、用意された唐揚げをいつものように感想を言いながらおいしそうに食べていると、賢二さんを見る久栄さんの表情が固まっていました。悟朗さんは、慌てて妻の久栄さんを別室に連れ出しました。しばらくして戻って来た久栄さんは、過剰なほど朗らかになっていました。そして、帰り際の玄関先で、またいらしてくださいね、矢吹さん、と賢二さんと息子の史朗さんを見送りました。

実家を出た史朗さんが、父親と何を話していたのと賢二さんに訊くと、賢二さんは、お父さんにはずっと訊きたかったことがあったらしいと言い、家ではどちらが女装しているのかと訊かれたということを史朗さんに話しました。史朗さんの両親は、男性の同性愛カップルは一方が普段は女装しているという風に思い込んでいるようでした。賢二さんは、自分が女装していると答えたらしく、それを聞いて謝る史朗さんに、史朗さんの親が安心できるならそれでいいと言い、そして、恋人の家に遊びに行って親御さんと食事できるなんて夢みたいだと感慨深そうに言いました。史朗さんは、死んでもいいと言う賢二さんに、死ぬなんて言うなよ、薄味で腹八分目で長生きしような俺たち、と賢二さんの肩を抱いて歩き出しました。

翌日、賢二さんと二人で商店街のスーパーマーケット「中村屋」へ買い物に行った史朗さんは、アスパラの値段の高さに文句を言っていたのですが、店員さんが無言で指すめんつゆと牛乳の安さに感動し、中村屋に感謝していました。いい正月だな、と実感しながら二人で歩いていると、賢二さんは、行きたいカフェがあると言い出して、史朗さんをそのカフェへ連れて行きました。

周囲は女性ばかりというカフェで、分け合ったスコーンをおいしそうに食べる史朗さんに、賢二さんは、シロさんごめん、いや、ありがとう付き合ってくれて、とお礼を言い、何で付き合ってくれたのと訊きました。史朗さんは、何となく、いい加減もういいかなって思って、と少し笑いました。史朗さんを見ていた賢二さんは、襟足伸びてるよ、帰ったら切るよと、史朗さんの髪を触りました。外でも、他人の前でも、家にいる時のように、二人ではしゃぐことができるようになっていました。

帰宅すると、賢二さんは、姿見の前に座ってパソコンで家計簿をつけている史朗さんの髪を切り始めました。賢二さんは、シロさんは髪が多くていいなと、自分の薄毛の話をし始め、史朗さんは、自分の白髪の話をし始めました。史朗さんは、俺たちはおっさんなんだからもうあんまり気にしなくても大丈夫、相方としてなるべくお前にはハッピーでいてもらいたい、お前が幸せを感じるならカフェくらい何度でも付き合うよと、後ろの賢二さんに普段通りの口調で言いました。その言葉を聴いた賢二さんは、突然史朗さんに抱きつき、ハサミに驚いた史朗さんが殺されるかと思ったと言うと、殺すわけない、でも死ぬときは一緒だよと小さく言って、史朗さんを抱きしめました。

最後は、キッチンに立って夕食の準備をしている二人の場面でした。エビチリを作る史朗さんの隣で、くだらないことを言う賢二さんの楽しそうな様子が、幸せそうで良かったです。

脚本は安達奈緒子さん、監督は中江和仁さんでした。音楽は澤田かおりさん、オープニングテーマはOAU(OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND)の「帰り道」、エンディングテーマはフレンズの「iをyou」でした。原作は、私は未読なのですが、よしながふみさんの漫画『きのう何食べた?』です。

恋愛を越えて、家族としての愛を深めていく史朗さんと賢二さんの日々の生活が、これからも続いていくのだろうなと思える穏やかな最終回の物語でした。

冒頭のほうでは、史朗さんの実家へどのような感じで行ったらいいのか迷う賢二さんが、美容室の店長の三宅祐(マキタスポーツさん)とその妻のレイコ(奥貫薫さん)の意見を聞きながら、史朗さんの両親に合わせて身なりを整えたほうがいいのか、普段通りのままで良いのか考えていたのですが、店長の言う、自分たちの親の世代は頭が固いという情報が活きていたというか、それは確かに史朗さんの両親にも当てはまっていたようでした。

でも、そのような史朗さんの両親とも仲良く、上手くやっていくことができそうな賢二さんの様子に、賢二さん自身も、史朗さんも、ほっとしたのではないかと思います。父親の悟朗さんと母親の久栄さんの息子を思う優しさも、よく伝わってきたように思えました。

テレビ朝日のドラマ「おっさんずラブ」以降の男性同士の同性愛を描くドラマの一つでもあり、近年人気の深夜枠のグルメドラマの一つでもあったと思うのですが、恋愛ドラマというよりは、あくまでも日常生活を描くホームドラマでした。そのようなところも、新鮮で、良かったのだと思います。健やかなる時も病める時も、と始まる結婚式の言葉を思い出します。ドラマの中のことですが、老いも受け入れて一緒に生きていくシロさんとケンジさんの人生が、幸せなものになっていくといいなと思います。とても良いドラマ作品でした。ありがとうございました。

「his~恋するつもりなんてなかった~」第3話

tvk(テレビ神奈川)で放送されているメ~テレ(名古屋テレビ)制作のドラマ「his ~恋するつもりなんてなかった~」の第3話を見ました。

サーフショップの一人娘の高校生の熊切千歌(志田彩良さん)は、日比野渚(倉悠貴さん)に告白しようと家でその練習を始めていたのを、父親の雄作(田中要次さん)に見られていました。カラオケ店でアルバイトをしていた昼頃、訪ねて来た後輩の平原亜子(栗林藍希さん)と二人で話していた千歌さんは、迅君に褒められたから好きになったということを打ち明ける亜子さんから、なんで渚君のことを好きになったのかと訊かれ、あいつがうちに出入りするようになって何か知らないうちに心を盗まれたと答え、「カリオストロの城」ですかと亜子さんに笑われました。

迅君に告るつもりかと訊かれた亜子さんは、告らないと答えました。もし上手くいって付き合ったとしても別れるしかない、それなら片思いのほうがずっと好きでいられるし、楽だというのがその理由でした。千歌さんは、亜子さんとは反対に、好きなのに伝えないのは辛いと思うほうでした。千歌さんこそ告らないんですか、と亜子さんに訊かれた千歌さんは、タイミング待ちだと答えました。

名古屋から来た高校生の井川迅(草川直弥さん)への自分の恋心に気付いた渚さんは、江の島の割烹旅館でのアルバイトの休憩中、イヤホンで音楽を聴いている迅さんの隣で、本を読んでいました。迅さんは、本に目を落としたまま缶ジュースを飲んでいた渚さんが、間違って自分のを飲んだことに気付いたのですが、途中で言うのをやめました。何の本を読んでいるのか迅さんに訊かれた渚さんは、読んでみる?何回も読んだからと、パトリシア・ハイスミスの小説『太陽がいっぱい』を迅さんに渡し、読んだら感想聞かせて、迅がどう思うか知りたい、と言いました。その時、迅さんの携帯電話に電話がかかってきました。迅さんは、父親が帰るのは来月の4日か5日らしいと、電話の向こうの家族に伝えました。

その帰り、迅さんを連れて立ち寄った駄菓子屋さんで、楽しそうにたくさんの駄菓子を買い込んで迅さんに渡していました。迅さんは、渚山を見つめ、渚って面白い奴だなと笑いました。

夕方、大量の駄菓子を持って戻って来た迅さんとリビングで仲良さそうに話している千歌さんの様子を、母親の梓(河井青葉さん)が廊下から窺ってにやりとしていました。

その頃、渚さんは、サーフボードの手入れをしている雄作さんと一緒にいたのですが、そこで雄作さんに、もし生まれ変わるなら今と同じ生き方を選ぶか、それとも違う生き方を選ぶかと質問しました。難しいなと少し考えた雄作さんは、英語でスポーツをすることをplayと言うけれど、サーフィンをすることはfor surfingと言う、それは一度サーフボードに乗ったら前に進むしかない、何度海に落ちても上手くなるまで諦めないということで、だから俺は生まれ変わってもfor surfingを選ぶと渚さんに話しました。そこへ、母親の梓さんが面白そうに入って来て、千歌さんが迅君と楽しそうにしていたから二人きりにしてあげたのだと雄作さんと渚さんに言いました。

迅さんと二人で駄菓子を食べながら、千歌さんは、迅さんに渚さんのことを相談していました。私のことをどう思っているかそれとなく聞いてほしいと迅さんに頼んでいました。亜子に迅君のメアドを教えてもいいかと千歌さんに訊かれた迅さんは、別にいいですよと答えたのですが、その直後、亜子さんからメールが届きました。明日の夜、夕ごはんを一緒に食べませんか、という内容でした。迅さんは千歌さんが教えたんでしょうと千歌さんに言い、千歌さんは私じゃないと迅さんに否定していたのですが、そのような千歌さんとの迅さんの仲良さそうなやり取りを、渚さんは廊下で寂しそうに聴いていました。

翌日、江の島の割烹旅館でのアルバイト中、迅さんは、無言で黙々と仕事をしている渚さんの、何かイライラしているような態度に困惑していました。別にと答える渚さんに、迅さんは、千歌さんのことどう思うと聞いてみました。迅は千歌のこと好きなのと訊き返された迅さんが、まあ好きだけどと答えると、渚さんは、だったら付き合えよ、千歌も迅のこと好きなんだし、良かったなおめでとうと突き放すように早口で言いました。迅さんは、違うよ、千歌さんが好きなのは僕じゃなくて渚だよ、と慌てて否定しました。自分で告るから黙っていてと言われたけれど、と迅さんが言うのを聞いた渚さんは、ふっと笑いました。千歌さんと付き合う気はあるのかという質問に、そんなの考えたこともないと素っ気なく答えた渚さんは、下を向く迅さんに、迅が落ち込むことないだろと言うと、それより後で付き合えよと切り出し、アルバイトを終えた後、迅さんを「秘密の場所」へ連れて行きました。

そこは建物の屋上で、海を一望できる場所でした。夕日が水平線をきらめかせていました。なかなか良い場所だろと迅さんに言った渚さんは、少しして、江の島に伝わる伝説を知っているかと迅さんに言うと、その伝説について語り始めました。それは、昔鎌倉のとあるお寺の僧侶が江の島にお参りに来た時に一人の美しい少年に出会った、僧侶はその少年を一目見た瞬間に恋に落ちた、というものでした。それって男同士ってこと、と言う迅さんの質問に頷いた渚さんは、それで?と続きを聞く迅さんに伝説の続きを語りました。僧侶は鎌倉に戻ってからも少年を忘れられず、何度も手紙を出したが返事が来ない、諦めきれず再び江の島へ来たが少年はいなかった、少年は海に身投げをした後だった、そのことを知った僧侶も後を追って海に飛び込んだ、おしまい、と語り終えました。

迅さんが、少年はなぜ自殺をしたのかと訊くと、渚さんは、何でだと思う?と訊き返し、少年は身投げをする前、もし自分を探す人が現れたら、あなたへの思いが募ってしかたないから海に飛び込むと伝えてほしいと言い残したらしいと言いました。両思いだったということかと訊く迅さんに小さく頷いた渚さんは、迅はどう思う?もしその少年みたいに男に好きになられたらどうする?と訊きました。迅さんは、考えながら、想像できないと答えました。渚さんは、そうかと呟いて、目の前の夕焼けの海を見つめました。その渚さんを見ていた迅さんは、そろそろ帰る、この後約束があるからと切り出しました。そして、俺はもう少しここにいるからと言う渚さんの右肩に手を置いて、ありがとうと伝えて渚さんの一人残る屋上を後にしました。

その夜、両親と3人で餃子の夕飯を食べていた千歌さんは、迅さんが亜子さんとデートに行っていると知って驚く母親の梓さんから迅君のことが好きじゃないのかと言われ、好きだけれどそれは友人としてだと話ました。梓さんは、それなら誰の告白の練習をしていたのと娘のことを不思議そうに見ていました。その時、千歌さんの携帯電話に、渚さんから電話がかかってきました。千歌さんは、渚さんに会うため外へ出ました。渚さんは、サーフショップの前のベンチに座っていました。どうしたの?と訊く千歌さんにベンチを立って近付いた渚さんは、突然キスをしました。千歌さんは、驚いて渚さんを突き放し、何で今なの、最悪だと怒っていたのですが、ほんとごめん、何か自分でも自分が分からなくてと動揺しながら弁解しようとしている渚さんの襟元を掴むと、今度は自分のほうから渚さんにキスをしました。

脚本はアサダアツシさん、監督は中里洋一さんでした。

第3話は、このような物語でした。

前回の第2話の中で、渚さんは、「ケータイ小説は小説とは認めない」という趣旨のことを松子さんに言っていたのですが、渚さんは本を読むのが好きな人だったようです。パトリシア・ハイスミスの小説『太陽がいっぱい』または『リプリー』は、アラン・ドロンさん主演のルネ・クレマン監督のサスペンス映画「太陽がいっぱい」の原作です。

渚さんが迅さんに話していた鎌倉の伝説が本当にある伝説なのかどうかということは、私には分からないことなのですが、迅さんを好きになった渚さんは、男性同士の同性愛をどう思うか、男性に好きになられたらどうするかということを、それとなく迅さんに訊こうとしていました。迅さんの「想像できない」という答えは、千歌さんのことを訊かれた時の渚さんの「考えたこともない」という答えと同じようなものなのでしょうか。

迅さんのことで笑ったり、苛立ったり、喜んだり、悲しんだり、戸惑ったりする渚さんの感情の繊細な揺れ動きが、丁寧に描かれているように思えます。

最後、渚さんが千歌さんに会いに来ていた頃、迅さんは約束した亜子さんとカフェに来ていたのですが、迅さんと向き合って座っていた亜子さんはなぜか涙を流していました。何があったのでしょうか。

それにしても、このドラマの物語は、今から約13年前の、2006年3月の物語だったようです。おそらく第1話の冒頭か何かに出ていたかもしれない字幕などをぼんやり見ていた私が単純に見落していたのだろうと思うのですが、今回の亜子さんのメールの日付を見て、登場人物たちの携帯電話が「スマートフォン」ではなく折り畳み式のいわゆる「ガラケー」であることの理由が分かりました。どうして現代の物語ではないのかということは、最後まで見ていくと分かるのかもしれません。

今回の冒頭では、千歌さんが口紅を塗って洗面所の鏡に向かって渚さんへの告白の練習をしていたり、敷きっぱなしになっていた渚さんの布団(本当は迅さんが寝ていた布団)に入ってはしゃいだりしていたのを父親に見られて苦笑していたのですが、江の島の割烹旅館のアルバイトへ行くために、朝食後、迅さんと千歌さんの家を出た渚さんが、自転車を走らせながら、布団を畳み忘れた迅さんに、几帳面に見えて意外とずぼらだなと言って笑い合っていた場面も、何だかさわやかな雰囲気があって良かったです。

第3話もとても良かったので、感想を書くことができるかどうかは分からないのですが、次回の物語もまた楽しみにしていたいと思います。
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