FC2ブログ

「ストレンジャー~上海の芥川龍之介~」

昨夜、NHKのスペシャルドラマ「ストレンジャー~上海の芥川龍之介~」を見ました。

イギリスとのアヘン戦争に清王朝が敗れた後の革命の混乱の只中の中国の上海に、1920年(大正10年)、『羅生門』や『杜子春』をすでに発表していた29歳の小説家の芥川龍之介(松田龍平さん)は大阪毎日新聞の特派員として渡りました。中国文化に造詣の深い芥川龍之介は、憧れの上海の地に降り立つと、自分の時計を上海時間に合わせ、中国の政治家たちを取材するため、大阪毎日新聞上海支局長の村田孜郎(しろう、岡部たかしさん)と合流しました。そして、村田さんに案内された上海の街のクラブや京劇の芝居小屋や路地裏の妓楼で、西欧の国々や日本の軍人たちが支配する租界の、理想とはかけ離れた貧困の社会を生き抜こうとしている人々と出会い、その精神に触れていくのでした。

作(脚本)は渡辺あやさん、音楽は稲本響さん、撮影監督は北信康氏さん、演出は加藤拓さん、制作統括は勝田夏子さんという作品でした。ドラマの原案としては、芥川龍之介の『上海游記』ほか、と書かれていました。

妻の文(奈緒さん)と愛人の秀しげ子(中村ゆりさん)との生活から逃げ出したかったらしい芥川さんは、変革期の上海の動乱やアヘン中毒者たちの姿を目の当たりにしながら、林黛玉(徐玉蘭さん)の経営する宿泊先の妓楼で、処刑された革命家の愛人だったという寂しそうな玉蘭(胡子バイさん、バイの漢字は「攻」の「工」が「王」になっているものです)や、占いをする男娼のルールー(薛薛さん)と出会いました。占いには、『アグニの神』が重ねられていました。アグニは、ヒンドゥー教の火の神だそうです。

芥川さんは、ルールーが誠実で文字の読み書きもできる読書好きの青年と知ると、まだ若いルールーが男娼以外の道へ進むことができるように、たくさんの本を贈ろうと考えていました。しかし、馬車を降りた芥川さんが街の古書店で本を買って戻った時、妓楼にルールーの姿はありませんでした。

林黛玉によると、ルールーは労働運動の集会に参加し、警備隊員に撲殺されたということでした。玉蘭さんは、夫の時と同じように、路上に倒れていたルールーから流れ出た血溜まりにビスケットを浸し、それを妓楼の人たちに分けました。芥川さんも、その革命の血に染まったビスケットの一欠けらを食べて、ルールーの突然の死を悼んでいました。

また、中国の政治を取材する芥川さんは、村田さんと共に、孫文の同志だった革命家の章炳麟(任洛敏さん)や、客人の煙草に火を点けてくれる清朝の遺臣で後に満州国の国務院総理になる鄭孝胥(邱必昌さん)や、日本に留学して旧東京帝国大学を卒業し共産党を設立した李人傑(金世佳さん)の家を訪れ、日本と中国の社会や政治思想について話していました。

芥川さんは、上海に来るまでは、作家が政治に関わってもろくなことがないと、政治に関わらないようにしていたようなのですが、上海の混乱状態に接し、政治について考えるようになっていったそうです。

李人傑という人物は、李漢俊という名前の人物でもあるそうなのですが、第一回共産党大会はこの李人傑さんの家で開かれたそうです。そこには毛沢東を含む13人の代表が集まっていたそうなのですが、その後共産党を脱退した李人傑さんは、1927年(昭和2年)、芥川龍之介が大量の睡眠薬を飲んで命を絶った5か月後、軍閥に惨殺されたということでした。

芥川は亡くなった時中国の布で作った浴衣を着ていた、随分と気に入っていたらしい、というような語りの終わり方も、良かったです。

1920年代の上海の街の建物や川辺の風景、夜の灯りや雨、土埃と墨の灰色、動く時計の歯車と倒れた人々から流れる赤い血が印象的でした。ピアノで演奏されていた静かなテーマ曲も、とても良かったです。

明治時代と昭和時代の間に15年間存在した大正時代の自由と革命の混迷と抑圧の空気と、迫り来る日本と中国や欧米との戦争の気配が、丁寧に描かれていました。良心などない、あるのは神経だけだという芥川さんは、日本にいた時に思い描いていたものとは違った現実の上海の街や人々の生活に触れながら、大国の中国の文化芸術や教育や政治や経済がいつか今の堕落の状況から立ち上がることを信じていたようでした。

「桃太郎」の主人公の桃太郎が三匹の動物を引き連れて隣の鬼ヶ島へ鬼退治に行ったのは侵略行為ではなかったのか、ということを芥川さんが考える場面も良かったです。天心の女子学院の見学に行った芥川さんと村田さんが、案内係の教員から、宿舎に5、6人の兵士が侵入し性暴力事件を起こしたばかりだという話を聞く件もそうだと思うのですが、芥川さんは記者として上海の人々の政治や社会を観察する中で、現地にいる日本人男性による蛮行や愚行も知っていったようでした。中国共産党の始まりには、日本も深く関わっていました。

中国の俳優さんたちもとても良かったですし、松田龍平さんの演じる芥川龍之介の淡々とした雰囲気も、芥川龍之介さんのイメージに合っているように思えて、とても良かったのだと思います。

特にそう書かれていたわけではなかったように思うのですが、「ストレンジャー~上海の芥川龍之介~」は、日中合作ドラマということなのかもしれないと思います。

一視聴者の私が言うことではないかもしれないのですが、渡辺あやさんの脚本が秀逸でした。見る者を物語の緊張感のある世界に一気に引き込む美術や演出や音楽もすばらしかったです。映像も、とてもきれいでした。

無駄に思えるようなところが少しもなく、夜9時からの(NHKなので途中にCMが挟まれない)約1時間15分のドラマの生と死の物語から目を離すことができませんでした。文学的で、映画のような作りの、見事なドラマでした。このような良質のドラマを今年の年末に見ることができて、本当に良かったです。

上海で貴重な経験をした芥川さんは、その7年後に亡くなるので、1931年(昭和6年)の9月18日に始まる満州事変も、1941年(昭和16年)の12月8日に始まる日本とアメリカの戦争も知ることがなかったのですが、もしも生きていたなら、何を見て、何を感じ、何を考えたのだろうと思います。

このドラマは、海外でも放送されたそうで、昨夜には総合テレビの他、BS4KとBS8Kでも同時放送されていたそうです。私の家のテレビではBS4KやBS8Kの放送を見ることはできないので、比べることはできないのですが、BS4KやBS8Kでは映像がもっときれいに見えたのでしょうか。私には、総合テレビの映像でも十分きれいに見えました。

日本を含めたアジアの問題、あるいは世界各国との間の問題を考える時、現在と過去とは歴史的につながっているということをやはり忘れてはいけないのだと思います。「ストレンジャー~上海の芥川龍之介~」を見ながら、そのようなことも改めて思いました。近代史を描くドラマとしても見応えのある良いドラマでした。ありがとうございました。

「黒蜥蜴-BLACK LIZARD-」

NHKのBSプレミアムの特集ドラマ「黒蜥蜴-BLACK LIZARD-」を見ました。録画をしておいたものです。

放送時間の昨夜の9時には、TBSではドラマ「グランメゾン東京」の最終回、NHK総合テレビでは「NHKスペシャル」の「永田町 権力の興亡」が放送されていました。

江戸川乱歩の小説『黒蜥蜴』を“大胆にアレンジ”して近未来設定に変えたドラマということで、少し心配にも思いつつ、私も「黒蜥蜴-BLACK LIZARD-」を見るのを楽しみにしていました。

物語は、怪人二十面相(松尾貴史さん)を追っていたある日、大富豪の岩瀬庄兵衛(中村梅雀さん)から一人娘の早苗(福本莉子さん)と「エジプトの星」を盗賊・黒蜥蜴(りょうさん)から守ってほしいと依頼された名探偵・明智小五郎(永山絢斗さん)が、岩瀬家と懇意にしているホテルのオーナーの緑川夫人として早苗さんに近づく黒蜥蜴と対決する、というもので、途中までは、あるいはところどころは確かに『黒蜥蜴』だったのですが、しかし、内容(テーマ)は『黒蜥蜴』とはかなり異なっていました。

その他の主な登場人物は、明智さんの助手の小林芳雄(佐久間由衣さん)、事務所にいるもう一人の助手の人型ロボットのAIマリア(大鶴美仁音さん)、警視庁刑事部の中村部長(佐野史郎さん)、その部下の真田刑事(佐野岳さん)、10年前に製薬会社の爆発事故で亡くなったとされていた天馬博士(風間トオルさん)、早苗さんと同じ遺伝子型を持つ葉子(福本莉子さん二役)、黒蜥蜴の部下の雨宮潤一(吉村界人さん)、北村(市川知宏さん)、岩瀬家の女中でもあった房子(月船さららさん)、松公(堀内正美さん)です。

脚本は長津晴子さんと林海象さん、音楽はサキタハヂメさん、演出は林海象さんでした。

“原作を大胆にアレンジ”という点では偽りなしでした。このドラマでは、盗賊・黒蜥蜴とその一味は、事故で亡くなった一人娘を蘇らせたいという欲望に取り憑かれた岩瀬庄兵衛の支援を受けて作られた研究施設の天馬博士が生み出した「クローン人間」の“失敗作”で、焼却処分される直前、特殊な薬の力を使って職員たちに反抗し、研究施設を脱走した人たちでした。

クローンには、遺伝子の元の持ち主よりも寿命が短いという特徴があるそうです(羊も、猿も、桜もそうでした。人間はまだ作られていないことになっているので分かりません)。

ドラマの物語では、早苗さんは事故で亡くなった早苗さんのクローン人間で、早苗さんと瓜二つだった葉子さんも早苗さんのクローン人間でした。葉子さんは、天馬博士に頼まれた明智さんによって施設の外に連れ出されたということでした。

乱歩の作品には様々な障害を持つ人が度々登場しますし、“失敗作”の人間などいない、というこのドラマのメッセージ自体は、乱歩の小説を原作(原案)としたドラマとして、とても良かったです。ダンスのシーンも良かったと思います。

ただ、私としては、黒蜥蜴が実はクローンの失敗作で、完璧な人間(長めの寿命を持つ健康な人間)になるため、その遺伝子改造データが収められている「エジプトの星」を探しているというような展開に、少し戸惑いました。

原作の女賊・黒蜥蜴は、美を追い求めて生きている人だからです。黒蜥蜴が“完璧な人間”に恨みを持つクローン人間であるなら、それこそ“完璧な人間”たちの「剥製」が黒蜥蜴の隠し部屋に集められていても良かったのかもしれません。

黒蜥蜴が時々腕に注射していた特別な緑色の不思議な薬に細胞の急速な死滅を防ぐ効果があるということなら、黒蜥蜴たちはその薬を作るほうに力を入れるようにしても良かったのではないかなとも思いました。

時代設定を近未来としながら、現代風だったり、昔風だったりしていた演出も、未来感の薄いAIやデジタル技術の演出も、私には少し中途半端のように思えてしまいました。孤島の研究施設の敷地内で仲間の弾に当たった黒蜥蜴が死ぬ場面の背景のCGも、私には少し謎に思えました。

その後、逮捕された岩瀬さんは獄中で病死し(クローンビジネスを世界展開しようとしていた岩瀬さんの背後にいるであろう政府の者に殺されたのでしょうか)、早苗さんは家を出て世界各地を巡る旅に出かけ、葉子さんは早苗さんの家で黒蜥蜴の仲間だった盗賊たちと共に何かの新しい計画を立てることにしたようでした。

このドラマが、もしも名探偵・明智小五郎の活躍するあの乱歩の「黒蜥蜴」とは関係のない、国際法で作成が禁止されているクローン人間が闇で売買されるようになった近未来の世界を舞台にしたディストピアの物語ということだったなら、もっと落ち着いた気持ちでこのドラマを見ることができたのかもしれないなとも思います。私には、このドラマのクローン人間たちの物語が、乱歩の「黒蜥蜴」の物語(しかもその近未来版)である理由が、最後までいまいちよく分かりませんでした。でも、これもまた一つの江戸川乱歩の小説を基にしたドラマであることには間違いありません。いろいろ引っかかってしまった部分もあるのですが、見ることができて良かったです。

「グランメゾン東京」最終回

TBSの「日曜劇場」のドラマ「グランメゾン東京」の第11話(最終話)を見ました。

ミシュランの審査が近づき、レストラン「グランメゾン東京」のスーシェフの尾花夏樹(木村拓哉さん)は新メニューのためにフレンチではほとんど使われないというマグロを使った料理を考えることにし、それに不安になったシェフの早見倫子(鈴木京香さん)はマグロではなくマハタを使った料理を考えることにしました。

そのようなある日、ギャルソンの京野陸太郎(沢村一樹さん)は、ミシュランの審査員らしき人の予約が入っていないことに気付きました。尾花さんは、ナッツ混入事件を起こした平古祥平(玉森裕太さん)がいる店として「グランメゾン東京」を潰そうとしているグルメ雑誌の編集長のリンダ・真知子・リシャール(富永愛さん)が妨害していると察し、もう一度「グランメゾン東京」に来て自分たちの料理を食べてほしいと、リンダさんに直談判しに行きました。

もともと尾花さんの料理を好きだったリンダさんは、尾花さんと倫子さん、京野さん、相沢瓶人(及川光博さん)、芹田公一(寛一郎さん)、平古さんの婚約者の蛯名美優(朝倉あきさん)と和解したパティシエの松井萌絵(吉谷彩子さん)、ソムリエの久住栞奈(中村アンさん)たちを成長させた「グランメゾン東京」の新しいコース料理を全て食べ終えると、これだからこの仕事はやめられないと言い、感動した様子でお店を後にしました。リンダさんは、「グランメゾン東京」の料理を旅をしてでも食べに行ったほうが良い料理だと認めたのでした。

一方、レストラン「gaku」は、オーナーの江藤不三男(手塚とおるさん)が入れた新しいシェフの横暴さから従業員たちが辞めてしまったのですが、戻って来たシェフの丹後学(尾上菊之助さん)や柿谷光(大貫勇輔さん)が再び従業員たちを集め、レストランを再開させていました。かつて丹後さんを救い、今度は丹後さんに救われた江藤さんは、二つ星を持つレストラン「gaku」のオーナーとして心を入れ替えたようでした。丹後さんと江藤さんは、渋滞に巻き込まれた猟師の峰岸剛志(石丸幹二さん)の食材が届かなくて困っている「グランメゾン東京」をライバルとして積極的に助けていました。

ミシュランの審査員らしきお客さんたちが「グランメゾン東京」を訪れました。一つ星の審査員、二つ星の審査員、三つ星の審査員は、それぞれ別の人だということでした。尾花さんがマグロの脳を使った新作料理を出そうとした時、倫子さんは、マハタ料理で行くと、尾花さんのマグロ料理を却下しました。倫子さんは、「グランメゾン東京」のシェフとして、自分の料理で三ツ星を取りに行きたいと決意していました。尾花さんは、それなら自分はこの店には必要ないと、怒ったようにお店を辞めて出て行きました。

そして、ミシュランの「星」が発表されるホテルの会場(発表のされ方は毎年異なるのだそうです)に来た「グランメゾン東京」のスタッフたちは、今年の日本の「三つ星」の12件の内に入った唯一の新しいレストランとして、「グランメゾン東京」のシェフの倫子さんの名前が呼ばれるのを聞いたのでした。

発表の途中に一人で会場へ向かった尾花さんは、その廊下で発表を聞き、泣いていました。舞台に上がった倫子さんの挨拶にも泣いていました。倫子さんは、尾花さんの姿を見つけ、今までもこれからも料理人として尊敬している尾花さんに「三つ星」の賞状を見せに行きました。

尾花さんが倫子さんと別れる時、黒い画面に変わり、「木村拓哉」と尾花さんを演じる木村拓哉さんの字幕が出ていたのですが、黒い画面の中に一人ずつ主要キャストの名前が出てくるそのエンディングも何だかかっこ良く見えました。

「星」を失った「gaku」の江藤さんと丹後さんは、気持ちを切り替えて、また一からレストランを始めることにしていました。

「三つ星」の発表に号泣していた相沢さんは、その後、フランスで暮らす妻のエリーゼさんと娘のアメリーさんに会いに行っていました。

「グランメゾン東京」を辞めた尾花さんは、入院することになった師匠のシェフの潮卓(木場勝己さん)の「浪漫亭」にいました。おしゃれをして?尾花さんに会いに行った倫子さんは、何だここかという風に脱力していたのですが、倫子さんと再会した尾花さんは、これから二人で世界中の「星」を取りに行くかと笑っていました。尾花さんは倫子さんの「グランメゾン東京」の世界進出を考えていたようでした。

脚本は黒岩勉さん、演出は塚原あゆ子さんでした。音楽は木村秀彬さん、主題歌は山下達郎さんの「RECIPE (レシピ)」でした。

パリの有名な三つ星レストランという「ランブロワジー」の場面では本当のそのレストランが使われていたということでしたが、ミシュランの「星」の発表の場面にも実際の映像が使われていたのでしょうか。私には、ミシュランの「星」のすごさのようなものがまだよく分からないのですが、ドラマを見て、飲食業界や旅行業界の間ではきっと重大な“格付け”なのだろうなと思いました。

「グランメゾン東京」や「gaku」の料理は、私には味の予想がつかないものが多かったように思うのですが、それでも見た目がきれいで、何となくおいしそうに見えました。

このドラマの第1話を見た時にはTBSの夏ドラマとして放送されていた「Heaven?~ご苦楽レストラン~」の高級レストラン版なのかなとも思っていたのですが、それは全く間違っていました。

料理のことだけ考えている料理好きの尾花さんを演じる木村拓哉さんも良かったですし、絶対的な味覚を持っているのにシェフとしてはどこか自信を持てずにいた倫子さんを演じる鈴木京香さんも良かったです。

木村拓哉さん主演のドラマとしては、このドラマもそうだったと思うのですが、最近は恋愛要素のほぼ無いものが多いように思います。でも、私としてはそのほうが見やすいので助かります。尾花さんと倫子さんと京野さんの関係性も、少しずつ対等なものになっていて、そのようなところも良かったのだと思います。登場人物たちの成長が丁寧に描かれていたので、レストラン経営や料理人のお仕事ドラマとしてだけではなく、人間ドラマとしても見応えがありました。

30分拡大版で放送されていた最終回も面白かったですし、毎回の感想を書くことはできなかったのですが、ドラマ「グランメゾン東京」を私も最後まで楽しく見ることができて良かったです。

「歪んだ波紋」最終回

NHKのBSプレミアムの「プレミアムドラマ」の「歪んだ波紋」の最終話(第8話)を見ました。録画をしておいたものをようやく見ることができました。

東都新聞という大手の新聞社が倒産し、民事再生法を適用されることになるという展開に驚きました。いつか現実にも、新聞社(大手の報道機関)の倒産ということが起きるのかもしれませんし、もしもそうなったなら、大きなニュースになるのだろうと思います。

大日新聞の同僚記者だった垣内智成(イッセー尾形さん)の自殺と赤西峰子(キムラ緑子さん)が亡くなった放火事件を追う相賀正和(長塚京三さん)、自分の書いた交通事故の誤報記事の被害者となった森本敦子(小芝風花さん)の生活を気にかけていた新神奈川日報の記者の沢村政彦(松田龍平さん)、沢村さんの大学時代の同期で大日新聞の記者を辞めてニュースサイト「ファクトジャーナル」を立ち上げた三反園邦雄(松山ケンイチさん)、沢村さんの先輩記者で事実とは異なる情報を流す「メイクニュース」を作った桐野弘(筒井道隆さん)たちそれぞれが一人のジャーナリストとしてどのように考え、これからを生きていくのかということが丁寧に描かれていたように思います。

“群像劇”として描かれていたので、回によっては内容が少し散漫としているようにも思え、ドラマを見ながら眠い気持ちになってしまう時もあったのですが、最後まで見ることができて良かったです。良い最終回だったように思います。

垣内さんは、ささやかに暮らす市民のための報道記者であり続けようとしている沢村さんに「浅瀬に留まるな」と伝えていました。

誤報が出ることやフェイクニュースが広がることは「人間の弱さ」だという指摘も、正しいように思えました。「アラブの春」のような出来事は、確かに、日本を含めたどこかの国で、また起こり得ることなのかもしれません。

インターネットの発達した現代が市民同士の相互監視社会になっていることを危惧する桐野さんは、権力を持つ大手の報道機関やそれに匹敵する地位を得ようとしている人気のニュースサイトを潰し、また別の新しい権力を作り上げようとしていたようなのですが、良心的で常識的な記者である沢村さんから見ると、それは世の中の格差(一度落ちたら二度と上がることのできないような階級社会)をなくしたいと考えている桐野さんの“歪んだ正義”による矛盾した行動でした。

数年後の近未来の日本社会を新聞記者の視点で描いたドラマだったのかなとも思うのですが、インターネット社会や情報化社会の中である「事実」から発生した波紋が“歪んだ波紋”として広がっていくということの怖さを、ドラマの最終回の物語を見ながら思いました。良い社会派ドラマだったと思います。

原作は、私は未読なのですが、塩田武士さんの小説『歪んだ波紋』です。脚本は向井康介さん、音楽は林ゆうきさん、演出は佐々木章光さんでした。横浜のみなとみらいの風景のエンディングに流れる主題歌の、オリジナル・ラブの「四季と歌」が印象的でもありました。ドラマの内容は重いものだったのですが、主題歌の伸びやかさがドラマを見終わった後の気持ちを少し軽くしてくれていたような気がします。

「シャーロック特別編」

フジテレビの「月9」のドラマ「シャーロック アントールドストーリーズ」の特別編を見ました。

犯罪コンサルタントの誉獅子雄(ディーン・フジオカさん)が“宿敵”の守谷壬三(大西信満さん)と共に夜の海に落ちてから一週間後、警察の捜索も縮小されていく中、二人の消息は不明で遺体も発見されず、元精神科医の若宮潤一(岩田剛典さん)は獅子雄さんの荷物を段ボール箱から出し、部屋中にばら撒くなど、一人で虚しい日々を過ごしていました。

港の現場に来ていた若宮さんは、誉獅子雄について調べているというフリージャーナリストの門司かれん(木南晴夏さん)に声をかけられました。誉獅子雄の功績を後世に残したいから話を聞かせてほしいと頼まれた若宮さんは、すぐに断るのですが、

翌朝、ベイカーハイツの管理人波藤園美(かたせ梨乃さん)がかれんさんを連れて勝手に部屋に入ってきました。園美さんは、滞納している若宮さんの家賃を代わりに支払ったかれんさんに味方し、若宮さんと引き合わせたのでした。若宮さんは、自分のパソコンの口述筆記の日記をハッキングしてまで自分と獅子雄さんに近付こうとしているかれんさんを怪しむのですが、事件関係者に獅子雄さんへの思いを聞きに行けば手掛かりが掴めるかもしれないというかれんさんの計画を聞き、獅子雄について調べるのも自分の使命かもしれないと、かれんさんに協力することにしました。

若宮さんがパソコンの画面に「スペシャル」と書くと、その文字が反転して、「シャーロック アントールドストーリーズ 特別編」の物語が始まりました。

脚本は東山狭さんとたかせしゅうほうさん、演出は西谷弘さんでした。

「月9」としては「ラジエーションハウス」から始まった最終回の翌週の「特別編」ということで、やはりこれまでの各話の物語の断片をまとめて紹介する「総集編」ではあったのですが、拘置所を訪ねたかれんさんが第1話の赤羽汀子(松本まりかさん)や第4話の石橋卓也(金子ノブアキさん)や第5話の乾千沙子(若村麻由美さん)や第6話の宇井宗司(和田正人さん)や第7話の長嶺加奈子(黒沢あすかさん)や第9話の加藤茂(田邊和也さん)や第3話の市川利枝子(伊藤歩さん)と面会したり、若宮さんが第2話の河本美沙(岸井ゆきのさん)や第4話の細谷潤(小林喜日さん)や第5話の乾貴久(小市慢太郎さん)や第6話の高遠綾香(吉川愛さん)や第7話の羽佐間虎夫(山城琉飛さん)や第9話の古賀智志(大友康平さん)と会ったりしていた場面も良かったですし、若宮さんを主人公としつつ新キャラクターのかれんさんも活かした、これまでの物語の「回想」の場面が一方的にならない作りが良かったように思います。

獅子雄さんがバイオリンを弾くシーンをつないだ場面も含め、登場人物(事件関係者)の“その後”と、若宮さんと警視庁捜査一課の係長の江藤礼二警部(佐々木蔵之介さん)と小暮クミコ刑事(山田真歩さん)の“その後”が、新しい特別編の物語として上手く描かれていたのが良かったです。情報屋のレオ(ゆうたろうさん)は、二羽の黄色いカナリアを連れながら、街で獅子雄さんの消息を心配していました。

謎のジャーナリストのかれんさんは、DV夫から逃げていた人で、夫の母親と共に獅子雄さんに救われた人でした。獅子雄さんに真相を暴かれた事件の加害者たちは、獅子雄さんを嫌っていましたが、被害者側の遺族や加害者側の家族は、獅子雄さんに感謝していました。美沙さんや綾香さんは、若宮さんに救われたと、若宮さんにも感謝していました。

江藤警部と小暮刑事は、若宮さんを警察署に呼び出し、若宮さんと若宮さんが連れて来たかれんさんに、海で発見されたという獅子雄さんの黒いコートを見せました。撥水加工の施されたコートには若宮さんへの手紙が入っていて、そこには、諸悪の根源を葬り去ることができるのはこの上ない喜びだ、俺がいなくなっても悲しむものは一人もいない、そういう生き方をしてきた、羨ましいだろう、早く偽医者からヤブ医者に戻れ、と書かれていました。若宮さんは手紙とコートを抱えて号泣し、翌朝港へ行くと、一人で調査を続けるというかれんさんと別れ、獅子雄さんが姿を消した海に向かって白い花束を投げました。

それから3年後のクリスマス・イブの夜、江藤警部と小暮刑事がバイオリニストの夫殺害事件の現場へ行くと、白衣を着た若宮さんが獅子雄さん風の言動で推理を披露し始めました。しかし、しばらく推理を述べていると、鑑識員の一人が別の推理を展開し始めました。その人は、鑑識員に変装した獅子雄さんでした。若宮さんは唖然とし、江藤警部はまた課長に戻れると喜んでいました。

獅子雄さんが事件の真相を長く語り続けていると、カメラは4人から遠ざかり、事件現場のビルの屋上に佇んでいる黒い服の男を映しました。そこにいたのは獅子雄さんでした。

獅子雄さんが「メリー モリアガリMas みなさん良いお年を SHJW」と画面に書き、ドラマ「シャーロック 特別編」の物語は終わりました。

3年後に獅子雄さんが「帰還」するところまで、今回のスペシャルの物語の中で描かれるとは思いませんでした。でも、獅子雄さんは無事に生きていたと分かるほうが、獅子雄さんは結局どうなったのだろうと疑問のまま終わるよりも、すっきりとする終わり方で良かったと思います。

サブタイトルに「誉獅子雄という男」とあったように思うのですが、若宮さんたちに愛されている獅子雄さんとは結局どのような人だったのだろうと思います。事件の謎を解くのが好き過ぎて事件関係者の心に土足で踏み込んでしまう人でしょうか。話し好きで「人」が好きな意外と寂しがり屋の人でしょうか。

最後の獅子雄さんのメッセージの妙なダサさも、意外と面白く思いました。ただ、あのようなメッセージの文言をドラマの獅子雄さんが書くとは思えないというところから考えると、最後の黒いコートの男は獅子雄さんではなく、獅子雄さんを演じているディーン・フジオカさんだったのかもしれません(本当の獅子雄さんはその時も事件現場で江藤警部と小暮刑事と若宮さんに推理を披露していたのですから)。

昨夜はクリスマス・イブの前の日(上皇さまの86歳のお誕生日でもありました。カレンダーには、「平成の天皇誕生日」と書かれています)で、ドラマの終わった後、私は、TBSの「CDTVスペシャル!クリスマス音楽祭2019」を途中から見たのですが、ちょうど欅坂46の「二人セゾン」が始まるところでした。欅坂46の歌の中では(といっても私は少ししか知らないのですが)「サイレントマジョリティー」と「二人セゾン」が好きなので、しかも久しぶりにテレビで披露されるのを見たように思い、嬉しく思いました。

「CDTVスペシャル!クリスマス音楽祭2019」をそのまま見ていると(聴いていると)、番組の終わり近くの夜の11時15分頃、ディーン・フジオカさんが登場し、この「シャーロック アントールドストーリーズ」の主題歌の「Shelly」を披露していました。私は誰が登場するとかを考えずにこの歌番組をつけていたので、登場したディーン・フジオカさんを見て、さっきの「シャーロック」の獅子雄さんだ、と思ったのですが、歌の後に紹介されたディーン・フジオカさんのクリスマスメッセージがドラマの最後のメッセージとほぼ同じだったのを見て、ドラマ「シャーロック」の終わりとまだつながっているような、少し不思議な感じがしました。

その次(最後の歌)は、EXILEの「愛のために ~for love, for a child~」だったのですが、そこに岩田剛典さんがいるのを見て、「シャーロック」の若宮さんだ、と思いました。

もしかしたら、と思うのですが、昨夜のTBSの「CDTVスペシャル!クリスマス音楽祭2019」は、フジテレビのドラマ「シャーロック アントールドストーリーズ」の特別編を見ている人のために、フジテレビのプロボクシングの試合の中継が延長してドラマの放送が少し遅れても大丈夫なように、あえてディーン・フジオカさんと岩田剛典さんのいるEXILEの歌を最後にしたのかもしれません。そのように思えるほど、昨夜のフジテレビのドラマの最後とTBSの歌番組の最後が何かつながっているような感じがして、面白く思いました。
プロフィール

Author:カンナ
マイペースで更新します。
すきなもの
 月・星空・雨・虹・雪・草花
 飛行機雲・入道雲・風鈴の音
 透き通った水・きれいな色
 富士山・東京タワー・ラジオ・音楽
 本・絵画・ドラマ・(時々)アニメ
 掃除機をかけること
にがてなもの
 人ごみ・西日・甘すぎるお菓子
 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム