「正解するカド KADO: The Right Answer」第11話と第12話(最終回)

東京MXテレビやBSフジで放送されている「正解するカド KADO: The Right Answer」という東映制作のアニメ作品の、第11話と第12話(最終話)を見ました。

世界各地で一般の人々がナノミスハインに直接触れることのできるイベントが開かれ、人々は次々と異方感覚を身に着けていったようでした。もう一人の異方存在の徭沙羅花(つかいさらか、声・M・A・Oさん)によって外の世界とは別次元の空間に匿われていた真道幸路朗(声・三浦祥朗さん)は、異方感覚を身に着けた人類は異方に適応するための変換率が上がるとの説明を受けていました。

沙羅花さんは、異方存在を封じ込めることができるという星形の隔絶体を真道さんに見せ、人間が使うためにはフレゴニクスの除去が必要だと言いました。

総理官邸で開かれていたナノミスハインの説明会では、犬束構造内閣総理大臣(声・中博史さん)もナノミスハインに触れて使い方の練習をしていました。理論物理学者の品輪彼方(声・釘宮理恵さん)も、ヤハクィザシュニナ(声・寺島拓篤さん)から教えられて、ナノミスハインを使ってワムを動かすことができるようになっていたのですが、ヤハクィザシュニナと複製された真道さんと別室に移動するために廊下を歩いていた時、別空間に拉致されました。本物の真道さんと沙羅花さんが連れてきたのでした。真道さんは、品輪博士に協力を求めました。その後同じように拉致した花森瞬(声・斉藤壮馬さん)にも協力を求めました。

真道さんは、ヤハクィザシュニナと対等に交渉するため、知り合いの刑部鍍金へ行き、工場長や従業員に事情を説明して、かつて真道さんと開発したというスーパーメタルという金属を使った、人の手によるフレゴニクスの発生・無効化装置の制作を依頼しました。真道さんは、ヤハクィザシュニナに処理しきれない情報を与えるため、ヤハクィザシュニナの予期しないことを起こそうと考えていました。

犬束総理大臣は、羽深清鷹内閣官房長官(声・斎藤志郎さん)とカドが現れてからの人類に起きた激動の3か月間を振り返りながら、願わくばこの進歩が次の世代の幸福につながるようにと呟いていました。

鍍金工場では、品輪博士の計算により、装置が完成しました。腕の動きで出力を制御するという、一対のワムを二対使ったスーツ型のもので、フレゴニクスを緩衝し合わせて打ち消すというような仕組みの着るタイプの装置でした。真道さんはそれを着て動きを確かめていました。品輪博士に何に使うのかと訊かれた真道さんは、ヤハクィザシュニナを止める、ヤハクィザシュニナは人を異方に連れていこうとしているのだと答えました。それを聞いた品輪博士は何か心を動かされた様子でした。

沙羅花さんから事情を教えられた花森さんは、真道さんが自分一人で異方存在に挑むことを決めて、しかも死ぬかもしれないということに落ち込んでいたのですが、後は頼むと真道さんに念を押されていました。その頃、カドの中ではヤハクィザシュニナが真道さんのコピーを倒して消去していました。狭山湖上のカドは赤茶色に変色して膨張し、関東地方を飲み込み始めました。ヤハクィザシュニナは、沙羅花さんと現れた真道さんに、会いたかったと伝えました。

カドは壊れながら膨張し続け、日本全体を飲み込もうとしていました。犬束総理は災害緊急事態を発令し、自衛隊も準備を始めました。ヘリコプターに乗っていたジャーナリストの言野匠(声・桐本拓哉さん)は、報道すべきものは良いか悪いかではなく事実だ、それが俺たちの正解だと、カドの取材を続けていました。

ヤハクィザシュニナは、人類の特異性とは、全くの同一性のものに別の価値を与える力、1しかないものに1以上の情報を与える力を持っていることだと、真道さんに話し、その人類の未曾有の力はどうやら君と私の内側から生じているらしい、この特異な力を解明するために異方に来てくれないかと懇願しました。

しかし、真道さんは、異方には行けないと、その願いを拒否し、異方に興味はあるがこの世界を愛している、ここには大切なものがあると答えました。ヤハクィザシュニナは、君は君だ、何者にも替えられない、掛け替えのない個人だ、強制的に変換しても意味がない、それをすれば君の心が冒される、真道幸路朗という生き方が冒される、私はそれを望まない、と真道さんに言いながら泣いていました。ヤハクィザシュニナは、とても人間的な存在に変わっていました。

ヤハクィザシュニナは、真道さんを異方に連れていくことを諦める代わりに、手を光の剣に変えて、真道さんを殺すことにしました。真道さんの胸部を突き刺したヤハクィザシュニナは、壊れたフレゴニクス発生・無効化装置を目にし、品輪博士に渡した超空間につながる新しいワムの力がフレゴニクスを中和したと告げ、予測したとおりになったと真道さんに言いました。そして、済まないと謝りながら、真道さんの息の根を止めました。

日本を覆うように広がっていたカドの中で、ヤハクィザシュニナが真道さんの遺体を安置していると、そこに自動車が現れました。車から降りてきたのはセーラー服の少女と少し年を取った花森さんで、少女はナノミスハインで時間を16年経過させた真道さんと沙羅花さんの娘の「ユキカ」だということでした。

地球人と異方存在の娘のユキカさんは、フレゴニクスは異方とこの宇宙をつないだ時に生じる「そご」だから万能ではなく、異方と宇宙の理解が完成しているならフレゴニクスは必要ないのだとヤハクィザシュニナに言い、ヤハクィザシュニナを倒しました。

ユキカさんは、私は人類と異方存在の特異点であり、あなたより高度な存在だとヤハクィザシュニナに言い、進歩とは途中だと思うことだと伝えました。君と同じだな、真道、と真道さんの遺体に手を伸ばしたヤハクィザシュニナは、ユキカさんに消されました。カドにも穴が開き、ゆっくりと消えていきました。犬束総理は、国民の安全確保の徹底を指示していました。

真道さんの遺体のそばに立ったユキカさんは、そうだね、お父さん、彼奴はそんなに悪い奴じゃなかったよ、と「情報を越えたもの」(魂のようなものでしょうか)に向かって呟きました。

1か月後、犬束総理大臣は記者会見を開いていました。ひと月が経ちましたが異方からの再交渉はありません、カドは消失し、ワムは電力を失い、サンサで得た異方感覚は失われ、ナノミスハインも消滅しました、しかし全てが失われたわけではありません、それは異方が存在しているという事実です、今度は人類が自らの足でヤハクィザシュニナに会いに行こうではありませんか、と演説をしていました。

16年後の?花森さんはそのまま現代に残ったようなのですが、ユキカさんがどうなったのかは描かれていませんでした。ただ、最後、沙羅花さんのいた部屋には、三羽の折り鶴とユキカさんのものと似たセーラー服がありました。

脚本は野崎まどさんです(崎の文字は可の上が立のものです)。演出は田辺泰裕さん、渡辺正樹さんでした。ナレーションは、俳優の上川隆也さんでした。

「正解するカド」は、全12話の作品でした。謎が広がっていくような前半がとても良かったということもあり、連続のアニメ作品自体を久しぶりに見ていた私には、寂しいというか、少し残念にも思える後半の、第11話と最終話でした。

異方存在のヤハクィザシュニナが人間的になり、人間らしい感情を剥き出しにするような人物になってしまったというところが私には特に残念に思えた点ではあったのですが、真道さんと沙羅花さんの恋愛もののようになっていた展開も、私には残念に思えました。

沙羅花さんは、当初は社会派SF作品のように思えていたこの物語の中では、少し浮いているというか、いかにもアニメ作品の中に登場する女性らしい女性であるようにも思えていたのですが、回を重ねる毎に私には、もしも沙羅花さんがいなければ、という風に思えてしまうような人物になっていました。

最終回の冒頭の辺りでの沙羅花さんによる解説の台詞も、真道さんがヤハクィザシュニナに殺されるのを見た沙羅花さんの「いやー!」という叫びも、さらにはその後のユキカさんの登場も、私としては、無いほうが良かったように思えました。

情報を作り出す存在として人類を作り、人類を異方に連れていこうとして地球の中の日本に降り立ち、日本政府の交渉人の真道さんと出会ったヤハクィザシュニナが、友人となった真道さんに固執するあまりに当初の目的を見失い、真道さんの命を奪おうと企てて真道さんの未来の娘に消滅させられてしまう、という展開や結末は、結局、日本政府や国連の描写もあった当初の社会派の要素からは離れてしまったものでした。

ヤハクィザシュニナにとっては、自分がまだ進化の途中の存在なのだと気付いたことが「正解」だったのでしょうか。「正解」したために消滅した(あるいは昇華した)のでしょうか。

最初の頃のヤハクィザシュニナのキャラクターが良かったということもあり、それが次第に欲深い人間のように変わっていくという変化(進化?)には、もったいなく思えてしまうところが大きかったのですが、真道さんを独占したくなっていったヤハクィザシュニナに失敗したところがあるとするなら、それは真道さんが(異方存在だった)沙羅花さんに感化されるということを予測しなかったところだったのかなと思います。

ナノミスハインによって作られた16年後の未来のパラレルワールドの?真道さんは、そこの世界に生き続けているのでしょうか。育ての親の花森さんとユキカさんだけがこの世界に戻って来たのでしょうか。花森さんが「育てた」と主張していたということは、ユキカさんはナノミスハインの時間を操る力で成長したわけではないのだろうと思います。それとも、ヤハクィザシュニナに討たれた真道さんは、時間軸に沿った現在の真道さんではなく、沙羅花さんと未来へ行って(未来の自分になって)子供を生んで戻って来た(あるいはそのまま残った)、未来の真道さんで、スマートフォンの動画の中で0歳児を抱えていた真道さんと同じ真道さんだったのでしょうか。ユキカさんは、異方の力をほとんど失ったという沙羅花さんの娘でありながら、どうして異方と宇宙の特異点になることができたのでしょうか。異方の力というものは、「遺伝」をするものなのでしょうか。描かれていないために、分からないままになっていることも多いです。

最終回で良かったのは、犬束総理大臣(見た目は2000年に亡くなった小渕恵三元総理大臣に似ていたように思います)が最後までしっかりとした冷静で知性的な人物として描かれていたところと、品輪博士の「ちょっといってきます」という置き書きでした。品輪博士は、異方の世界に出掛けたのかもしれません。

この作品には、最後までもっと人類の進化というか、異方の道具や感覚が地球の各国の人々の間で使われていくことの顛末を描いてほしかったようにも思えたのですが、途中までは大きな社会派の話になりそうでありながら、最後は人類の個人的な恋愛(あるいは友愛)の感情の話で終わってしまったというような、惜しい印象が残りました。

異邦存在はこの世界を超越する存在だったはずなのに、この世界が異方存在に影響を与えたところで終わってしまいました。あるいはこの作品の物語は最初から、この世界は美しい、というようなことをこの世界の人たちに伝えるための物語だったのかもしれません。

フルCGの映像には、私にはやはり少しぬるぬるとしたような動きが気になるところもありましたが、全体的にはそれほど気にならずに見ることができたような気がします。カドのフレゴニクス?や風景描写もきれいでした。人類に未知の能力を与えようとした異方存在のヤハクィザシュニナが、最初は人間の形ですらなかったように(光でした)、もっと本当の「神」のようだったら良かったのになと思います。例えば映画「シン・ゴジラ」のような話にもなりそうだったのですが、そうはなりませんでした。この作品には、やはり真道さんと沙羅花さんの恋愛要素(そして娘の登場)は無いほうが良かったように思います。ヤハクィザシュニナが人間的になるまでは、真道さんが沙羅花さんに捕まるまでは、もっと面白くなりそうだった不思議なSFの物語でした。

「正解するカド KADO: The Right Answer」第9話と第10話

東京MXテレビやBSフジで放送されている「正解するカド KADO: The Right Answer」という東映制作のアニメ作品の、第9話と第10話を見ました。

カドの中の異方存在のヤハクィザシュニナ(声・寺島拓篤さん)から話があると言われた真道幸路朗(声・三浦祥朗さん)は、ヤハクィザシュニナの出した小型のカドを通ってこの世界と異方の境へ出ると、ヤハクィザシュニナから異方の説明を受けました。ヤハクィザシュニナによると、異方とは3次元の37乗の世界ということでした。情報処理能力が高い分、情報不足に陥ってしまった異方は、処理するための情報を得るため、繭の糸のように情報を紡ぎ出す存在を生み出すことを思い付き、知的存在としての人間を作ったということでした。

物質の質量や時間を操ることができるらしい「ナノミスハイン」を使って異方の説明を受けた真道さんは、ヤハクィザシュニナとは神なのかと驚くのですが、ヤハクィザシュニナはそれを否定しました。そして、ヤハクィザシュニナは、一緒に異方へ行かないかと真道さんを誘ったのですが、戸惑って返事に詰まって固まる真道さんの様子を見ると、早まったなと呟き、自分から異方の話を聞く前の真道さんをこの世界に残すために、話を聞いたこれまでの真道さんを消そうとしました。

カドの外では、「サンサ」を見て目覚めたようにカドを分析しようとしていた科学者の品輪彼方(声・釘宮理恵さん)に、徭沙羅花(つかいさらか、声・M・A・Oさん)が、ヤハクィザシュニナの力なしでカドの中に入る方法を考えてもらおうとしていたのですが、真道さんがヤハクィザシュニナによって消されようとしたその時、「操のようなもの」と沙羅花さん自身が言っていた右手の薬指の指輪が割れ、次の瞬間には沙羅花さんはカドの一部を壊して侵入し、ヤハクィザシュニナの前に立ち塞がって真道さんを守りました。ヤハクィザシュニナだけではなく、沙羅花さんも「異方存在」だったようです。

前回の第8話の最後のヤハクィザシュニナにも少しそのような雰囲気の表情があったのですが、今回の第9話から急にヤハクィザシュニナが人間的になり、しかも悪役のようになっていて、さらに徭沙羅花が地球人の真道さんを救う異方存在のヒーロー(女性なのでヒロインかもしれませんが)的存在に変身するとか、ヤハクィザシュニナが真道さんを異方に誘っていたことも含め、いろいろ唐突な感じがしてしまいました。

今回の話によると、人間は異方が高速に処理するための情報をほぼ無限に(無尽蔵に?)得るための装置やプログラムとして作り出されたものということでしたが、そうであるのなら、3次元の37乗という世界がどのような世界なのかとか、異方存在のヤハクィザシュニナが神なのかどうかということはともかくとしても、異方は決して万能の存在ではないということになるように思います。

私としては、この作品のヤハクィザシュニナには、人間的なものを超越したキャラクターであってほしかったように思います。そもそも、登場した頃の異方存在は光のようであって、人の形でさえありませんでした。

異方存在が人とコミュニケーションを取るために人の形を取るという部分は良いとしても、欲望ような、人間的な心理を持っているかのようなところまで人に似ているというのは、私には少し残念に思えます。

それとも、むしろヤハクィザシュニナのほうが、この世界にいる間に、人間のことを学ぶうちに、人間の感覚を身につけてしまったということなのでしょうか。日本政府の犬束構造総理大臣(声・中博史さん)との交渉を望んだり、言野匠(声・桐本拓哉さん)たちメディア関係者を利用したりしていたのも、人に「正解」を出してもらうためだったように思うのですが、ヤハクィザシュニナが「ナノミスハイン」で真道さんを操ることができるように人類を操ることができるのなら、ヤハクィザシュニナにとっては政治的な交渉など最初から不要だったのではないかとさえ思えてしまいます。

このままでは、ヤハクィザシュニナは、徭沙羅花さんの考えていたように、「この世界」へのただの「侵略者」ということになってしまいますし、この作品の最初の頃にあった社会派の要素がどこかへ行ってしまいそうでもあります。

第10話は、冒頭から少し特殊な雰囲気でした。過去に遡り、ずっと昔の何もなさそうな白い空間に少しずつ何かが増えていきました。闇ができて、光ができて、この宇宙ができました。「ト」、「ワ」、「ノ」、「サ」、「キ」、「ワ’」は、重力が流れて質量が偏っていく現象を稀有なものとして見つめている長い間、ゆっくりと?会話を続けていました。「異方特異点」に触れたいと言うもの(「ワ」)が現れ、空間の歪みが起こることを気にしつつも、低次元の「繭」の中に入ることになりました。宇宙の中に誕生した惑星の一つの地球の中に生命が誕生し、人類が生まれ、空から降りてきたピンク色の光が植物や哺乳類の中に入りました。そして、現代の24年前の世界になって、日本の東京の下町に、徭家の第2子として長女の沙羅花さんが生まれました。

沙羅双樹の花から名付けられた沙羅花さんは、全ての人は与えられた時間を懸命に生きるのだということを父親に教えられて育ち、心配する父親の反対を押し切ってアメリカのニューヨークへ留学し、国際外交官として帰国し、真道さんと出会いました。そのようなことが、第10話では描かれていました。

カドの中でヤハクィザシュニナに消されそうになった真道さんは、異方存在だった(異方存在に変身した)沙羅花さんに助けられ、異方の情報をほとんど失っているという沙羅花さんを庇ってヤハクィザシュニナに脇腹の辺りを撃たれて失血死したのですが、沙羅花さんの特別な治療を受けて傷を癒しました。

この世界をずっと見つめ続けてきました、というような沙羅花さんの言葉を聞いて、手塚治虫の漫画「火の鳥」のようだなと、何となく思ったのですが、ヤハクィザシュニナが神的存在であるなら、私は人が大好きなんです、と頭に光輪を乗せている沙羅花さんは、天使のようなイメージの存在でしょうか。宇宙人?が地球人として生まれ変わるというところは「W3」のようでもありました。

真道さんの隣でなぜか大きめの白いワイシャツをかけて服を身に着けずに眠っていた沙羅花さんの場面は、私には(このように言ってはいけないかもしれないのですが)少し鬱陶しく思えてしまう場面でしたが、このような展開を好きな方もいるのかもしれません。「正解するカド」は、真道さんと沙羅花さんの普通の恋愛物語の要素もあったのだなと、少し寂しい感じもしました。

一方で、「正解」とは何かと訊く真道さんに、情報の繭として生み出された人類が異方に取り出されることという風に答え、真道さんには自分の意志で異方に来てほしかったと話していたヤハクィザシュニナは、お前は間違っていると沙羅花さんと一緒になって言う真道さんを撃った後、床に広がる流れたばかりの真道さんの赤い血に触れていました。

カドの外では、品輪さんたちが修復されるカドの壁を眺めていたのですが、そこが改めて開くと、ヤハクィザシュニナと共にもう一人の真道さんが外に出てきて、沙羅花さんは異方存在だったといい、沙羅花さんを閉じ込めたという小さな星形を品輪さんたちに見せ、さらにナノミスハインを見せました。それから、政治家やマスコミ関係の人々の参加する日異共同イニシアティブ合同委員会でナノミスハインの説明を行いました。

第10話の最後は、ヤハクィザシュニナがビルの屋上から青空を見上げる場面でした。そのまま静かにエンドロールが流れてきて、いつもとは違うエンディングになっていました。

脚本は野崎まどさんです(崎の文字は可の上が立のものです)。演出は齋藤昭裕さん、田辺泰裕さんでした。

面白いには面白いのですが、方向性が以前よりも分からなくなってきました。謎が増えているのか、減っているのかもよく分かりません。もともとの真道さんのいる空間と、複製されたもう一人の真道さんのいる空間は、パラレルワールドにはなっていないようですが、真道さん自身はパラレルの存在になっているということなのかなとも思いました。

ヤハクィザシュニナは、カドで変換して異方へ連れて行く人間は一人でいいと真道さんに話していたので、異方と感性の近い日本人の中の誰でもいいというのなら、むしろ真道さんではなく、物理学者の品輪さんのような人に相談したほうが早いのではないかというような気もしたのですが、でも、どうしても、真道さんがいい、真道さんでなくてはいけない、ということなのでしょうか。

この作品の世界には今のところ未来はないのですが、時間を操ることもできるのなら、もっと未来の人に異方のことを打ち明けたのなら違ったのかなとも思います。異方存在のヤハクィザシュニナが今の世界に現れた理由というか、必然性のようなものがよく分かりません。異方の能力の多くを失っているという沙羅花さんへのヤハクィザシュニナの攻撃手法が、高次元的なものではなく、3次元的だったところも少し気になりました。

カドと共に羽田空港に現れたヤハクィザシュニナは、かつての異方存在仲間が人間として生まれた沙羅花さん(指輪はいつから着けていたのでしょうか。いつ自分が異方存在であることを知ったのでしょうか)のいる時と場所であることを知っていて、今の日本の東京に現れたのでしょうか。私としては、社会派SFのようだった物語が真道さんと沙羅花さんの恋愛ものにはならないでほしいように思いますし、例えば「魔法少女マギカ☆まどか」のキュゥべえのように、ヤハクィザシュニナが悪役になるということにはならないといいなと思います。

「正解するカド KADO: The Right Answer」第4話から第8話

東京MXテレビやBSフジで放送されている「正解するカド KADO: The Right Answer」という東映制作のアニメ作品の、第4話から第8話までを見ました。

外務省の総合外交政策局国連政策課の首席事務官であり交渉官(ネゴシエーター)であった真道幸路朗(声・三浦祥朗さん)は、一旦辞職をし、政府から自由な立場となって、異方存在のヤハクィザシュニナ(声・寺島拓篤さん)との交渉を続けています。

科学者(理論物理学者)の品輪彼方(声・釘宮理恵さん)は、電力を無尽蔵に供給することのできる「ワム」の構造を理解すると、それを折り紙で作り、内閣総理大臣の犬束構造(声・中博史さん)の記者会見の場で国内外の人々にその作り方を教えました。

しかし、品輪さんの考案した「ワム」の作り方は、他人にはなかなか作ることができなかったようでした。品輪さん以外で作ることができたのは折り紙が得意だった真道さんだけでした。

ヤハクィザシュニナによって人類に贈られた「ワム」の件が国際問題としては中途半端な状態になりました。そのような中、「カド」は羽田空港の敷地内から移転することになりました。移動するには「カド」の一部がこの世界の大地に接していなければなりませんでした。「カド」に触れた生物は神経系に異常を来すかもしれないということから、真道さんは、転がして移動させることになった「カド」の面ではなく辺を使うというアイデアを出し、半日ほどかけて埼玉県の狭山湖上へ移動させました。

そして日の沈んだ頃、真道さんは、ヤハクィザシュニナから、「サンサ」という脳の形に似た楕円形の物体を見せられました。真道さんは、ヤハクィザシュニナに会った時に異方の感覚を身につけていたのですが、「サンサ」を見て、眠らなくても平気な体質に変わりました。

公共放送NNKのディレクターの言野匠(声・桐本拓哉さん)は、「カド」の取材の最先端から置き去りにされていると感じていたある日、アメリカの大手インターネット会社「SETTEN」のCEOのアダム・ワード(声・堀川仁さん)から、「カド」のヤハクィザシュニナを取材してほしいと頼まれました。「カド」を最初に報道・発信したことが評価され、ヘッドハンティングされた言野さんは、NNKを辞め、ついてきた仲間たちと共にアメリカの会社のヘリコプターで湖の上の「カド」に接近し、ヤハクィザシュニナから取材を許可されました。

ヤハクィザシュニナと真道さんの案内で「カド」の内部に入った言野さんたちは、ヤハクィザシュニナから、異方物質の入った箱を示され、その中に収められていた「サンサ」を見ました。「サンサ」を見た直後、吐きそうになっていた言野さんたちは、多数次元の中に自分の存在を感じ取る異方の感覚を身につけ、眠らなくてもいい体質になりました。ヤハクィザシュニナの説によると、眠らなくてもいいが、これまでのように眠りたかったなら眠ることもできるということでした。

ヤハクィザシュニナは、「サンサ」を撮った映像を人類に公開してほしいと言野さんに話しました。アメリカ人のCEOは、その映像を放送するべきだと主張し、会社内では反対意見もあったものの、言野さんもCEOと同じ考えでした。それが発信するメディアの役割だと考えていました。

犬束総理大臣もそれを認め、「サンサ」の映像は、NNKで生放送され世界同時配信される番組内で公開されることになりました。番組では、冒頭でも放送中も、視聴者への注意喚起を行いました。生放送にはヤハクィザシュニナが出演して「サンサ」の説明を行い、テレビやパソコンやスマートフォンで「サンサ」を見ることにした人々は、一時の吐き気に苦しんでいました。

ヤハクィザシュニナを異方に帰したいと真道さんに相談していた、彫金師の家で育った徭沙羅花(つかいさらか、声・M・A・Oさん)は、ヤハクィザシュニナという異方存在にこの奇跡的に美しい「自然」の世界を壊されたくないと考えていたようでした。

沙羅花さんの訴えに感化された真道さんは、ヤハクィザシュニナと話をしに「カド」へ向かい、ヤハクィザシュニナから話があると言われていました。

脚本は野崎まどさんです(崎の文字は可の上が立のものです)。演出は田辺泰裕さん、りょーちもさん、齋藤昭裕さん、渡辺正樹さんです。

第6話と第7話の間には、第6.5話という総集編がありました。このような物語だった第4話から第8話までも、毎回続きが気になって面白く見ています。ただ、私としては、沙羅花さんの件は、もう少し少なくてもいいような気がします。映画「シン・ゴジラ」の物語の中で石原さとみさんの演じていた人物が少し浮いているように見えたように、いかにもアニメの中の女性という感じのする沙羅花さんは「ヤハクィザシュニナ」という社会的な問題の描かれるこの物語の中では少し浮いているように見えます。「ワム」の件以降は登場していない科学者の品輪さんの方がまだ馴染んでいたように思います。

沙羅花さんは、ヤハクィザシュニナという異方存在が人類にもたらす急速な変化を危惧していて、実際の現実社会でもこの物語で起きているようなことが起きたなら、沙羅花さんのように否定的に捉える人もいるのだろうと思います。

でも、この「正解するカド」のアニメを見ている私としては、ヤハクィザシュニナのもたらすものによって変化していく世界や人類の様子を見てみたいように思うのです。そのため、真道さんと電話で話していた犬束総理大臣が「サンサ」の放送を認める決断をしたことを、自由な立場の真道さんに伝えていた場面を見ていて、少しほっとしました。

このアニメは、全何話の作品なのでしょうか。ヤハクィザシュニナに導かれている人類が何をすることが、ヤハクィザシュニナあるいは人類にとっての「正解」なのかということはまだ示されていませんが、これからも「進歩」(「ワム」の今後、「サンサ」の次の段階)がこの物語の中に描かれていくのを見てみたいように思います。

実際の現実の世界の人類は、「進歩」からはほど遠いような気がします。飛行機の窓から見た海の波が止っているように見えるように、私が気付いていないだけなのかもしれませんし、分かりませんが、もしかしたら、地球の人間の世界は飽和状態になっているのかもしれないなと思います。政治も、経済も、科学も、文化も、今の人間の能力によるものだけでは、頭打ちの状態になっているように思えます(ファッション業界にも疎い私には、洋服のデザインも過去にあったようなものが繰り返されているだけのように見えます。グローバル化によってなのか、みんなが似たような服を着るようになりました)。

都市伝説のような話になってしまうかもしれませんが、このアニメ作品の中で地球の人類の前にヤハクィザシュニナが現れたように、宇宙人の斬新な文明が今の地球に突然分かりやすく入って来たなら、本当の自由がなく窮屈のようにも思える今の人間の世界が、もう少し解放されることになるのかもしれません。もしもそのようなことがあったなら、面白そうに思います。

「正解するカド KADO: The Right Answer」第1話から第3話

東京MXテレビやBSフジで4月から放送されている、「正解するカド KADO: The Right Answer」というアニメ作品を見ています。

東映制作のオリジナルアニメだそうです。

国際会議へ向かう外務省の総合外交政策局国連政策課の首席事務官で交渉官(ネゴシエーター)の真道幸路朗(声・三浦祥朗さん)の乗った旅客機(飛行機)が羽田空港を離陸した直後、突如上空に謎の立方体が現れ、乱気流に巻き込まれたように激しく揺れながら巨大な立方体の中に取り込まれてしまいました。しばらくして停止した機内で目を覚ました真道さんは、部下の花森瞬(声・斉藤壮馬さん)を残して一人で旅客機の外に出ようとするのですが、そこはまだ立方体の内部で、出口は見当たりませんでした。そこに未知の存在(声・寺島拓篤さん)が出現しました。252人の乗客の命を守るべく「ヤハクィザシュニナ」と名乗るその存在との交渉を試みた真道さんは、人類との接触を望むヤハクィザシュニナから日本政府と話がしたいと頼まれ、その仲介役を引き受けました。

羽田空港に出現した謎の立方体を「カド」と呼ぶことにした日本政府は、乗客を安全に救出するため、人間の脳に直接語りかけるように話すヤハクィザシュニナの通訳となった交渉人の真道さんの指示を受けて、話し合いの場として指定された羽田空港に徭沙羅花(つかいさらか、声・M・A・Oさん)を派遣しました。空港に殺到したマスコミの記者たちが見守る中、真道さんと共に日本政府との交渉の席に着いたヤハクィザシュニナは、自身を「ノヴォ」という異方(宇宙の外側の高次元世界のような場所)からの存在であること、「カド」が異方とこの世界との境界であることを説明し、異方とこの世界とをつなぐ球状の物質「ワム」を取り出すと、それが無尽蔵に電力を作り出す様を人類に見せ、その小さなガラス玉ような物質を大量に人類に供与すると提示し、「人よ、どうか正解されたい」と迫るのでした。

脚本は野崎まどさん(崎の文字は可の上が立のものです)、演出は渡辺正樹さん、りょーちもさん、齋藤昭裕さん、作画監督は真庭秀明さん、総監督は村田和也さんという作品です。オープニングテーマは徭沙羅花 starring M・A・Oの「旅詩」という曲で、エンディングテーマはHARUCAさんの「永遠のこたえ」という曲でした(エンディングの映像は、少し昔のアニメのような印象を受けます)。ナレーションはなぜか(なぜか、と言ってはいけないかもしれませんが)俳優の上川隆也さんです。

「正解するカド」という謎のタイトルが気になって、何気なく見始めたアニメです。江戸川乱歩の小説『少年探偵団』を原作とした作品という理由で見始めた「TRICKSTER -江戸川乱歩『少年探偵団』より-」を途中で挫折してしまったため、深夜の30分アニメを見るのは久しぶりです。「正解するカド」は今は第3話まで放送されていて、私は第1話から見ているのですが、第1話の放送前に放送されたらしい第0話?は未見です(第0話があったことに気付きませんでした)。

第1話を見た時には、面白いのかどうかよく分からない話のようにも思えていたのですが、話に少し慣れてきた第2話からの第3話の内容は、急にSFと社会派の要素が強くなっていて、単純に面白く思えました。

ヤハクィザシュニナが世界各国の人の中でまず日本人に接触したのは、他の国に比べて物質的に豊かであるために心理的にゆとりがあり、「ユノクル」という心の方向性や共感性がヤハクィザシュニナのそれと近いからということが理由のようでした。ヤハクィザシュニナという存在が、宇宙人なのか未来人なのか神なのかは分かりませんが、宇宙の中の地球に生きる人類よりは賢く、高度な文明を持っていて、自身と接触することによって人間を「進歩」させたいと思っているようでした。アニメの物語の中のテレビ局の取材班の人が言っていたように、「未知との遭遇」です。

東日本大震災で周辺の町の土地を放射能で汚染させてしまう大爆発事故が起きても原子力発電所を今の日本政府が再稼働させたがっているように、都市に生きる人類の生活には電力が欠かせなくなっているのだとするなら、無尽蔵に電力(電気エネルギー)を作り出すことができる物質というのは、人類にとって、また各国の為政者たちにとって、とても魅力的なものなのだろうと思います。

地球上の全ての人類を「進歩」させるために現れたらしいヤハクィザシュニナ(光のような存在として現れたので、異方での在り方が単体なのか複数体なのかもよく分かりません)が、人類をどこへ導くのか、あるいは魅力的なものを与えられた人類が欲望のために「進歩」できずに自滅することになるのか、人が選ぶべき「正解」とは何なのか、SF的な部分も含めて、続きが気になります。

「フル3DCGアニメーション」の絵は、きれいなのですが、小さい頃からセル画のアニメを見てきた私には、CGアニメの絵の何かぬるぬるとしたような動きには、まだあまり慣れません。先日に見た映画「アナと雪の女王」のようなディズニーのCGアニメーションの絵もまだ、見始めてしばらくの間は慣れないのです。

面白いのは、登場人物の絵(キャラクターデザイン)に、実際にいそうな人と少女漫画風?の人が混ざっているところです。真道さんやヤハクィザシュニナや徭沙羅花さんや物理学者の品輪彼方(声・釘宮理恵さん)は、いかにもアニメらしいというか、少女漫画の絵のようなデザインなのですが、「カド」の出現という未曽有の事態に対応するため首相官邸に集結した政治家などの政府関係者は、どちらかというとリアルな人のように描かれています。自民党の石破茂衆議院議員に似ている登場人物もいますし、特に総理大臣の犬束構造(声・中博史さん)は、2000年に急逝した小渕恵三元総理大臣に似ているように思えて、何となく、少し嬉しく思いました(小渕恵三さんは、突然の脳梗塞で亡くなったということなのですが、総理大臣の中では良い総理大臣だったという印象があります)。

突然の大きな出来事に政府関係者が対応をするという点では、昨年の映画「シン・ゴジラ」にも少し近いのかもしれませんし、専門用語も多くて、登場人物たちの名前や役職名なども少し憶え辛いというか、少し難しく思える部分もあるのですが、同じような未曽有の出来事でも、それが「ゴジラ」と異なるのは、「ヤハクィザシュニナ」が人と対話をすることができるというところなのかなと思います。「正解」のための「思考を続けること」と共に、相手に思いを伝えるための言葉をどのように使うかというような「コミュニケーション」の問題もこの作品のテーマの一つになっているのかなと思いました。

毎回の感想を書くことはできないかもしれないのですが、落ち着いた雰囲気で見やすいですし、録画をしつつ、展開が遅いような早いような「正解するカド」の不思議な物語の続きを、私ももう少し見ていこうと思います。

映画「クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃」

テレビ朝日の「ドラえもん クレヨンしんちゃん 春だ!アニメだ! 3時間アニメ祭り」の中で地上波初放送された映画「クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃」を見ました。

2016年の4月に公開された映画です。第24作目の「クレヨンしんちゃん」の映画だそうです。「地上波初放送」と書かれていましたが「ノーカット放送」とは書かれていなかったので、昨夜の映画は「ノーカット放送」ではなかったのかもしれません。

私は昨年にこの映画の予告編を見た時、夢がテーマになっているというのを面白そうに思え、また脚本が劇団ひとりさんだと知って、どのような「クレヨンしんちゃん」になっているのだろうと少し気になっていたので、放送されると知って見るのを少し楽しみにしていました。

巨大な魚に飲み込まれる夢を見た春日部市民たちが悪夢にうなされるようになった頃、ふたば幼稚園に春日部に引っ越してきたばかりの貫庭玉サキ(ぬばたまさき、声・川田妙子さん)という少女が転入してくるのですが、サキは幼稚園の誰とも友達になろうとはしませんでした。夜の夢の中では自由に夢を叶えることができるため、大人も子供も自分の夢を楽しむようになっていたのですが、大原ななこや水着の女性たちと遊ぶ夢を見る野原しんのすけ(声・矢島晶子さん)やアイドルになる夢を見る桜田ネネ(声・林玉緒さん)や漫画家になる夢を見る佐藤マサオ(声・一龍斎貞友さん)や石そのものになる夢を見るボーちゃん(声・佐藤智恵さん)と同じ夢の中で選挙に出馬する夢を見ていた風間トオル(声・真柴摩利さん)は、みんなの夢が何者かに吸い取られているのを目撃し、さらにその夢の中にサキがいないことに気付き、ねねちゃんの説得によりカスカベ防衛隊の一員になったサキが春日部市民の悪夢に関係しているのではないかと考えるようになりました。

春日部市民の悪夢は、母親のサユリ(吉瀬美智子さん)を事故で亡くしてから毎晩悪夢にうなされるようになったサキのために、サキの父親で夢研究者の貫庭玉夢彦(安田顕さん)が開発した他人の夢の力を吸い取る機械によって引き起こされていました。夢彦は、娘を救うため、娘の悪夢を人々から奪った楽しい夢の力(ユメルギー)で緩和しようとしていたのでした。そのことに気付いたネネちゃんもマサオくんもボーちゃんも風間くんも次第に悪夢にうなされるようになり、絶対に嫌いにならないと約束したサキから離れて行ったのですが、いつも一人でいるサキが寂しそうなことを気にしていたしんのすけは、サキから事情を聞いてサキが母親からお守りとして渡されたぬいぐるみの「獏」に悪夢を食べてもらうことを思い付き、野原みさえ(声・ならはしみきさん)と野原ひろし(声・藤原啓治さん)が夢の中の夢彦の行動を抑えている間、妹のひまわり(声・こおろぎさとみさん)や白馬のようになった犬のシロと一緒に獏を探しに行くことにしました。

母親の死にショックを受けたサキは、自分がバカだったせいで母親は死んだと思い込み、自分を恨んでいるであろう母親の幽霊の悪夢に苦しんでいました。しんのすけたちと友達になり、その夢を奪い続けることに心を痛めるようになったサキは、父親の発明した装置を破壊し、意識を失って悪夢の世界に閉じ込められました。装置がなくても深いところでつながっている無意識でサキと同じ夢を見ることができると信じるしんのすけは、そのことを夢彦に訴え、そして、カスカベ防衛隊のねねちゃんとマサオくんとボーちゃんと風間くんと同時に眠り、サキと同じ夢の中に入って、サキを悪夢から救おうと奔走するのでした。

原作は臼井儀人さんの漫画『クレヨンしんちゃん』です。脚本は劇団ひとりさんと高橋渉さん、監督は高橋渉さんでした。

このような映画だったように思うのですが、とても面白かったです。私は「クレヨンしんちゃん」の映画を全て見ているというわけではなく、見たり見なかったりしているのですが、昔の「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」を好きな私としては、今回の「爆睡!ユメミーワールド大突撃」も良くできた「クレヨンしんちゃん」の映画だったように思いました。

貫庭玉サキの名字の「ぬばたま」は「夜」の枕詞ですが、夢が舞台の物語になっていたのも良かったですし、それが最終的にいわゆる“夢落ち”などにはならず、サキちゃんの現実を変えることで、サキちゃんが自らの悪夢(マイナス思考や負の感情)を消滅させることなくそれと上手く付き合いながら前向きに生きていくことができるようになっていくというところも良かったです。現実と夢と意識と無意識の話が、自然に展開しているように思いました。

もしも私が幼稚園生や小学生の頃に見ていたなら、映画「ドラえもん のび太の魔界大冒険」のメジューサ(リメイク作品の「のび太の新魔界大冒険~7人の魔法使い~」では美夜子さんの母親の魂だったという謎の設定に変わっていましたが)のようなサキちゃんのお母さんの幽霊の悪夢の場面はトラウマになったかもしれないとも思えたのですが、そのような場面のある作品のほうが心に残る作品になるようにも思います。

親子愛や兄弟愛や友情は、「クレヨンしんちゃん」には毎回描かれている要素だと思うのですが、今回の作品の中でも、父親が子供を守ろうとする愛情と母親が子供を守ろうとする愛情とが、丁寧に描かれていました。母親が死んだのはバカだった自分のせいだ、母親は自分を恨んでいるはずだと思い込んで苦しんでいたサキちゃんの悪夢に入ったみさえさんが、あなたは私の夢なのだと、亡くなったサユリさんに代わって母親の子供への思いを伝えていた場面もとても良かったです。

夢には、眠っている間に見るようなタイプの夢と、将来の希望としての夢とがありますが、今回の映画ではその両方の「夢」が扱われていました。理想の夢の場面も楽しく思えたのですが、アイドルになって「グッド・ナイト・ベイビー」という昔の歌を歌うネネちゃんが熱愛発覚を疑うファンに脅かされるようになったり、売れっ子漫画家になったマサオくんが編集者に追い詰められるようになったり、ボーちゃんが犬の散歩コースの道端の石ころになったり、立候補して選挙カーで演説をしていた風間くんが選挙に出馬できるのは25歳になってからだと母親に叱られて叩かれたりという、夢が現実に潰されていく場面も面白く思えました。単純に話として面白いということでもあるのですが、大人の作った現実が子供の夢を少しずつ潰していく、子供の夢の芽を少しずつ摘んでいくというようなことは実際にもあることのように思えて、それをこの映画の中で描いているということが、何というか、誠実であるようにも思えました。

「クレヨンしんちゃん」の映画には著名人がそのまま登場しているということもよくあるように思いますが、この映画には、元カリスマホストの城咲仁さんや俳優の大和田獏さんや芸人のとにかく明るい安村さんが登場していました。例えばその時人気の芸人さんが登場する場合、数年後にこの映画を見た人がその人を見て誰だか分からないようになったらどうするのだろうということを、私は勝手に少し心配に思えてしまうところがあるのですが、この映画の中のとにかく明るい安村さんの場面は、とにかく明るい安村さんだということを知らない人が見たとしても、映画の中のしんちゃんが怯えていたように、悪夢的だろうと思いました。

映画の物語が子供向けに作られ過ぎていないようなところも良かったのだと思いますし、感動の押し売りというか、登場人物がやたらに泣くタイプの「“泣ける”映画」という雰囲気になっていなかったところも、私としては好きでした。コメディーとシリアスのバランスが良く、しかも全体的にはシンプルで、優しくて、すっきりとした気持ちで見終えることができました。

自分自身の夢の大きさが玉のように目に見える形になって現れるというのも、面白いなと思いました。現実的ではない夢でも良いのなら、私の夢も?ユメミーワールドでは少しは大きめの玉として現れるかもしれません。

手書きのような線の絵の雰囲気も良かったですし、オープニングの粘土のアニメもかわいかったです。エンディングテーマのメツメイシの「友よ ~ この先もずっと…」という曲も、映画に合っているように思えて良かったです。最後、カスカベ防衛隊の一員になったサキちゃんは、大学で夢の研究を続けることになった父親の関係で外国に渡っていたのですが、父親と一緒に元気に暮らしているようで、映画の中のことなのですが、ほっとしました。

映画「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」がとても良いので、その作品と「クレヨンしんちゃん」の他の作品とをつい比べてしまうのですが、夢の話だった「ユメミーワールド」も良かったように思います。私には何となく無くても良いように思えるギャグの部分もあったのですが、サキちゃんの個性も良かったですし、父と娘の話というのも「クレヨンしんちゃん」としては新鮮な印象でしたし、ともかく、最後まで楽しく見ることができて良かったです。
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