「ハガネの女 season2」第2話

テレビ朝日の「ハガネの女 season2」の第2話を見ました。

4年3組の担任だった芳賀稲子(通称ハガネ、吉瀬美智子さん)は、新年度から4年4組の担任になることが決まり、今度5年生になる4年3組のみんなはがっかりしていました。ハガネは、5年生になってもタオ(黒崎レイナさん)のことは忘れないでねと言っていて、みんなはタオの机を見ていました。みんなは納得して5年生になったようです。

学年主任の先崎徹(設楽統さん)も、藤間真理子(清水ミチコさん)も4年生の先生のままのようでした。新しい校長先生の野村敏之(高橋克実さん)は、穏やかで冷静な人という感じでした。養護教諭でスクールカウンセラーの上川俊一(片岡愛之助さん)は、悪い人ではなさそうで、ハガネがアスペルガー症候群のことを本で読み込んでいたことを知ってよく勉強しているとは言っていましたが、あまり熱心な人ではない様子でした。新任の先生でハガネのクラスの副担任になった水嶋恭平(斎藤工さん)は、表面的には冷静な様子を見せているのですが、校舎の裏で隠れてタバコを吸うような無責任で卑怯なところのある人で、小火騒ぎを起こしたのは自分のタバコの火が原因なのに、小火を見て慌てて消火器の騒ぎを起こしたアスペルガー症候群の真壁友喜(浦上晟周さん)を恨んで、とても疎ましく思うようになったようで、最後の廊下の窓ガラスを叩いて校庭の友喜君を睨んでいるところはとても怖かったです。

第2話は、隣の水河小学校が分割統合されたことで、愛河小学校の児童たちと転入組の水川小学校の児童たちの間に溝ができていて、愛河小学校の明石翔太(芦田翔悟さん)たちが水川小学校から来たアスペルガー症候群の真壁友喜(浦上晟周さん)の態度を疎ましく思い、学校から追い出そうとする話でした。

友喜君の母親の笑美子(紺野まひるさん)は穏やかな人で、野元はるかの母親(佐藤藍子さん)たちの言い分にも理解を示し、息子が友達に疎まれる姿を見たくないと、息子が学校に残るかどうかを生徒達による多数決で決めるという案を勧めていました。

友喜君はとても感受性の豊かな人で、ある日母親が家を出て行ってしまった幼馴染の浅野夏希(鍋本凪々美さん)が学校内で荒れていたのを救った唯一のクラスメイトだったようで、夏希ちゃんは、それ以来ずっと友喜君を守っているようでした。大縄跳びで飛ぶタイミングが掴めない友喜君が縄跳びの練習をしているのを手伝っていたのですが、友喜さえいれば良い、学校が変わってもずっと友達でいようと伝えていたのがとても良かったです。

夏希ちゃんの母親になろうとしているハガネの教え子の西堀マナ(有村架純さん)が夏希ちゃんが好きなロールキャベツ?を作り、母親の思い出の味を作るのは無神経だとハガネに言われていたのですが、もっともだなと思いました。でも、ハガネはまだマナさんの再婚相手の子供が夏希ちゃんだとは知らないようでした。

小学校の“お受験”に失敗してしまったらしい二宮敦子(澤田真里愛さん)は、公立小学校のクラスの人たちと馴染まないようにしていたようなのですが、ある日、塾のテストの成績が良かった嬉しさから、私立の小学校に通っている同じ塾の杏里ちゃん(松田亜美さん)に、杏里の学校は思ったよりハードルが低そうだから一緒に通えることになるかもしれないというようなことを言って杏里さんたちを怒らせてしまい、別の学校の人とは友達ではいられないと言われて絶交されてしまったようでした。

その帰り道で夏希ちゃんと友喜君が学校が変わってもずっと友達だと言っているのを物陰から聞いていて、次の日の友喜君のことを多数決で決める時、黒板に児童が一人ずつ「正」の字を書いて投票していたのですが、最後の番だった敦子ちゃんが友喜君を残したいというほうに投票したため、夏希ちゃんはほっとしていました。敦子ちゃんの雰囲気ではどちらに投票するか分からなかったので、見ていてどうなるのだろうと思っていたのですが、敦子ちゃんは夏希ちゃんと友喜君の会話を良く思っていてくれたようです。

最後の水嶋先生の場面も怖かったのですが、いじめっ子の中心人物のように思えた翔太君も、別の仲間の指示に従って動いている人のようでした。

私は、齋藤隆成さんが光君を演じていた日本テレビのドラマ「光とともに…」を好きで見ていました。光君の自閉症と、友喜君のアスペルガー症候群は、また少し違うのだろうということは分かりますが、私も詳しくは分かりません。友喜君を守りたい夏希ちゃんは、友喜君が障害であることも認めてはいない、あるいは認めたくない様子でした。友喜君がどのように思われるのかを心配する夏希ちゃんの意向に反して、友喜君に残ってもらいたいハガネが友喜君は「アスペルガー症候群」であるとクラスの人に公表してしまったことを夏希ちゃんは怒っていましたが、ハガネがアスペルガー症候群の場合はコミュニケーションを取るのが他の人よりも難しいとしながらも、友喜君は大切な人の気持ちをよく分かっていると話すのを聞いて、ハガネのことを少し見直したようでもありました。

多数決で一人の児童の通学や退学を決めることは、普通にはないことだと思いますが、今回のドラマの場合は、多数決にすることによってクラスの人たちの気持ちがそれぞれの目の前ではっきりしたのではないかと思います。敦子ちゃんが最後に投票していたのも、もしかしたら敦子ちゃんと夏希ちゃんの友情にもつながっていくかもしれないと思えました。

校長先生は、半分の児童が友喜君を歓迎していることよりも、半分の児童が反対していることに気を止めなくてはいけないことをハガネに伝えていました。まだ問題は続くのだろうと思います。最後はみんな穏やかに過ごすことができるようになるとは思うのですが、今はまだ小学校サスペンスドラマという雰囲気です。

「若冲ミラクルワールド」第4回

NHKのBSプレミアムの「若冲ミラクルワールド」の第4回「黒の革命 水墨画の挑戦者」を見ました。全4回のシリーズだったので、昨日の放送が最終回でした。昨日は夜の8時からの放送だったので、7時半からの「美の壺」の日本のタイルの話から続けて録画しておいたものを見たのですが、今回もとても良かったです。

ナビゲーターの大野智さんは、京都に来ていて、細見美術館の和室で伊藤若冲の「群鶏図押絵貼図屏風」を直接見て感激して、鶏に動きがあってすごいとか完璧だとか言いながら見ていたのですが、少ししてそのすごさに驚いて笑ってしまうという感じでとても楽しそうで、水墨画はかっこいいと話していました。

若冲が描いた京都の鹿苑寺(金閣寺)の大書院の障壁画を私は直接見たことがないのですが、今その障壁画は相国寺の承天閣美術館に収められているようです。番組ではテレビ初公開というその若冲の障壁画を紹介していたのですが、とても斬新で美しい障壁画で、驚きました。

水墨画で描かれた大書院の障壁画50面は、狭屋の間の「竹図」、四の間の「菊鶏図」、「秋海棠図」、「双鶏図」、三の間の「月夜芭蕉図」、「芭蕉叭々鳥図」、二の間の「松鶴図」、一の間の「葡萄図」、「葡萄小禽図」でした。「月夜芭蕉図」と「葡萄小禽図」は床の間の壁に描かれ、他のものは襖絵でした。

当時中国から入ってきたばかりの秋海棠(シュウカイドウ)や芭蕉の葉など、異国の雰囲気のあるものが和室の障壁画として描かれるというのはとても珍しいことなのだそうです。

専門家の方によると、この作品群は「満月」に貫かれているということでした。「月夜芭蕉図」に描かれている満月の光が大書院の5部屋を照らしているのだそうです。竹の葉が短くて黒い逆三角形だということも、言われてみれば確かに不思議な描き方のように思えたのですが、『月光浴』の写真家の石川賢治さんの話しによると、月の光と考えるととても写実的な描き方をしているということでした。月の光は、太陽の光の46万5千分の1というとても弱い光で、その光に照らされたものは逆光になると黒いシルエットとして見えるのですが、番組で行っていた実験で照らされた竹の葉が若冲の「竹図」の竹の葉のように本当に黒い逆三角形に見えていたので驚きました。細長い葉の少し下がった先の部分だけが逆光になり、光の当たっているところは白く反射していました。

CGで大書院を再現していたのですが、月の光の影響を検証するために透かしていたのが分かりやすくて良かったです。葡萄の実の色の濃さが襖絵と床の間の絵で違っていたのも、「月夜芭蕉図」の満月の光が正面から当たっているか、裏側から当たっているかで描き分けられていたのだと分かり、本当にすごいなと思いました。「松鶴図」の鶴も満月を見上げていて、若冲が夜の世界で活動している鳥を描いたことは、満月の光は本当にありがたいものだということを表現したものだということでした。大書院の障壁画は、「月の光に祝福される生き物の世界」ということでした。全てのものに降り注ぐ月の光で、仏の慈悲を表したのだそうです。

細見美術館の館長さんに案内してもらっていた大野さんは、展示室の「花鳥図押絵貼図屏風」を見てまた感動していました。そして、筋目描きの技法で描かれている菊の花や、「虻に双鶏図」の鶏のふわっとした羽を見て、手触りが伝わってくるということを話していました。

水墨画家の藤原六間堂さんが若冲の筋目描きの技法を再現して見せてくれていたのですが、とても難しくてすぐに描けるものではないということでした。筋目描きの原理は、解説によると墨の粒子が紙の隙間に染み込んでいくことを利用したものだったのですが、若冲はこれを偶然発見したのでしょうか。若冲が筋目描きで描く時に使用していた紙は、和紙ではなく、中国の「宣紙」という紙でした。和紙よりも繊維が細く、目が詰まっているのだそうで、墨の染み方も和紙より遅く、和紙に付いた墨は同じ濃さで染みるのに対して、宣紙に付いた墨は次第に薄くなっていました。若冲は、この紙の特徴を活かし、筋目描きの技法を使って描いていたのですが、同じスピードと濃さで、イメージだけを頼りに、迷わずに一気に描かなくてはいけないそうで、それがとても難しいようです。私はまだ直接見たことがないのですが、紹介されていた「雨龍図」や「霊亀図」、「出山釈迦図」の技法を見て、凝っているなと思いました。

さらに、とても美しかったのは、「乗興舟(じょうきょうしゅう)」という版画作品でした。京都から大阪まで、淀川を舟で下る時に見える春の風景を描いた版画だそうです。私は見たことがなかったので、とても驚きました。上半分の空というか、背景が本当に真っ黒で、下半分の側に描かれた山や家や鳥などの風景は白く縁取られた金色のような色の作品で、とてもくっきりとしていて鮮やかでした。風景の部分が私には金色に見えたのですが、その部分が何の素材なのかの説明はなかったので、それについてはよく分かりませんでした。でも、最初に「乗興舟」を見た時に、真っ黒とグラデーションの細かい金色に見えたので、蒔絵のようだなとも思いました。本当に黒漆のような深い黒色でした。

若冲の復刻版木を使用して若冲版画を作っている方に話を聞いていたのですが、若冲の版画は「正面刷り」と呼ばれるもので、浮世絵のように木目の出ない技法なのだそうです。版木の表面に糊を塗って、その上に白い紙を置いて、彫ってある模様のところに沿ってへらで紙を押していました。それからタンポという綿を包んだ道具で墨を置いていくのですが、今の墨では若冲の頃のようにきれいな黒の色が出ないのだそうで、墨会社の人たちと協力して、当時のニカワの原料の鹿の皮と牛の皮と魚の皮を使い、どれが良いのか試していました。番組の中では、鹿のニカワの墨を使うとむらが少ないということ以上にはまだよく分からなかったようだったのですが、本物の当時の若冲の版画が残されているのなら、『動植綵絵』の絵の具の成分を分析した時のように、最新の機器を使ってその墨の成分を分析すれば良いのではないかとも思いました。

いろいろな野菜を「涅槃図」に見立てて描いた「果蔬涅槃図」を大野さんに紹介していた同志社大学の狩野博幸さんは、若冲には精神の自由がある、若冲の絵を見ていると精神が軽くなってくると楽しそうに話していました。若冲は枯れるということがないのだそうです。中央の白い大根がお釈迦様なのですが、大根はどこを切っても白いということで、昔から仏性を表しているのだそうです。一見すると、とてもかわいい絵なのですが、真面目な作品なのかもしれないと思いました。

1877年、若冲が73歳の時、天明の大火が起きて京都の大部分が焼かれてしまい、若冲の家も失われてしまったそうで、その後、大阪の西福寺に行ったそうです。西福寺には「仙人掌群鶏図」という襖絵があり、狩野博幸さんが見に来ていました。サボテンの下で鶏の親子が遊んでいる風景の絵でした。その隣の「蓮池図」を、狩野さんは晩年の若冲の寂しい心境を表したものだと以前は思っていたそうなのですが、最近、朽ちていく蓮の葉の後ろに伸びている純白のつぼみに注目し、生命力を感じさせる絵だと思うようになったそうです。「京都がんばろう」という意味かもしれないということでした。

点描画の灯籠がたくさん描かれている「石灯籠図屏風」も、「象と鯨図屏風」も不思議な作品だなと思います。でも、狩野さんが話していたように、85歳で亡くなるまで自由に絵を描き続けていて、ずっと枯れない人だったのだろうなと思いました。

最後に大野さんは、4回のシリーズで若冲の作品を見てきてより謎が深まった、知れば知るほどどんどん謎が増えていき、本当の若冲の正体、若冲の顔はどれなのか、より謎が深まると話していました。この4回をきっかけにまだ見ていない作品を見ようと思うと言った後、見ればまた若冲の謎が深まるのだろうと話していました。私にも本当に謎の人物のように思えます。鋭い観察眼を持っていたり、いろいろ技法を編み出したりしていたので、若冲はレオナルド・ダ・ヴィンチのようだなとも思いました。

先日の「徹子の部屋」の35周年記念スペシャルの中で、嵐の5人が即席の徹子の部屋に来ていた時にも、端に座っていた大野さんは徹子さんから静かにしていると言われていましたが、普段の番組ではあまり話をしていない雰囲気の大野さんが今回のNHKの番組の中ではとても楽しそうで、嬉しそうに若冲の絵をよく見ていて、大野さんの感動がよく伝わってきたことも楽しかったです。とても良いナビゲーターでした。大野さんと対談していた解説の先生たちも楽しそうに熱心に話をしていて、若冲がとても好きだという感じが伝わってきて良かったです。やはり本当に好きな方による解説は面白いのだと思いました。

第3回で、韓国の「紙織画」のことを知ることができたのも良かったです。紙織画というのは、絵を描いた竹の繊維の紙を数ミリの幅で横に切って、白い紙を間に入れて織物のように織っていく作品なのですが、全体的に白色がかり、少し立体的になるのが特徴だそうです。一度は衰退してしまっていたその紙織画を復活させている人がいるそうで、すごいなと思いました。

「若冲ミラクルワールド」の4回シリーズは丁寧な構成で、とても面白かったです。さすがはNHKだなと思いました。

「若冲ミラクルワールド」第3回

昨日は、モスクワで開催されることになった世界フィギュア選手権の男子シングルのショートプログラムのフジテレビでの放送もあったのですが、放送時間にはNHKのBSプレミアムの「若冲ミラクルワールド」の第3回「千年先を見つめた絵師 ボーダーレスJAKUCHU」を見ることにしました。

第3回は、桝目描きの技法で描かれた『鳥獣花木図屏風』と、香川の金刀比羅宮の奥書院の上段の間の「花丸図」と、プルシアンブルーを使用した「群魚図」についての話でした。今回も面白かったです。

六曲一双の『鳥獣花木図屏風』を見せてもらうため、「エツコ&ジョー・プライスコレクション」で有名なアメリカのカリフォルニア州に住んでいる江戸絵画のコレクターのジョー・プライスさんの邸宅を訪問していたのですが、その家の造りもとても斬新で不思議な雰囲気で、面白そうなお宅でした。

プライスさんは、『鳥獣花木図屏風』の周囲の文様は何を表しているのか気になっていたのですが、それはペルシャ絨毯の「ボーダー」と呼ばれる枠のようになっている部分の模様だということでした。埼玉の遠山記念館というところには『鳥獣花木図屏風』の文様と同じ文様の絨毯があり、黄色と緑色までそっくりでした。若冲はこの絨毯を見たのでしょうか。私は、畳の縁や表具などでもこのような周囲を囲っている文様をよく見るような気がして、『鳥獣花木図屏風』の周囲の文様もそのようなものかなと漠然と思っていたのですが、間違っていたようです。

『鳥獣花木図屏風』には約1cm四方の桝目が8万6千個並んでいるというそうです。桝目描きの技法は若冲が開発したそうなのですが、その後誰にも受け継がれなかったのでしょうか。たくさんの植物や動物や鳥たちが描かれているのですが、その半分以上は日本にいない生き物で、想像上の動物も含まれていました。海の中にいた白い生き物は、私はアシカやアザラシかなと思っていたのですが、セイウチだそうです。セイウチを「海馬」と書くことから想像で海の中に馬を描いたのではないかということでした。平賀源内の『物類品隲』や木村蒹葭堂の本にはいろいろな動物が描かれているようで、若冲が実際に見たことがあっても見たことがなくても、想像上の生き物も含めて、興味を持った世界中の動物を描いて見ようと思ってそうしたことは、すごいことだなと思いました。

番組の中で、『鳥獣花木図屏風』を見た方がキリスト教の聖書の「ノアの箱舟」を思い出すと話していましたが、この作品はいろいろな生き物が平和的に存在している“楽園”を表しているのだそうです。ペルシャ絨毯に草花が描かれるのも、乾燥地帯のイランにとって、花が咲き誇っている場所が理想の楽園だからなのだそうです。

金刀比羅宮の「花丸図」は、植物の枝を切り取ったように描く切枝画で描かれているのですが、それは元々は中国の技法だそうで、若冲は当時最先端だった中国の絵師を超えようと努力していたそうです。きれいに咲いている花と朽ちている葉を一緒に描いているところが、中国の絵とは違うのだそうです。「花丸図」の「丸」は、部屋全体が花に囲まれているという意味でしょうか。この絵も丁寧に描かれていて、図鑑のように何属何科の花だということが分かるのだろうなと思いました。

家が青物問屋だった若冲は、家督を弟に譲って隠居した後も町と関わり続けていて、50代の頃には町内会長のようなことをしていて、商売敵とつながっていた役人に潰されそうになった自分たちの青物市場の商店街を、取引先の農家に頼んで署名活動のようなことをして守り通したという話も良かったです。行動力があって粘り強い、気骨のある人だったそうです。

数年前、「群魚図」の左下のルリハタという魚にプルシアンブルーが使われているということが発見され、新聞にも記事が載っていました。葛飾北斎の『富嶽三十六景』にもプルシアンブルーが使われているのですが、若冲のルリハタの青の中に発見されてからは、若冲が最初に使ったのかもしれないということになっているようです。「群魚図」を描く3年ほど前にこの絵の具が日本に入ってきたそうで、当時はペンキのように積荷のしるしとして使われていたそうなのですが、日本人はその青い色に衝撃を受けたそうです。「群魚図」では、大きな赤い鯛のすぐ近くに紺青のルリハタを描くことで対比になっていて、下側に描いたのは、掛け軸を飾る人の目に付きやすいからだそうです。そのようなことまで計算して描いているのだなと思い、驚きました。

プライスさんが発見したことによると、『鳥獣花木図屏風』の左隻の一番左側の黒いムクドリモドキという鳥に光を当てると色が変わるということで、その検証をしていたのですが、強い照明を当てると羽の部分の枡の中に白色のような灰色のような枠ができて、全体的に少し青くなりました。メトロポリタン美術館の方が顕微鏡カメラで調べたところ、羽の黒い枡には3重に色が付けられていて、一枡の一番下に黒を塗り、次に少し小さい四角で黒い漆を塗り、最後にさらに小さい四角で青を塗っていることが分かったそうです。色が変わったのは、その漆の部分が強い光を受けて反射していたためでした。

私も以前、若冲の展覧会で直接見ることができて、今までに見たことのない絵に圧倒されたのですが、たくさんのお客さんが来ていたので、近くでじっくり見るということはできませんでした。でも、少しの時間でも見ることができて、とても嬉しかったです。

伊藤若冲は「千載具眼の徒を竢つ(まつ)」という言葉を残していて、それは、千年後に自分の絵をよく理解する人が現れるだろうというような意味だそうです。すごい言葉です。美術史家の山下裕二さんからこの言葉を聞いた大野さんは、「かっこいいなあ」と感動した様子で言っていました。若冲が『鳥獣花木図屏風』を描いてから250年ほど経っているそうですが、これから長い間にも本当にまたいろいろな隠されているかもしれない若冲の技法が発見されるのかもしれないと思いました。

「若冲ミラクルワールド」第2回

NHKのBSプレミアムの「若冲ミラクルワールド」の第2回「命のクリエイター 超細密画の謎」を見ました。昨日も放送時間に見ることができました。

第2回は、前半は『動植綵絵』の「群鶏図」や「棕櫚雄鶏図」や「芙蓉双鶏図」や「南天雄鶏図」など、主に鶏の絵師としての若冲の話をしていて、後半は「群魚図」や「貝甲図」や「薔薇小禽図」や「菊花流水図」などを見ながら、ユーモラスで仏教への厚い信仰心のある若冲の話をしていました。今回も良かったです。

13羽の鶏が描かれている「群鶏図」には確かに遠近感がないのですが、手前の鶏から一番奥の鶏までは本当は数メートルあるのだそうです。番組では同じ大きさの鶏のパネルを一定の幅ごとに後ろに並べるとカメラにはどう写るかの実験していて、35mmのレンズで写すと一番遠くの奥のパネルが小さくなったのですが、200mmの望遠レンズを使って写すとほとんど同じ大きさに写っていて、驚きました。映画などではこの手法が使われているのだそうですが、若冲もこの手法で描いていたのでしょうか。

写真家の岩合光昭さんが観賞用の鶏を育てている方の家を訪れて、若冲が好きだった鶏の姿を撮影していたのですが、岩合さんは鶏を撮影するの初めてだったそうで、素早い動きの鶏を最初はなかなか若冲の絵のように写すことができなかったそうです。でも、少しして鶏に近づいて撮影すると、若冲の絵のような鶏の鮮やかな姿を写すことができていました。近づいて見れば見るほど、鶏はミステリアスで惹き込まれるそうです。私は小学校の頃に鶏の世話をしていたことがありますが、鶏を特にミステリアスな存在だと思ったことはなかったので、面白いなと思いました。もしかすると、今もう一度よく鶏を観察したなら、私にもそう思うことができるかもしれません。

「棕櫚雄鶏図」についても鶏を育てている方に話を聞いていたのですが、首の羽が広がっている白い鶏のほうが先に威嚇していて、今にも飛び掛る状態なのだそうです。

鶏を育てている別の方が、昔「芙蓉双鶏図」のように頭を足の間から出すという不思議な姿勢の鶏を見たことがあるそうで、昔の鶏は放し飼いにされていて今よりずっと自由だったからのびのびといろいろなことをして遊んでいたのだろうというようなことを話していたのが面白かったです。東京藝術大学の美術解剖学の布施英利さんによると、鶏の骨格上は問題のない姿勢だそうです。若冲もきっと実際に見たのだろうと思います。

「貝甲図」の中には海の深いところに生息しているアッキガイやリンボウガイという貝もあるそうで、それは若冲の友人の木村蒹葭堂のコレクターを見せてもらったのではないかということでした。木村蒹葭堂の七段の重箱には、たくさんのきれいな貝殻が丁寧に収められていました。若冲の絵のアッキガイやリンボウガイも入っていたのですが、絵を見て思っていた大きさよりも小さい貝殻でした。

ナビゲーターの大野智さんがスタジオに放されていた本物の鶏を抱えて、「群鶏図」の鶏と見比べていたのが面白かったです。大野さんと日本美術史家の辻惟雄さんは、若冲の絵はユーモラスで面白い、多くの人に知ってほしいと話していました。「紅葉小禽図」の枝の丸くなっているところは、辻さんによると、縁起が良いということで描かれたものだそうです。

私は見に行くことができなかったのですが、数年前、足利義満の600年忌記念で、京都の相国寺の承天閣美術館では約120年ぶりに『釈迦三尊像』と『動植綵絵』を一緒に見ることができるという伊藤若冲の展覧会を開催していました。『動植綵絵』は、廃仏毀釈運動で相国寺の存続が危なくなったために、皇室に献上することになったものだそうで、元々は全33幅の作品ということでした。

辻さんは、『動植綵絵』は伝統的な花鳥画でもあるけれど、仏画としての花鳥画であり、曼荼羅だと話していました。番組では当時の相国寺に並べられていた様子をCGで再現していました。大野さんは、『動植綵絵』にむらがないのは、全てのものを仏として描いていたからなのですねと辻さんに話していました。若冲は禅の修行僧という意味で「若冲居士」と名前を書いていて、辻さんは「草木国土悉皆成仏」の言葉を挙げていました。若冲は全ての生物や無生物の自然な姿を仏として見て描いていたから、全ての部分に集中力を切らすことなく、ぶれることなく、細かく丁寧に描いたのだということがよく分かりました。絵を描くのが好きということ以上に、そのような気持ちで描いていたことが、『動植綵絵』を圧倒的なものにしているのだと思いました。

「グッドライフ」第2話

フジテレビの「グッドライフ」の第2話を見ました。第1話を見ることができたので第2話も見てみたのですが、今回も意外と良かったです。

今回は、澤本羽雲(加部亜門さん)の膝の違和感の訴えが気になっていた医師の円山湊人(伊原剛志さん)が採血して再検査をした結果、羽雲君は急性リンパ性白血病を患っていることが分かり、息子と向き合おうとして来なかった新聞記者で父親の澤本大地(反町隆史さん)は、離婚したいと言って家を出て行った元キュレーターで妻の華織(井川遥さん)に息子の病気のことを伝えるのを止め、自分一人で息子の看病をし、二人で病気と闘うことを決意するという話でした。

華織さんは、羽雲君が「ぺーせん」と呼ぶ美術大学教授で子供のためのワークショップを開いている雪村慎平(鹿賀丈史さん)と仲良くしていて、羽雲君が白血病だと知った大地さんは、羽雲君のために母親にも知らせようと、新聞記者らしく華織さんのいそうな美術館などに片っ端から電話をして華織さんの居場所を探し出していたのですが、香織さんがぺーせんさんと楽しそうに話しているのを見て引き返していました。

母親もいなくなり、父親も仕事で忙しくしている中で痛い検査を受け続けていた羽雲君は、同じ病室の藤本太陽(小山颯さん)に連れて行かれた病院の産科の生まれたばかりの赤ちゃんがずらりと並んでいる部屋に、夜、再び一人で行っていて、探しに来た丸山医師と父親に、もう一度ママのお腹の中に戻るにはどうすればいいのと訊いていて、今度生まれたら良い子になりたいと話していました。羽雲君は、自分が病気になったのは、母親に大嫌いと言ったことや、母親が一生懸命作ってくれた料理の中の苦手なグリーンピースを密かにトイレに捨てていたことなどが原因だと思ったようで、そのことを謝って泣いていました。見ていて少し辛かったのですが、良い場面でした。

病室に戻り母親は戻ってこないことを話した大地さんが、わっくんが病気になったのはわっくんのせいではないことを伝えるために、わっくんが月にいると信じている“うさぎ仙人”に会いに行ったと言い出し、うさぎ仙人もグリーンピースはこっそり捨てるそうだと話していたのが何だか面白かったです。

大地さんは、円山医師に言われたように、息子との時間を増やして向き合うことにしたようで、注射の時には羽雲君のそばにいるという約束も守っていました。最後、ずっと自分本位だった大地さんが円山医師にこれからお世話になりますの挨拶をしていたのも、父親としてしっかりして来た感じがして、良かったです。
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