映画「るろうに剣心 京都大火編」

昨夜、日本テレビの「金曜ロードSHOW!」で地上波初放送された映画「るろうに剣心 京都大火編」を見ました。本編ノーカットということで、夜9時から11時44分頃まで放送されていました。

原作は、和月伸宏さんの漫画『るろうに剣心』です。 中学生くらいの頃、同級生が持っていたその漫画の本を見せてもらったことがあるような気がするのですが、読んだというほどではないような気がします。

そのようなことも会って、2013年の頃に同じ「金曜ロードSHOW!」の枠で放送されていた映画「るろうに剣心」(第一作)を見た時は、私にはその作品をあまり面白く思うことができませんでした。佐藤健さんの演じる緋村剣心の語尾の「ござる」も、奇妙に思えて気になってしまっていました。

でも、昨夜の「るろうに剣心 京都大火編」(第二作)は、今作から神木隆之介さんが出演しているのだなというくらいの気持ちで見始めたのですが、最初から最後まで面白く見ることができました。

この「るろうに剣心」の映画は「アクション映画」と言われていますが、前作の派手なアクション場面は、私には、アクション場面のためのアクション場面であるように見えていたというか、アクションがただのエンターテインメントの要素になっていたように思えていたというか、そのような印象だったのですが、今作のアクションの場面は、ちゃんと、と一視聴者の私が言ってはいけないのかもしれないのですが、この映画の物語の内容に必要なアクション場面になっていて、前作の時に思えたような不自然さもほとんどなく、人斬り抜刀斎だった頃の自分に戻ってしまうかもしれないことに悩みながら戦う剣心の殺陣のスピード感や迫力を、単純にかっこ良く思うことができました。

その他の主な登場人物は、神谷活心流の師範の神谷薫(武井咲さん)とその門下生の明神弥彦(大八木凱斗さん)と相楽左之助(青木崇高さん)、元新撰組三番隊組長で警官の斎藤一(江口洋介さん)、新政府の役人の大久保利通(宮沢和史さん)、剣心の「人斬り」としての後継者で自分を裏切った明治新政府の転覆と日本の支配を企てる志々雄真実(藤原竜也さん)、瀬田宗次郎(神木隆之介さん)、沢下条張(三浦涼介さん)、逆刃刀の一振を剣心に託した新井赤空(中村達也さん)、その息子の新井青空(渡辺大さん)、元お庭番(忍)の柏崎念至(田中泯さん)と巻町操(土屋太鳳さん)、お庭番の仲間たちを幕府側に殺されやり場のない怒りを幕末最強の剣士“人斬り抜刀斎”の緋村剣心に向ける四乃森蒼紫(伊勢谷友介さん)だったように思います。

佐藤健さんの剣心と神木隆之介さんの瀬田宗次郎、田中泯さんの翁・柏崎念至と伊勢谷友介さんの四乃森蒼紫の戦いの場面なども、とても緊迫感があって、緻密な感じがして、良かったです。

登場人物の名前が難しいところや、髪型や服装が少し奇妙なところなどは、漫画原作らしいところなのかなとも思うのですが、今回の物語自体は、もしかしたら起こり得たかもしれないもう一つの明治時代という感じがして、私にも面白く思えたのかもしれないなと思います。

江戸の徳川幕府が維新勢力に倒されて明治時代が作られた後、もしも、幕府側でも維新側でもない新団体が現れて、維新勢力側以上の武力で国を乗っ取るために明治新政府を倒そうとしていたなら、内戦は続き、この映画のような凄惨な出来事もあったのかもしれないなと思いました。

第二作も第一作と同じく、脚本は藤井清美さんと大友啓史さん、音楽は佐藤直紀さん、監督は大友啓史さんでした。

いわゆる「足手纏い」になってしまいそうな薫さんの場面にもそれほど無駄に思えてしまうようなところはなく、剣心の語尾の「ござる」の口調も、前作の時より少なかったのか、あまり気になりませんでしたし、次週に放送される予定(夜8時頃からだそうです)の続編の、映画第三作「るろうに剣心 伝説の最期編」も、楽しみにしていようと思います。

「釣りバカ日誌 ~新入社員 浜崎伝助~」第1話と第2話

テレビ東京の「金曜8時のドラマ」の「釣りバカ日誌 ~新入社員 浜崎伝助~」の初回2時間スペシャルの第1話と、第2話を見ました。

原作は、やまさき十三さんと北見けんいちさんの漫画『釣りバカ日誌』と『釣りバカ日誌番外編 新入社員 浜崎伝助』です。私は漫画は未読なのですが、松竹の映画の「釣りバカ日誌」のシリーズは面白いので好きでした。連続ドラマになると聞いた時は少し意外な感じがしたのですが、私も見るのを楽しみにしていました。

第1話は、面接時に釣りバカの強烈なインパクトを残して“新しい風”として大手の鈴木建設に入社し、営業三課の新入社員となった宮崎県出身の浜崎伝助(濱田岳さん)が、ぼろぼろの社長の鈴木一之助(スーさん、西田敏行さん)と出会って釣りを教えたり、秋田から東京へ出てきた小林みち子(広瀬アリスさん)と出会って魚料理の味に感動したり、スーさんとの因縁で釣りアレルギーになっていたもうすぐ定年の万年係長の朝本信一郎(武田鉄矢さん)とスーさんと釣り対決をしたりする話でした。

第2話は、鈴木建設が買い取ろうとしている土地の地主の阿久津熊吉(柄本明さん)との交渉に苦戦する課長の佐々木和男(吹越満さん)に付き合うことになったハマちゃんが、社長と平社員は仲良くなれないのではないかと気にして一方的に友情を断とうとするスーさんとケンカをしつつ、昔に家を出て行ったきり戻って来ない長男(森岡豊さん)の帰りを待っていた釣り好きの阿久津さんと奥多摩の渓流で岩魚釣り対決をする話でした。

脚本は佐藤久美子さん、監督は朝原雄三さんでした。音楽は信田かずおさん、主題歌はDISH//の「俺たちルーキーズ」という曲でした。

映画ではハマちゃんを西田敏行さんが演じ、スーさんを三國連太郎さんが演じ、胃薬を飲む佐々木課長を谷啓さんが演じていましたが、濱田岳さんの演じるハマちゃんも、西田敏行さんの演じるスーさんも、吹越満さんの演じる佐々木課長も、全く違和感なく、ドラマを見始めてすぐに馴染むことができました。特に第1話は、そのハマちゃんとスーさん、きたろうさんの演じる定食屋「かづさ屋」の店主の小林平太さん、武田鉄矢さんの演じる朝本係長の掛け合いや独り言や心の声が、とても面白かったです。スーさんと朝本係長の生き霊?が定食屋で言い合いをする場面の演出も斬新で楽しかったです。

「釣りバカ」らしく釣りの場面も多く、私は釣りのことを全く知らないのですが、ハマちゃんやスーさんの釣り好きの感じがよく伝わってくる感じがしました。

その他の主な登場人物は、ハマちゃんと同期の新入社員の魚住伸太郎(葉山奨之さん)、みち子さんのいとこの小林薫(田辺桃子さん)、スーさんの長男で社長と意見が合わない常務の鈴木昌之(駿河太郎さん)、ハマちゃんの母親で宮崎で文房具店を経営している浜崎とし子(榊原郁恵さん)、スーさんの妻の鈴木久江(市毛良枝さん)です。

スーさんを穏やかに諭す久江さんも、広瀬アリスさん演じるハマちゃんを殴る気の強いみち子さんも、良い感じに思えました。突然始まるみち子さんの魚料理のコーナーも、簡潔で楽しいです。

映画版も面白いけれど、今回の「釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~」のドラマは、映画版とは違う若いハマちゃんの楽しさや明るさがあるのだと思います。

昨夜の第2話はどちらかというと良い話で、先週の第1話のほうがコメディーの要素が強かったような気がするのですが、どちらにしても、安心して楽しむことのできるドラマになっているように思いました。毎回の感想を書くことができるかどうかは分からないのですが、これからの「釣りバカ日誌」のドラマも楽しみにして見ていこうと思います。

「ワンス・アポン・ア・タイム3」第3回

NHKのBSプレミアムの海外ドラマ「ワンス・アポン・ア・タイム3」の第3回を見ました。

第3回は、レジーナとティンカー・ベルの物語でした。

ネバーランドの森にいるエマ(ジェニファー・モリソンさん)たちは、地図を見ながら、ヘンリー(ジャレッド・ギルモアさん)の捕まっているピーター・パン(ロビー・ケイさん)のアジトを目指していたのですが、ピーターが移動を繰り返すため、地図上のアジトの位置はすぐに変わり、なかなかそこへたどり着くことができませんでした。

フック船長(コリン・オドナヒューさん)は、「ピクシーの粉」があればヘンリーを見つけることができるかもしれないと話し、ティンカー・ベルに協力してもらおうと考えていました。ドリームシェードの毒の矢が刺さったデヴィッド・ノーラン(ジョシュ・ダラスさん)の傷も、ピクシーの粉があれば治るだろうと考えていました。しかし、レジーナ(ラナ・パリーヤさん)は、ティンカー・ベルは自分たちには協力してくれないだろうと言い、ティンカー・ベルに頼むのなら「ヘンリー作戦」に自分はいないほうがいいとエマたちに話し、少し離れた場所で待つことにしていました。

エマたちがティンカー・ベルの家を探して森の奥へ出かけた後、レジーナの前にティンカー・ベル(ローズ・マクアイヴァーさん)が現れました。ティンカー・ベルは、あなたは失敗する、とピンク色の粉を振りかけてレジーナの気を失わせていました。

ティンカー・ベルとレジーナは、過去の魔法の森の世界で出会っていました。闇の王のルンペルシュティルツキン(ロバート・カーライルさん)に取りつかれていた女王のレジーナは、亡くなった妻と娘の白雪姫のことばかりの国王と結婚したことを後悔し、自由を望んでいました。全てが嫌になっていたレジーナは、お城のバルコニーの柵が外れた拍子にそこから転落してしまったのですが、その時、緑色の光に包まれ、宙に浮き上がって助かったのでした。レジーナを助けたのは、妖精のティンカー・ベルでした。

ティンカー・ベルと仲良くなったレジーナは、婚約者を死なせた白雪姫への愚痴などをこぼしていたのですが、レジーナの話を聞いていたティンカー・ベルは、あなたに必要なのは愛だと言って、二人目の運命の人を見つけることを勧めていました。

ティンカー・ベルは、レジーナを救うために、ブルーフェアリーに黙ってピクシーの粉を持ち出し、レジーナに振りかけて一緒に空を飛んでいました。そして、森の奥の小さな町に降りると、二人である居酒屋のドアの前に立ち、レジーナに、獅子の入れ墨のある光っている人に声をかけるよう話していました。ティンカー・ベルが去った後、レジーナは、そのドアを開け、こちらに背中を向けて座る光っている人を見つけたのですが、声をかけずにドアを閉めて帰ってしまいました。

後日、お城に帰っていたレジーナは、運命の人に声をかけたかどうかを訊きに現れたティンカー・ベルを、ピクシーの粉が効かなかったと嘘をついて冷たく追い返し、驚きながらもブルーフェアリーの元に戻ったティンカー・ベルは、もうあなたのことを信じることができなくなったと、レジーナを助けることをティンカー・ベルに禁じていたブルーフェアリーに見放され、羽(妖精の力)を奪われて地に落ちていました。

ネバーランドでレジーナを捕まえたティンカー・ベルには、妖精の魔法の力がありませんでした。洞窟で目を覚ましたレジーナは、どうしてお店に入らなかったのかと訊くティンカー・ベルに、怖かったからだと打ち明けていました。婚約者を殺されたことがトラウマになっているレジーナには、新しい恋愛に対する恐怖心と、「愛」によって「怒り」の気持ちを失ってしまうことに対する恐怖心があったようでした。レジーナは、「怒り」を失うことで自分が弱くなると考えていました。

私は希望より復讐を選んだのだと話したレジーナは、復讐をしようと、レジーナの首に木の枝を刺そうとするティンカー・ベルに、自信の心臓を掴みだして見せていました。そして、その赤黒い色の心臓を、復讐を選んだ場合のあなたの未来だと教え、私はヘンリーのおかげで変わることができた、息子のヘンリーを探すのを手伝ってほしいと訴えていました。

私には遅すぎると言いながら、ティンカー・ベルはレジーナに心臓を返していたのですが、そこへ、エマや白雪姫のメアリー・マーガレット(ジニファー・グッドウィンさん)たちがやって来ました。エマたちは、ティンカー・ベルの家を見つけ、そこでレジーナの白いハンカチを発見し、レジーナが誘拐されたかもしれないことに気付いて助けに来たのでした。

白雪姫のメアリー・マーガレットは、ティンカー・ベルを、うちに来ないかと誘っていました。ティンカー・ベルの殺風景な家の様子から、寂しさを感じ取っていたようでした。ティンカー・ベルは、ピーター・パンのアジトに入るチャンスがあることを教え、協力を約束してくれました。

レジーナは、その後獅子の入れ墨の人を見つけたのかとティンカー・ベルに訊かれ、見つけていないと答えていたのですが、するとティンカー・ベルから、自分勝手だ、彼の人生も壊したのだと怒られてはっとしていました。

その頃、ピーター・パンのアジトにいるヘンリーは、「ロストボーイ」の一人のフェリックスの頭の上に載せたリンゴをドリームシェードの毒の矢で撃つよう言われていました。ヘンリーは、ピーターに向けて矢を放ってみたのですが、素早く矢を掴まれて止められてしまいました。ピーターは、ヘンリーに、ヘンリーこそが長い間待っていた「救世主」なのだということを伝えようとしていたのですが、ヘンリーは信じようとしませんでした。ピーターから渡された証拠?のメモを見ずに捨てていて、父親とそっくりだと言われていたのですが、しばらくしてその紙を拾い、描かれていた自分の似顔絵を見て驚いていました。

一方、魔法の森の闇の王の城にムーラン(ジェイミー・チャンさん)とロビン・フッドといたベルファイアのニール(マイケル・レイモンド・ジェームズさん)は、ロビン・フッドの仲間のリトルジョンとやって来たローランド少年を見て、ローランドをおとりにして「影」を呼び、ネバーランドへ行くという計画をロビン・フッドに提案していました。

ロビン・フッドは、数年前に亡くなった妻が遺した一人息子を危険な目に遭わせるわけにはいかないと拒否しようとしていたのですが、ニールの父親のルンペルシュティルツキンに助けられた恩を思い、一度だけならと許可していました。

そして、お城の窓辺にベッドを移動し、ローランド少年が「僕は信じる」という合言葉を言うと、黒い影が現れました。影はローランド少年の腕を掴んで連れて行こうとしたのですが、ムーランが影を切ってローランド少年から離し、ニールに合図を送りました。ニールは、窓から飛び出した影に掴まって空を飛び、ネバーランドへ向かっていました。

闇の王のお城に残されたムーランは、ロビン・フッドから仲間に入らないかと誘われていました。一言話したい人がいると、オーロラ姫(サラ・ボルジャーさん)のもとへ戻ったムーランは、嬉しそうに駆け寄って来たオーロラ姫から、フィリップ王子の赤ちゃんができたのと言われ、それを祝福すると、ロビン・フッドの仲間になりますと短く伝えて、さようならと告げていました。

その後、ロビン・フッド一行のもとに合流したムーランは、ロビン・フッドの仲間になっていたのですが、握手をしたロビン・フッドの手首には獅子の入れ墨がありました。ティンカー・ベルがピクシーの粉で見つけていたレジーナの運命の人は、ロビン・フッドだったようでした。

第3回も、面白かったです。

ドラマでは、現在のネバーランドの場面と魔法の森の場面と、過去の魔法の森の場面は、少しずつ真実が明らかになってつながっていくように構成されているので、これまでの「ワンス・アポン・ア・タイム」のドラマもそうなのですが、ファンタジーというだけではなくミステリーの要素があるので、そのようなところも面白いのだと思います。

ドラマの中では、「ピクシーの粉」は「妖精の粉」よりも強いそうなのですが、欧米ではピクシーと妖精には厳密な違いがあるのでしょうか。

今回は、ティンカー・ベルが登場していたところも、ネバーランドの物語らしくて良かったのですが、ティンカー・ベルは意外と大人だったのだなと、最初は少し意外な感じもしました。でも、ディズニーの絵などを思い出してみると、確かに子供ではなかったかもしれないような気もしてきました。

レジーナの回になっていたところも良かったです。レジーナの運命の人がロビン・フッドかもしれないという展開にも少し驚いたのですが、前作の印象では、ルンペルシュティルツキンがロビン・フッドを助けていた頃のレジーナはすでに「悪い女王」になっていたように思うのですが、ティンカー・ベルの魔法通りにロビン・フッドに出会っていたなら、レジーナは「悪い女王」にはなっていなかったということなのでしょうか。でも、そうだとすると、今度はヘンリーが生まれなくなっている可能性もあるかもしれないですし、運命は複雑だなと思います。

あと、ロビン・フッドに仲間にならないかと誘われたムーランは、最後に会いに戻ったオーロラ姫に何を言おうとしていたのでしょうか。潔いムーランが何かを言おうとしてやめてしまっていたようだったので、本当は何を伝えたかったのだろうかと少し気になりました。

ともかく、次回の物語も楽しみにしていようと思います。

『月映(つくはえ)』の展覧会

先日、東京駅の北口にある美術館、東京ステーションギャラリーで開催されている、「月映(TSUKUHAE)」展を見に行きました。

展覧会の解説によると、公刊『月映』は、1914年(大正3年)から1915年(大正4年)にかけて、20代前半の美術学生の田中恭吉さん、藤森静雄さん、恩地孝四郎さんたちが作った、木版画と詩の雑誌だそうです。

『月映』のことを、私はその名前は聞いたことがありましたが、あまり知りませんでした。ただ、「月映(つくはえ)」という言葉がとてもきれいに思えて、また、その木版画の静かな雰囲気を知りたく思い、今回の展覧会を見に行くことにしました。

エレベーターで上がった3階の展覧会場には、思っていたよりも多くのお客さんがいたのですが、各スペースの番号順に、自由に作品を見ることができました。

竹久夢二の影響を受けたという3人の作品を見た私の最初の印象は、このように言ってはいけないのかもしれないのですが、荒削りで、暗くて、病んでいる、という感じのものでした。

ただ、展覧会場に貼られていた作者たちの年表によると、作者自身が病気を患っていたり、妹が病に伏したり、といった健康上の理由も多分にあったようでした。

作品が荒削りであるように見えたのは、作者の命や情熱が作品作りを急がせていたためかもしれないと、何となくそのように思えてきました。

『月映』の木版画が、そもそも「寂しさ」を表現しようとしていたということが分かり、それが私には少し意外だったのですが、しかし、とても好ましく思えました。寂しさは、とても詩的な感情だと思うからです。

『月映』の詩がもう少し多く紹介されていたほうが、木版画の絵の内容がもっとよく分かるようになったのかもしれないとも思えたのですが、木版画を見ていく中で、その闇の中に描かれている小さな光が、何か、救いの光のようにも見えてきました。

田中恭吉さん、藤森静雄さん、恩地孝四郎さんの他には、作品リストによると、久本信男さんや香山小鳥さんの作品が展示されていたのですが、その若い方たちの木版画は、若い魂の苦悩や葛藤を命を削るように表現した、とても内省的な作品なのだと思います。

今回展示されていた作品の中では、私としては、藤森静雄さんの「永遠」、「春」、「夜の蝶」、「自然と人生」という作品が良かったです。(田中恭吉さんや恩地孝四郎さんの作品で良かったものもあったのですが、「失題」と書かれているものも多かったように思います。)

特に「自然と人生」は、夜空と山の青みがかった薄暗いグラデーションが静かで美しいのですが、その谷間のトンネルのところを細長い電車が走っていて、窓の明かりが僅かに人の気配を感じさせるのです。公刊『月映』のものにも「自然と人生」はあったのですが、公刊のものではないほうが(最初に展示されていた私家版の作品のほうが)、淡い色で良かったです。この木版画の絵そのものが良かったということももちろんあると思うのですが、私が小学生の頃に図工で描いた絵と少し似ていたので、親近感があったということもあると思います。

私には何が描かれているのかよく分からないような、少し難しく思える作品もあったのですが、このような内省的な作品はおそらく作者のことを知ることでよく分かるようになるものなのだろうと思います。

展覧会場は3階から2階へ続いていたのですが、その最後の辺りに、詩人の萩原朔太郎が恩地孝四郎さんへ宛てた手紙が展示されていました。面白い手紙でした。詩集『月に吠える』の絵を、朔太郎さんは田中恭吉さんに依頼していたそうなのですが、田中恭吉さんが亡くなってしまい、恩地さんにその旨を伝えて、改めて詩集の絵を依頼していました。

私は『月に吠える』の表紙絵を見たことはありましたが、田中恭吉さんが描いたものであることをちゃんと憶えていなかったのだと思います。

展示されていた当時の『月映』の広告用のポスターには、「つくはえ」と書かれているものと「つくばえ」と濁って書かれているものとがありました。ローマ字では「TUKUHAE」と書かれていたので、おそらく「つくはえ」が正しい読み方なのだろうと思うのですが、どちらにしても、「つくばえ」よりは絶対に「つくはえ」のほうが良いと思いました。

会場を出て、東京駅の北口のドームの下の廊下を歩き、ミュージアムショップへ入って今回の展覧会の本や絵はがきなどを探して、東京ステーションギャラリーを後にしました。

東京駅も駅前の丸の内も人が多くて賑やかで、大正初期の静かな木版画の世界の余韻はすうっと終わってしまったのですが、竹久夢二や萩原朔太郎も関わっていた、文学史・版画史の一頁を飾る『月映』の世界を私も少し知ることができて良かったです。

「遺産争族」第2話

テレビ朝日の木曜ドラマ「遺産争族」の第2話を見ました。

第2話は、「考えがある」と母親の華子(岸本加世子さん)に話して河村家に婿入りをした研修医の佐藤育生(向井理さん)が、「大きな目的」のために楓(榮倉奈々さん)と結婚したことを楓に財産目的かと疑われる一方、楓さんの祖父の河村龍太郎(伊東四朗さん)から遺産を全て譲りたいと持ちかけられ“本性”を試される、という話でした。

脚本は井上由美子さん、演出は常廣丈太さんでした。

楓さんの父親で「カワムラメモリアル」の社長の河村恒三(岸部一徳さん)は、すぐに婿入りを了承した育生さんのことをまだあまり良く思っておらず、育生さんが役所に提出しようとしていた婚姻届を自分が出すと預かったまま、密かに机の引き出しにしまっていました。そのため、少なくとも第2話では、結婚式を終えた育生さんはまだ佐藤家の長男のままでした。

河村家全員から財産目的なのだろうかと疑われていた育生さんは、河村家の家族が集まった食卓で、河村家の財産は一円もいらない、婿入りをした「大きな目的」は楓を幸せにすることだと説明し、龍太郎さんをほっとさせていました。

自分の財産を孫とその婿に渡したいと相談する龍太郎さんに、弁護士の金沢利子(真飛聖さん)は、今のままでは遺書を残しても遺産は法律の規定通りに妻と娘たちに渡ると説明し、どうしても孫の婿に渡したいのなら、婿を息子にすることだと話していました。龍太郎さんは、育生さんを養子にするということなのでしょうか。

第2話で描かれていた育生さんの「正体」は、河村家の財産を一円も狙っていない“善人”でした。楓さんも育生さんを疑っていたことを育生さんに謝っていたのですが、育生さんはこれからも善人なのでしょうか。それとも、別の「正体」を現すのでしょうか。婿の育生さんが善人だったという、少し普通に思えるような第2話の結末を、私はいまいちすっきりとしない感じで見てしまったのですが、これから何か育生さんに変化はあるのでしょうか。

伊藤四朗さんや岸部一徳さんや室井滋さんや岸本加世子さんなどの俳優さんの演技が面白いドラマではあると思うのですが、家長の龍太郎さんの財産(まだ「遺産」にはなっていません)を争う河村家の物語そのものが面白いのかどうかは、私にはまだよく分かりませんでした。でも、次回も見てみようかなと思います。
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