「刑事のまなざし」最終回

TBSの「月曜ミステリーシアター」のドラマ「刑事のまなざし」の最終回(第11話)を見ました。

サブタイトルは「心」で、先週の第10話がその前編、昨夜の第11話の最終回が後編でした。

何者かに刃物で刺されるという連続通り魔事件が池袋で発生し、傷害致死罪で服役していた過去のある尾崎秋彦(柏原収史さん)に被害者の免許証を届けていた犯人と思われる人物は、東池袋署刑事課強行犯係の刑事の夏目信人(椎名桔平さん)が少年鑑別所の法務技官を勤めていた10年前に娘の絵美の事件が起きるまで関わっていた山之内信吾(窪田正孝さん)だと分かり、さらにもう一人の新しい被害者が尾崎さんの妻の悦子(須藤理彩さん)の親友の横山ちはる(松田沙紀さん)で、マンションの廊下から転落した遺体の手には「なつめえみ」と名前の書かれた10年前の事件の犯人が持ち去ったと思われる万華鏡を握っていたことから、夏目さんや福森誠一(松重豊さん)、安達涼子(小野ゆり子さん)、係長の菊池大雅(要潤さん)、捜査一課の刑事の長峰亘(北村有起哉さん)たちは、山之内さんの目的が夏目さんへの復讐であると考えて捜査を進め、山之内さんの行方を捜していました。

前編で夏目さんは、読書好きの山之内さんが「日の輝き」というタイトルの本を探していることを知り、「サンシャイン60」が「巣鴨プリズン」の跡地に建てられていることから、「巣鴨プリズン(巣鴨拘置所)」で父親を亡くしていた、山之内さんと手紙のやり取りをしていた殺人罪で無期懲役となって服役中の作家の宗方善(平幹二朗さん)に会いに行っていました。

宗方さんは、戦犯とされてしまった父親を巣鴨プリズンで亡くし、そのことにショックを受けていた母親を自殺で亡くしていました。

面会に応じ、山之内さんの事件を夏目さんから聞いた宗方さんは、出身地の青森の話になると、秋に落ちた枯れ葉は土になる前に雪に埋もれ、春になって雪が溶けると、まだ落ち葉の状態で土の上に現れるのだが、それは春の邪魔をしている存在でしかない、枯れ葉である自分に向けられる眼差しはなく、ただ枯れゆくのみだと、夏目さんに話していました。

山之内さんは、自分の人生を宗方さんの人生に重ねていました。レストランを経営していた山之内さんの父親は、10年前従業員だった尾崎さんに突き飛ばされて頭を打って亡くなり、夫の死後山之内さんの母親はお店を続け、息子の山之内さんも手伝っていたのですが、しばらくして線路に飛び込んで自殺をしてしまい、山之内さんは親戚に預けられることになったのですが、親戚は母親の自殺について迷惑な死に方をしたと言っていて、口数の少なくなっていた山之内さんには満足に食事をさせないこともあり、そうして山之内さんは親戚の家を出て、小さな工場を転々として生活していたということでした。

宗方さんは、母親の自殺は生きた証としての自殺だった、電車にでも飛び込まなくては誰の自分の存在には気付いてくれない、虫けらを轢いても電車は止まらないが人間を轢けば電車は止まる、自殺願望と殺人願望は表裏一体だから、山之内さんの無差別殺人も、生きる証としての殺人なのではないか、というようなことを夏目さんに話していました。

さらに、自分自身も母親の自殺に苦しんでいたという宗方さんは、母親の自殺の原因は自分にあるのではないかと、殺人の罪を犯す前から罪悪感を持って生きていた、何度も自殺をしようと思っていたと夏目さんに話していました。

山之内さんはその頃、夏目さんの娘の絵美(山田杏奈さん)の病室へ向かい、夏目さんの妻の美奈代(吉田羊さん)に銃口を向けて脅して、夏目漱石の「こころ」の朗読を続けさせていました。

夏目さんが病室に駆けつけると、山之内さんは夏目さんに銃口を当てていました。山之内さんは、夏目さんに見捨てられたと思って夏目さんへの復讐を考えていたようでした。かつて山之内さんから、何も見ていない、と言われていた夏目さんは、刑務所の宗方さんから、被害者を被害者として、加害者を加害者としてしか見ていないのならあなたも目を閉じているのと同じと言われたことも考えていたのですが、山之内さんが幸せそうな人たちを殺害したことについて、みんなが幸せであるように見えているのなら、君も目を閉じているのだと話していました。

山之内さんが最初に殺した大学生は震災で親戚を亡くしボランティアをしながら精一杯生きていた人であり、次に殺した会社員の女性は子供を流産で失った悲しみを隠して明るく振る舞っていた人だったのだと、山之内さんに教えていました。

その事実に山之内さんは少し驚いていたのですが、幸せな人の「きれいごと」は自分のような不幸な者を追いつめる、自分のような者は人でも殺さなければ誰にも気付いてもらえないのだと怒っていた山之内さんは、持っていた拳銃を夏目さんの前に置き、自分に復讐しろと言っていました。

拳銃を手にした夏目さんは、絵美さんのことを思い悔しそうにしていたのですが、君の未来を、と言いかけて言えなくなっていた時、絵美さんが小さく「がんばれ」と言ったようだったのを聞いて、君の未来を信じる、と山之内さんに伝えていました。

山之内さんは駆けつけた福森さんに逮捕されていました。長峰刑事は、車に乗る山之内さんに万華鏡をどこで手に入れたのかと尋ねていました。自殺願望のあった山之内さんは、夏目さんに自分を殺させるために夏目さんの家族を脅していたのですが、本当は絵美ちゃんを殴った犯人ではなかったのでした。2年前、自動車工場の同僚から、不幸な人には人のものを奪う権利があると言われてその人の鞄を奪ったら、中に夏目さんの娘の名前の書かれた万華鏡が入っていたので驚いたと、山之内さんは話していました。

それから山之内さんは、警察署で大人しく取り調べを受けていました。しかし、最初の2件は山之内さんの犯行だが、横山さんを殺したのは山之内さんではない、横山さんは自殺だったと言うと、山之内さんは動揺し、自分が殺したのだと訴えていました。

夏目さんは、横山さんの息子のことを心配していた山之内さんが、その子供を自分と同じような母親に自殺された子供にしたくないと考えて、横山さんが自分に突き落とされて殺されたように見せかけたのだと推理していました。

横山さんが自殺をしたのは、子育てに苦しんでいたためでした。この世に子供を愛さない母親はいないということは、息子を愛することができない母親である自分はいてはいけないということだよねと、自殺する前横山さんは泣きながら友人に電話をかけていました。

山之内さんは、あの子には母親が自殺をしたことは絶対に言うなと夏目さんたちに頼んでいました。親を自殺で失っても多くの子供は君のようにはならないと言われていた山之内さんは、尾崎夫妻が山之内さんへのつぐないとして、山之内さんに似た境遇となった友人の横山さんの息子を引き取って、これから生まれてくる子供と一緒に育てたいと話しているということを聞いて、ほっとしたような呆然としたような感じでいました。

夏目さんは、あの子の未来を守ろうとした君の優しさは、きっといつかあの子に届くと、山之内さんに伝えていました。

その後、長峰さんは、2年前に山之内さんが勤めていた自動車工場の本社へ行き、夏目さんの娘の万華鏡を持っていた人物について聞き込みを行い、犯人に近づいているということだったのですが、今回の最終回の中では、まだ犯人の特定には至ってはいませんでした。いつか続編などが作られる予定なのでしょうか。

最後、病室で絵美ちゃんの髪をとかしていた美奈代さんは、絵美ちゃんが動いたのを見て、目を覚ます直前にはこのような動きをしていたということを思い出し、もうすぐ目を覚ますかもしれないと、喜んでいました。夏目さんも喜んで、がんばれ、といつものように絵美ちゃんに声をかけて、刑事の仕事に向かっていました。

脚本は岩下悠子さん、前編の第10話の演出は川嶋龍太郎さん、後編の最終話の演出は吉田健さんでした。

私はこの「刑事のまなざし」のドラマを第1話以降も毎週見ていました。毎回の感想を書くことはできなかったのですが、椎名桔平さんの夏目さんの「まなざし」は正しくて優しいものでしたし、夏目さんを取り巻く仲間の刑事さんたちの態度も落ち着いていて、刑事同士の対立などがなかったところも、良かったです。

事件関係者の登場人物の感情も丁寧に描かれていて、私は薬丸岳さんの原作の小説を未読なのですが、ドラマには短編小説のような印象があったように思います。

「刑事のまなざし」というタイトルを聞いた時には少し意外に思えていたのですが、ドラマはまさにその「まなざし」が大切な要素となっていました。誰かきちんと目を開けて見てくれる人がいなければ真実は見えてこないのかもしれないと思いました。

意外と、と言ってはいけないのかもしれないのですが、ドラマを見る前に思っていたよりも、丁寧に作られていた良い刑事ドラマでした。夏目さんが様々な事情で犯人となってしまった弱い立場の人たちの心情に寄り添い、踏ん張れとか頑張れとか、いつもその人たちのことを応援していたのも、夏目さん自身が苦しんでいることもあって、何というか、壁のない感じがして、良かったです。
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