特集ドラマ「かつお」

NHKの総合テレビで放送されていたNHK仙台放送局制作の特集ドラマ「かつお」を見ました。仙台発地域ドラマです。

不思議なタイトルだなと思いつつ見てみることにしたドラマだったのですが、ドラマによると、「かつお」というのは、このドラマの登場人物の、じっとしているのが苦手でよく動き回っていることから付けられた山村武雄(大友康平さん)のあだ名でした。ドラマのロゴには「☆」が付いていたような気がします。

2011年の3月11日に大津波の被害にあった三陸の漁師町を舞台にしたドラマで、主な登場人物は、震災の時から行方不明となっている妻の幸江(鈴木京香さん)の代わりに家族を守るため、危険を伴う漁師の仕事を辞めて建設現場などの陸の仕事を頑張っている山村武雄(大友康平さん)、武雄さんの中学生の長男で、埼玉に転校する同級生の代わりに町のお祭りをまとめることになった裕樹(嶺岸佑樹さん)、裕樹さんの妹で小学校低学年の蘭子(吉田うたさん)、両親と兄弟を失い親戚の家でいとこと暮らしている裕樹さんの友人の藤森翔太(石井周さん)、武雄さんの後輩の漁師の島田浩二(遠藤章造さん)、震災前には歌の上手さが評判だった町の長老のような元漁師の前島吾郎(梅沢富美男さん)、NPO団体の職員として九州から武雄さんの町にやって来た竹原栞里(芦名星さん)でした。ドラマの始めのほうには、サンドウィッチマンの伊達さんと富澤さんが引ったくりの犯人を追う巡査として登場していました。

ドラマのタイトルは「かつお」ですし、子供たちには隠して一人で行方不明の妻を捜す武雄さんが主人公だったのかもしれないのですが、「心の声」があったのは裕樹さんでしたし、どちらかというと裕樹さんが主人公のドラマだったような気がします。

震災以降、仮設住宅で母親の代わりに料理を作りながら家族3人で比較的穏やかに暮らしていた裕樹さんは、ある日突然自分たちの生活に関わるようになってきたNPOの職員の栞里さんのことを、少し疎ましく思い、さらに栞里さんと父親が車の中で会っているのを見て、母親のことを忘れたのかと怒っていたのですが、栞里さんが実は妹と同じくらいの年齢だった娘を仕事に出ている間の火災の事故で亡くしていたことやその話を武雄さんに聞いてもらっていたことを知って、娘の憧れていた看護婦の栞里さんに戻るようにと栞里さんを励ましていました。

吾郎さんに歌ってもらうことを説得すように頼まれていた裕樹さんは、震災で何も失わなかったという自分の境遇に負い目を感じ、震災以降は歌を歌うことをやめている吾郎さんに、吾郎さんの歌で元気を出すことができるという町の人たちがいるのだということを証明して、納得してもらっていました。

武雄さんは、津波の来た日、妻の幸江さんに蘭子ちゃんを車で迎えに行くようにと頼んだそうで、その途中、幸江さんは津波に飲み込まれてしまったらしいということでした。そのため、武雄さんは、幼稚園を信用してそのような指示を妻に出したりしなければ妻は無事だったかもしれないと、毎日悔やんでいました。

そのようなある日、武雄さんは裕樹さんと一緒に母親の車が海の底から引き上げられたのを確認し、呆然としていたのですが、車のダッシュボードに入っていたというビニール袋の中からは幸江さんの手帳が出てきて、そこには、武雄さんと裕樹と蘭子には生きていてほしい、助けに行くことができなくてごめんね、みんなの家族で幸せでした、というような内容のことが記されていたので、武雄さんと裕樹さんはその瞬間の幸江さんのことを思って泣いていました。

幸江さんが願っていたように前を向いて歩いていくことにした裕樹さんは、自分の将来のことはまだ分からないとしながらも、父親には、もしも何かあったら妹のことは自分が守るから、母親が好きだった漁師の父親に戻ってほしいと伝えていました。

栞里さんは、助けに来たはずなのに反対に自分がこの町の人たちに助けられた、という手紙を裕樹さんに残して帰っていました。裕樹さんに言われたように、栞里さんはNPOの職員を辞めて看護師の仕事に戻るようでした。

最後は、お祭りの場面でした。漁師の大漁の旗が一斉に上がると、その下で吾郎さんと武雄さんが、「大漁唄い込み」という歌を歌っていました。裕樹さんは浜のお祭りでは焼きそばを作っていたのですが、その後、津波の被害にあった海辺の町を見ながら、辛い気持ちを背負って生きていくこの町の人たちが集まることのできるようなレストランをいつか作りたいと、未来のことを考えていました。

作(脚本)は、さわだみきおさん、演出は、中寺圭木さんでした。

少し重い内容ではあったのですが、それでも、何となくなのですが、NHKの「中学生日記」のような雰囲気もあって、全体的にはさわやかな印象のドラマでした。

津波で家族を亡くした人たちのことだけではなく、何も失くさなかったことを負い目に感じて、どうして死ぬのが自分ではなかったのだろうと悩んで、周囲の人たちに気を使いながら生きているような人のことが描かれていたのも、津波の被害のあった地域から離れた場所にいる私としては、良かったです。

辛い立場にいる人の気持ちは、同じような境遇の人でなければ本当には分からないということもあるとは思うのですが、本当に分かるということが難しかったとしても、例えばドラマや映画や小説などの物語やドキュメンタリーなどで伝えられているものからでも、描かれている人物の感情を少しは理解することができるように思いますし、このような作品が作られ、放送されていくことはやはり良いことなのだろうなと思いました。
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Author:カンナ
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