「TRICK 新作スペシャル3」

テレビ朝日のドラマ「TRICK 新作スペシャル3」を見ました。

昨夜は、TBSの「日曜劇場」の新ドラマ「S -最後の警官-」の初回とも重なっていたのですが、私は「TRICK(トリック)」を好きなので、放送時間にはこちらのドラマを見ることにしました。タイトルの「TRICK」の「K」は、正式には反転しています。

完全新作の今作は、宝の隠し場所を示す暗号を解読すると必ず死ぬという呪いを祖先にかけられている尾古溝村の水神家に招待された日本科学技術大学教授の上田次郎(阿部寛さん)と自称天才マジシャンの山田奈緒子(仲間由紀恵さん)が、宝と遺産相続を巡る水神三姉妹の長女の幸代(国生さゆりさん)、月子(藤田朋子さん)、華絵(飯島直子さん)の争いに巻き込まれながら、水神家の家族を狙う水難事故で1年前から行方不明の「あつし」の正体を追っていく、という話でした。

脚本は蒔田光治さん、演出は堤幸彦さんでした。

三姉妹の他の主な登場人物は、「今でしょ」風の動作で話す華絵さんの息子の水神明(福士蒼汰さん)、水神家の使用人の藤崎千佳子(朝倉あきさん)、華絵さんの夫の水神修介(森岡豊さん)、幸代さんの夫で上田さんを尾古溝村に呼んだ水神達郎(冨家規政さん)、村の巡査の武本幸吉(丸山智己さん)、水神家の弁護士を務める佐伯幸三(上條恒彦さん)、謎のミサンガ販売員(なすびさん)、公安部所属の警部補の矢部謙三(生瀬勝久さん)、その部下の秋葉原人(池田鉄洋さん)、家賃を滞納している山田奈緒子を追い出そうとする大家さんの池田ハル(大島蓉子さん)、長野で開いている書道教室の全国展開を計画している山田里美(野際陽子さん)でした。

ところどころに横溝正史の『犬神家の一族』風の要素が取り入れられていました。

事件のトリックはそれほど難しいものではなく、水神家の使用人の千佳子さんの身元も、亡き主人の三姉妹にいじめられて自殺した愛人の娘だったということは分かりやすく描かれていたように思います。

楽しみにしていた最後の「トリック」の新作スペシャルドラマだったのですが、ドラマを見ながら、「トリック」はこのような作りの作品だっただろうかと、少し疑問に思えてきてしまいました。

事件の部分が丁寧に描かれてこそ作中のギャグは生きるのではないかと思うのですが、今作はほとんどがギャグの要素に時間を費やされていたような気がします。

物語にメリハリが出てきたように思えたのは、華絵さんに砒素入りのお茶を飲ませた千佳子さんが突然笑いだし、割烹着とメガネを投げ捨てて、「上田と佐伯の言う通りさ!」と自白を始めたところからでした。

山田奈緒子に千佳子さんが自分の履歴書を代筆してもらおうとしていた場面も面白かったのですが、この自白の場面には千佳子さんの話し方や態度に勢いがあって、何だかとても良かったのです。朝倉あきさんが千佳子さんを演じていて良かったと思えたほどでした。

同じ堤幸彦さんの監督作品のTBSの「SPEC(スペック)」もそうなのですが、私としては、「TRICK(トリック)」も、「金曜ナイトドラマ」の連続ドラマだった頃の作品が、一番面白かったのだと思います。

もともとこの作品は、マジシャンの山田奈緒子と物理学者の上田さんが、手品や科学の知識を使って、超常現象や怪しい宗教や謎の因習の秘密を暴くというものだったはずなのですが、いつの間にか「小ネタ」のギャグのほうが中心に作られるようになっていってしまったように思います。

今作では、山田さんは、教訓茶碗?の仕組みに気付かずに上田さんに訊いていて、硫化水素や砒素のことも知らなかったようだったのですが、マジックを使って不思議な現象を説明するような場面も全くありませんでした。

私が連続ドラマだったの頃の「トリック」を好きなのは、コメディーとシリアスのバランスが良かったように思えていたからでした。

でも、第3シリーズ以降(あるいは映画や新作ドラマスペシャル)は、少しずつ「小ネタ」の要素のほうが強くなっていったような気がします。

矢部さんと後輩との関係性も、私としては、前原一輝さんの演じていた矢部さんを「兄い」と呼ぶ石原達也さんの頃が面白かったです。

主題歌も、私にはこのドラマには鬼束ちひろさんの歌が合っているように思えていたので、最初の映画の主題歌が別の方だった時には少しがっかりしてしまったのですが、でも、11日から公開されている最後の映画「トリック劇場版 ラストステージ」では鬼束ちひろさんの「月光」に戻っているそうで、少しほっとしました。

昨夜のオープニングのたまごの中身は、カラフルな黄身ではなく、直前にも登場していた山田と上田の人形でした。これまでの作品のような、殻にひびが入った後信じられないような色の黄身が出てくる映像を私は好きだったので、それにも少し拍子抜けのような気持ちになってしまいました。

今更もうどうしようもないことだとは思うのですが、最後のスペシャルドラマの「トリック」がこのような作風で、本当に良かったのでしょうか。今回のドラマを見る前の私は、集大成的な作品になっているのかもしれないなと、勝手に思っていたのです。

「SPEC」にしても「TRICK」にしても、連続ドラマの時の良さや面白さが、その後の映画化などによって消されていってしまうのは、本当にもったいないことのように思います。

企画プロデュースをしている方や監督さんたちにとっては、連続ドラマよりもその後の「映画化」のほうが価値のあることなのかもしれないとも思うのですが、本来は連続ドラマとして放送され視聴者の支持を得ていた作品だったということを、忘れてはいないかもしれないのですが、もう少し大切に思っていてほしいように思います。

それでも、最後の「新作ドラマスペシャル3」を最後まで見ることができたこと自体は、良かったです。

仲間由紀恵さんの自称売れっ子天才マジシャンの山田奈緒子さんと、阿部寛さんの自称天才物理学者のどんと来いの上田次郎さんのコンビは、14年前に結成された?時から、とても楽しいキャラクターでした。映画のことは私にはまだ話からないのですが、最後になってしまったと思うと、やはり寂しく思います。「SPEC」の当麻さんと瀬文さんのこともそうなのですが、どうして監督は、あえて「終わり」を作ることにしたのでしょうか。次回作を作らないということだとしても、どうしてもその物語を「終わり」にする必要があるのかどうか、一視聴者である今の私には、少し疑問に思えます。物語の新作がなくても、登場人物は常にその物語の中にいると思いたいような気がするのです。
プロフィール

Author:カンナ
ブログ初心者です。
感想などを書いています。
マイペースで更新します。
すきなもの
 月・星空・雨・虹・雪
 飛行機雲・入道雲・風鈴の音
 透き通った水・きれいな色
 富士山・東京タワー・ラジオ・音楽
 本・絵画・ドラマ・(時々)アニメ
 掃除機をかけること
にがてなもの
 人ごみ・西日・甘すぎるお菓子
 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム