「時は立ちどまらない」

テレビ朝日の開局55周年記念企画、山田太一ドラマスペシャル「時は立ちどまらない」を見ました。

「東日本大震災」をテーマにした山田太一さん脚本のドラマということで、どのような作品になっているのだろうと、私も見るのを少し楽しみにしていました。監督は堀川とんこうさんでした。

ドラマは、巨大地震直後の大津波の被害にあった岩手県の海辺の町を舞台にしていました。その町の高台に暮らす信用金庫の支店長の仕事を持つ西郷家と、海のすぐそばで暮らす漁師の浜口家は、長女と長男の「婚約」によって新しいつながりを持つようになっていました。

主な登場人物は、西郷家は、地元の信用金庫の支店長を勤める西郷良介(中井貴一さん)、その妻の麻子(樋口可南子さん)、良介さんの母親の奈美(吉行和子さん)、市役所に勤務する娘の千晶(黒木メイサさん)、浜口家は、千晶さんと結婚をする予定の浜口修一(渡辺大さん)、その父親の克己(柳葉敏郎さん)、その母親の正代(岸本加世子さん)、祖父の吉也(橋爪功さん)、祖母のいく(倍賞美津子さん)、弟の高校生の光彦(神木隆之介さん)でした。

しかし、両家の顔合わせの日の5日後の、2011年の3月11日、巨大地震が発生し、直後の大津波によって、西郷家は家も家族も無事だったのですが、浜口家はいくさんと正代さんと長男の修一さんを亡くしていました。そして、両家の間には「不公平」という思いによる隔たりが生じ、両家を再び結びつけたのは、実は中学時代の同級生だった良介さんと克己さんの過去の因縁と、千晶さんの記憶に残る修一さんとの思い出でした。

3年近く経つといっても、東日本大震災をテーマにした作品を作るのは難しいのだろうと思いました。

それでも、東日本大震災の要素はきちんと描かれていたように思います。ただ、大地震や大津波の震災のことだけではなく、いろいろな楽しいことや辛いことや嫌なことは、子供の頃にもあって、震災前にもあって、震災の最中にもあって、3年ほど経った今もこれからもあるのだろうということが、描かれていたのかなと思いました。

浜口家のおじいさんの、何もかも失った自分たちは与えられるものを全て受け取って、ありがとう、ありがとうと感謝し続けなければいけないのか、というような言葉を聞いて、私にも何か辛い感じが伝わってきました。

「ありがとう」とか、「がんばろう」とか、「絆」とか、今でもよく言われている言葉かもしれないのですが、震災の直後からよく使われていた言葉だったなと、ドラマの中の体育館の寄せ書きの貼り紙や商店街の飾り付けなどを見て、少し思いました。決して悪いということではないのですが、被災した方の中にはそのような言葉に疲れてしまう方もいたのかもしれないなと思いました。

市役所の千晶さんが父親からおにぎりとお茶を少しもらったのを、私だけ食べるのは恥ずかしいと言ったり、でも一応受け取って後でトイレで食べると言ったりしていたのも、何となく分かるような気がしました。

後半、「ハグ」の話題?が出てきていて、「ハグ」も(「ハグ」という言い方も)「ハイタッチ」も少し苦手に思えてしまう私には、奈美さんから聞いた直後の良介さんの「気持ち悪い」という反応がごく普通だったようにも思えたのですが、最終的には、土台だけになってしまった自宅にお線香を供えるおじいさんの吉也さんと自分の母親の「ハグ」を見た良介さんは、人間同士の愛情のようなものとして、好意的に受け止めていたようでした。

昨夜のこの作品が感動作というようなものだったかどうかということは、私にはよく分からなかったのですが、東日本大震災をテーマにしたドラマを作るという挑戦の気持ちは伝わってきたように思います。

今回のドラマで主に描かれていたのは津波の後の二つの家族の7人の物語でしたが、自然災害にしても、原子力発電所の爆発事故や戦争の人災にしても、被災をしてしまった全ての方の共通の思いをすくい取るようなドラマや映画などの作品を作るということはとても難しいことなのだろうなと、改めて思いました。
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