「苦くて、甘い~希望の茶~」

今日は3月の11日で、東日本大震災から3年目の日なのですが、昨夜の10時からNHKのBSプレミアムで放送されていた「苦くて、甘い~希望の茶~」は、2012年の7月の九州北部豪雨からの復興を描いたドラマでした。NHK福岡放送局制作の、福岡発地域ドラマです。

内容を知らずに何となく気になって見ることにしたドラマだったので、ドラマの冒頭で九州北部の豪雨のことを憶えているだろうかと言われて、はっとしました。そうだ、豪雨の被害があったのだと、私はそこで思い出したのです。

ドラマの舞台は、福岡県の八女市の星野村というお茶(八女茶)の産地でした。

2012年の8月、東京の会社から転勤で福岡に来た早川広太(小池徹平さん)は、支店の同僚たちに勧められて、半ば強制的に?流れで星野村の災害ボランティアに参加をすることになるのですが、同僚たちとも馴染まないようにしていた早川さんは、ボランティア自体にも、ボランティアをする人たちにも否定的で、女子大学生の武井真由(石橋杏奈さん)が参加しているのでなかったら、二度と参加しないという感じでした。

しかし、武井さんと出かけた「天空の里」という高台で一人車を故障させてしまった早川さんは、偶然通りかかった、数日前のボランティア時に勝手に触るなと怒られた玉露農家の池本敬一郎(蟹江敬三さん)に助けられ、池本さんの家に泊めてもらうことになり、訪ねてきた近所の人と話しながら、ボランティアの人たちに壊れた畑を触られることを拒絶している池本さんが、それまで一緒にお茶を作って3年連続で農林水産大臣賞を受賞してきた妻の美代子(丘みつ子さん)を5月に亡くし、それでも続けようと一人で頑張っていたお茶の畑を7月の豪雨で壊され、気力を失っているということを知るのでした。

3か月前、東京の会社で企画していたスイーツパッケージのデザインを仲の良い同僚の会社員に盗まれ、その直後に福岡へ転勤という形になっていた早川さんは、2013年に地域の特産品を全国へ送るという新しい企画を考えていたようで、池本さんにお茶作りを再開してほしいという気持ちに少しずつなっていたようでした。

濁ったまま勢いよく流れる畑の前の川のほうを見ながらぼんやりとしていた池本さんに会いに行った早川さんは、ボランティアへ向かう途中に早川さんの車を見つけてやって来た武井さんと、自分はボランティアに向いていないとか、ボランティアは自己満足だとか、自己満足だとしても結果助かるのだから良いのではないかとか、言い合いになっていて、池本さんに、やかましか!と怒られていました。

そこへ、池本さんの福岡で暮らす長男がやって来て、池本さんに畑を諦めて自分たちと暮らすよう説得をしていました。池本さんの長男は、早川さんの考え方と少し似ているようだったのですが、人生とはそういうものだ、自分が正しいと思ってやっていることでも邪魔が入ったりする、自分の意志に反して悪いことが起きたりする、だから畑は諦めたほうがいい、他人に迷惑をかけてまでするようなことではないと思う、というようなことを長男が言うのを聞いていた早川さんは、迷惑じゃありません!俺に任せてください、元に戻しますから!と長男に言い、それからボランティアリーダーの田村さん(武田鉄矢さん)に相談をして、スケジュールを確認しながら、池本さんのお茶畑を直したいと頼んでいました。

早川さんは、東京の会社で同僚から受けた悔しい思いを、池本さんの悔しさに重ねて考えていたようでした。奥さんだってやめてほしくないはずです、とボランティアに直してもらうことを拒絶する池本さんに言っていた早川さんは、その当日、留守だった池本さんの許可を得ることができないまま、「がんばりよるよ星野村」と書かれたTシャツを着た災害ボランティアの人たちと一緒にお茶畑を直すことに決めていました。みんなでリズム良く、枯れ枝を取ったり、通路を造ったり、屋根を直したりしていました。

それまでボランティア活動に否定的だった早川さんは、ボランティアをしている人たちは現実逃避と自己満足のためにその活動をしているのだという風に思っていたのですが、「窓際営業」のリーダーの田村さんから、ボランティアは「する」のではなく「させてもらう」のであり、「人ため」ではなく「自分のため」、「人を励ますため」ではなく「自分を励ますため」なのだと言われて、納得していました。

ボランティアの人たちが自分の畑を直しているのを見た池本さんは、それでも怒ったように帰ってしまい、早川さんはそれから池本さんに会わないまま、東京へ戻っていたのですが、星野村でのボランティア活動によって救われていた早川さんは、東京の同僚たちとも堂々と接することができていました。

それからまた福岡の会社へ戻った早川さんは、そこの同僚の人から、田村さんから早川さんに送られてきた「感謝祭」の招待状を渡されていました。同僚の人は、池本さんのことを訊く早川さんに、池本さんは元気にまたお茶をやっている、良かったな、と言って励ましていました。

お茶やお茶を使ったアイスが売られていたり、先の割れた竹筒で叩く?伝統のお祭りが行われていたりする賑やかな感謝祭を訪れた早川さんは、単位を取るためだけではなく早くに両親を亡くして人が集まってなにかをすることに憧れてボランティアに参加していた武井さんに誘われて、会場のお茶のコーナーにいる池本さんに会いに行っていました。

池本さんは、早川さんにお茶を出そうとしていたのですが、それは亡くなった奥さんと最後に作ったお茶でした。池本さんは、残り少ないそのお茶をどうしても飲むことができなかったようなのですが、早川さんのために、茶筒から最後の茶葉を出して、少し冷ましたお湯で、最後の玉露茶をいれていました。

池本さんは、ありがとう、ありがとう、ありがとう、と静かに強く早川さんにお礼を言っていて、池本夫妻のお茶を飲んだ早川さんは、うまい!とその「苦くて、甘い」お茶のおいしさに驚き、おいしい以外に言うことができなくなっていて、こんなにおいしいお茶を飲んだのは生まれて初めてだったと感動していました。

脚本は渡辺千穂さん、演出は堀口航平さんでした。

ドラマのエンディングでは、1年8か月前の豪雨の復興のために約4千人のボランティアの方が参加していること、復興にはまだ時間がかかるけれど、星野村は一歩ずつ前に進んでいる、ということが字幕で伝えられていました。

豪雨の被害を受けた八女市の星野村のお茶畑の復興の物語だったのですが、災害ボランティアとは何か、ボランティアをするということはどのようなことなのか、というようなところがしっかりと描かれていたので、星野村のことだけではなく、全国各地の自然災害の被災地の出来事としても、通用する物語だったような気がしました。

最後の、池本さんが妻と作った残り僅かだったお茶を早川さんに出す場面はとても良かったですし、池本さんが元気になった様子を見て早川さん自身が救われるというところが、ボランティアに対する早川さんの意識の変化と共に、丁寧に描かれていたように思います。

各地で起きた災害のその後を、時々はどうなったのだろうと思いながらも、自分からは追いかけていないような私のような人は、やはり新聞やニュース番組などで報道されているものなどを見たり聞いたりしないと、報道されていないということはもう大丈夫ということなのかなと、つい忘れてしまうのかもしれません。

例えば阪神・淡路大震災のことも、新潟の中越地震のことも、東日本大震災の時の岩手と宮城と福島のことも、それ以外の長野や千葉や埼玉や茨城のことも、このドラマで描かれていた福岡の豪雨のことも、京都の豪雨のことも、静岡のお茶畑が土砂崩れで失われていたことも、2月の大雪で農業用のハウスが壊れていた山梨のことも、日本だけではなく、海外の被災地のことも、報道が減っていくうちに、いつの間にか、もう直って大丈夫になっているものと、勝手に思いこんでしまうのかもしれません。

東日本大震災の復興は、大地震と巨大津波だけではなく、東京電力の福島第一原子力発電所の爆発事故による放射性物質の汚染の問題が絡んでいるために進まないのだと思うのですが、それだけではなく、その被災地域の住民のそれぞれの思いや願望が交錯して一つの町や市や県の意見として統一されないために進まないということでもあるようです。

酷い被害を受けた被災地から少し離れた場所にいる私には、その土地の人たちの思いを本当には理解することはできないのかもしれないとも思うのですが、単純に、今の自民党の安倍総理大臣の進める原子力発電所の再稼働はしないほうがいいような気がしますし、開けた海沿いを台無しにするような巨大な防波堤は作らないほうがいいような気がするのです。「お金の問題」が起こってくると、その利害関係で不気味な復興計画が作られるのかもしれないなと、不安な感じがします。

でも、今回の八女市の星野村のお茶畑を舞台にしたドラマは、実話に基づくドラマだということなので、その点でもほっとする作品になっていたのだと思います。災害ボランティアを行う方も、そのボランティアの活動に助けられて復興をすることができた農家の方も、どちらも本当にすごいなと思いました。

ドラマを見る前は、「苦くて、甘い」とはどのようなことだろうと、ドラマのタイトルを不思議に思えていたのですが、星野村のお茶の味のことだけではなくて、いろいろなことのある人生を表していたのかもしれないなと思えてきました。感謝祭の風景やお茶畑を見下ろすエンディングの雰囲気も優しい感じがして良かったです。良いドラマでした。
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