「なぞの転校生」最終回

テレビ東京のドラマ「なぞの転校生」の第12話(最終話)を見ました。

高校のSF研究会の岩田広一(中村蒼さん)と後輩の鈴木拓郎(戸塚純貴さん)と太田くみ(椎名琴音さん)は、映画の撮影をするために公園に来ていたのですが、脚本担当の太田さんは、自分がヒロインを演じるのでは合わない気がすると、広一さんに香川みどり(桜井美南さん)や九条アスカ(杉咲花さん)を呼んでほしいと頼んでいて、広一さんが電話をかけると、ちょうどみどりさんは同じ公園にいて、アスカと山沢典夫(本郷奏多さん)と3人で、ピクニックを楽しんでいるところでした。

やって来た広一さんに、アスカは手作りのサンドウィッチを手渡し、自分のことで考えさせてしまって済まなかったと謝ると、私もいろいろ考えたが、これからはせっかく来たD12世界の一日一日を楽しむことにすると明るく話していました。

SF研究会の太田さんがみどりさんとアスカと山沢さんに配った脚本の表紙には、「なぞの転校生」と書かれていて、転校生は実はパラレルワールドから来た異界人だったという、太田さんの説明する物語の内容は、山沢さんとアスカのことのようでした。楽しそうに聞いていたアスカは、異界人の山沢さんが本当はアンドロイド(ヒューマノイド)だったというのはどうかと提案し、太田さんはそれを脚本に書き加えていました。

公園のベンチに座ってたくさんの花から花弁を集める準備をしていたみどりさんは、隣に座っている山沢さんに、好きだという気持ちを伝えようとしていました。たぶん君は僕のことが好きなのだろうとみどりさんに言った山沢さんは、自分には人間と同じような感情はなく、自分が話している言葉も言葉でしかなく、それはAIによって作られたもので、プログラムによるリアクションに過ぎないのだということを、説明していました。アンドロイドも夢を見るが、その夢は情報の処理やバグの修復なのだと話していました。

音楽室で山沢さんのピアノの音を聴いた時から山沢さんのことが気になって仕方がなくなっていたということをみどりさんが山沢さんに言うと、山沢さんも、ショパンの「雨だれ」を弾いた時から、それより前の、日曜日に花をもらった時から君のことを忘れることができなかったのだと、みどりさんに伝えていました。心臓がドキドキすることを、自分には心臓がないのだからこのような気持ちになるようにしかできていないのだと、どうしてもプログラムを理由にする山沢さんに、みどりさんは、そこまで思うのなら人間と変わらない、あなたにそんなことを言われたら私もこんな気持ちになるようにしかできていないと、思いを伝えていました。

陽射しが傾きかけた頃、映画の撮影が始まり、なぞの転校生で異界の姫役のアスカは、夕日の公園を見渡して、この世界は美しい、と広一さんに言い、自分の故郷の世界のことを思いながら、文明も人類も思っているより脆いものだと話し、モノリスのないD12世界はD8世界と同じ滅び方はしないかもしれないけれど、まだ不安は拭いきれない、だからこの世界を、友達を、大切にしてほしいと伝えていました。カメラのそばにいた脚本の太田さんは、すごいアドリブだとアスカの言葉に感動していました。広一さんは、アスカを抱きしめて泣き、二人が去った後の広一さんとみどりさんの上には、用意していた色鮮やかな花びらが、舞い落ちてきていました。

翌朝、登校した広一さんとみどりさんが、山沢さんとアスカの座席が空いているのを気にしていると、教室に入ってきた担任の大谷先生(京野ことみさん)は、二人はご家族の事情により転校しましたと事務的な感じで生徒たちに言って、ホームルームを終えていました。

それから一ヶ月後、みどりさんとの下校途中の夕方、公園に佇む江原正三(ミッキー・カーチスさん)を見かけて広一さんが声をかけると、江原さんはどちら様でしたかと隣の部屋の広一さんのことを忘れていたのですが、少しして思い出したような様子で、二人のことは頼んだよ、と言いながら、今入っているという迎えに来た施設の職員さんと帰っていました。

二人で出かけようとみどりさんに言われていた翌日の日曜日、広一さんは寝坊をして母親(濱田マリさん)に起こされていたのですが、すでに来て待っていたみどりさんと団地の廊下へ出ると、江原さんの部屋を気にするみどりさんとそのドアの前に立っていました。何か音がするとみどりさんが言い、みどりさんと広一さんが屋上へ向かうと、そこには透明な四角形の連なる通路のようなものが現れていて、白い服を着た人たちが下りてきたのですが、その人たちは、広一さんの父親(高野浩幸さん)と同級生の春日愛(宇野愛海さん)と大森健次郎(宮里駿さん)と鎌仲才蔵(葉山奨之さん)にそっくりで、そのアイデンティカのようでした。

その人たちは、自分たちをD15世界から来た次元調査団だと言い、先頭にいた広一さんの父親によく似た人は、D8世界は滅んだこと、王家をD12誘導したのも自分は岩田広一のアイデンティカで成長した姿なのだと、ナギサのアイデンティカの広一さんに話していました。

モノリスを使って江原さんの部屋に入った調査団と広一さんとみどりさんは、奥の寝室に山沢さんがいるのを見つけていました。ベッドの上には、包帯を巻かれた姿で酸素を吸入しているアスカの姿がありました。「転校」をしてから一ヶ月の間、二人はずっと江原さんの部屋にいたようで、アスカ姫の命によって、山沢さんはこのことを広一さんとみどりさんには言わないでいたようでした。

DRSのプログラムデータは試してみたのかと訊く調査団の才蔵さんのアイデンティカに、山沢さんは、モノリスが足りないのだと答えていたのですが、200テラくらい必要だと聞いた調査団は、D15世界に行けばたくさんあるから大丈夫だと山沢さんに言っていて、アスカが助かると知ったみどりさんと広一さんは喜んで、山沢さんを抱きしめていました。病床のアスカも涙を流していました。

そうして、アスカさんをD15世界へ運ぶ支度を始めていた、広一さんの父親によく似た調査団のリーダーは、モノリオが「山沢典夫」と名乗っていることを広一たちから聞いて少し笑い、それはD6世界の私の友の名だと言って、この世界は無限に広がっている、そのことを知ってしまったら後戻りはできないが、知って良かったと思うこともあると話して、自分のアイデンティカの広一さんと妻のアイデンティカのみどりさんに会うことができたと嬉しそうにしていました。

D15世界では君たちは夫婦なのだと教えたその人は、さて、君たちはどうなるかな、と楽しそうに言い、江原さんの部屋に入ろうとしていた自分の娘を呼び止めていたのですが、その顔はみどりさんにそっくりで、驚くみどりさんにその少女は手を伸ばし、初めまして、と握手をしていました。

調査団はタンカーに乗せたアスカ姫を部屋から運び出し、屋上の透明な通路の中へ消えていきました。山沢さんは、岩田君、いろいろありがとう、と広一さんにお礼を言い、広一さんは、また会おうと明るく言っていました。香川さん、とみどりさんに向き直った山沢さんは、みどりさんと握手をして、恭しく手の甲に唇を触れる挨拶をしていました。元気でね、と3人は手を振って別れ、白い光に背中を押されるように透明な通路の中に入った山沢さんは、空気のように遠い青空の中へ消えていきました。

白い光は最初の流れ星のように空を上がり、それから広一さんとみどりさんの記憶は遡って、最初の夕闇の土手の場面になっていました。夜空を上がるように移動する不思議な流れ星を見たみどりさんは、あ、流れ星、と言い、何お願いした?と訊く広一さんに、言わない、と何かを思うように答えていました。

企画プロデュースと脚本は岩井俊二さん、監督は長澤雅彦さんでした。

とても良い最終回でした。

山沢さんたちを乗せた青空へ消えていく光を、広一さんとみどりさんの記憶を遡って、最初の夜空を上がっていく流れ星に重ねる終わり方が、何というか、鮮やかで、美しかったです。

時間も空間も次元も越えて、それは私の知っているところで起きていることかもしれないし、知らないところで起きていることなのかもしれないけれど、全ての人はそれぞれの、様々な出会いと別れを繰り返しているのかもしれないなと思いました。広い宇宙のつながりの中にいるのかもしれないということが、ドラマを見ている私にも、よく伝わってきたような気がします。

もう少し早く次元調査団がD12世界へ到着していたなら、王妃さまも、アゼガミもスズシロも、助かっていたかもしれないなと思いました。

桜井美南さんの「今かわるとき」のオープニングと清水翔太さんの「DREAM」のエンディングの音楽や映像が、これまでの感じと変わっていなかったところにも、ほっとしました。最後の「ありがとう 僕に出会ってくれて」という歌詞が、このドラマによく合っていたのだということを、改めて思いました。

光の表現も、言葉も、桑原まこさんという方の音楽も、そして物語の人物を演じていた俳優の方たちも、とても良かったです。全てに「調和」というようなものがあって、バランス良く描かれていたのだと思います。全12話のドラマでしたが、1話が約30分というところも、ちょうど良かったのかもしれません。

SF作品として、説明の少ない専門用語などを少し難しく思えるところもあったのですが、それも含めて、面白く、楽しかったです。

「ジュブナイル」ということなので、このドラマを、例えば小学生や中学生の頃に見ていたなら、きっともっと影響を受けていたのではないかなと思います。

私は眉村卓さんの原作の小説も未読ですし、昔の「なぞの転校生」のドラマのことも知らないのですが、今回のこのドラマは、とてもすてきなドラマ作品でした。

このようなタイプの?ドラマの中では、私は以前NHKの夕方に放送されていた「六番目の小夜子」というドラマを好きで見ていたのですが、今回の「なぞの転校生」のドラマのことも、きっと長い間憶えているのだろうと思います。

第1話を見た時には、このドラマを面白いかどうか、私にはよく分からないようにも思えていたのですが、少しずつ、不思議な魅力に惹かれていったのだと思います。そのままこの作品を見続けることにして、毎週楽しみにして最後まで無事に見ることができて、本当に良かったです。
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