「ロング・グッドバイ」最終回

NHKの土曜ドラマ「ロング・グッドバイ(THE LONG GOODBYE)」の最終回(第5回)を見ました。

昨日は野球の試合の中継のため、夜の9時半から放送されていました。

小説家の上井戸譲治(古田新太さん)のお葬式が終わった後、私立探偵の増沢磐二(浅野忠信さん)は、書生の章介(泉澤祐希さん)の立ち会いのもと、出版社の羽丘(田口トモロヲさん)と一緒に、上井戸亜以子(小雪さん)に、松井誠一という名前を聞いたことがありますかと切り出し、社長令嬢として台湾にいた頃、使用人の松井誠一だった原田保(綾野剛さん)と結婚していたという証拠の書類を見せていました。

志津香の犬のような男だと、保さんのことを少し笑って答えていた亜以子さんは、台湾にいた頃、保さんが兵隊に取られるまでの1ヶ月だけ、保さんと貧しくても幸せな結婚生活を送っていたということを増沢さんに説明していました。

増沢さんは、原田志津香(太田莉菜さん)を殺したのは亜以子さんで、原田保はその罪をかぶったのだと言っていたのですが、亜以子さんは笑って、志津香さんを殺したのは譲治さんだと答えていました。

記事にしようと張り切る羽丘さんの隣で、作戦を考え直さなくてはいけないと思っていた増沢さんは、それからしばらくして、動揺した書生の章介さんからの電話を受け取り、亜以子さんが亡くなったことを知って、急いで上井戸邸へ向かい、眠るように亡くなっている亜以子さんの遺体と向き合っていました。

亜以子さんは、夜に章介さんを部屋に招き入れた後、薬物を飲んで亡くなったようでした。責任を感じている様子の章介さんに、誰もこの人を助けることはできなかっただろうと言って、警察に連絡させた増沢さんは、亜以子さんの遺書と、左手に白い胡蝶蘭の押し花が握られているのを見つけていました。

高村医師(堀部圭亮さん)は、亜以子さんに薬物を与え過ぎたことを認めていたのですが、あの女は最初の夫以外の男を虫けら以下に思っているとか、あの女は戦後売春婦をしていて、自分に拾われたかもしれないのだとか、亜以子さんのことをバカにしたように増沢さんに言っていました。

岸田警部補(遠藤憲一さん)は、増沢さんに亜以子さんの遺書を見せていました。その遺書の中で亜以子さんは自分が志津香さんと譲治さんを殺したことを認めていました。そして、その遺書に書かれていたことによると、兵隊として戦争へ行って以来行方不明になっていた誠一さんを、亜以子さんは2年前の原田志津香の結婚披露パーティで、その夫の保として見かけ、ショックを受けたようでした。

そして、譲治さんと密会中の志津香さんの部屋に向かい、志津香さんを殺害したようでした。遺書の中で亜以子さんは、その時一緒に譲治さんを殺さなかったことを後悔していたのですが、ベッドの陰で怯える譲治さんに黒い花瓶を振り下ろそうとしていた亜以子さんを止めたのが保さんでした。振り向いた亜以子さんは、お帰りなさい、あなた、と保さんに言っていて、誠一さんが戻ってきてくれたと思ったようでした。

岸田刑事の許可を得て、その遺書の写真を撮った増沢さんは、探偵事務所に呼んでいた森田記者(滝藤賢一さん)に見せて、新聞記事を書いてほしいと頼んでいました。すごいスクープだと驚いていた森田記者は、衆議院議員選挙に出馬中の原田平蔵(柄本明さん)がメディアを買収したということも最後に書くと意気込んでいたのですが、何か恨みでもあるのかと訊かれて、原田平蔵の部下だった父親が原田平蔵につぶされたのだと悔しそうに答えていて、それを聞いていた増沢さんに、愚痴るなよ、男だろ、と注意されていました。

2週間後、森田記者のスクープ記事は新聞の一面を飾り、予定通り原田平蔵の演説の日に発売されたのですが、編集長の意向で原田平蔵の買収の件は載せないことになったようでした。森田記者は、演説中の平蔵さんにたまごをぶつけようと増沢さんを誘っていたのですが、増沢さんにはすぐに断られていました。結局、歓迎する民衆に囲まれている平蔵さんにたまごがぶつけられることはなく、平蔵さんが当選した頃には原田保のことを憶えている人もほとんどいなかったということでした。

探偵事務所に戻った増沢さんは、この件には関わるなと言っただろうと、部屋の中にいた正岡虎一(やべきょうすけさん)と部下に捕まり、殴られたり蹴られたりしていたのですが、そこへ朝から張り込みをしていたという岸田刑事たちがやって来て、正虎たちを逮捕し、気分良さそうに帰っていきました。

それから増沢さんには平穏な、浮気調査をする日々が戻ってきていたようなのですが、ある日、お店で酔って倒れていたのを引き取った権田刑事(高橋努さん)から、正虎は原田平蔵に関係を断ち切られたが、原田平蔵と正虎を引き合わせたのは原田保だったのだという新事実を聞いて驚いていました。

そして、探偵事務所に電話をかけてきた台湾の人は、増沢さんを霊廟のようなある場所へ連れていったのですが、その奥で後ろ向きに立ち、通訳を介しながら彼は名前を変えて生きていると増沢さんに伝えていたのは、保さん自身でした。

保さんは、帽子と大金を増沢さんに渡そうとしていました。保さんが増沢さんに話していたことによると、保さんは平蔵さんの計画で台湾に渡り、自殺をして死亡したことにして、今は平蔵さんの知り合いの実業家の下で仕事をしているということでした。羽振りが良いようだな、とその札束を保さんのもとに持っていった増沢さんは、亜以子さんが持っていた胡蝶蘭の押し花を渡し、亜以子さんは保さんが戻ってくるのをずっと待っていたのだと伝えていました。

どうして自分に横浜港まで送らせたのかと増沢さんが訊くと、保さんは、あなたのようになりたかったからだと、その日と同じように答えていました。保さんは、あの時が自分の人生の分かれ道になると思っていたようでした。

時代が違えば彼とはまたギムレットを飲めたのだろうと、保さんに別れを伝えた増沢さんは、保さんの帽子を手に取ると、そのまま保さんとは一度も顔を合わせることなくその場所を後にしていました。涙を流していた保さんはお元気でと去っていった増沢さんに小さくつぶやいていました。

それから東京では、市民たちは東京オリンピックの開催に盛り上がっていて、メディア王の原田平蔵は原子力発電を押し進めていました。父親に反抗することができるようになった平蔵さんの次女の高村世志乃(冨永愛さん)は、高村医師と離婚し、しばらく一人でヨーロッパへ渡ることにしたようで、いつ戻ってくるのかと増沢さんが訊いてくれたことに嬉しそうにしていました。

最後は、森田記者の語りで、原田保も上井戸亜以子も自分の父親と同じように時代につぶされた一人だったのだろうということが言われていました。増沢磐二も、と言ったところは、増沢磐二のような人も、に変えられていました。それからの時代の移り変わりが、2020年の東京オリンピックを決めた現代にもつながっていたのも、何かはっとするような感じがして、良かったです。私立探偵の増沢磐二はその後も様々な時代の中で自分の信じる道を突き進むのだろうという雰囲気がよく表されていたような気がします。

脚本は渡辺あやさん、脚本協力は小川真司さん、演出は堀切園健太郎さんでした。原作は、レイモンド・チャンドラーの探偵小説『ロング・グッドバイ(長いお別れ)』です。

どのような最終回になるのだろうと、私も見るのを楽しみにしていました。そして、いつもより30分遅い放送であることを忘れるくらい、最後まで楽しく見ることができました。

脚本も良かったですし、演出も何だかおしゃれで、戦後の「時代」の雰囲気が、私は実際に体験したことはないのですが、丁寧に描かれていたように思います。少年少女時代の誠一さん(保さん)と亜以子さんの幸せそうな場面も、記憶の中で輝いているような雰囲気がありました。

ただ、私としては、亜以子さんの遺書はやはり薬漬けの亜以子さんが書いたものだというところと、志津香さんを殺害した凶器が黒い大きな花瓶だったというところが、少し気になりました。

亜以子さんは夫の誠一さんに戻ってきてほしくて、その妻の志津香さんを殺したようだったのですが、遺書には志津香さんへの恨み言などは書かれていなかったようですし、薬が原因?で亜以子さんは嘘を付くようになっているということでもあったので、遺書の内容がどこまで本当のことなのか、遺書が遺されていたというだけでは、よく分からないようにも思えたのです。

また、最初保さんは、拳銃を持って、志津香さんのものと思われる返り血を浴びた状態で増沢さんの探偵事務所を訪れていたと思うのですが、志津香さんを殺した直後の亜以子さんは黒い花瓶を持って返り血を浴びて立っていたので、花瓶が直接の凶器だとするなら、その後に保さんがうつ伏せに倒れている志津香さんの身体の向きを変えて志津香さんの顔を拳銃で何発も撃って自ら返り血を浴びるようにした、ということだったのでしょうか。

増沢さんが警察に逮捕されていた時、岸田刑事たちは顔を撃たれていたことを増沢さんに言っていて、それを聞いた増沢さんはそのような残虐な殺し方をできるような男ではないと保さんのことを信じていたので、志津香さんは確かに顔を撃たれていたのかもしれないと思うのですが、その顔の描写は一度もなかったですし、最終回でも、どのように殺されたのかという経緯は明らかにされていなかったように思います。死んだことになっている保さん以外のその部屋にいた全ての人が亡くなってしまったことになるので、真相を知るのは難しいということなのかもしれません。(あるいは、私が見逃してしまっている要素があるのかもしれません。)

でも、最後まで、かっこいいドラマになっていて、とても面白かったです。最終回ではクレジットはエンディングで流れていたので、そのこともあって、ドラマを見終わった後しばらくは頭の中でこのドラマのテーマ曲が流れていました。全5回という長さも、ちょうど良いような気がします。ダンディズム?の雰囲気も良かったですし、少し社会派の印象もありましたし、私は原作の小説を未読なのですが、すてきな探偵物語になっていたと思います。
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