「MOZU Season1 ~百舌の叫ぶ夜~」第9話

TBSの木曜ドラマ劇場で放送されているWOWOWとの共同制作のドラマ「MOZU Season1 ~百舌の叫ぶ夜~」の第9話を見ました。

公安関係のどこかの地下室の奥に拘束されている新谷宏美(池松壮亮さん)の檻の中には、外の雨が入り込んでいました。

一方、妻の千尋(石田ゆり子さん)が爆弾を起動させたかもしれない日比谷の爆発事件の現場に立っていた警視庁公安部特務第一課の捜査官で警部の倉木尚武(西島秀俊さん)は、現場の金属の柵の音をカンカンと鳴らしながら遠ざかっていく人物の後を追いかけてビルの屋上へ向かっていたのですが、そこにいたのは大手の警備会社「アテナセキュリティ」のシニアアドバイザーで元公安の警察官の東和夫(長谷川博己さん)でした。

東さんは、消えろと言う倉木さんに、公安OBからの助言だとして、ある小説の中に書かれたある国の「オメラス」という町の話を始めていました。その町には権力者もなく、人々は何不自由なく平和に暮らしていたのですが、その町のある地下室には、一人の子供が閉じ込められていて、飢えに苦しみ、自分の汚物にまみれているその子供の存在をオメラスの人々全員が知っているにも関わらず、誰もその子供を地下の牢屋から助け出そうとはせず見て見ぬふりをしている、なぜならその子供を閉じ込めておくことがオメラスの平和が保たれる条件だったからだ、というような話でした。東さんは、この話のオメラスは今のこの国に似ている、オメラスの門番は公安で、公安は国家の安定のために臭いものに蓋をしていると倉木さんに話していました。

そのような公安に嫌気が差して辞めたと言う東さんは、倉木さんもいつか自分と同じ結論にたどり着くだろうと話し、警視庁公安部長で警視監の室井玄(生瀬勝久さん)と倉木さんは似ていると言うと、同じ女が惚れた理由がよく分かる、と面白そうに薄く笑って、その場を去っていきました。

特別監察官で警視正の津城俊輔(小日向文世さん)は、倉木さんと公安第二課所属の捜査官で巡査部長の明星美希(真木よう子さん)と捜査第一課の刑事で警部補の大杉良太(香川照之さん)に、室井さんの軟禁を提案し、室井さんを、どこかの海辺の石造りの壁の広い施設に連れて行っていました。建物の前には、水平線が広がっていました。

倉木さんと明星さんと大杉さんが室井さんを監視している間、津城さんは、警視庁の幹部のような人たちと会食をしていました。津城さんは、室井さんはサルドニアの大統領の来日時に爆弾テロを起こし、警察の無能さを世間に知らしめ、世論を動かして警察庁を再編し、森原官房長官をトップにした公安省を作ろうとしていると説明していました。話し合おうとしていたとき、森原官房長官が突然その部屋にやって来て、津城さんに改めて名前を訊くと、自分の周囲をうろつくなと警告していました。

明星さんは、1999年頃に突然いなくなった父親の行方を捜しているようなのですが、広い施設で室井さんを監視しているとき、父親のことを知っていると室井さんに言われて驚いていて、その明星さんの反応に接した室井さんは、君が津城さんに使われている理由が分かると明星さんに言っていました。

その頃、地下牢から宏美さんがいなくなっていました。

夜、倉木さんは、娘の雫の父親の室井さんに、「グラークアルファ作戦」で精神を病んだ千尋さんを利用した理由を尋ねていたのですが、室井さんの話の中で、娘の血液型ことを倉木さんが知ってから夫婦関係が冷えきっているということを千尋さんが室井さんに相談していたことを知って、また少しショックを受けていたようでした。室井さんは、雫ちゃんが死んだのも、千尋さんが爆弾を起動させたのも、全部お前のせいだと倉木さんに怒鳴っていたのですが、その時、停電が起こり、窓ガラスの割れる音と同時に警報音が鳴り響いていました。

倉木さんと大杉さんは薄暗い中、侵入者を探しに向かい、明星さん一人が室井さんの監視を続けていました。少しすると、室井さんの前にアイスピックを持った宏美さんが現れ、向かってきた明星さんを突き飛ばした宏美さんは、床に落ちた明星さんの拳銃を拾い上げた室井さんと対峙していました。お前のせいで兄の和彦が死んだのだと、復讐を誓っていた宏美さんがアイスピックを振り上げて室井さんに飛びかかると、室井さんは発砲して宏美さんに応戦し、拳銃の音を聞いて駆けつけた倉木さんと大杉さんが宏美さんを捕まえようとしている間に部屋を出ていました。そして、追いかけてきた明星さんの腹部を撃って、庭の黒い車に乗り込み、その施設を離れていきました。

走り去る車の後ろ姿を見ることしかできなかった倉木さんがスマートフォンの着信に出ると、その向こうにいた東さんは、秩序を乱すのが自分の役割だと気付いたと薄く笑い、宏美さんを逃がしたのは自分だということと、二つ用意した爆弾のもう一つを室井さんが持っているということを教えていました。そして、倉木さんもいつか同じ結論にたどり着くだろうと言うと、俺はオメラスを去るよ、と言って、ビルの屋上で飛び立つように両手を広げていました。

その後、津城さんのオフィスは、公安の警察官たちによって閉鎖されていました。改めて現れた室井部長は、津城さんをテロリストとして逮捕し、爆弾事件の首謀者を千尋さんとして、その夫である倉木さんを監視下に置くと伝えていました。

サルドニアの大統領が明日来日します、とニュースが伝えていたところで、今回のドラマは終わっていました。

脚本は仁志光佑さん、監督は羽住英一郎さんです。

第9話も、面白かったです。次回が最終回のようで、映画のような予告編の映像は、いつもよりも少し長めだったような気がします。でも、最終回も、通常通りの1時間の放送のようでした。

宏美さんは東さんに室井さんの居場所を聞いたのかもしれないのですが、宏美さんが閉じ込められていた場所は、室井さんの軟禁場所の近くだったのでしょうか。その辺りはドラマでは描かれていなかったように思います。

オメラスを去ることにしたと倉木さんに言っていた東さんのその後も不明です。秩序を乱すことが使命だと気付いたからには、身を隠しながらもどこかで生きていくのだと思うのですが、どうなったのでしょうか。

東さんが話していた「オメラス」の小説は、アーシュラ・K・ル・グィンの『オメラスから歩み去る人々』という短編小説だそうです。

自分たちの今の暮らしが誰かの犠牲の上に成り立っているということを、私も時々考えるのですが、小説の「オメラス」のたとえ話とは違い、具体的に犠牲者が「誰か」とは分からないですし、その分からない犠牲となっている「何か」のために、今の自分の生活やその他のたくさんの人たちの生活を犠牲にすることができるかどうかと考えると、難しいことのような気がします。例えば、私は、外国で紛争が起きていることをニュースで見て少しだけだとしても知っていながら、その戦地の被害者たちを救う手伝いなどをしていないのですし、東日本大震災の時にも、被災地へボランティア活動をしに行くようなことをしてはいないのです。

その小説を私は未読なのですが、作者はどうして「オメラス」の地下牢に閉じ込められているのを、不幸なかわいそうな一人の子供という設定にしたのでしょうか。読む人の良心に訴えるためには、それが一番適当だったのかもしれないのですが、現実には、各地の平和の犠牲となっているのは、分かりやすい「かわいそうな子供」ではないかもしれません。もしその国の平和を保つ条件が、本当に凶悪な暗黒の存在を閉じ込めておくことだとしても、それを「犠牲者」として認識している以上は、いつかそこからその何かを解放し、自由にするべきだと思う人が現れるはずだということでしょうか。あるいは、犠牲となるかわいそうな子供とは、弱者の象徴というだけではなくて、その世界で大人になっていく全ての人たちの象徴でもあるのでしょうか。そもそも、人間も他の生物も、生物を殺して食べなければ生きていくことができないというように作られている時点で、不幸のような気もします。

また、これは「オメラス」ともこのドラマともあまり関係のないことなのですが、良質な厚い紙を使った「日本ユニセフ」のダイレクトメールなどを見ると、このお金(募金)の使い方は間違っているのではないかと、奇妙に思えます。

「先進国」の政府も、有名な巨大な慈善団体も、実際にどこかの「発展途上国(開発途上国)」の人々を救っている部分もあるのかもしれないのですが、私には時々、その貧しい国を「先進国」の平和と安定の犠牲としての「発展途上国(開発途上国)」として残すために、本当の救済を権力者の誰かがわざと妨害しているのではないかと思えてしまうこともあります(いつまで経っても各地で紛争がなくならないということも、それが宗教や経済に結びつくのだとするのなら、何かの利益のためにそれを残しておきたいと思う権力者の策略の一つなのかもしれません)。

オメラスを去るということは、誰かを犠牲にすることのない適度に不安定な生活を求めることなのではないかとも思うのですが、去った後も、やはりその人々が生きていくのなら、自分も含めた誰かはいつか犠牲になってしまうような気がします。小説の中の人々は、町を去った後どうなったのでしょうか。

来週の「MOZU season1」の最終回も、楽しみにしたいと思います。
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