「おやじの背中」第四話

TBSの「日曜劇場」のドラマ「おやじの背中」の第4話「母の秘密」を見ました。

第4話は、家事ばかりさせられていて不満そうだった母親の幸恵(神野美鈴さん)のために、仕事中心の父親の麻倉賢三(渡瀬恒彦さん) に小さい頃から反発し続けていた息子の慎介(中村勘九郎さん)が、妻の加奈子(ともさかりえさん)に勧めで、母の死後事業のために四国に移り住んだ父親に誘われた秩父札所(秩父三十四箇所)巡りの旅へ行くことになり、旅の間、母親に関する記憶に重ねて親子のわだかまりの思いをぶつけ合いながら、長年の溝を埋めるように少しずつ気持ちを寄り添わせていく話でした。

賢三さんは学生運動に参加していた人で、その後も体制を批判するための雑誌を作る出版社を立ち上げて、家に若い運動家たちを集めて議論をすることに熱中していたのですが、その陰で妻の幸恵さんは、家庭の不満を小さい慎介さんに見せるような態度を取っていたようでした。

慎介さんは、そのような仕事熱心な父親の指示に従い続けている母親が虐げられているように見え、母親と父親への不満の気持ちを共有しているものとして、賢三さんに対抗していたようでした。結婚後は、父親とは反対に家族の幸せのために生きようと、会社を辞めて、武蔵野の地で無農薬の有機野菜を作る仕事を妻に相談して始めていました。

一方、賢三さんの社会変革活動のための出版社の経営は、時代の変化と共に衰退し、結局倒産してしまったようでした。慎介さんは、出版社の倒産を、父親の人生の終わりの象徴として捉えていました。

夫を支え続けていた生前の幸恵さんは、息子の妻の加奈子さんに、夫が自分や家庭をどう思っているのか分からないと話していたことがあったようでした。

旅の途中の旅籠で、昔話をするのをやめるように言ってから黙るようになった父親との時間の過ごし方に困惑していた慎介さんは、電話の向こうの妻から、お義父さんは身体が悪いのではないかと言われて戸惑い、そこからは自分から進んで父親に話しかけるようにしていたのですが、その幸恵さんの思い出を巡って、また対立していました。

慎介さんから見た母親は、父親に対する不満を抱えていた人のですが、賢三さんから見た妻は、夫の集会に参加し、一緒に熱い生き方をしたいと訴えていた人だったようでした。賢三さんは、妻から直接言われたこともあったようなのですが、その時には妻の気持ちに向き合おうとしなかったようでした。

つかみ合って言い争っていた父子は、一緒に土手を転がり落ちると、気持ちを落ち着かせていました。そうして再び札所参りを続けたのですが、最後の札所のお参りで賢三さんは、死んでから話してもしょうがねえよな、と妻とすれ違ったまま死別してしまったことを激しく後悔していました。

慎介さんは、帰りの「しかの」という駅のホームで父親と別れる時、握手をしようとした手を引くと、突然父親を抱きしめていました。後ろ姿の父親の背中を見て、小さい頃に背負ってもらった父親の背中を思い出して重ねていました。戸惑いつつ静かに息子と別れた父親は、向かいのホームへ到着した電車に乗る際、慎介さんに向かって深くお辞儀をしていていたようでした。

迎えに来た妻の運転する車の中で、父親との旅のことを思い出していた慎介さんは、ようやく父と母と自分は一つになれたのだと、家族のそれぞれの生き方を肯定して、涙を流していました。

脚本は鎌田敏夫さん、演出は山室大輔さんでした。

真っ直ぐな道を走っていくエンディングも良かったです。

父親の身体が悪いかもしれないという話はどうなったのだろうと思いながら見ていたのですが、最後、3年後に父は死んだ、という字幕が現れていました。やはり、どこか悪かったのかもしれません。

お義父さんにはお義父さんの生き方がある、お義母さんにはお義母さんの生き方があった、私たちには私たちの生き方がある、それでいいんじゃない?と後部座席に子供が眠る車の中で妻は慎介さんに話していたのですが、それを聞いて、ドラマを見ていた私は、慎介さんは妻に支えられているのだなと思いました。

今回はまさに「おやじの背中」というタイトルの通りの、直球の作品だったように思います。

高校時代に父親と水泳で競争して勝った時、母親が喜ぶと思ったのに寂しそうな表情だったこととか、それは母親が夫を尊敬していたからだとか、サブタイトルの「母の秘密」は、母親の死後の今となっては真相が分からない、母親の気持ちのことだったようでした。

そのような「母」を思い出しながら長年のわだかまりを解いていった息子と父親の物語だったのですが、そのような男性たちを支える「妻」の物語でもあったように思いました。

札所のある埼玉の秩父の春の山の風景もきれいでしたし、第4話も良かったです。
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