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「おそろし~三島屋変調百物語」第一夜

NHKのBSプレミアムのドラマ「おそろし~三島屋変調百物語」の第一夜「曼珠沙華」を見ました。

「BS時代劇」ではなく、「ザ・プレミアム」の枠の時代劇でした。

「おそろし」という不思議なタイトルの新しい時代劇が始まると知って、何となく録画をしておいたのですが、第1夜(第1話)は、見始める前に思っていたよりも面白かったです。

原作は、私は未読なのですが、宮部みゆきさんの小説『おそろし 三島屋変調百物語事始』です。

ドラマは全5話(5夜)だそうなのですが、連続ドラマというよりは、一話完結の物語でした。オムニバスドラマではなく、実家の川崎宿から何か辛い事情があって、江戸の神田三島町の袋物屋を妻のお民(かとうかず子さん)と経営する叔父の三島屋伊兵衛(佐野史郎さん)の家に居候をすることになった17歳のおちか(波瑠さん)が、三島屋を訪ねてきた人から怪異譚を聞く、というものでした。

第1話では、誰かに斧で打ち殺された?記憶のあるおちかさんが、出掛けなくてはいけなくなった叔父夫婦の代わりに、叔父の囲碁友達の松田屋藤兵衛(豊原功補さん)の相手をすることになり、三島屋の庭に突然咲いていた曼珠沙華の赤色の花に心臓を悪くするほど驚いていた松田屋さんから、曼珠沙華を恐ろしく思う理由を聞いていました。

それは、松田屋さんが小さい頃、親代わりでもあった優秀な建具職人の兄が言い争いになった仕事仲間の大工の一人を打ち殺してしまう、というところから始まっていたのですが、島流しの刑を終えて15年ぶりに江戸に戻ってくるのを知った弟の松田屋さんは、「人殺しの家族」という辛い仕打ちを乗り越えてようやく得た今の暮らしが兄によって壊されるのを恐れ、兄の死を願うようになったのが原因でした。

身を寄せていた棟梁の家の庭の曼珠沙華の花の間から、自分とそっくりの姿に成長した弟の怒っている顔が覗いているのを見た兄は、自分を睨み続ける弟の生き霊に謝りながら、首を吊ったというのでした。

自分の中の「どす黒いもの」をおちかさんに打ち明けることができた松田屋さんは、それから眠るように亡くなったということでした。

自分の身に起きた辛い話や怖い話や不思議な話をおちかさんにした人は、気持ちを軽くすることができるようでした。三島屋さんの庭の曼珠沙華の花は枯れていて、おちかさんから松田屋さんの不思議な話を聞いた面白いものが好きな伊兵衛さんは、「三島屋変調百物語」として、町の人の不思議な話を集めることを思いついていました。

松田屋さんの話し方が怪談的だったのも面白かったのだと思うのですが、冒頭のおちかさん?が斧を持った人に追いつめられ、流れた血が曼珠沙華につながっていく場面や、「打ち殺し」と聞いた時の襖の場面や、枯れた曼珠沙華の下に現れた顔から血塗れの腕が伸びる場面など、円谷プロダクション風?(「怪奇大作戦」を少し思い出しました)の特撮映像の感じだったところも、何だか面白かったです。

時代劇なのですが、ホラーの要素と共に、少しSFの雰囲気もあったような気がします。

あと、第1夜の松田屋さんは、自分の生き霊が兄を殺したという風におちかさんに話していたと思うのですが、15年間兄には会っておらず、その15年の間に兄とそっくりの姿になっていたということなので、兄が見た曼珠沙華の隙間から覗いていた弟の怖い顔は、兄が棟梁とその娘さんから聞いて想像した弟の顔であるかもしれないけれど、あるいは(間違っているかもしれないのですが)、大工を殺していた時の兄自身の顔でもあったのかなとも思いました。兄に会わなかった弟の松田屋さんは兄の最期の様子を想像していただけなのですし、どうなのだろうとドラマを見ていて少し気になったのですが、兄とそっくりという設定が活きるとするなら、その可能性もあるのかなと思えたのです。
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Author:カンナ
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