「おそろし~三島屋変調百物語」最終夜

NHKのBSプレミアムの「ザ・プレミアム」のドラマ「おそろし~三島屋変調百物語」の最終夜(第5夜)「家鳴り」を見ました。

川崎から川を渡って江戸の神田の三島屋へやって来たおちか(波瑠さん)の兄の喜一(石垣佑磨さん)は、迎えに出た三島屋伊兵衛(佐野史郎さん)と内儀のお民(かとうかず子さん)に、旅籠の商売が上手くいっているという実家からのたくさんの手土産を渡していて、その中には豪華な帯も入っていました。

喜一さんが妹のおちかさんに会いに来たのは、おちかさんが家を出てから半月ほど後になって、松太郎(満島真之介さん)の幽霊が現れるようになったため、おちかさんに何かあったのではないかと心配していたからのようでした。喜一さんは、松太郎さんの幽霊が誰かに呼ばれて、行き場所を見つけたと言っていたことを気にしていました。

兄からその話を聞いていたおちかさんを、越後屋の清太郎(川口覚さん)が訪ねてきて、座敷牢にいるおたか(小島聖さん)がおちかさんと松太郎さんの名前を口にして、「蔵が開いた」とつぶやいたということを心配そうに急いで伝えていました。

清太郎さんの話を聞いたおちかさんは、おたかさんが清太郎さんに言っていた通りに、おたかさんに会いに行くことを決め、兄も同行していました。

兄の持ってきた帯を締めておたかさんの家に向かったおちかさんは、清太郎さんの案内で座敷牢の前に案内されていたのですが、清太郎さんによると、無地のものに張り替えた襖紙は、おたかさんが三島屋から帰ってきてから、時々柄が変わって見えるようになったということでした。何か松の絵に一瞬変わったのを、確かにおちかさんも見ていました。

おちかさんはおたかさんの手を取って呼びかけたのですが、ぼんやりとしたおたかさんに反応はありませんでした。しかし、おちかさんがおたかさんの目の中に松太郎さんを見ると、おちかさんは出迎えた誰かに連れて行かれるように、喜一さんと清太郎さんの目の前で消えていて、おたかさんは気を失って倒れていました。

おちかさんは、おたかさんの中にある「お化け屋敷」へ来ていました。そこには6歳のおたか(渡邉このみさん)が一人でいて、庭で虫干ししているたくさんのきれいな着物をおちかさんに見せながら、ほしくないか訊いていたのですが、少ししておちかさんに、一人で来なかったのかと怒ったように言って姿を消していました。

おちかさんについてきていたのは、三島屋のおちかさんに辛い記憶を話した後自殺をした松田屋藤兵衛(豊原功補さん)の幽霊でした。松田屋さんは、身長の倍の高さのある曼珠沙華のお花畑の中におちかさんを引っ張って、お化け屋敷の悪霊から助けていました。

その曼珠沙華の中にいたのは、松田屋さんだけではありませんでした。お福(佐藤江梨子さん)が話した石倉屋のお彩(中村ゆりさん)と市太郎(井出卓也さん)も、お化け屋敷で亡くなったおたかさんの両親と兄弟たちも、おたかさんを探し出してくれた錠前屋の親方で清太郎さんの祖父の清六(螢雪次朗さん)もいました。みんなは、おちかさんが自分たちの話を自分のことのように聞いてくれたからここにいるのだという風に、おちかさんに説明していました。

そして、おちかさんがお彩さんと職人頭の宗助(久保酎吉さん)やお吉(梅舟惟永さん)の話をしていると、お彩さんの「魔鏡」となっていた手鏡が割れて、お吉さんの魂が解放されていました。石倉屋を心配していた宗助さんは、自分の死後に石倉屋の若女将となった生前には会ったことのないお吉さんに付き添っていました。おちかさんは、ずっと一人で怖くて寂しかったと言うお吉さんの気持ちを聞き、もう大丈夫だと励ましていました。

宗助さんとお吉さんが無事に曼珠沙華の花のほうへ行った後、おちかさんは、6歳のおたかさんが松太郎さんの幽霊と入っていった蔵へ向かい、黒い長持ちの上に座っていた松太郎さんと話を始めたのですが、自分を憎んでいるだろうとおちかさんに強い口調で訊いていた松太郎さんは、松太郎さんではありませんでした。おちかさんはすぐにそのことを見抜いていました。

松太郎さんは、我に返って半年振りに会ったおちかお嬢さんに謝ったり、また何かに取り付かれたように憎しみの気持ちを訴えておちかさんの首を絞めようとしたりしていました。おちかさんを助けようとしたおたかさんに腕をかまれて自分を取り戻した松太郎さんは、松太郎さんは悪くないと、過去の出来事を自分のせいだと謝るおちかさんに、松の木から救助された時のことを話していたのですが、松太郎さんによると、松太郎さんを崖の上から落として捨てたのは、実の父親だということでした。

松太郎さんは、実の父親に捨てられるような子供を他の人が大切にしてくれるはずはないと思い、そのことを隠していたようでした。

曼珠沙華の中にいた松田屋さんたちは、蔵の扉が閉まりかけていたのを押さえて、早く出るよう言っていました。おちかさんは、おたかさんを出したのですが、扉はおちかさんを中に残して閉まってしまいました。おちかさんは、自分の意志で蔵の中に残り、お化け屋敷の正体である何かと向き合うことにしていました。

謎の主に声をかけたおちかさんがガタガタと揺れる長持ちの蓋を開けると、中は空でした。しかし、おちかさんが覗き続けていると、底が消えて、暗がりが深く続いていました。底なしの闇を見つめていたおちかさんは、その中に入れば苦しみから逃れられるのかと、ふと身を乗り出したのですが、松太郎さんがおちかさんを止めていました。

おちかさんは、松太郎さんの姿を借りた番頭さん風の謎の男(村上淳さん)が現れると、その幽霊に何者なのか尋ねていたのですが、その人は自分を商人だと言っていました。その男がおちかさんの周辺にいるのは、おちかさんが「変わり百物語」を始め、おたかさんに出会ってお屋敷とつながり、あの世とこの世をつなぐ存在になったからのようでした。

そして、おちかさんは、長持ちの闇に向かって、私が話を聞きますと、その闇の向こうの人のことを忘れないということを約束すると、商人だと言う謎の男は、自分の商売のためにこれからもおちかさんに会いに来るようなことを言っていました。

そしておたかさんの父親の辰二郎(半海一晃さん)と清六さんが手にしていた蔵の木製の鍵が外れて重い扉が開きました。松太郎さんの幽霊は蔵を出て、曼珠沙華の中に入ることができました。

松太郎さんに惨殺された良助(松田悟志さん)の幽霊はそれまでどこにも現れなかったのですが、謎の男は、おちかさんが松太郎さんのことばかり思い出すから良助さんは死に損だというようなことを言っていて、おちかさんは、良助さんの姿になった謎の男に、決して忘れてはいないということを訴えていました。謎の男によると、良助さんは、あっと言う間に松太郎さんに殺されてしまったため、未練を残す時間もなかったということでした。

おちかさんは、開いた蔵の扉の前まで出たのですが、そこで家族からおたかさんを預かると、曼珠沙華の世界へ行くみんなとは別れることになりました。6歳のおたかさんも泣きながら家族と別れ、二人はおたかさんの中のお化け屋敷から、現実の、元の越後屋の座敷牢へ戻ってきました。

喜一さんと清太郎さんのいる奥座敷の部屋へ戻ってきた時、おたかさんはまだ6歳の姿のままだったのですが、すぐに大人のおたかさんになり、おちかさんに助けられたと感謝していました。喜一さんによると、おちかさんが消えたのはほんの少しの間だったようでした。

後日談として、袋物の三島屋と草履の越後屋が業務提携したことや、おたかさんとおちかさんが姉妹のように仲良くしているということが、三島屋さんの友人の口入れ屋の灯庵(麿赤児さん)によって語られていました。灯庵さんは、以前には謎の男のことを気配で感じただけだったのですが、今回の最後には、三島屋の周辺を歩くその姿も見ることができていたようでした。

脚本は金子修介さんと江良至さん、演出は金子修介さんでした。

おたかさんの中に潜んでいた世界におちかさんが入るという不思議で複雑な展開に少し驚いたのですが、最終夜(最終回)も面白かったです。

「変調百物語」は、三島屋さんが姪のおちかさんを心理的なショックから解放するために始めたものだったので、三島屋さんに持ち込まれた不思議な話の中の事件には、半年前のおちかさんの目の前で起きた事件のように、「打ち殺し」が関わっていました。

おちかさんは、辛い出来事から逃げるのではなく、その出来事を辛く思う原因を自分の中に見つけようとしていたようで、そのような内性的なところも、このドラマの良いところだったように思います。

時代劇なのですが、特撮的な、SFの作品のような演出が少し新鮮に思えました。第一夜の時に思ったような「怪奇大作戦」風だなという印象は、その後はそれほど強くはならなかったのですが、おちかさんが聞いているのが「不思議な話」だということが、よく伝わる演出だったように思います。

よく亡くなった人のことを、自分の心の中に生きているのだという風に話す方がいますが、このドラマの中で亡くなっていた登場人物たちも、それを語る人の中にいて、その話をおちかさんが自分のことのように聞いたことで、おちかさんの中にもその魂の一部が存在するような形になったということなのかもしれないなと思いました。

そうして、おちかさんは、自分の辛い気持ちを松田屋さんたちと共に曼珠沙華のお花畑の中へ解放しつつ、その事実を受け止めて忘れずにいるという道を選択していたのではないかなと思います。

特殊な能力?を持つようになったおちかさんは、自身の悪夢からは少し解放され、これからも「変調百物語」の収集を続けるようでしたし、謎の男の幽霊との関わりも続いていくようでした。いつか続編を放送する予定なのかなと思えるような終わり方でもあったように思います。

「百物語」だけれど全5話、というのも、ちょうど良かったような気がします。見やすかったように思いました。音楽も良かったですし、映像もきれいでした。毎週の物語を楽しみに、最後まで見ることができて良かったです。
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