「チューリヒ美術館展」

先日、東京の六本木の国立新美術館で開催されている「チューリヒ美術館展-印象派からシュルレアリスムまで」を見に行きました。

チューリヒ美術館は、今年日本との国交樹立150周年を迎えたスイスの美術館です。今回の展覧会で展示される作品が私でも名前を知っているような有名な画家の作品ばかりということもあって、何となく見に行きたいなと思っていました。チューリヒ美術館には10万点以上の作品が所蔵されているそうなのですが、今回の展覧会ではその中から74点が展示されるということでした。

展覧会のチラシには、モネ、セザンヌ、シャガール、ゴッホ、ムンク、ピカソ、マグリット、モンドリアン、カンディンスキー、ダリ、クレー、ルソー、ゴーギャン、ドガ、ベックマン、ヴァロットン、ミロ、キリコ、ジャコメッティなどの有名な名前が並んでいるのですが、その他にも、作品リストによると、(1点ずつ作品が展示されていたエルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナーやヨハネス・イッテンやイヴ・タンギーなどは私の知らない名前だったのですが)オーギュスト・ロダン、フェルディナント・ホドラー、ピエール・ボナール、エルンスト・バルラハ、オスカー・ココシュカ、アンリ・マティス、モーリス・ド・ヴラマンク、ジョルジュ・ブラック、フェルナン・レジェ、マックス・エルンストなどの作品が展示されていて、私には、例えば小説のアンソロジーを読むような印象でもありました。

私が見に行った時には、1階の展覧会場にはたくさんのお客さんがいたものの、それほど混雑しているという感じではありませんでした。誰かにぶつかってしまうこともなく、落ち着いた気持ちで自由に絵や彫刻などの展示作品の前にいることができました。

作品は白い壁の展示室に全部で14章に分けられて順序良く展示されていたのですが、私としては、その中で特に良かったのは、ゴッホの「タチアオイ」、マックス・ベックマンの「スヘフェニンゲンの海岸の散歩」、ムンクの「エレン・ヴァールブルクの肖像」と「ヴィルヘルム・ヴァルトマン博士の肖像」、エルンスト・バルラハの彫刻「難民」でした。

ゴッホの「タチアオイ」は、赤みがかった全体の色調が少し暗い印象だったのですが、生けられている花も花瓶も力強く描かれていて、どの部屋に飾っても良さそうというか、とてもすてきに思えました。

ベックマンの「スフェニンゲンの海岸の散歩」は、晴れた日の高い波と橋のような道とその上を走る馬車?と並んだ外灯と手前の人物との構図が少し不思議で、何だか面白く思いました。黒の色の印象が強い絵でもありました。

ムンクの「エレン・ヴァールブルクの肖像」と「ヴィルヘルム・ヴァルトマン博士の肖像」は、明るめの淡い色もそうなのですが、人物の表情が良かったように思います。会場の解説にも描かれていたように思うのですが、人物の性格まで丁寧に絵に描写されているように思えました。ムンクの他の肖像画作品も見てみたいなという気持ちになりました。会場の解説によると、ヴィルヘルム・ヴァルトマン博士は、ムンクの個展の開催に尽力した方なのだそうですが、このチューリヒ美術館の初代館長を務めた方でもあるそうで、少し神経質なところのある方だったそうです。

エルンスト・バルラハの「難民」は、1920年の作品で、第一次世界大戦の戦禍から逃げる人の苦しみや悲しみを表現したもののようでした。遠くから見た時にも、近づいて見た時にも、私には最初ブロンズの作品にように見えていたのですが、木彫の作品でした。作品リストや展示作品の解説に「木」と書かれているのを見て、木を彫ったものなのかと気付きました。顔の表情も、手足の動きなどもそうなのですが、特にその人物の身体を覆っている背中の布の感じが細かく彫られていて、それは布らしさというのとは異なるのですが、布の下にいる人物の魂を覆っている何かという感じのするものでした。全体的にデフォルメされていたのだと思うのですが、顔の位置や足の位置や、前方に突き出した身体全体の細さから、逃げるためにその場を素早く立ち去って行く人の勢いが感じられるような迫力があって、すごいなと思いました。

それにしても、13章のシュルレアリスムのところに展示されていたジョルジョ・デ・キリコの「塔」は、会場の解説によると、塔の後ろに広がる背景は夜なのに塔には強い太陽の光が当たっているということで「非現実」の風景ということだったのですが、そのような光景は、本当に非現実、非日常の光景なのでしょうか。現実に有り得ない風景なのでしょうか。例えば、日の出の眩しい光を放つ空と同時刻の反対側の空の上にまだ明るい月が浮かんでいることがあるように、塔の一側面に強い光(解説を読まなければそれが太陽の光かどうかは分かりません)が当たっていたとしても、その後ろの空間が闇であることとは、矛盾しないような気がするのです。そのため、私には、いまいち、その作品が「非現実」とも「超現実」とも思うことができません。いつかどこかでこの作品を見た時にも、何となく、そのように思えました。あるいは、シュルレアリスムの作品(また、その作品の面白さのようなもの)は、今の私にはまだ少し難しいのかもしれません。

ともかく、私も今回の「チューリヒ美術館展」を見に行くことができて楽しかったです。

「印象派」も「シュルレアリスム」も、日本で開催される美術展覧会ではよく聞く言葉のような気がするのですが、日本にはそのような作品を好きな方がたくさんいるということなのかもしれないなと、改めて思いました。
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Author:カンナ
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