「ぼんくら」最終回

NHKの総合テレビで先日まで放送されていた木曜時代劇「ぼんくら」を、第一話から第十話の最終話まで見ました。

原作は、私は未読なのですが、宮部みゆきさんの小説『ぼんくら』です。数年前にはラジオドラマ化されたこともあるそうです。

物語は、江戸深川の鉄瓶長屋の「八百富」で殺人事件が起きたのをきっかけに長屋の差配人の久兵衛(志賀廣太郎さん)が失踪してから相次いで住人が長屋を出て行くようになったことと、長屋の地主の湊屋総右衛門(鶴見辰吾さん)が新しい差配人として、失踪した姪の葵(佐藤江梨子さん)の一人息子で、伝書烏の官九郎と暮らす佐吉(風間俊介さん)を送り込んできたことの謎の真相を、南町奉行本所同心で本所見廻り方の"ぼんくら”の井筒平四郎(岸谷五朗さん)が、妻の志乃(奥貫薫さん)の姉の四番目の子供という、物の長さを測るのが趣味の頭脳明晰な甥の弓之助(加部亜門さん)と一緒に探っていく、というミステリーでした。

初回を見た時には、“ぼんくら”の平四郎さんよりも、鉄瓶長屋で煮売り屋を営んでいる人情家で、平四郎さんが「長屋の心」と呼ぶ未亡人のお徳(松坂慶子さん)が活躍していたので、主人公の存在感が少し弱いように思えていました。

そのため、このドラマが面白いのかどうかよく分からず、第一話を見ても感想を書くことができずにいたのですが、特に苦手に思えてしまうようなところもなかったので、何となく気になって、翌週の第二話、第三話と見ていくうちに少しずつこの時代劇を面白く思えるようになってきました。毎回の感想を書くことはできなかったのですが、毎週の物語を見るのが少し楽しみになっていました。平四郎さんの存在感も、少しずつ増していたように思います。

私としては、毎回の物語を楽しみにすることができた理由の一つに、エンディングに流れる沢田完さんの作曲の音楽がとても良かったからということもあるような気がします。映像の影響もあると思うのですが、長屋で暮らす人々の穏やかな生活がこれからもずっと続いていくといいな、という印象の音楽で、好きでした。歌がないところも良かったですし、この時代劇によく合っていたように思います。

優秀だけれど「おねしょ」が治っていない弓之助の他にも、有能な岡っ引きの政五郎(大杉漣さん)の家の居候で、レコーダーのようなすごい記憶能力を持ち憶えたことを落語のように話すおでこ(高村竜馬さん)や、親に捨てられたのを見て佐吉さんが引き取って育てることにした、歌うようにゆっくり短い言葉を話す長助(森遥野さん)など、平四郎さんのそばで子供が活躍していたところも、良かったのだと思います。

親の代から使える井筒家の中間の小平次(植本潤さん)や、隠密廻り同心の辻井英之介(音尾琢真さん)や、湊屋総衛門の一人娘で佐吉さんのことを好きな明るい性格のメガネ娘のみすず(山田朝華さん)や、お徳さんの煮売り屋のお店で働くようになった元遊女のおくめ(須藤理沙さん)も、良かったです。

最終話は、湊屋総右衛門の元番頭の久兵衛に呼ばれて湊屋総右衛門と舟の中で直接対面した平四郎さんが、鉄瓶長屋で起きた最初の殺人事件のこと、次々と鉄瓶長屋の店子が出て行ったことと、佐吉さんの母親の葵さんが総右衛門の妻のおふじ(遊井亮子さん)に殺されたことの真相を聞く話が主でした。

そのため、そのような前半は少し説明的で、第9話までの勢いが弱まってしまっていたというか、私には少し長いようにも思えてしまいました。しかも、その真相は、ドラマの平四郎さんが溜息をついていたように、はっきりと提示されるものではありませんでした。

弓之助やおでこや長吉や佐吉さんなどの場面も、これまでよりもずっと少なかったように思います。

平四郎さんが湊屋さんと会ってから一ヶ月ほどして、病を患っていたおくめさんも亡くなり、お徳さんも鉄瓶長屋を引っ越すことになりました。以前おくめさんが暮らしていた長屋に移るようでした。夫とおくめさんの位牌を丁寧に荷物の中に収めていました。そして、お徳さんが長屋の掃除をしていた時、一人の見知らぬ女性が長屋の敷地内に入ってきたのですが、その女性は葵さんのようでした。自分はここの敷居を跨いではいけない人間だといいながら長屋に来た目的を言わないその女性が、名乗らない上に、自分は幽霊のようなものだとか、長屋がやっと無くなるとか、嬉しそうに笑うのを聞いて、怒ったお徳さんは持っていた鉄瓶の中のお湯か何かを、その女性にかけて追い払っていました。

事件の真相には私はあまりすっきりとしなかったのですが、そのお徳さんの勢いのある場面は面白くて、事件のことを吹き飛ばすような、何だかすっきりとするものだったように思います。お徳さんに命じられた、最後のカラスの官九郎の活躍も、良かったと思います。

最終回の脚本は尾西兼一さん、演出は吉川一義さんでした。

最終回のサブタイトルは、「さよなら鉄瓶長屋」だったのですが、最後、鉄瓶長屋のあった土地は更地になっていて、そこには錆びた鉄瓶が残されていました。

本当になくなってしまったというのが、少し寂しいような、でも、潔い感じでもありました。弓之助さんは平四郎さんの家の養子になるのかもしれないですし、平四郎さんは「昼行灯」の同心を続けているのですし、一つの長屋がなくなっても、屋移りした人々の暮らしはまた別の場所で、それぞれ続いていくのだろうと思えるような終わり方だったような気がします。私も最後まで見ることができて良かったです。
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