「このミステリーがすごい!~ベストセラー作家からの挑戦状~」

TBSのスペシャルドラマ「このミステリーがすごい!~ベストセラー作家からの挑戦状~」を見ました。

宝島社の『このミステリーがすごい!』というミステリー小説の紹介本で大賞を受賞した短編小説の4作品を映像化した、各25分ほどのオムニバスドラマです。ドラマの原作の小説は、『このミステリーがすごい! 四つの謎』に収録されているそうです。私はその原作の短編小説を未読なのですが、何となく面白そうに思い、ドラマを見るのを楽しみにしていました。

第1話は安生正さんの小説『ダイヤモンドダスト』で、翌日に開店を控えた新宿の靴店の副店長の明神和也(山本耕史さん)が、恋人の睦美の浮気相手だったたばことお酒の好きな店長の奥脇巧(AKIRAさん)と一緒に大雪警報発令中の猛吹雪の街中へ出て行く、という話でした。脚本は髙橋麻紀さん、監督は古澤健さんでした。

第2話は中山七里さんの小説『残されたセンリツ』で、3年ぶりのリサイタル会場の楽屋でピアニストの多岐川玲(とよた真帆さん)が青酸カリを飲まされて殺されていた事件の捜査を担当することになった刑事の河原崎雄二(イッセー尾形さん)が、玲さんのマネージャーで元恋人の安住鷹久(佐藤二朗さん)とリサイタルの主催者の地元のリサイクル工場の社長で現在の恋人でもある美能忠邦(長谷川初範さん)、そして玲さんと同じピアニストで、玲とは不仲であることが有名だった玲の娘の多岐川真由(川口春奈さん)に聞き込みをしながら、事件の真相に迫っていく話でした。脚本は渡邉真子さんと髙橋麻紀さん、監督は金子修介さんでした。

第3話は海堂尊さんの小説『カシオペアのエンドロール』で、クリスマスの頃、北海道から東京へ向かう?寝台特急カシオペアのスイートルームで映画監督の道明寺(田中要次さん)が背中を刃物で刺されて殺害されていた事件に遭遇した、「エクセレント!」が口癖のスウィーツ好きの警視の加納(吉田栄作さん)と部下の玉村(浜野謙太さん)が、プロデューサーの吉川かなえ(いしのようこ)とアシスタントプロデューサーの賀茂泉(矢吹春奈さん)、新人女優の樫村愛菜(川島海荷さん)、そして、国民的人気を誇るその人気作品の主演女優を長年担ってきた望月ゆかり(藤原紀香さん)の中から、真犯人を捜し出す話でした。脚本は永田優子さん、監督は大谷健太郎さんでした。

第4話は乾緑郎さんの小説『黒いパンテル』で、今は建設会社に勤め現場監督の仕事をしているものの、30年前の20代の頃には特撮戦隊もののヒーローの黒豹のブラック・パンテルを演じていた若手の役者だった50代の須藤(勝村政信さん)が、地球に小惑星の衝突の危機が迫っていたある日、その特撮ドラマのヒロインだった妻の栄子(高橋ひとみさん)が部屋で発見した、廃工場での最終回の撮影中の爆発事故で燃えたはずのマスクと衣装を見せられて、自分の目の前で亡くなり助けることができなかった憧れの先輩役者で敵役のドラクル伯爵を演じていた二ノ宮(城田優さん)のことを思い出し、自責の念からその影に苦しんでいた時、二十歳になる一人娘の千明(小池里菜さん)を誘拐したというメールが死んだはずのドラクル伯爵から届き、ブラック・パンテルのファンだった娘の恋人の戸倉(山本裕典さん)と二人で、ドラクル伯爵の指示通りにブラック・パンテルのマスクと衣装の姿で廃工場に囚われている娘の救出に向かい、30年前の最終回では叶わなかった、ドラクル伯爵との最終対決に挑む、という話でした。脚本と監督は、星護さんでした。

第1話目の作品は、自然災害を利用した「プロバビリティーの犯罪」のような出来事で、物語そのものよりは、都会の大雪の映像が印象的でした。「ダイヤモンドダスト」は、大雪の夜の事件(あるいは事故)の翌朝の光景でした。

第2話目と第3話目は、探偵役の刑事が事件を解決するというような、オーソドックスな探偵小説風の刑事ドラマ的な作品で、個性的な刑事さんが登場し、事件の背景にあったドラマも短時間の中に描かれていました。

4つの物語の中では、私としては、第4話目の「黒いパンテル」が特に良かったです。

脚本と監督の星護さんは、私が昔とても好きで見ていた陣内孝則さんが江戸川乱歩の名探偵・明智小五郎を演じていたシリーズの方でもあるので、今回のドラマの雰囲気が、その明智さんのドラマの記憶にも重なって、上手く伝えることができないのですが、とても嬉しく思いました。

過去のフィルムの感じも、音楽も、ドラクル伯爵とブラック・パンテルとの特撮らしい戦いの場面も、廃工場の爆発事故の巨大な炎の演出も、赤く輝く謎の小惑星も、現場監督をしている50代の須藤さんのナレーションを兼ねた独白も、二ノ宮先輩の影も、二ノ宮先輩と通っていたバーの店内の装飾も、「ブラック・パンテル」の最終回が完成したような最後の「黒いパンテル 終」の画面も、とても良かったです。

原作の短編小説の長さがどのくらいなのか私には分からないのですが、約25分のドラマにまとめるのは大変だったのではないかなとも思いました。

4話ともそれぞれ最後まで楽しく見ることができたのですが、少し気になったのは、ドラマの終わり方でした。オムニバスドラマとして4話をつなぐ全体の編集の仕方ということなのかもしれないのですが、何というか終わり方に余韻や余裕がなく、突然ぶつ切りされたように物語の本編が終わり、次のドラマに切り替わっていたというような印象でした。例えば、同じオムニバスドラマの「世にも奇妙な物語」のように、終わる際に数秒のゆとりがあると、もっと良かったのではないかなと思いました。

また、そのためかどうか分からないのですが、短編ドラマの合間の、女性編集者の樹木希林さんとミステリー作家の又吉直樹さんのミニドラマの内容が、面白かったような気もするのですが、あまり頭に入って来ませんでした。

それから、番組の中で、「天才小説家」と「一流映画監督」のコラボレーションという風に言われていたように思うのですが、私としては、「一流映画監督」という言い方は良いとしても、「天才小説家」という言葉には、少し奇妙な感じもしてしまいました。例えば「天才漫画家」という言い方もあるので、「天才小説家」も間違ってはいないのかもしれないのですが、私は今まで聞いたことがなかったので、少し不思議な感じがしたのです。「文豪」だと、例えば夏目漱石やドストエフスキーのような印象になってしまうのかもしれないですし、もし本当にいるとすれば(このような言い方があるとするならば)、「天才」の「小説家」とはどのような小説家のことを指すのだろうと、これはこのオムニバスドラマの物語そのものとは関係のないことなのですが、少し気になりました。

でも、とにかく、昨夜の「このミステリーがすごい!」のオムニバスドラマを私も見ることができて、楽しかったです。
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Author:カンナ
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