「天才探偵ミタライ~難解事件ファイル『傘を折る女』~」

フジテレビの「土曜プレミアム」で放送されていた2時間ミステリーのドラマ「天才探偵ミタライ~難解事件ファイル『傘を折る女』~」を見ました。録画をしておいたものです。

原作は、島田荘司さんの小説『傘を折る女』です。私は島田荘司さんの小説を未読なのですが、ただ、昔、人に借りて『占星術殺人事件』を読んだことがあり、その物語の内容をちゃんと憶えているというわけではないのですが、その物語の後半に颯爽と登場していた占星術師?で名探偵の御手洗潔さんの破天荒というか、自由で鮮やかな性格がとても面白く思えて、好きになりました。名字の「御手洗」が「おてあらい」と読み間違えられるのを何度も「みたらい」と訂正していたところも何だか面白かった印象があります。

といっても、私はそれから「御手洗潔シリーズ」の別の作品を読まないまま今に至ってしまって、『占星術殺人事件』を読んだ時の「面白い人」という昔の記憶の印象だけで御手洗さんを好きに思っているだけなのですが、それでも、今回その御手洗さんが初映像化され、スペシャルドラマとして放送されると知って、見るのを楽しみにしていました。

今回のドラマは、シャーロック・ホームズ的な「安楽椅子探偵」の、脳科学者で心理カウンセラーの資格を持っているという名探偵の御手洗潔(玉木宏さん)が、その親友で一緒に横浜の馬車道の家で暮らしているワトソン的な存在の石岡和己(堂本光一さん)から、ラジオで聴いたという聴取者が目撃した、土砂降りの雨の夜に交差点の横断歩道の前で立ち止まった白いビニール袋を提げた真っ白の半袖のワンピース姿の髪の長い女が差していた赤い傘を閉じて道路に投げて車に轢かせた後、その折れた傘を拾い上げて雨に濡れたまま立ち去った、という話を聞いて、白いワンピースの女性が返り血を浴びた殺人事件の犯人であることを推理し、神奈川県警の警部で知人の高橋義彦(勝村政信さん)と、その部下で、御手洗さんと石岡さんを信用しない警部補の堅川みさと(坂井真紀さん)と共に、首を切られて失血死していた被害者の祖父江さんのマンションの部屋を訪れて、隣の部屋で泥だらけの白いワンピースの女が特別な外傷の見当たらないままうつぶせに倒れて死亡しているのを見て、ラジオのリスナーが目撃した「白いワンピースの女」が別にいることに気付き、石岡さんと高橋警部と堅川警部補の協力を得ながら(上手く使いながら?)真犯人を見つけ出していく、という物語でした。

脚本は寺田敏雄さん、演出は小林義則さんでした。

スナック経営者だった被害者の祖父江さんが、実は殺される一週間ほど前に遭遇した、下川雪恵さんという女性が犯人の少年に首を切られて殺された「バスジャック事件」の30人ほどいた人質の一人で、たった一人でバスを逃げ出して警察に通報したことによって、犯人の逮捕に至ったとしてマスコミに報道されて「英雄」になっていた女性だったということが、ドラマの途中で伝えられていたのが、私には少し遅いようにも思えてしまいましたし、これによって、雪恵さんの葬儀の喪主を務めていた、司法試験に合格したばかりの「バスジャック事件」の被害者の娘の雪子(小西真奈美さん)が本当の「白いワンピースの女」だったというところも、ミステリーとしては分かりやすくなってしまったようにも思えました。

それが決して悪いということではないのですが、物語の後半は、御手洗さんの推理の場面というよりは、雪子さんが犯人であると確信した名探偵の御手洗さんの推理から、どうして白いワンピースを着た雪子さんが祖父江さんを殺したのか、泥だらけの白いワンピースを着て面識のない祖父江さんの部屋を訪ねることができた、目立った外傷の見当たらない町屋詩子さんの本当の死因は何か、祖父江さんが育てていたハムスターのケージが持ち去られたのはなぜか、ということが描かれていました。

バスジャック事件の被害者たちが、お前たちが女性を殺したのだと犯人に言われたのだとしても、誰一人としてマスコミに本当のことを話さなかったということの理由が、私にはいまいちよく分からなかったのですが、突然会いに来た見ず知らずの御手洗さんに祖父江さんを殺した経緯を話した雪子さんが自殺をしようとしていることを見抜いた御手洗さんが、法律家として許されるものではないのではないかと自首を勧めていたのは良かったと思います。

ただ、何というか、普通のしっかりとした「2時間ミステリー」になっていたので、それは良いことなのだと思うのですが、私としては、ドラマの名探偵の御手洗さんの描写を、私が昔読んだ小説の時の印象と違うというか、勝手に少し物足りないようにも思えてしまいました。

例えば、イギリスのドラマの「SHERLOCK(シャーロック)」の、ベネディクト・カンバーバッチさんの演じている名探偵シャーロック・ホームズも、自称「高機能社会不適合者」である部分が特に個性的で面白いように思えるので、私としては、今回のドラマの御手洗さんも、もっと強い個性を持った名探偵として描かれていてほしかったように思うのです。

でも、あるいは、例えば、江戸川乱歩の小説の中の名探偵の明智小五郎(私は明智さんもとても好きです)が初期の時代と『少年探偵団』のシリーズで有名になった戦後の時代とで設定が異なっているように、「御手洗潔シリーズ」を未読の私が知らないだけで、最初の『占星術殺人事件』以降の御手洗さんは、今回のドラマのような、天才的ではあるけれども冷静でちゃんとした人物として描かれているということなのかもしれません。それに、今回のドラマでは、星占いの話も、「御手洗」を「おてあらい」ではなく「みたらい」だと訂正するような件もありませんでした。

雪子さんが自首をしたことで「傘を折る女」の事件は解決していたようだったのですが、その後、ドラマの最後には、堅川警部補が次の事件(男性が宙に浮いているのだそうです)を石岡さんに知らせていたので、今回のスペシャルドラマは、またいつか続編が作られるのかもしれないなという感じの終わり方でもありました。

私の勝手な御手洗さんの印象を考えなければ、玉木宏さんの演じる名探偵の御手洗潔さんも良かったのだと思いますし、御手洗さんに和食を作る親友の石岡さんの役で久しぶりに堂本光一さんがドラマに出演していたことも(「スシ王子」という、堤幸彦監督の謎の「金曜ナイトドラマ」枠のドラマ以来でしょうか)、何だか少し嬉しく思いました。
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