「ゴーストライター」最終回

フジテレビのドラマ「ゴーストライター」の最終回(第10話)を見ました。

遠野リサ(中谷美紀さん)の「私の愛しい人」の原稿の作者名を自分の名前に一度書き換えていた川原由樹(水川あさみさん)は、それを元に戻していました。このデータを私に好きにさせてほしいとリサさんに言いに行った由樹さんは、帰り際、誰に向けて小説を書いているのかとリサさんに訊かれて、不特定多数の読者に向けて書いていると答えていて、それを聞いたリサさんは、だから今の由樹さんの小説は読者に媚びているように思えるのだと納得したように伝えていました。

由樹さんは、リサさんの「私の愛しい人」の原稿を駿峰社に持ち込み、本にして出版したいと、取締役兼編集長の神崎雄司(田中哲司さん)に頼みに行っていたのですが、うちでは出せないとあっさりと断られてしまい、それでも読んでくださいと、原稿だけ置いて帰っていました。

由樹さん付きの編集者の小田楓人(三浦翔平さん)は、遠野リサの「私の愛しい人」を駿峰社から出版するため、「保守的な出版社に風穴を開けた男」としてビジネス雑誌に取り上げられるようになった最近の神崎編集長のことを疎ましく思い始めていた常務の鳥飼正義(石橋凌さん)に直接相談をしに行き、遠野リサと川原由樹の共同執筆の本を作りたいと提案していました。

小田さんは、リサさんを図書館に呼び出し、由樹さんとの共同執筆の話を切り出していました。一緒に来ていた由樹さんは、以前は家族や婚約者、そして何よりも先生に褒めてもらいたい、認めてもらいたいという思いで小説を書いていたと言い、リサさんのために書きたいのだということを伝えていました。そして、由樹さんとの共同執筆の案に乗ることにしたリサさんは、小説のタイトルを「偽りの日々」にして、自分たちの「ゴーストライター」の騒動を彷彿とさせながら、でも中身は二つの視点から描く重厚な人間ドラマにしようということを由樹さんに提案し、それぞれ執筆を始めていました。

静文社という小さな出版社から初版1万部の自費出版をすることになり、リサさんと小田さんは、リサさんの同期の作家の向井七恵(山本未來さん)に「偽りの日々」の原稿を読んでほしいと頼んでいたのですが、それは推薦文を書いてもらうためでした。

リサさんは、介護付き高級住宅のマンションに入居している母親の元子(江波杏子さん)に「私の愛しい人」の原稿を渡していたのですが、元子さんは「遠野リサ」が娘の名前であることも娘が作家であることも忘れるようになっていて、原稿はベッドの脇のテーブルの上に置かれたままになっていました。

その頃、編集者の塚田真奈美(菜々緒さん)は、出版社に続々と届く新人賞の応募作品の中に、「遠野大樹」の名前を見つけて、小田さんに訊いていました。リサさんに息子の名前を訊ねた小田さんは、「希望の残骸」という小説の原稿を送って来たのが息子の大樹さんであることに気付いて、そのことをリサさんに教えていました。そして、リサさんは、居場所が分からなかった大樹さんのアパートの部屋を訪ねることができたのでした。

リサさんを迎え入れた大樹さんは、アルバイトをしながら小説を書く日々を送っていた大樹さんの生活を否定しようとするリサさんに、この生活を続けるということを堂々と話して説得していました。そして、落ち着いた態度でリサさんにお茶を出していた大樹さんは、おばあちゃんと一緒に暮らしているのかと訊き、母親と同居することができなくなったと話すリサさんに、「嫌いなら嫌いでいいんじゃない?」と言って、リサさんの母親への複雑な思いを肯定していました。大樹さんにそのように言われたことで、リサさんは、長い間自分を支配してきた母親を嫌いだと思う気持ちを認め、母親のことも自分のことも自然に受け入れることができるようになったようでした。

帯の推薦文を向井七恵が書いた、遠野リサと川原由樹の共著の『偽りの日々』は、発売初日から売り上げを伸ばし、重版して10万部にも達する勢いがあったようでした。鳥飼常務は、『偽りの日々』が売れたら「私の愛しい人」を駿峰社から出版してもいいという条件を小田さんに出して、自分の知り合いが始めた小さな出版社を紹介していたようで、小田さんは、それから由樹さんの新作の『あなたの日めくりカレンダー』とリサさんの『私の愛しい人』を出版して書店に並べ、川原由樹と遠野リサを同時に小説家として復活させていました。長野で暮らす由樹さんの元婚約者の尾崎浩康(小柳友さん)も、地元の書店で由樹さんとリサさんの単行本を買っていました。

退院して今は時々通院しているという元秘書の田浦美鈴(キムラ緑子さん)に会いに行ったリサさんは、作家としてまた忙しくなったという話をして、自分一人ではスケジュール管理が大変だからと、田浦さんにもう一度自分の秘書になってほしいと頼んでいました。

創立80年の駿峰社の謝恩会が開かれ、そこには雑誌の連載を持つようになったという品川譲(坂口辰平さん)も招待されていたのですが、一緒に会場を訪れたリサさんと由樹さんは、二人に挨拶をする神崎編集長の脇を素通りし、単行本の編集長の岡野慎也(羽場裕一さん)に挨拶していました。田浦さんは、リサさんのコートを預かると、由樹さんにも声をかけてコートを預かっていました。そして二人は、小田さんと塚田さんが開けた白いドアの向こうへ歩いて行きました。

取り残されていた神崎編集長は、一人でバーに来てお酒を飲んでいたのですが、そこに謝恩会を終えたリサさんがやって来て、『私の愛しい人』の感想を聞きたいと話していました。神崎編集長は少し驚いていたのですが、リサさんは、感想を言ってほしいのはいつもあなただと伝えていました。

リサさんが母親の部屋を訪れると、元子さんは椅子に座ってリサさんの「私の愛しい人」の原稿を読んでいました。ページをめくる手を止めた元子さんに、リサさんはそのまま読んでいてと言って、いつの間にかリサさんは、ベッドの上で眠ってしまっていたのですが、傾きかけた陽の光が差す中、遠野リサの小説を読み終えた元子さんは、涙を流して、少し嬉しそうに、眠っているリサさんを見つめていました。

最後は、穏やかな海辺の場面でした。リサさんに会いに来ていた由樹さんは、「文壇の女王」にふさわしいのは遠野リサだとみんなが言っていた、と楽しそうにリサさんに話していました。リサさんは、『偽りの日々』のおかげだと言いつつ、一冊の本に二つの名前があるのは屈辱的だったと笑っていました。そうして、小説家として対等な立場になったリサさんは、由樹さんと静かに別れた後も、一人で海を見ていました。本当の自分で偽りのない人生を送りたかったというリサさんが、偽りの人生なんてない、偽りの私も本当の私だ、愚かで愛すべき私だ、と気付くところで、ドラマは終わっていました。

脚本は橋部敦子さん、演出は土方政人さんでした。

最終回も、とても面白かったです。リサさんと由樹さんが小説家として一緒に復活するというところも良かったですし、リサさんと息子の大樹さん、リサさんと母親の元子さんが、お互いにその生き方を認め合うという雰囲気になっていたところも、田浦さんを再び秘書にしていたところも、神崎編集長と仲直りをしていたところなども、大団円という感じで、良かったです。

元子さんの記憶がそもそも本当に全て失われていたのかどうかということについては、よく分からない部分もあるのですが、元子さんが原稿を読む場面は、母親に認めてもらいたくて小説を書いていたリサさんの気持ちが少し報われたような場面でもあったように思いました。

崇拝や尊敬や、嫉妬や恨みや憎しみというような気持ちを乗り越えて、小説家として対等に同じ舞台に立つようになったリサさんと由樹さんの間に友情のような感情が生まれていく物語としても良かったのですが、やはり、中谷美紀さんの演じる孤高の小説家の遠野リサさんが自分自身の生き方を見つめていく物語としても良かったのだと思います。

映像もきれいでしたし、音楽も良かったですし、心理サスペンスの感じも面白かったですし、リサさんや由樹さんの感情が丁寧に描かれていて、何か文学的な雰囲気があったところも好きでした。最後の場面まで物語はきれいにまとまっていて、少しまとまり過ぎているように思えてしまったほどなのですが、ドラマの本編の後に紹介されていた「ノベライズ本」の宣伝を見て、この「ゴーストライター」のドラマは、ドラマの中のリサさんと由樹さんが書いていた『偽りの日々』の小説のようだったのかもしれないなと思いました。

出版業界の様子が描かれていたのも面白く思えたのですが、どのような本でもその本が出版されているということはそれは「ビジネス(商売)」なのだという事実が、当たり前のことのようでもある反面、何か少し寂しいような印象も受けました。

でも、とにかく、丁寧に作られた良い作品だったように思いますし、私も毎週の物語を楽しみに、最後まで見ることができて良かったです。良い最終回でした。
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Author:カンナ
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