「流星ワゴン」最終回

TBSの「日曜劇場」のドラマ「流星ワゴン」の最終回(第10話)を見ました。

ワゴン車の運転手の幽霊の橋本義明(吉岡秀隆さん)からもうすぐ死ぬことを聞かされた永田一雄(西島秀俊さん)は、姿を消した父親の永田忠雄(香川照之さん)の生霊の43歳の忠さんに会うため、橋本さん親子に頼んで、広島県の福山市へ向かい、2015年の1月14日の自宅前に到着していました。

一度来たことのある橋本さんの息子の健太(高木星来さん)は、一雄さんの実家が古いことを指摘していたのですが、橋本さんが一雄さんに話していたことによると、それは20年前、大学を卒業した一雄さんが戻って来ることを期待していた忠雄さんは改築の計画を立てていたものの、一雄さんが東京の会社への就職を決めたことを知り、怒って一雄さんを追い返し、改築の計画も白紙に戻してしまったからだったようでした。

病室の73歳の忠雄さんは、まだ亡くなってはいませんでした。父親が入院している病院の前の浜辺で、一雄さんは生霊の忠さんと再会していました。忠さんは、一雄のことを大事に思っていたが、独り善がりだったのかもしれないと後悔して一雄さんに謝っていました。

忠さんは、ワゴン車の旅では一雄さんの過去を変えることはできなかったかもしれないが、一雄さん自身を変えることができたと言い、今の一雄さんになら未来を変えることができると話して、生きろと一雄さんに訴えていました。

病院に向かって歩き出した忠さんの姿が消えていくと、一雄さんは、橋本親子に、現実がどんなに最悪なものだとしても生きると断言していて、橋本親子は、その言葉が聞きたかったのだと、突然一雄さんに拍手を送って、それから謝っていました。一雄さんがもうすぐ死ぬというのは、橋本さん親子の嘘だったようで、本当は一雄さんはまだ生きる運命にあるということでした。

そして、生きる決意をした一雄さんは、橋本さん親子のワゴン車に乗って、現代の、1月15日の深夜の世界へ戻っていました。駅前のベンチで目を覚ました一雄さんは、ワゴン車の旅は夢だったのかと少し呆然としていたのですが、妹の智子(市川実和子さん)からの電話に気付くと、急いでマンションの自宅に帰り、家庭内暴力を繰り返すようになった中学1年生の息子の広樹(横山幸汰さん)の部屋のドアを開けて、勝手に開けるなと騒ぐ息子に、すぐに支度をするよう命じて、広樹さんを連れて、忠雄さんが入院中の福山の病院へ向かっていました。

翌朝、意識不明で寝たきりの状態の忠雄さんは、まだ生きていました。社員たちの間を通り抜けて忠雄さんの前に到着した一雄さんは、忠さん、と呼びかけて、夢の中のワゴン車での旅の思い出と併せて話していたのですが、すると、一雄さんの手を握り返すように忠雄さんの手が動き、目を開けて一雄さんを見た忠雄さんは、生きとったのか、と安心したようにいい、死んでも朋輩じゃと言って、息を引き取っていました。忠雄さんは、43歳の生霊の忠さんの記憶を持っていたようでした。一雄さんは、父親が自分と同じ夢を見ていたのかと思っていて、そのことに驚いていました。

忠雄さんの葬儀には、ワゴン車の旅の途中の観覧車の乗車記念で一雄さんと撮影した笑顔の忠さんの写真が使われたようだったのですが、それは健太君が用意したプレゼントでした。一雄さんは、喪服を探していたクローゼットの上部に「黒ひげ危機一髪」があることに気付き、その中に観覧車のところで撮った忠さんとの写真と健太君からの手紙を見つけて、橋本さん親子に感謝していました。

葬儀の後、一雄さんは、広樹さんに、父さんと逃げないかと話していました。一雄さんは、広樹さんと福山の実家で暮らすことに決めたようでした。驚いていた広樹さんは、それから、自分をいじめていた同級生の3人に、引っ越すことを教え、君たちにされたことは許さないけれどと前置きした上で、最初にむかつくような態度を取った自分も悪かったと謝っていました。広樹さんは、一応そのことを自覚していたようでした。

逃げることをあっさりと認めた広樹さんは、でも、これは負けたというわけではないと言い、今度暮らすところはいいところだからいつか遊びに来いよと、とさっぱりということができるほど、ゆとりを持つことができるようになっていました。3人と別れた広樹さんは、傘を差して待っていた父親のほうへ歩いて行きました。

半年後、一雄さんは、丸忠水産で?漁師の仕事を始めていました。子犬を抱えていた広樹さんは、福山の地元に馴染んでいて、父親のことを「親父」と呼ぶようになっていました。

その港の一角に、橋本さん親子のワインレッド色のワゴン車が現れていたのですが、二人の前には忠さんも現れていました。一雄さんの歳だった頃の自分のことを考えて、一雄さんと同じ年齢の生霊となっていた忠さんは、本体の忠雄さんの死後、43歳の姿のまま幽霊になって、半年前から彷徨っていたということでした。橋本さんや健太君との再会を喜んでいた忠さんは、また福山の町中へ消えていったのですが、その少し前、一雄さんは、一雄さんの実家を訪ねて来た妻の美代子(井川遥さん)と再会していました。広島に来る前、神社で離婚予定の美代子さんと会っていた一雄さんは、私が広樹を引き取りたいと言ったらどうするのかと訊く美代子さんに、広樹だけは譲れないとはっきりと答えていたのでした。港から美代子さんの姿を見かけた一雄さんは、美代子!と叫んで呼び止めて、町中を走り回って、急いで美代子さんに会いに行っていました。

脚本は八津弘幸さん、演出は福澤克雄さんでした。

私は重松清さんの小説『流星ワゴン』を未読なので、原作の内容とドラマの内容とを比較することはできないのですが、いわゆる「夢落ち」というか、ワゴン車で「人生の分岐点」まで「タイムスリップ」をした旅の全てが一雄さんの「夢」だったという展開にはなっていなかったところには、少しほっとしました。

橋本さん親子が成仏すると言いながら成仏しなかったところはまだいいとしても、私としては、一雄さんが死ぬと言われていたのが橋本さん親子の嘘だったところには、(一雄さんが生きることになったこと自体は良かったと思うのですが)少し残念な感じもしてしまいました。でも、それも、一雄さんに考えを変えてもらうためだったのだろうと思いました。

「タイムスリップ」の証拠でもある「黒ひげ危機一髪」や写真が、2015年の現代の世界の一雄さんの自宅のクローゼットにも残されていたところも良かったです。最後までその「タイムスリップ」の仕組みのようなものは描かれなかったですし、いまいちよく分からないままでしたが、そのようなところをあまり気にしてはいけないドラマなのかもしれません。

自分と家族の未来を変えるために過去を変えようと考えて過去に戻り、家族の別の側面に気付きながらもその後の未来をかえることができなかった一雄さんは、橋本さん親子と父親の生霊の忠さんとのワゴン車での旅を通して、未来を変えるためにはまず今の自分自身を変えなければいけないということに気付いたようでした。そうして、“忠さん流”を取り入れて、父親としても夫としても強くなった一雄さんに、息子や妻はついて来てくれるようになった、ということだったのかもしれません。

この「流星ワゴン」の物語は、私にはすごく面白いというのとは少し異なるのですが、特に香川照之さんの演じる古風な頑固親父らしい忠さんの場面は面白かったように思いますし、何となく続きが気になって、最後まで見ることができました。

福山市の街並や海の風景もきれいでしたし、最後には、一雄さんが父親や息子や妻と理解し合うことができるようになったので、良かったのだと思います。

ただ、「過去」が変えられていなかったとすると、ギャンブル依存症だった妻の美代子さんの多額の借金もまだ残されたままになっているのではないかと思うのですが、妻の借金のことは、最終回の中では描かれていなかったので(もしかしたら私が聞き逃してしまったのかもしれないのですが)、よく分からないままです。そのことも含めて、これからまた二人で話し合うということなのかもしれません。

幽霊となった橋本さん親子という存在に合わせるなら、妻の借金のことを含めるよりは、長い間すれ違っていた一雄さんと忠さんの親子の物語に集中していたほうが、もっと良かったのではないかなというような気もしました。でも、全体的には、やはり「良い話」だったのだと思います。一雄さんと家族に幸せな未来が待っていそうに思えるような穏やかな終わり方でしたし、「人生の応援歌」というような作品として、それなりに良かったように思います。
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