「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」展

先日、東京の白金台にある東京都庭園美術館で開催されている「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」という開館30周年記念の展覧会を見に行きました。

昨年の秋にリニューアルオープンした東京都庭園美術館での今年最初の展覧会です。私は久しぶりに庭園美術館へ行ったのですが、今回見に行った時には、門の辺りにも、クリーム色の美術館の本館の前の庭にも、桜の花がきれいに咲いていました。

旧朝香宮邸の建物自体も、シンプルでありながら華やかなアール・デコ様式で作られていて美しいので、「幻想絶佳」の展覧会は、そのような東京都庭園美術館にふさわしい展覧会なのだろうと思いました。

当時のフランスの装飾美術のギリシャやエジプトの要素を取り込んでいる感じにも、異国趣味の雰囲気があって、優雅な印象でした。

庭園の風景は窓から見ることができただけだったのですが、何か蜃気楼のように微かに歪んでいる透明な窓ガラス越しに見る景色も、すてきに見えました。

市松模様のモノトーンの床も何となく懐かしく、フルーツや魚の意匠がたくさん盛り込まれた食堂の装飾も楽しいものでした。階段の天井から下がっていたカラフルなステンドグラスの星のような照明も、以前と変わらずかわいかったです。

展覧会のポスターなどに使われていたウジェーヌ・ロベール・プゲオンという画家の「蛇」の絵は、本館の奥からつながっていた新館に展示されていました。ポスターで見るよりももっと鮮やかな色の絵で、解説を読まないと暗示的な作品の内容は分からない感じではあったのですが、アール・デコの作品らしい開放的な明るさがあったように思います。

私としては、展覧会場に展示されていた作品の中で特に良かったのは、本館の1階のガラスケースの中に展示されていた、ルネ・ラリックの「射手」という花瓶のような1921年の作品でした。弓を手にした男性たちが、大空を舞う大きな鳥を射ようとしているデザインの無色のガラスの作品です。幾何学模様のように、舞う鳥たちも射手たちもずっと続いているように見えて、それが迫力になっているのかもしれないのですが、それほど大きくない花器の中(表面)で繰り広げられている光景が、何というか、とてもドラマチックに思えました。

チラシの解説によると、フランスの装飾美術業界で発展したアール・デコの古典主義は、「モダンに洗練された古典主義」ということでした。当時の「モダン」な作品は、本当に色褪せないというか、時代が変わっても「モダン」であり続けるのだなということを改めて思います。

展覧会のタイトルに使われている「幻想絶佳」という言葉も、すてきだなと思います。幻想の中の絶景、夢のような空想の世界の風景とは、一体どれほど美しいのだろうと、何か憧れるような気持ちになります。

大きな窓ガラスの壁が明るい新館には、ミュージアムショップとカフェが併設されていて、食事をしている方もたくさんいました。本館や新館の展覧会場にもたくさんのお客さんがいたのですが、混雑しているという感じではなく、展示されている作品を私も自由に見ることができました。

新館の展示を見終わって本館へ戻ろうと廊下に出ると、庭に雨が降っていました。それは、その日の天気予報通りだったのですが、そうして本館の玄関を出ると、来る時に見上げた桜にも雨が降っていて、その桜と雨の庭の旧朝香宮邸にもまた趣があるように思いました。
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Author:カンナ
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