「天皇の料理番」第9話

TBSテレビ60周年特別企画の日曜劇場「天皇の料理番」の第9話を見ました。今回は10分拡大版で放送されていました。

パリから帰国し福井の武生の実家に戻っていた料理人の秋山篤蔵(佐藤健さん)は、「天皇の料理番」になった弟の手料理をありがたそうに口に入れた療養中の兄の秋山周太郎(鈴木亮平さん)から、励めよ、と言われた言葉を胸に留めて、大正2年(1913年)の4月、東京の「バンザイ軒」で下宿をしながら、宮内省の大膳寮の厨司長の仕事を始めていました。

「バンザイ軒」の厨房には新しい料理人が入っていて、篤蔵さんを迎えた森田梅(高岡早紀さん)は、亡くなって遺影になっていた店主の森田仙之介(佐藤蛾次郎さん)が「大往生」をしたということを篤蔵さんに教えていました。

「バンザイ軒」の2階の部屋には、夜になると小さく鈴の音を鳴らしながら出かける女性が暮らしていたのですが、その女性は、元妻の俊子(黒木華さん)でした。行方不明を心配されていた俊子さんは、誰かに誘拐されたのではなく、自分の意志で東京へ出てきたようでした。前回、玄関先で子守をしていた俊子さんの腕を引っ張っていたのは、その子供の本当の母親だったようで、俊子さんは子供に密かに会いに来るその母親のことを思って、後妻となった家には思い切って離縁状を置いて、篤蔵さんのように自分のしたいことをするために、東京へ出てきたということでした。俊子さんは産婆さんになっていて、そのために吉原にも出入りをしていたようでした。

初出勤の日、篤蔵さんは、「宮内省」と書かれた木札を持って宮内省の大膳寮へ向かい、農学博士でもあるという大膳頭の福羽逸人(浅野和之さん)から厨司長を任され、御即位の御大礼の献立を考えてほしいと頼まれていました。篤蔵さんを案内していた料理人のリーダーの宮前さんによると、大膳寮の厨房は、和食係と和菓子係、パン係と洋菓子係と洋食係に分かれていました。そして、宮前さんたちは、天皇陛下のことを「お上」と呼び、お上のお耳に障りがないようにと、静かに黙々と調理の作業をしていました。

これまで修行をして来たレストランの厨房との違いに戸惑っていた篤蔵さんは、福羽さんから、御大礼の宴の献立が二千人分であると聞かされて驚愕し、「バンザイ軒」の部屋で二千人分の献立を考えていたのですが、その献立表を見た福羽さんからは、印象に残らないと言われてしまいました。

献立に悩む篤蔵さんは、夜、「華族会館」の前で師匠の宇佐美鎌市(小林薫さん)と再会し、相談をしていました。宇佐美さんは、宮内省が御大礼の献立を篤蔵さんに頼んだのは「オテル・リッツ」での経験を活かしてほしいからではないかと話し、天才料理長はどのようだったのか訊いていました。

料理は音楽だ、と言っていた天才料理長のことを思い出した篤蔵さんは、音楽的に献立を考え、料理名を書いたたくさんのメモを帰宅した俊子さんにも見てもらっていました。俊子さんは、料理名の中に「ザリガニ」という言葉がたくさん出てくることを不思議そうに指摘していて、ザリガニを大量に食べていたフランソワーズ(サフィラ・ヴァン・ドーンさん)のことを思い出した篤蔵さんは、ザリガニを使った料理の献立を考えて、一か月後、大正天皇の御即位の御大礼の献立を完成させていました。

その間、大膳寮のシェフたちは、篤蔵さんに言われた通りに、お上が笑いものにならないように、真面目に調理技術を磨いていたようでした。篤蔵さんが悩んでいた頃、宮前さんは、古事に倣って考えたという献立表を篤蔵さんに渡していたのですが、福羽さんは、宮前さんのものではなく、篤蔵さんの斬新な献立を採用することを決めていました。福羽さんは、食べられるザリガニが北海道の旭川にいることを調べ、そこに軍隊が出動して、たくさんのザリガニを捕まえていました。

御大礼の宴の料理を手伝うため、「華族会館」の宇佐美さんや奥村さん(坪倉由幸さん)も宮内省に呼ばれていたのですが、篤蔵さんからの手紙は、山上辰吉(柄本佑さん)の元にも届いていました。

御大礼が行われる京都の二条離宮の厨房では、ザリガニが水槽に入れられていて、水道から水が出続けていました。その音が大きいので、篤蔵さんは止められないか聞いたのですが、ザリガニを生かしておくためには水を流し続けなくてはいけないと言われて諦めていました。

武生の父親の周蔵(杉本哲太さん)や母親のふき(美保純さん)や弟の蔵三郎(森岡龍さん)は、篤蔵さんから贈られてきた御大礼の儀の絵葉書を見ていました。篤蔵さんが腕前を披露する日の、御大礼の二日目、病床の周太郎さんは、這うように部屋の襖を開けて、太陽を見上げていました。

篤蔵さんたちが準備を始めようとしていた厨房では、水槽から全てのザリガニが消えていました。水道の蛇口には水面に入る長さの白い布が付けられていて、福羽さんは、そこを伝ってサリガニは外へ逃げたのだろうと考えていました。宇佐美さんに促されて、篤蔵さんは別の指示を出さなければならなくなり、パリで人気のザリガニ料理を諦めて、伊勢海老の手配ができるかどうかを福羽さんに頼もうとしていたのですが、その時、手伝いに来ていた辰吉さん(上野の精養軒のシェフになっていました)がザリガニを拾っていて、それを見た篤蔵さんははっとして、探せ!と指示を出していました。みんなで部屋中を探して、ザリガニを捕獲していました。逃げたザリガニたちは、机の下や棚の下など、厨房の薄暗いところに集まっていたのでした。

厨司長の篤蔵さんを中心にシェフたちは調理を始め、そうして、「スッポンのコンソメ」や「ザリガニのポタージュ」から、「鱒の酒蒸し」や「オレンジとお酒のシャーベット」、「富士山のアイスクリーム」までのコース料理は、次々と天皇陛下や外国からの貴賓の方々のお席に運ばれていきました。

武生の実家では、家族が篤蔵さんからのハガキを読み上げて、病床の周太郎さんに篤蔵さんが考えた御大礼の献立を伝えていました。

料理を無事に成功させた翌朝、帰ろうとしていた篤蔵さんのところに宮前さんが来て、「退職願」を渡していました。篤蔵さんは、水道に白い布を付けたのは宮前さんであり、それは天皇陛下の耳に障りがないいように水の音を静かにするためだということにも気付いていました。それは真心ですよね、と言った篤蔵さんは、そのような人には辞めてほしくないと、退職願を宮前さんに返していました。最年長の宮前さんは、自分はうるさいですよと笑いながら、果物を切らないのは切腹を連想させるからだけではなく、丸ごとかじったほうがおいしいからでもあると篤蔵さんに言って、嬉しそうに帰っていました。

篤蔵さんは、太陽を見ながら、あなたの誇りになれましたか、と兄に訊いていました。痩せ衰えていた病床の兄は、その頃、家族に囲まれていました。そして読み上げられた新聞の御大礼の記事で無事に「天皇の料理番」としての役割を果たした篤蔵さんの活躍を知った周太郎さんは、母親を呼び、何かをつぶやいて、息を引き取っていました。何と言ったのかははっきりとは分からないのですが、兄の周太郎さんは弟の篤蔵さんのことを誇りだと答えていたのかもしれないなと思いました。

兄の死を知らせる電報を受け取った篤蔵さんは、兄に会うことができなかったことを寂しそうにしていました。そして、篤蔵さんに声をかけるか迷っていた俊子さんを呼び止めると、鯖江に連絡しようと思うと話す俊子さんに、一緒にいてほしいと頼んでいました。俊子さんは、篤蔵さんよりも長生きしますから安堵してください、と穏やかに答えて、篤蔵さんからの再婚のプロポーズを受けていました。

脚本は森下佳子さん、演出は平川雄一朗さんでした。

第9話の「皇居編」も、面白かったです。

パリから戻った篤蔵さんは、26歳だということでした。その26歳の若い料理人の篤蔵さんが、宮内省の大膳寮の年上の料理人たちをまとめ、大正天皇の御即位の御大礼(大正4年の11月17日に行われたそうです)のための料理を完成させ、「天皇の料理番」として当時の日本を「一等国」の仲間入りにし、ずっと応援をしてくれた兄の期待通りの「兄の誇り」になるまでのことが、テンポ良く丁寧に描かれていて、楽しかったですし、とても良かったです。

痩せ衰えていく兄の周太郎さんの場面も、辛かったのですが、辛いとか悲しいというよりは、それだけではなくて、弟を応援し続けていた兄の幸福感のようなものが描かれていたので、周太郎さんが「天皇の料理番」になった篤蔵さんの活躍を知ることができて良かった、という気持ちで見ることができました。

「バンザイ軒」の女将さんの梅さんや遺影の仙吉さん、俊子さん、「華族会館」の宇佐美さんや奥村さん、「精養軒」の辰吉さん、大膳頭で農学博士の福羽さん、大膳寮のシェフたち、武生の秋山家の家族、パリの思い出の中のフランソワーズさんなど、篤蔵さんを支えるたくさんの人たちの場面も、良かったです。

たくさんの人たちに愛されていた篤蔵さんは、篤蔵さん自身も人を愛する人だったのだろうなと思いました。

あと、ドラマの中の大正天皇やおすべらかしの髪型の皇后さま?が後ろ姿のみで描かれていたところも、良かったと思います。

大膳寮の様子や御大礼の饗宴の様子など、実際のことは私には分からないのですが、ドラマを見ていて、きっとこのような感じだったのだろうなと思えました。勢いがあって、何かリアルな感じがしました。デザートの「富士山のアイスクリーム」はとても好評だったそうで、宮中の晩餐会では今でも出されていると聞いたことがあります。

予告によると、次回にはもう少し時代が進んで、篤蔵さんと俊子さんの家族は「関東大震災」に遭うことになるようでした。次回の物語も楽しみにしたいと思います。良いドラマだなと思います。
プロフィール

Author:カンナ
ブログ初心者です。
感想などを書いています。
マイペースで更新します。
すきなもの
 月・星空・雨・虹・雪
 飛行機雲・入道雲・風鈴の音
 透き通った水・きれいな色
 富士山・東京タワー・ラジオ・音楽
 本・絵画・ドラマ・(時々)アニメ
 掃除機をかけること
にがてなもの
 人ごみ・西日・甘すぎるお菓子
 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム