「天皇の料理番」最終回

TBSテレビ60周年特別企画の日曜劇場「天皇の料理番」の最終回(第12話)を見ました。最終回は、30分拡大版で放送されていました。

昭和10年の3月になっていました。宮内省の大膳寮の厨司長の秋山篤蔵(佐藤健さん)は、ベーコン巻きの料理を作る際に使った一本の紐が一枚のお皿の上に乗って戻ってきたのを見ていました。料理人の一人が取り忘れたということだったのですが、そのお皿はお上(昭和天皇)の元に運ばれていたものでした。責任者として陛下に謝りに行った篤蔵さんに、陛下は何かお言葉をかけていました。

別の日、篤蔵さんたちは、満州国の皇帝に出す料理を作っていたのですが、毒味係の人たちが篤蔵さんの出した料理をバラバラにしているのを見て激怒しそうになった篤蔵さんは、亡くなった妻の俊子(黒木華さん)の鈴の鳴る音を聞いて、癇癪を起こしそうなのを抑えていました。

それから昭和17年の5月、軍部が引き起こした戦争が民の生活を圧迫するようになっていました。陛下は、民と同じようにすると、「配給制」を積極的に受け入れていたようで、闇市で食材を調達するということも拒否していたようでした。大膳寮には数匹のメザシだけが届くという日々が続いていて、献立に迷っていた篤蔵さんは、メザシの油煮という料理を陛下にお出ししていました。そのようなある日、大膳頭の黒田長治さんに呼ばれた篤蔵さんは、陸軍の偕行社の料理番を頼まれていました。精養軒に勤めていた友人の山上辰吉(柄本佑さん)とその陸軍の幹部の施設を訪れた篤蔵さんは、そこに豪華で新鮮な野菜やお肉やお米などの食材がたくさん集められているのを目の当たりにして、陛下や戦地の兵士のことを思って激怒し、辰吉さんに戦争が終わるまでの辛抱だとたしなめられていました。

篤蔵さんの家の仏壇には、父親の秋山周蔵(杉本哲太さん)と兄の周太郎(鈴木亮平さん)と俊子さんの遺影が並べられていました。長男の一太郎さんと次男の周二郎さんは出兵していて、戦地からの手紙が仏壇のそばに置かれていました。大膳寮の料理人で篤蔵さんの先輩の黒川さん(林泰文さん)の元には、息子さんの戦死の知らせが届けられていました。

時代は進み、昭和20年の8月15日の終戦を迎えていました。「バンザイ軒」の森田梅(高岡早紀さん)と、友人の松井新太郎(桐谷健太さん)、師匠の宇佐美鎌市(小林薫さん)は無事でした。敗戦を実感した篤蔵さんは、大膳頭の黒田さんから、アメリカのGHQが戦争責任を問うて陛下を裁判にかけるかもしれないと聞かされて驚き、陛下を守りたいと考えていたのですが、黒田さんは宮内省には何もできないと答えていました。

「バンザイ軒」で篤蔵さんの話を聞いていた宇佐美さんから、宮内省の役人でもある陛下の御料理番として何とかできないのかと言われた篤蔵さんは、その時には役人といっても木っ端役人だから無理だという風に答えていました。しかし、そのことを考えながら帰宅すると、ポストに亡くなったはずの父親からの手紙が届いていました。

その手紙を送ったのは、福井の武生に暮らす篤蔵さんの母親のふき(美保純さん)でした。ふきさんは、生前の周蔵さんが送らずにしまっていた篤蔵さんへの手紙を見つけて、篤蔵さんに送ることにしたということでした。そこには、兄の周太郎さんが篤蔵さんの献立を聞きながら息を引き取ったということ、篤蔵さんが陛下の御料理番でいることは父の夢であるということが書かれていました。家族みんなが篤蔵さんの夢を応援していました。

篤蔵さんは、皇居の上空を飛ぶGHQの飛行機に向かって屋上から白旗を振ってみせていました。それを知って止めに来た黒田さんには怒られていたのですが、篤蔵さんは、陛下の運命が今はGHQに握られているということを思って、その人たちを「国賓」として迎えてもてなしてはどうかと考えたようでした。

その考えを、大膳頭の黒田さんも料理人の黒川さんも良く思っていなかったのですが、GHQのアメリカ人が注文したサンドウィッチのお弁当箱の下に、何でもお申し付けくださいという趣旨のカードを仕込んでおいた篤蔵さんは、アメリカ人から依頼された日本人形探しや靴磨きなどの雑用にも明るく応じていたのですが、若いアメリカ兵の家に辰吉さんと二人で料理を作りに行った時、天皇陛下を敬う日本人の気持ちを愚かだという風に言われて、イエス・キリストももともと人間だったのが神様になったと聞いていますと言い返し、そのアメリカ兵を激怒させてしまいました。

篤蔵さんは、陛下に対する戦争責任論に篤蔵さんが巻き込まれることを心配する梅さんや新太郎さんに、陛下は生真面目で優しい人なんですと話していました。その頃、大膳寮では、黒川さんが退職願を篤蔵さんに渡していました。戦争で息子を失った黒川さんは、アメリカ人を国賓のようにもてなすという篤蔵さんの方針に反対していました。黒川さんは、いずれ子供が戻ってくる秋山厨師長には自分の気持ちなど分からないのだと怒っていたのですが、夢を叶えてもらった人にはその人たちのためにも夢を叶え続ける責任があると話す篤蔵さんが、恐れ多いことではあるがわが子のように思えるのだと、長い間毎日食事を作ってきた陛下のことを話すのを聞いて、退職しようとしていた気持ちを入れ替えていました。黒田大膳頭にも、他の料理人たちにも、篤蔵さんの気持ちが通じたようでした。

GHQのアメリカ人家族の要望で宮内省の庭でピクニックのような食事会をすることになり、その準備を始めた篤蔵さんは、辰吉さんや新太郎さんや宇佐美さんにも、人手が足りないからと声をかけていました。黒田さんは、陛下を日本の文化だという風に伝えることはできないかと考えていて、篤蔵さんは、昔の大膳寮では行われていたという「儀式」を復活させることを提案していました。

当日、黒川さんは、庭に集まったアメリカ人家族たちの前で、鴨をさばく儀式を行っていました。料理の配膳をしていた篤蔵さんは、途中で俊子さんの鈴を落としてしまったことに気付き、庭を探し回っていました。日本兵に殺されかける夢にうなされていた若いアメリカ兵は、池の前で鈴を探していた篤蔵さんを池に突き落とし嘲笑していました。

突き落とされた拍子に鈴を池の中に落としてしまった篤蔵さんは、天皇陛下のことを悪く言うそのアメリカ兵に、それまで抑えていた怒りの気持ちをぶつけようとしていたのですが、その時、鈴の音が鳴り、池の中の岩のそばに俊子さんの鈴を見つけていました。癇癪を抑えた篤蔵さんは、鴨の物まねをしてその場の空気を変えていました。新太郎さんと辰吉さんも篤蔵さんの努力に合わせて池に飛び込んで、鴨の物まねをして見せていました。

その様子を見ていたGHQの幹部の人に、あなたにとって天皇陛下とはどのような存在なのかということを訊かれていた宇佐美さんは、自分は市井の料理人だと断りながら、味噌のようなものだと答えていました。生まれた時からそこにあって親しんできたもので、なくなると寂しいものだという意味でした。それがなくなると暴動が起き、民の統治は難しくなるかもしれないとも話していました。

昭和21年の4月、GHQは天皇陛下の戦争責任を問わないことを決めていました。篤蔵さんの二人の息子さんも帰還し、篤蔵さんは、新太郎さんや辰吉さんと喜びを分かち合っていました。

それから、さらに時は流れ、昭和47年の10月18日になりました。高齢になっていた篤蔵さんの部屋には、『味』という著作や賞状や勲章が並んでいました。そして、陛下と面会をするために皇居を訪れていました。職場だった大膳寮を通りながら、当時のことをいろいろ思い出していた篤蔵さんは、陛下のお料理の紐を取り忘れて謝りに行った際の陛下の言葉を思い出していたのですが、その時、紐を取り忘れたお皿が陛下のものだけであることを篤蔵さんから聞いて知った陛下は、それなら良かった、と篤蔵さんに伝えていたようでした。

そして、天皇陛下は、長年御料理番を勤めてきた篤蔵さんに労いのお言葉をかけていました。16歳の時からの58年の料理人人生を終えた篤蔵さんは、陛下との面会を終えた後、俊子さんの鈴を見つめていました。

脚本は森下佳子さん、演出は平川雄一朗さんでした。

また長く書いてしまったのですが、最終回の第12話も、とても良かったです。面白かったです。最後は、俊子さんの鈴で、「完」になっていました。

料理への真心は愛情なのだということが、よく伝わるドラマだったように思います。特に最終回は、「天皇の料理番」らしく、佐藤健さんの演じる篤蔵さんの夢を今まで支えてくれた人たちへの愛情と共に、天皇陛下への愛情がとても丁寧に描かれていたように思えて、良かったです。

昭和21年の春から一気に時代が進んで昭和47年の秋になっていたのが、このドラマを好きで見ていた私としては、もう昭和47年なのかと、少しもったいないような気もしてしまったのですが、でも、その間は、今日も明日も明後日も陛下の御料理番なのだと喜んでいた篤蔵さんの夢が無事に叶い続けていた幸せな日々だったのだろうと思いました。

昭和天皇の姿や篤蔵さんの晩年の姿がはっきりと映されていなかったところも、良かったと思います。

「TBSテレビ60周年特別企画」のドラマということでしたが、今年の「戦後70年」にも相応しいドラマになっていたのではないかなと思いました。私はドラマの原作となった杉森久英さんの小説『天皇の料理番』を未読ということもあって、そのモデルとなった実際の天皇の料理番の秋山徳蔵さんのことも知らなかったですし、今まで何度か映像化されてきたという過去のドラマも見たことがないのですが、今回のこの「天皇の料理番」のドラマを私も最後まで無事に見ることができて、本当に良かったです。

明治、大正、昭和と、篤蔵さんたちが生きてきたその時代の空気感がちゃんと描かれているように思えたところも良かったのだと思います。以前の「日曜劇場」の「JIN-仁-」もとても良かったのですが、今回の「天皇の料理番」も、誠実な感じのする、とても良いドラマでした。もう少し長い作品になっていても良かったのではないかと思えるほどでした。最後まで、楽しかったです。
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