「あの日、僕らは戦場で~少年兵の告白~」

昨夜の7時半から放送されていた、戦後70年企画の「NHKスペシャル」のアニメドキュメント「あの日、僕らは戦場で~少年兵の告白~」を見ました。

アメリカ軍が沖縄に上陸するという情報を得た大本営が迫り来る沖縄戦に備えて沖縄の15歳から18歳の少年たちを兵士として召集するという計画を立て、陸軍中野学校出身の将校たちの指示を受けた日本軍人が沖縄の国民学校に通う少年たちの一部をある日呼び出し、故郷を護る「護郷隊」として少年たちを厳しく訓練し、北部の山奥のジャングルでアメリカ軍とのゲリラ戦を行わせた、という事実を伝える番組でした。

元少年兵だった方たちの証言や当時の資料の内容を伝えるドキュメンタリーの部分と、その方たちの体験をアニメにした部分とで構成されていました。アニメの監督は、古賀一臣さんでした。

番組を見る前は、どうしてアニメの作品にしたのだろうと少し不思議のようにも思えていたのですが、番組を見始めて、アニメで表現されるほうが適切であるように思えてきました。実写ドラマで子役の方が「護郷隊」の少年兵を演じるのは難しかったのかもしれないなとも思いました。

日本が連敗を重ねて追い詰められていた1944年頃から、当時の政府は、全国の少年や少女たちを兵士として戦わせる計画を立てていたそうなのですが、それに先立って沖縄の15歳以上の少年たちを兵士として招集することができるという風に法律を改正し、ゲリラ部隊である「護郷隊」が編成されたそうです。

1000人の沖縄の少年たちが少年兵となり、現在分かっている限りでは、162人の少年兵が戦死をしたということでした。

陸軍中野学校とは、諜報部員(スパイ)を養成する学校として有名ですが(今の中国や韓国や北朝鮮の軍などは、この日本の陸軍中野学校の手法をモデルにして作られたのではないかなと、何となく思えています)、沖縄には中野学校出身の将校たち(軍服ではなく私服姿で紛れ込んでいると聞いたことがあります)が何十人も来ていたそうです。その将校たちは軍人に作戦内容を伝え、軍人は集めた少年たちに、ゲリラ部隊の少年兵として養成していました。

証言を基にしたアニメによると、軍人は、友達を助けようとした少年を、同情は禁物だと言って革のベルトで打ったり、殴ったり、少年兵同士で制裁を加えさせたり、刀を少年の首筋に当てて「お国のために死ねるか」としつこく脅かしたりしていました。

法律の書類の上では「護郷隊」は「志願」で召集されるとなっていたそうなのですが、実際には強制だったそうです。ほとんど何も知らされずに集められた少年たちは、帰りたい者は帰ってもいいが、その代わりハガキ一枚で呼び出して死刑にする、と言われたそうです。

そうして、「軍国教育」を厳しく叩き込まれ、10人殺したら死んでもいいという奇妙な命令を下された少年兵たちは、「故郷を護るため」に、大人のアメリカ兵たちを相手に戦い、上司の軍人の命令で自宅に火を放ち、次第に友達の死にも無感覚になっていったということでした。

足を怪我して歩けなくなった少年兵が布にくるまれて日本軍の軍医に銃殺されたという話も、衝撃的でした。

近年、報道番組ではよく中東の国で少年兵が作られていることが伝えられていますが、70年前の日本も同じようなものだったのだということ思いました。日本では政府が指示をして作っていたということなので、もしかしたら、もっと性質が悪いかもしれません。

沖縄の「護郷隊」の少年兵たちは、故郷の沖縄の地を守るために、「本土決戦」を防ぐために、上官の命令に従って、アメリカ兵を殺したり、自宅も含めた村の家々に火を放ったりしていたのですが、元少年兵だった方がそれを「妄動」だったと話していたのも印象的でした。

軍人たちの「教育」によって暴力を振るわれたりなどしているうちに、自分の考えというものがなくなっていき、ただ上司の命令に従う一兵士として無感覚、無感情に行動していたということなのだろうと思います。

番組で伝えられていたのは、子供たちが戦争に利用された歴史、ということなのですが、利用したのは当時の日本政府なのですし、「これが戦争だ」とか「戦争なのだから仕方がない」とか、そのような考え方でまとめてしまってはいけない問題のように思えました。

沖縄戦の組織的な戦闘が終結した6月23日頃、「義勇兵役法」が制定され、全国的に15歳以上の男子、そして17歳以上の女子も、兵士として召集できるということになったのだそうです。その話を聞いていて、何というか、当時の政府を本当に気持ち悪く感じました。

どこかの広場に集まって整列していた大勢の少年少女たちが、「小国民起きよ!」という大人の男性の声の号令で一斉に万歳をする映像にも、とても怖い感じがしました。あれは一体何の映像だったのでしょうか。

戦後70年経って、当時のことを証言してくださっている方の話は、本当に貴重なものだと思います。戦争を引き起こした政府の側からは何も言わないのだと思うので、当時の戦争を体験した70代以上の方が、お辛いとは思うのですが、お話をしてくださるということが大切なことなのだと思いました。

終戦後(敗戦後)、当時の政府は沖縄戦を懸命に戦い抜いた少年兵の方たちにお礼や謝罪をしたのでしょうか。陸軍中野学校の元将校の方や、少年兵の指導者だった軍人の方は、負傷した少年兵を銃殺した軍医の方は、後にその時のことを思い出して苦しい気持ちになったのでしょうか。それとも、後悔などをすることなく、当時の行いを正当化したのでしょうか。

今年が「戦後70年」という一つの区切りだからというだけではなく、今の安倍総理の率いる自民党を中心とした与党の政府が、「積極的平和主義」だとか、戦争への「抑止力」になるとかで「安全保障関連法案」を通して「集団的自衛権」を行使し軍備を拡大しようとしている時だからこそ、政府が大人だけでなく子供たちの命さえも「羽毛よりも軽い」と考えて少年兵として利用していた問題を特に身近なこととして考えることのできるような、良いアニメ・ドキュメンタリー番組だったように思います。
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