映画「思い出のマーニー」

昨夜、日本テレビの「金曜ロードSHOW!」で地上波初放送されていたスタジオジブリのアニメ映画「思い出のマーニー」を見ました。

昨年の2014年の夏に公開されていた映画です。私は当時の宣伝番組などでこの映画の予告映像を見たくらいなのですが、今回放送されると知り、見るのをとても楽しみにしていました。

映画の原作は、イギリスのジョーン・G・ロビンソンさんの小説『思い出のマーニー』です。私は岩波文庫の本で読んだことがあります。

映画の物語の舞台は、北海道でした。札幌の中学校に通う12歳の佐々木杏奈(声・高月彩良さん)は、自分を残して亡くなった祖母のことも親のことも同級生のことも、「輪の外側の人間」である自分のことも嫌い、周囲から孤立していました。

ストレスに起因する喘息を患っている杏奈は、その愛情に疑問を感じて「おばちゃん」と距離を置いて呼ぶようになった養母の佐々木頼子(声・松嶋菜々子さん)の勧めで根室の頼子さんの親戚の大岩清正(声・寺島進さん)とその妻のセツ(声・根岸季衣さん)の海辺の家で療養をすることになるのですが、大岩夫妻に馴染むよりも前に、近くの湿地の向こうに建つ古い洋館を一目見て親近感を覚え、その「湿っ地屋敷」を眺めていたある日、誰も住んでいないはずの屋敷の2階の部屋の窓の奥におばあさんに髪を梳かれている金髪の少女を見かけました。そして、村の七夕祭りの夜、疎外感を感じて逃げ出した杏奈は、自分を誘うように置かれていたボートに乗って湿地の海を渡り、湿っ地屋敷の金色の髪と青い目を持つ謎の少女・マーニー(声・有村架純さん)と出会い、その夜から「秘密の友達」となったマーニーとの交流を重ねるうちに、少しずつ、閉ざしていた心を開いていくのでした。

湿っ地屋敷の新しい住人の、東京からやって来た彩香(声・杉咲花さん)に「マーニー」と勘違いされて声をかけられた杏奈は、彩香から湿っ地屋敷の2階の部屋の机の引き出しにあった「マーニーの日記」を見せられ、マーニーが自分の作り出した幻の少女だと確信するようになるのですが、久し振りに会ったマーニーの小さい頃の恵まれない家庭環境の話に自分の姿を重ね、マーニーにサイロへの恐怖心を克服してもらおうと、怖がっているマーニーをサイロへ連れて行くことにしました。しかし、嵐の中、気が付くと杏奈のそばで震えていたはずのマーニーの姿は消えていました。親友であるはずのマーニーにサイロに置き去りにされてしまった杏奈は、高熱を出して道に倒れているところを彩香に発見され、怒りと悲しみの思いが渦巻く夢の中で湿っ地屋敷のマーニーを呼び、窓から顔を出した大好きなマーニーから許してほしいと懇願され、マーニーを許した直後、マーニーと別れることになりました。

そして、杏奈は、湿っ地屋敷の絵を描いているマーニーのかつての友人だった久子(声・黒木瞳さん)から、マーニーの少女時代や晩年の話を聞き、さらに札幌から来た養母の頼子さんから杏奈を預かった経緯を聞いて、マーニーと自身のつながりを知り、自分が愛されている存在であることに気付いていくのでした。

脚本は丹羽圭子さんと安藤雅司さんと米林宏昌さん、作画監督は安藤雅司さん、美術監督は種田陽平さん、音楽は村松崇継さんという作品でした。監督は、「借りぐらしのアリエッティ」の米林宏昌さんです。

一人娘の忘れ形見である2歳の孫を残して亡くなった祖母の魂が、孤独だった少女時代の記憶の姿を借りて、自分の亡き後、孤独な少女時代を生きている孫の前に「秘密の友達」として現れ、その閉ざされて心を解放させていく、という話であり、あるいは、二人の孤独な少女の魂が時空を超えて夢のような深層心理の奥でつながる話でした。

原作のお話を知っていて映画を見るのと、知らないで映画を見るのとでは、見た時の印象が異なるかもしれないのですが、(うろ覚えではあるものの)原作の物語を一応知っていた私としては、イギリスが北海道になっていたり、風車小屋がサイロになっていたり、無口な十一(声・安田顕さん)や彩香の家族がほとんど登場していなかったりしたところなどは、原作の小説とは異なる設定になっていたように思うものの、大体は原作の物語の通りというか、原作のあらすじや主要なテーマを上手く切り取って2時間のアニメ映画とした作品であるように思えました。

マーニーが登場するのが映画の前半の終わり頃だったこともあり、杏奈とマーニーの場面がたくさん盛り込まれていたというわけではないのですが、杏奈にとってマーニーが大切な存在となっていく様子や、自分の心を打ち明けていく中で少しずつマーニーを「現実」から切り離していく過程が、静かに劇的に表現されていたように思います。

私としては、これは昨年に宣伝番組を見た時などにも思ったことなのですが、日本を舞台にするのなら、マーニーも黒髪(あるいは濃い茶色の髪)の日本人の少女であったほうが、自然だったのではないかなと思いました。原作の物語には、「ミステリー(謎解き)」の要素もあるので、今回の映画のように、マーニーの目が青色で、杏奈の目の色も青色だということになると、二人のつながりの秘密にすぐに気が付いてしまうような気がします。

また、これも原作と比べてしまうとなのですが、最初の頃のアンナの無気力感や疎外感や、感情を表に出さない「普通の顔」が、映画の杏奈にはあまり出ていなかったような気もしてしまいました。動揺した時に杏奈の頬が少し赤くなるという絵の演出も、私としては、少なくとも杏奈が心を閉ざしている前半のほうには、ないほうが良かったようにも思えました。原作通りではある「花売り娘」の件も、日本を舞台にする場合には少し不自然であるように思いました。

あと、これは私が原作の小説を読んだ時にも思ったことなのですが、マーニーは最後まで、アンナ(杏奈)の「秘密の友達」であってほしかったです。マーニーの人生がアンナ(杏奈)の現実の人生とつながっていたことが判明する場面は、確かに感動的かもしれないのですが、私としては、子孫(孫)を救いに現れた身内(祖母)ではなく、杏奈とマーニーは血縁的に無関係な存在であってほしかったように思います。アンナ(杏奈)の心が救われるのだとしても、いわゆる「夢落ち」のようになっていく展開が、私には少し寂しく思えました。

「思い出のマーニー」は、孤独なアンナ(杏奈)のマーニーとのひと夏の思い出であり、永久に忘れることのない一生の思い出なのだと思います。原作の小説ではもっと、アンナ(杏奈)の夢と現実の境界が曖昧に描かれていたような気がします。

星の夜空や夕焼けの湿地、草や風鈴やカーテンを揺らす風、嵐や高波、大岩家の庭などの自然の風景の絵も、とてもきれいでした。それは主人公の杏奈の心の揺れ動きでもあったのかもしれないなと思います。

もしもこの映画の監督が、宮崎駿さんや「耳をすませば」の近藤喜文さんだったならどのような作品になったのだろうということも、昨夜の映画を見終わって少し考えてしまったのですが、それでも、今回の「思い出のマーニー」は良い作品だったように思います。

物語がすごく面白いというのとは少し異なるかもしれないのですが、自分のことが嫌いで孤独感を感じていた12歳の少女が周囲の人たちから愛されていることに気付き、自分のことも周囲の人たちのことも好きになってこれから元気に伸びやかに成長して大人になっていくことを示すというような意味の物語として、道徳的だなと思いました。
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