「聖徳記念絵画館」という美術館

先日、明治神宮外苑の中にある「聖徳記念絵画館」へ行きました。

私が行った時にはいちょう並木はまだ緑色の部分が多かったのですが、道はいちょうの葉を見上げるたくさんの人で溢れていました。いちょう並木の下を通った私は、時間があったこともあって、それから、奥に見えていた「聖徳記念絵画館」という美術館(「美術館建築」と解説のどこかに書かれていた以外には特にはっきりと美術館だとは書かれていないので、美術館という呼び方で正しいのかどうかよく分からない部分もあります)へ行くことにしました。いつか行きたいなと思ってはいたのですが、これまで行ったことがなかったのです。

基本的には年中無休なのだそうです。国会議事堂のようにも見えるその聖徳記念絵画館の正面の石の階段を上がり、施設維持協力金(入館料)の500円を受付に納めて中へ入ると、そこにはドームの高い天井と明るいガラス窓の空間が広がっていました。

いちょう並木は大正12年に植えられたものだそうですが、大正15年の秋に開館した聖徳記念絵画館は今は重要文化財に指定されているのだそうです。

「明治天皇・昭憲皇太后の御聖徳を永く後世に伝えるために造営された」という絵画館の左右には、「壁画」として、幕末の明治天皇の1852年の御降誕(御生誕)から、1912年の崩御、大葬までの一連の出来事や御事績を画題として描いた作品が、年代順に展示されていました。絵画は全部で80点で、正面から向かって右側には40点の日本画、左側には40点の洋画が展示されていました。それぞれ横2.7メートル、縦3メートルという絵でした。80点の壁画が全て揃ったのは昭和11年なのだそうです。

絵はガラスケースの向こうに展示されていて、手前に設置されていた木の板には、画題と作者名と解説とその当時の主な「世界史」が書かれていました。(一部は英語でも書かれていました。)

絵の作者には、例えば川崎小虎、岡田三郎助、松岡映丘、山口蓬春、前田青邨、荒井寛方、堂本印象、鏑木清方、小杉未醒、山本鼎、中村不折、藤島武二、和田三造など、私も名前を知っている有名な方もいたのですが、私の知らない方もたくさんいました。

私も順番通りに日本画から見始めました。最初は江戸時代末期の世界から始まっていたので、その空気感を静かに見ていたのですが、明治時代に入り、「戦争」の絵が増えていき、明治天皇の服装も洋装になっていくのを見ているうちに、次第に窮屈な気持ちになってきて、少し泣きそうな気持ちにもなってきました。私の隣で見ていた老婦人の方が、戦の絵(「伏見鳥羽戦」だったかもしれません)を見ながら、戦争なんて本当にバカらしいと話しているのを聞いて、本当にそうだなと思いました。

奉納された壁画は、明治時代の日本の歴史の重要点や、明治天皇の活動だけではなく、昭憲皇太后の活動も描かれていました。日本画の部屋の最後の「初雁の御歌」の絵をきれいだなと思って作者の名前を確かめると「鏑木清方」と書かれていたので、さすがだなと思いました。

洋画の画題として描かれていた明治時代の後半の歴史は、「日清役」、「台湾鎮定」、「日露役」、「日韓合邦」と、さらに過酷になっていきました。過酷というのは私の印象で、大正時代の当時の日本の人たちがそれを過酷に思えていたかどうかは分かりません。

「振天府」という65番目の作品は、日本軍が持ち帰った“戦利品”を描いたものだそうで、聖徳記念絵画館にこの壁画が奉納されているということは当時の人々がおそらく戦利品を得る状況を誇りに思っていたからなのだろうとも思うのですが、奉納された戦利品というのは、戦地から盗んできたものなのかもしれないと思いますし(盗んだと言うのは良くないのかもしれないのですが、今でも「戦利品」は奪ったものであることが多いように思います)、そのため、その絵を見ていて少し寂しいような気持ちになってしまいました。

展示されていた歴史画そのものが悪いわけでは決してありません。ただ、年代順に歴史画を見ていると、絵そのものよりも、歴史の内容が気になってきてしまうのです。

壁画80点を見た後、ドームの天井のある中央の部屋の奥に開いている小さな部屋へ入ると、そこには聖徳記念絵画館のできるまでのパネルと、「ひとつばたご(なんじゃもんじゃ)」という木の切り株と、そして、「金華山号」という明治天皇の愛した御料馬の剥製と骨格が展示されていました。ガラスケースの中の剥製になっている茶色の皮と白色の骨は、向かい合わせで展示されていました。少し驚いたのですが、明治天皇の命で剥製として残されたということが解説に書かれていました。宮城県出身の金華山号は、落ち着いた性格のとても賢い馬だったそうです。

普通の美術展でも展示作品数が80点ということはありますし、聖徳記念絵画館の日本画と洋画の80点の壁画も、見応えのある展示になっているように思えました。壁画もそうなのですが、やはり大正15年に完成したという壮麗な、装飾のデザインがところどころアール・デコ調の建物の雰囲気が良かったのかもしれないなとも思います。少し複雑な気持ちになる部分もあったのですが、この美術館を私も今回見に行くことにして良かったと思いました。
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