「超限定能力」

先日の日曜日の深夜にフジテレビで放送され、録画をしておいた「第27回 フジテレビヤングシナリオ大賞」のドラマ「超限定能力」を見ました。

最初は、大学生を主人公とした軽い話なのかなと思いながら見ていたのですが、行き場のない男性が飛び降り自殺をした辺りから、ドラマの雰囲気がシリアスな展開に変わってきて、ドラマの物語に引き込まれました。とても良かったです。脚本は、青塚美穂さんでした。

大学生の秋山舜太郎(竜星涼さん)は、父親の会社にコネで入社する予定になっていたため、就職活動に忙しくしている真面目な友人の斉藤宣秀(太賀さん)とは対照的に、毎日をのんびりと気楽に過ごしていたのですが、Mr.マリックさんの超魔術のテレビを見たある朝、通学するために乗っていた電車の急ブレーキで転んで頭を打つと、気がついた時には、介抱してくれていたサラリーマン風の男性(ルー大柴さん)だけではなく、電車内の乗客の人たちの全員の頭の上にその人の降車駅の名前が見えるという不思議な能力を持つようになっていました。

舜太郎さんは、最初はその電車内だけで発動する限定的な能力を面白がっていただけだったのですが、ある時、降りる駅が見えなかった男性(ダンディ坂野さん)が、降りた駅のそばのビルから飛び降り自殺をしたことを知って、衝撃を受けるのでした。

降車駅が見えないということは、その人に「行き場がない」ということを示しているということに気づいた舜太郎さんは、電車内で見かけた駅名の見えない女子高校生(永野芽郁さん)に声をかけることができないまま、女子高校生の飛び込み自殺のニュースを読んでショックを受け、その自殺によって電車が遅れたことでエントリーした企業の面接に間に合わなかったことの愚痴を言う宣秀さんとケンカになってしまいました。宣秀さんは、コネ入社できる舜太郎さんに自分の気持ちは分からないと言い、舜太郎さんは、不採用が続いているからって自分に当たるなと宣秀さんに反論していました。

舜太郎さんは、宣秀さんとケンカになったことを後悔していたのですが、駅前で見かけても、気まずい思いがして声をかけることができませんでした。そして、その日の夜、宣秀さんが自殺未遂で病院に運ばれたことを知ってショックを受け、自分のことなんか誰も要らないんだという留守番電話に残っていたメッセージを聞いて、駅前で声をかけなかったことを深く後悔するのでした。

ある日、降車駅の見えなかった女子高校生を見かけた舜太郎さんは、その人が生きていたことにほっとしたのですが、同じ電車に乗ると、その人の頭の上にはまだ駅名が見えないままでした。勇気を出してその人が降りた駅周辺を捜しに行った舜太郎さんは、線路の橋の上から飛び降りようとしているその人を見つけ、急いで止めると、その人を宣秀さんの入院している病院へ連れて行きました。

舜太郎さんから、死のうとしている人を電車内で見つけることができるという特殊能力のことを打ち明けられた女子高校生は、ある日突然仲の良かったグループ内で仲間外れにされるといういじめに苦しんでいることを打ち明け、話を聞いた舜太郎さんは、君がいなくなって悲しむ人はきっといるはずだと説得し、帰ると言い出したその人を送ることにしました。舜太郎さんは、その人と同じ車両に乗るのを少しためらっていたのですが、車両に乗ると、その人の頭の上に自分の最寄りの駅と同じ駅名がはっきりと見え、ほっとするのでした。

舜太郎さんは、その人を迎えに来た父親(武藤敬司さん)に誤解されて殴られたりもしたのですが、その女子高校生からは、助けたことを感謝されていました。

意識不明だった宣秀さんも意識を取り戻し、安心した矢先、再び電車内で転んで頭を打った舜太郎さんは、人の降車駅が見えるという特殊能力を失っていました。しかし、能力のあった期間中、「行き先」について考えることができた舜太郎さんは、父親の会社に入るのを辞退し、自分の行き先は自分で決めると、スーツに着替え、就職の合同説明会へ出かけて行きました。

最後は、舜太郎さんが説明会の会場のある横浜へ向かうために駅の改札を通る、という場面でした。行き先が表示される駅の看板?や、エスカレーターの階段に出演者の名前が出るという演出も良かったですし、ドラマの音楽も良かったように思います。演出は野田悠介さんでした。

深夜に放送されたドラマなので、録画をしておいたものを後で見ました。最初は、大学生を主人公とした軽い話なのかなと思いながら見ていたのですが、行き場のない男性が飛び降り自殺をした辺りから、ドラマの雰囲気がシリアスな展開に変わってきて、ドラマの物語に引き込まれました。

自殺しようとしていた女子高校生を舜太郎さんが宣秀さんの入院している病院に連れて行ったところは、私には少し無理矢理の感じもしましたが、それ以外は自然な展開であったように思えました。

舜太郎さんに与えられた超限定能力は、降車駅(行き先)を見ることができるという特殊能力そのものも、それが与えられた期間も限定的でしたが、就職活動に行き詰まったり、いじめられて学校生活が苦痛になったりというテーマが盛り込まれていたのも良かったのだと思います。気楽に生きていた青年が、特殊能力を得たことをきっかけに「行き場」のない人の悩みや苦しみに気づくようになり、流れで決めていた自分の人生の行き先を積極的に考えるようになっていく、というような物語だったのかもしれません。

何となくなのですが、近年の「世にも奇妙な物語」の中に入っていてもおかしくなさそうな物語でもあるように思えました。主人公の舜太郎さんは、最後には友人の宣秀さんと同じような真面目な大学生に変わっていましたが、変わらなかったとしても、“超限定能力”の面白さは消えなかったのだろうと思います。

主人公の舜太郎さんと友人の宣秀さんが大学で受けていた授業は「社会哲学」のようでしたし、社会派の問題が盛り込まれているドラマは作り方によっては複雑にもなってしまいそうだと思うのですが、シンプルにまとまっていて、最後まで楽しく見ることができました。とても良かったです。

「フジテレビヤングシナリオ大賞」というものとその大賞の作品がドラマ化されているということを私が知ったのはまだ数年前のことなのですが、近年の作品の中では、私としては、「輪廻の雨」(脚本は桑村さや香さん)と「さよならロビンソンクルーソー」(脚本は野木亜紀子さん)が印象に残る作品だったように思います。「君は空を見てるか」(脚本は宮本陽介さん)も良かったような気がします。

私はドラマや映画を見るのは好きなのですが、自分で脚本を書くようなことはできないので、脚本を書くことができる方は本当にすごいなと思います。そして、ドラマならドラマの制作者の方たちのおかげで一視聴者の私も楽しいドラマを見ることができるのだなということも改めて思いました。
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