ドラマスペシャル「赤めだか」

TBSの年末ドラマ特別企画「赤めだか」を見ました。夜の9時から11時半頃まで放送されていたスペシャルドラマです。

原作は、私は未読なのですが、落語家の立川談春さんのエッセイ『赤めだか』です。

高校生だった17歳の佐々木信行(二宮和也さん)は、中学生の時に行った芸能鑑賞会で落語家・立川談志(ビートたけしさん)に出会い、漫才ブームが起きていた1984年の春、両親(寺島進さん、岸本加世子さん)の反対を押し切る形で立川談志に弟子入りするために東京へ出て行き、立川流の門を叩くのですが、立川流では弟子にアルバイトを禁止していたため、生活をするためには両親の援助が必要でした。両親を説得することができなかった信行さんは、両親は突然不慮の事故で死んだと咄嗟に嘘を付き、その心意気が評価されたのか、新聞配達のアルバイトをする許可が下りました。

そして、信行さんは、チラシの裏に談志が書いた「立川談春」という名前を与えられて、念願の立川談志の弟子となり、兄弟子の立川談々 (北村有起哉さん)や立川関西 (宮川大輔さん)、立川ダンボール (新井浩文さん)たちと共に、談志師匠の家の家事や雑用をこなす毎日を送っていました。

庭のツツジの花を過って殺虫剤で枯らしてしまって談志師匠に怒られていたダンボール兄さんは、父親が病に倒れたことをきっかけに弟子を辞めることになりました。ある日庭を見ていた談志師匠から1万円で高級な金魚を買ってくるよう言われた談春さんは、再会したダンボール兄さんと焼肉を食べてしまい、残りのお金で一匹百円の赤めだかを十数匹買うと、それを高級な金魚だと言って談志師匠の庭の水の張った鉢に放していました。

兄弟子の志の輔(香川照之さん)から、雑用をしたくないなら「二ツ目」を目指せと教えられた談春は、両親から4年という条件で援助してもらうことができるようになると、アルバイトを辞めて、古典落語を憶える努力を始めました。稽古をつけてくれるようになった談志師匠から褒められるようにもなるのですが、風邪を引いたある日、くしゃみが止まらないことを理由に師匠の稽古を断ると、それ以来一切稽古をつけてもらえなくなり、ある時から一年間築地の魚河岸で働くよう言いつけられてしまうのでした。

破門になりたくなかった談春さんは、談志師匠の言いつけに従って築地の魚河岸でシュウマイを売ることになるのですが、やる気がないために失敗ばかりしていました。志の輔さんから、魚河岸で働くのを断ってそのまま残ることができた新弟子がいると聞いた談春さんは、放送作家の高田文夫(ラサール石井さん)の紹介で入門したというその弟弟子の志らく (濱田岳さん)に文句を言いに行こうとするのですが、談志さんに稽古をつけてもらっていた志らくの落語の上手さに動揺するのでした。談志師匠は、隠れている談春に聞こえるような声で、現実が正解だ、と現実を分析した上で行動を起こすことの大切さを説き、心を入れ替えた談春は、店主(柳家喬太郎さん)がリズミカルにお金を数えているのを見て、人の多い築地で働くということが落語家になるための修行になっているということに気付いていきました。

仕事を辞める際に魚河岸の女将さん(坂井真紀さん)から渡されたお金は、お給料として渡してしまうと全部使ってしまうかもしれないということで、談志師匠に言われて少し差し引いて貯めておかれていたものでした。談志師匠の優しさを改めて知った談春さんは、弟弟子の志らくへの嫉妬心を捨てることができるようになり、談志師匠の弟子として、以前よりもいろいろよく気が付くようになっていました。

祖母(正司歌江さん)のために落語家の修行に励んでいた弟弟子の志らくと二人で、「勉強会」を開く許可を談志師匠にもらった談春は、立川流の落語を聞きに集まっていたたくさんのお客さんたちの拍手に喜ぶのですが、その後志らくが「文七元結」の稽古をしているのを見て、お寿司屋の大将(さだまさしさん)に頼まれてお客さんの前で落語を披露することになった時、そこで「文七元結」を披露し、それが落語界の常識では前座に許されていない難しい噺だったために、宿敵の文芸評論家の林修一(リリー・フランキーさん)から批判されたりもするのですが、談志師匠はむしろ談春が難しい噺を憶えたことを褒めていました。そうして談春は、兄弟子の談々と関西、弟弟子の志らくと4人で、談志師匠が突然提示してくれた、「二ツ目」になるための昇進試験を受けることになるのでした。

昇進試験には、五十席の古典落語の他に、太鼓の演奏や都々逸や長唄まで入っていました。提出するメモに急いで書いた「寿限無」の披露に失敗した談春さんは、試験に落ちたと思っていたのですが、談志師匠は4人に合格点を与えました。4人は一緒に「二ツ目」となることができたのでした。誰かの連帯保証人になって借金取りに追われていた談々さんは借金を少しずつ返すことができるようになり、関西さんは落語をバカにしていたテレビ局のディレクターの同級生からの手のひら返しの取材の依頼を堂々と断り、志らくは談志師匠の稲庭うどんを祖母に送り、実家に帰った談春さんは、家を出る直前にも食べていたカレーを母親に頼んで作ってもらっていました。

1988年の3月、談々と関西と談春と志らくは、家族や友人やたくさんのお客さんたちの前で二ツ目昇進の挨拶をして、舞台の上で一人ずつ落語を披露していきました。談志師匠も落語を披露し、お客さんたちを笑わせていました。

それから精進して、談志師匠の言う通りに売れた談春は、2015年の12月、落語の会場の客席で談志師匠が笑っていたのを一瞬見ていました。

脚本は八津弘幸さん、演出はタカハタ秀太さんでした。

落語のことをほとんど知らない私は、「ルーズヴェルト・ゲーム」でイツワ電器の坂東社長を演じたり、「下町ロケット」で佃製作所の殿村経理部長を演じたりしている立川談春さんのことしか知らなかったのですが、そのような私にも、このスペシャルドラマを最後まで楽しく見ることができました。演技の中には、「アドリブ」もたくさん入っていたのかもしれないと思うのですが、そのようなオリジナリティも、きっと“立川流”なのだろうなと思いました。

立川談志さんをビートたけしさんが演じるというのも、ドラマを見る前の私には少し意外に思えていたのですが、雰囲気があって良かったです。談志さんは、優しくて合理的な方で、時々弟子たちに無理なことを要求しながらも、弟子たち一人一人のことをちゃんと見ていた方だったのかもしれないなと思いました。

その他の登場人物も、年末の特別企画のドラマに相応しく?“豪華キャスト”でした。談春さんが来る前にいたという兄弟子の立川談かん(柄本時生さん)は、ビートたけしの弟子になると言って談志師匠からたけしさんへのウイスキーの瓶を渡されていたのですが、その本当のダンカンさんは、配達員の人の役で少しだけ登場していました。落語家の春風亭昇太さん、春風亭小朝さん、三遊亭円楽さん、歌舞伎役者の中村勘九郎さんも出演していました。

ナレーションは、談春さんがファンだったらしい、薬師丸ひろ子さんでした。ドラマの本編の直前と最後に少し登場していたナビゲーターの笑福亭鶴瓶さんは、立川談志さんに褒められた思い出を語っていたようだったのですが、本当に少しだけだったので、中途半端のようにも思えてしまいました。もう少し長く聞くことができたほうが良かったのではないかなとも思えました。

いつまでも高級な金魚になることはない「赤めだか」は、談志師匠の弟子である談春さんの謙虚さであり、誇りでもあるのだろうなと思います。私は原作を未読なのですが、何というか、落語に対する愛と、落語家・立川談志への敬意に溢れた作品なのだろうなと思いました。

また、単純に、落語家さんはすごいなと思いました。たくさんの噺を憶えてお客さんたちの前で面白く披露するというのは、大変なことなのだろうと思います。一人芝居なのだと思いました。

このドラマの放送の前に直前番組として放送されていたメイキング映像では、二宮和也さんや北村有起哉さん、宮川大輔さん、濱田岳さんは本当にたくさんのお客さんたち(600人ほどいたようです)の前で落語を披露していたようなのですが、ドラマ本編では、その部分は少ししか放送されていませんでした。談志師匠役のビートたけしさんも、たけしさん風に落語を披露していたようですし、笑っていたたくさんのお客さんたちは本当に楽しかったのだろうなと思いました。

落語の稽古をつけた談志師匠が「俺のリズムとメロディ」を憶えるようにと談春さんに言っていたのですが、落語が「リズムとメロディ」だと聞いて、なるほどなと思いました。そのためか、ドラマの劇中の音楽も、リズミカルでメロディラインのきれいな曲が多く選曲されていて、テンポの良い展開に合っているように思えて、良かったです。

まさに落語家を目指す若者たちの「青春グラフィティ」でした。ほぼ実話というところも、すごいなと思いました。2時間半ほどのドラマだったのですが、あっという間でした。面白かったです。
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