「刑事バレリーノ」

日本テレビのスペシャルドラマ「刑事バレリーノ」を見ました。

「刑事バレリーノ」というドラマのタイトルが珍妙?というか、奇抜のようにも思えていたのですが、テレビ朝日の「トリック」やTBSの「スペック」の堤幸彦さんの演出のドラマという理由で、何となく見るのを楽しみにしていました。

堤幸彦さん演出の日本テレビのスペシャルドラマとしては、昨年の「視覚探偵 日暮旅人」の何か少し惜しいような印象もあって、勝手に少し心配でもあったのですが、今回の「刑事バレリーノ」は、ドラマを見る前に思っていたよりも面白かったように思います。

主人公は、バレエ教室の先生をしていた母親の月子(映美くららさん)の影響で小さい頃から世界的バレリーノを目指し、自分を白鳥の生まれ変わりだと固く信じている新人刑事の臼島くるみ(中島裕翔さん)です。

白色で統一された自室でバレエを踊りながら鏡の前でフランスパンを犯人に向けた拳銃に見立てて「警察だ!」と一人でつぶやいていた冒頭のくるみさんの場面が面白かったです。北海道の海辺で空を飛ぶ白鳥を見て自分は白鳥の生まれ変わりだと信じたくるみさんは、バディを組むことになったスマートフォンで美少女を育てるゲームばかりしている先輩刑事の鷲尾鷹男(高島政宏さん、高の文字ははしご高です)に連れて行ってもらった駄洒落を言う店主(渡辺哲さん)の定食屋でその「前世」のことを打ち明けていたのですが、バレリーノを目指していたくるみさんが刑事を志したのは、成長するにつれて母親からの期待が自分から離れていき、バレリーノへの夢に挫折しかけていた高校生の頃、火災現場の二階の部屋の窓から子供を抱えて白鳥のように飛び出した鷲尾さんの姿に憧れたからだということでした。

ある日、帝国大学病院の心臓外科医の片桐教授(内田紳一郎さん)がエレベーター内で背中を刃物で刺されて殺されるという事件が発生し、くるみさんは鷲尾さんたちと一緒に容疑者の尾澤という人物を逮捕するのですが、同じエレベーター内にいた目撃者の古森杏子(松井玲奈さん)によると、尾澤は刺殺する直前に「おもちゃ買ってくれないの?」と片桐教授に言っていたものの、そのことや殺害した理由について、尾澤さん自身は知らないと主張していました。

その後、同じ大学病院の心臓外科医の金城教授(綾田俊樹さん)がクラブでマカロワという外国人女性に突然刺殺されるという事件が発生し、クラブの従業員はマカロワさんが「おもちゃ買ってくれないの?」とつぶやいていたのを聞いていたのですが、マカロワさん自身は、尾澤さんと同じように、その言葉をつぶやいたことも殺した理由についても、知らないと主張し続けていました。

くるみさんは、東雲北署の刑事課の課長の小曽根大輝(杉本哲太さん)が信頼しているセラピストの深平あずさ(永作博美さん)から、社交ダンスをしている人と思われて、バレリーノですと何度も訂正していました。鷲尾さんは、「おいしくなーれ」という謎の呪文をかけるあずささんのことを怪しんでいたのですが、くるみさんと二人でマカロワさんの「退行催眠」を依頼することになりました。あずささんの「退行催眠」を受けたマカロワさんは、自分のことを「大きなカツオ」だと語り出し、あずささんはそれを「前世」の記憶だとくるみさんたちに教え、「前世」の話題を避け続けている鷲尾さんは信用していなかったのですが、くるみさんは、マカロワさんの言った日の新聞記事を調べて、マカロワさんが失踪した6歳の「奥菜勝雄」ではないかと思うようになりました。

「前世療法」を受けたマカロワさんが語っていたように、勝雄さんには一緒に失踪したみどりさんという5歳の妹がいました。尾澤さんがあずささんの前世療法を受けると、尾澤さんにはみどりさんの記憶が残されていたことが判明しました。あずささんは、脳に記憶が残っているという事実をそのまま受け取っているだけで、「前世」や「生まれ変わり」を信じているということではありませんでした。

くるみさんと鷲尾さんは、勝雄さんとみどりさんの足跡を辿り、千葉の舘山の神社の神主さんから、帝都大学病院の大崎病院長(大和田伸也さん)が40年前に働いていたという保養施設の話を聞き、神社の裏の今は廃墟となっているその保養施設に入り、勝雄さんやみどりさんがいた痕跡を発見しました。病院嫌いの鷲尾さんは、その場所を知っているかのように部屋を見つけ、その後再びあずささんの前世療法を受けたマカロワさんの記憶の情報から、勝雄さんとみどりさんが古井戸にいるということを知ると、すぐに庭の古井戸に気付き、茫然としていました。

古井戸からは、白骨化した3人の子供の遺体が発見されました。野次馬の中にある女性を見かけた鷲尾さんに言われて先に警察署へ戻ったくるみさんは、鷲尾さんがまだ戻っていないことを聞くと、鷲尾さんが3人目の子供の生まれ変わりなのではないかと思い、心臓外科の技術で授賞式へ出席する病院長を鷲尾さんが殺すのを防ぐため、会場のホテルへ急ぎました。あずささんの前世療法を受け、自分の前世がイタリアの牛追い祭りの牛だと知り、思い当たる節があると落ち込んでいたくるみさんは、ホテルの赤い絨毯の上を牛のように走り、白鳥のように高く飛んで(映像では牛に白鳥の羽が生えていました)、病院長を突き飛ばして鷲尾さんを助けていました。

鷲尾さんの年齢からすると、鷲尾さんが殺された子供の生まれ変わりであるはずはなかったのですが、保養所にいた元看護師さんの女性に会った鷲尾さんは、自分が6歳の頃その保養所にいたということを思い出していました。元看護師の和恵さんは、身寄りのない子供を誘拐してきた若い医師たちがその子供たちを人工心臓の研究の実験台にしようとしていることを知り、深夜の廊下に出ていた6歳の鷲尾さんを抱えて施設から逃げ出していました。偶然連れ出した鷲尾さんを知り合いに預け、町を離れていた和恵さんは、医師たちが賞を受賞したと知り、それなら子供たちは無事だったのかとほっとして町へ戻ったが、保養所の古井戸から子供の白骨体が発見されたと聞いてショックを受けていたようでした。鷲尾さんは、あの日に和恵さんに助け出されたことを和恵さんに感謝していました。

和恵さんは、3人目の子供は「典華」だと鷲尾さんとくるみさんに話していました。警察署に戻って当時の行方不明者の資料を探していたくるみさんは、「戸波典華」という少女の失踪記事を見つけていました。(鷲尾さんは、自分の記事を見つけて、こんな小さな記事で助けを求めていたのだとつぶやいていて、くるみさんは「鷲尾鷹男」という名前をすごい名前だと驚いていたのですが、くるみさんは上司の名前を知らなかったのでしょうか。)

くるみさんは、「戸波典華」という名前から、美少女ゲームで鷲尾さんに勝って1位になっていた「仮の港」のことを思い出し、エレベータ内の事件の目撃者だった杏子さんが殺された典華さんの生まれ変わりではないかと考え、杏子さんを止めるために病院長のもとへ向かいました。警察官に連行されていく病院長の後ろに、ナイフを持って現れた杏子さんを見つけたくるみさんは、野次馬の中から杏子さんを止めようとしていたのですが、その時、窓ガラスを突き破って鷲尾さんが白鳥のように飛び出しました。鷲尾さんはそのまま落下して両脚を痛めていたのですが、くるみさんはバリシニコフのように飛んで足の先で杏子さんのナイフを止め(刺さっていましたが)、杏子さんが殺人犯になるのを防いだのでした。

杏子さんの前世の記憶によると、手術を告げられた典華さんたちは、「おもちゃを買ってあげる」という約束に騙されて眠りについていたのですが、その夜、異変に気付いた典華さんは、眠っていた勝雄さんとみどりさんを起こして保養所を飛び出し、神社の階段を下って海に出て逃げようとしていました。しかし、浜にいたところを若い頃の心臓外科医たちに見つかって連れ戻され、人工心臓の手術の実験台にされてしまったということでした。

ドラマを見ている途中、私は「前世」の展開のほうに気を取られて、教授たちが殺された事件のことを忘れてしまうそうになったのですが、後半ではちゃんと「前世」と「現世」の話がつながっていました。「前世」の結末は残酷なものでしたが、白鳥の生まれ変わりだと信じていたバレリーノのくるみさんが牛の生まれ変わりだったと知って落ち込むということも含めて、コメディとシリアスのバランスも良かったように思えましたし、最後まで楽しく見ることができました。

脚本は金子茂樹さんでした。

バレエの動作で歩き回ったり、高く跳んだりする場面は、奇想天外というよりは荒唐無稽であるような感じもしたのですが、くるみさんを演じていた背の高い中島裕翔さんが、本当にバレリーノ(男性のバレエダンサー)らしく見えて、なぜかあまり違和感なく見ることができました。くるみさんは、あずささんが言っていたように、確かに社交ダンスの人のようにも見えました。

実は正義感の強い人だった鷲尾さんも良かったです。鷲尾さんは、最後には「前世」を少し信じるようになっていたようだったのですが、ドラマでは実際に教授たちを殺してしまった尾澤さんやマカロワさんのその後は描かれていなかったので、今の「刑法」ではどうなるのかなと少し気になりました。

セラピストのあずささんが「前世」や「生まれ変わり」に対して比較的冷静だったところも良かったように思うのですが、もしも「生まれ変わり」というものが本当にあって、その「前世」の時の辛い記憶が「現世」でも残っているのなら、本当に大変だろうなと思います。

私は昔、『ぼくの地球を守って』という漫画を読んだことがあるのですが(面白い作品だった印象があります)、その物語でも「前世」の記憶が扱われていました。前世で仲間だった人たちが現世の地球で再会する話だったように思います。

前世があるなら本当にあるのならそれも面白いなと思うのですが、でも、これは以前にも書いたことかもしれないのですが、もしも前世(生まれ変わり)があるのなら、現世の私はいつかどこかで生まれる未来の誰かの前世になるのかもしれないですし、そうだとすると、私を前世とする来世の方が、少しかわいそうにも思えます。

このドラマのあずささんは、人間以外の生き物の記憶を持っている人もたくさんいると話していましたし、また、前世が牛だったかもしれないくるみさんについても、牛だけではないかもしれない、白鳥の生まれ変わりでもあるかもしれないと鷲尾さんに話していました。

殺された人の生まれ変わりでも、殺した人の生まれ変わりでも、今にその記憶が残っていたら大変だろうと思います。そして、これも「生まれ変わり」の話題の時にいつも思うことなのですが、もしも宇宙人(地球外生命体?)が実際に存在するのだとするなら、宇宙人の生まれ変わりということもあるのではないでしょうか。宇宙の一部である地球の「魂」が地球の中だけで「輪廻転生」として“リサイクル”されていると考えるのは、少し不自然にも思えます。

宇宙人の生まれ変わりだからといってどうということはないだろうとも思うのですが、宇宙のどこかの星で暮らしていた頃?の記憶を持っている人がいるなら、それも面白いだろうなと思うのです。辛い記憶だったら困るかもしれないですが、何か今の地球での暮らしに活かすことのできる記憶があったなら、楽しいかもしれません。

刑事ドラマ、という枠で合っているのかどうかについてはよく分からないところもあるのですが、バレリーノのドラマというのとも少し違うような気もしましたし、でも、「前世」が今の人生や犯罪につながっているということが描かれる新しい刑事ドラマとして?、昨夜の「刑事バレリーノ」はそれなりに面白いドラマだったように思います。


ところで、私はこのドラマを見る直前、NHKで放送されていた「NHK杯フィギュア スペシャルエキシビジョン」の最後のほうを見ることができたのですが、それは東日本大震災で被災した地域の復興を応援する盛岡のスケートリンクで開かれたフィギュアスケートのイベントで、最後には浅田真央選手が、トリプルアクセルを入れた「ジュピター」の新バージョンの演技を披露していました。

白い長い服を着て会場の奥に浮かび上がっていた、「リベラ」というイギリスの少年合唱団の歌う「ジュピター」の最後の日本語の歌詞は、解説によると、浅田真央さんが作ったものなのだそうです。画面に字幕が出ていたのですが、「命の限り 希望 胸に 未来への光 輝かせよう」というような歌詞でした。子供たちと氷の上を舞う浅田真央さんの演技は静かで美しくて、何か神々しいような感じもして、私はテレビで少し見ただけのですが、会場にいた方は感動したのではないかなと思いました。
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