「江戸川乱歩短編集 1925年の明智小五郎」第1回

NHKのBSプレミアムの「シリーズ・江戸川乱歩短編集 1925年の明智小五郎」の第1回「D坂の殺人事件」を見ました。約30分のドラマです。

1925年(大正14年)に発表された江戸川乱歩の短編小説の中の、明智小五郎が登場している物語を実写映像化した作品が放送されると知り、私も見るのをとても楽しみにしていました。(予約をしておいたのに録画されていないという失敗を私は時々してしまうことがあるため、少し心配していたのですが、ちゃんと録画されていたので、無事に見ることができました。)

全3回の作品だそうで、その第1回が、明智小五郎が初めて登場した「D坂の殺人事件」でした。

高等遊民の和装の明智小五郎を演じていたのは、女優の満島ひかりさんでした。

「D坂の殺人事件」の、明智小五郎以外の主な登場人物は、語り手である私(松永天馬さん)、小林刑事(末吉くん)、絞殺体で発見される古本屋の細君(中村中さん)、古本屋の主人(山中崇さん)、そば屋の主人(津田寛治さん)でした。

演出は宇野丈良さんでした。

1925年という時代の雰囲気が丁寧に演出されているように思えて、とても良かったです。

明智小五郎を演じていた満島ひかりさんは、男装をしていたということになると思うのですが、明智小五郎を演じるのが男性ではなく女性の俳優さんだったというところも、良かったのだと思います。新鮮に思えましたし、明智さんの印象を崩さないような配慮がなされているようにも感じられました。

等身大の現実の風景や人物と、ミニチュアの町並みや通行人とが映像の中で合わさっている感じも、幻想的な感じが出ているように思えて良かったです。『押絵と旅する男』の世界のようにも見えました。

長屋の裏にいたアイスクリーム屋さんがブリキのおもちゃだったのも、その淡々とした温かみのある感じがかわいらしく、1925年の乱歩の「短編小説」の世界観にも馴染んでいるように思えました。

原作に忠実に作られているように思えたので、江戸川乱歩の小説の「D坂の殺人事件」をまだ読んだことがないという方も、読んだ気分になることのできる作品になっていたように思います。

今回の最後の、すっとしたドラマの終わり方も、「江戸川乱歩短編集 1925年の明智小五郎」のタイトルが冒頭と同じように再び大きく出ていたところも、「短編小説」の映像化作品らしく思えました。

以前NHKのBSで放送されていた「太宰治短編小説集」もとても良くて、好きだったのですが、今回の「江戸川乱歩短編集」も、とても良いシリーズになっているのかもしれないなと思いました。

今回の第1回の「D坂の殺人事件」に続く第2回は「心理試験」で、第3回は「屋根裏の散歩者」だそうです。

次回の放送も楽しみにしたいと思います。

ところで、昨年は江戸川乱歩の没後50年の年で、谷崎潤一郎の作品もそうなのですが、乱歩の作品も、今年(2016年)の1月1日から、「パブリックドメイン」になったのだそうです。「パブリックドメイン」というのは、没後50年を経過した作者の著作権保護の期間が終わって誰でも自由にその作者の作品を扱うことができるようになる、というような意味の言葉だそうです。

それが良いことなのかどうなのかは、私にはいまいちよく分かりません。よく分からないまま書くのでもしかしたら間違っているかもしれないのですが、例えば作者の作品を使って「二次創作」を行う方や「電子書籍」を作る方には、作品が「パブリックドメイン」になるということは、有益なことなのだそうです。

私は「電子書籍」を読むための機械を持っていないので、上手く伝えることができないのですが、何というか、例えば江戸川乱歩の小説は、少なくとも今の「電子書籍」には向いていないような気もします。全ての本がただ同じ本(著作物)だとするなら、何が電子書籍に向いていて何が電子書籍に向いていないのかを区別することはできないようにも思えるのですが、私の勝手な印象として、乱歩の物語の世界は、そのような現代的なデジタルの世界とは、相容れないような気がするのです。

時々、乱歩作品は「映像化」にさえ向いていないのではないかと思うこともあるのですが、(これも一種の『押絵と旅する男』の要素かもしれないのですが)心の内側へと向かう感じ、懐古趣味の感じが、そのように思わせるのかもしれません。あるいは、単純に、私が紙の本を好きだからなのかもしれません。本になる紙の質感とそこに印刷される活字の形や大きさは、小説にしても詩にしても論文にしても、文字で綴られる作品にとって、とても重要なことであるように思えます。

実際の本のように場所を取らない「電子書籍」には便利な部分も多いのだろうと思いますし、決してそれが悪いということではないのですが、乱歩の作品もついにそのようになっていくのかと、本当に勝手なことなのですが、何か少し残念というか、寂しいことであるようにも思えたのです。
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