「ちかえもん」第1回

NHKの新しい木曜時代劇「ちかえもん」の第一回を見ました。

第一回のサブタイトルの「近松優柔不断極(ちかまつゆうじゅうふだんのきわみ)」というのも面白く思えたのですが、時代劇の物語そのものも、とても面白かったです。

私はこのドラマの予告編を見たことがなかったため、「ちかえもん」という「ドラえもん」のようなタイトルを面白く思って、どのようなドラマなのだろうと見るのを楽しみにしていたのですが、「ちかえもん」は、江戸時代の浄瑠璃の作者の近松門左衛門のことでした。

物語は、元禄16年(1703年)の5月、近松門左衛門(松尾スズキさん)が大阪道頓堀の竹本座の竹本義太夫(北村有起哉さん)の語りによる浄瑠璃「曽根崎心中」の大成功に感激している場面から始まっていたのですが、竹本さんとの表情と心の声でのやり取りも何だか面白く、全体的に、演出が斬新に思える時代劇でした。

元禄16年5月に「曽根崎心中」を無事に大成功させる半年前の、元禄16年のお正月、越前(福井)の武家出身の母親の喜里(富司純子さん)と大阪の道頓堀で二人暮らしをしている作家の近松門左衛門さんは、極度のスランプ状態に陥っていました。竹本義太夫さんからも、竹本座を支援している豪商・平野屋忠右衛門(岸部一徳さん)からも、面白い作品を早く書くよう催促され、お金にも困るようになっていたのですが、近松さんは、堂島新地の「天満屋」にツケで出入りし、遊女のお袖(優香さん)とお酒を飲んだりしながら、現実逃避をするような日々を過ごしていました。

犬を大切にする将軍・徳川綱吉は、親孝行の人物を表彰するということを行っていたそうです。町では親孝行がブームになっていて、「孝行糖」という飴まで売られていたのですが、ある日、道頓堀を歩いていた近松さんは、親孝行を奨励する孝行糖売りに混ざって、なぜか親不孝を奨励して「不孝糖」なる飴を売る万吉(青木崇高さん)という怪しい人物に遭遇し、思わず「なんやねん!」とツッコミを入れてしまったことから、不孝糖売りの万吉に妙に懐かれるようになりました。

天満屋に遊びに行った近松さんは、天満屋の従業員になっていた万吉に一緒に不孝糖を売ろうと誘われ、それなら「鯖」(近松門左衛門の出身地は福井の鯖江なのだそうです)を持って来いと命じて万吉を追い払おうとしていたのですが、「天満屋」の女将のお玉(高岡早紀さん)に近松さんのツケの料金を支払った、平野屋にも出入りしている油問屋の黒田屋九平次(山崎銀之丞さん)に歌舞伎の脚本を書くよう脅されていたところを、鯖を探して持ってきた水浸しの万吉に救われ、万吉を母親の喜里さんのいる自宅に招待していました。

近松さんは、平野屋さんたちが、井原西鶴や松尾芭蕉のことは「西鶴」や「芭蕉」と呼ぶのに、自分のことは「近松」と苗字で呼ぶことをつまらなく思っていたので、最後、近松さんの名前を忘れる万吉さんが「近松門左衛門」を「ちかえもん」と略して呼んだのを、かわいらしい名前で呼んでくれたと喜んでいました。

その他の主な登場人物は、平野屋さんの息子の徳兵衛(小池徹平さん)、遊女のお初(早見あかりさん)、平野屋の番頭の喜助(徳井優さん)、天満屋の主人(佐川満男さん)、近松さんが歌舞伎の脚本を書いたことがある阪田藤十郎(瀬川菊之丞さん)でした。

作(脚本)は藤本有紀さん、演出は梶原登城さんでした。音楽は宮川彬良さんでした。(エンドロールによると、徳川綱吉を演じていたのは宮川彬良さんでした。)藤本有紀さんは、連続テレビ小説「ちりとてちん」や大河ドラマ「平清盛」、土曜ドラマ「夫婦善哉」などを書いた方でした。

冒頭の「曽根崎心中」の場面から、最後の、近松さんが「ちかえもん」と呼ばれる場面まで、とても楽しく見ることができました。脚本がとても良かったのだと思うのですが、文楽(人形浄瑠璃)も、俳優さんも、演出も、劇中の音楽も、とても良かったのだと思います。突然アニメが出てきたり、「大阪で生まれた女」の替え歌を近松門左衛門が歌っていたり、漫才のようなテンポの良い展開で、ドラマの放送時間の約45分があっという間に感じられました。

50歳のスランプ作家の近松さんが何かにつけて「えー」と驚くところも面白かったですし、謎の万吉さんの破天荒な感じも新鮮に思えました。遊郭のことを「元禄のキャバクラ」と近松さんのナレーションで言ったりするような現代的なところも、今回の時代劇では全く違和感がありませんでした。町中の小物などもカラフルでしたし、ポップな印象の時代劇でした。

万吉さんとの出会いによって近松さんの人生が変わっていく様子や、スランプ状態にある近松さんからどのように「曽根崎心中」が生まれたのか、ということが描かれる時代劇のようなのですが、第1話を見た印象としては、陽気な“不孝糖売り”の万吉さんは、近松さんの分身というか、近松さんの守護神?のような感じなのかなとも思えました。

全8回の時代劇だそうで、予告によると、次回のサブタイトルは「厄介者初、井守黒焼」で、「やっかいものおはつといもりのくろやき」と読むそうです。次回の物語も楽しみにしたいと思います。
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