ドラマスペシャル「黒の斜面」

先日の日曜日にテレビ朝日で放送され、録画をしておいた、ドラマスペシャル「黒の斜面」を見ました。2時間ドラマです。

ドラマのタイトルを最初に聞いた時、私は勝手に松本清張作品なのかなと思ったのですが、そうではありませんでした。

過去に映画として公開されていたものをドラマにリメイクした作品だそうです。原作は菊島隆三さん、脚本は吉川次郎さん、監督は伊藤浩寿さんという作品でした。

神奈川の三浦半島の葉山の崖沿いの家で暮らし始めたお嬢様育ちの辻井圭子(檀れいさん)は、出張で飛行機の最終便に乗らなくてはいけなくなった夫の辻井高史(原田泰造さん)がスーツケースに大量の札束を入れているところを見かけてしまったのですが、それについて訊くことができないまま送り出したのですが、その夜、最終便が三浦沖で消息を絶ったということを報道で知りました。

急いで空港へ向かった圭子さんは、「ツジイタカシ」でも探してほしいと担当者に訴えている女性の話から、夫が田島誠一(金子貴俊さん)という青年に搭乗チケットを譲っていたことを知り、夫は生きているのかもしれないと感じるのですが、夫からの連絡はなく、遺留品の中からは夫の荷物が見つかりました。

圭子さんは、空港に来ていた、夫の勤める天空建設株式会社の営業部の上司の外山光司(渡辺いっけいさん)から、「紫色のスーツケース」のことばかり訊ねられました。そして、外山部長から、課長である夫が経理部の羽田美雪(遠藤久美子さん)と交際していること、羽田さんが一億円のお金を横領している疑いがあるということ、夫がその横領したお金をスーツケースに入れて運ぼうとしているかもしれないことを教えられました。

そして、三浦沖に墜落した飛行機の乗客を捜していた警察が、首を絞められて殺されている死後二日ほど経った羽田さんの遺体を発見すると、事態は急転していきました。圭子さんの様子から辻井高史は生きているのではないかと考えていた本間刑事(佐野史郎さん)や吉澤刑事(村杉蝉之介さん)は、高史さんが羽田さんを殺害したと考えて辻井家の家宅捜索を始め、外に張り出したバルコニーの床下から、羽田さんのバッグを見つけ出しました。

帽子デザイナーでもある圭子さんは、飛行機事故の前、帽子店に圭子さんを指名して帽子の注文に来ていた川上妙子(内山理名さん)が行方不明となっている夫の居場所を知っているのはないかと考え、銀座のクラブで働いていると答えていた川上妙子さんを探し回り、鶴見のスナックにたどり着くと、夫をかくまっている妙子さんのアパートの部屋に入れてもらい、そこで圭子さんと夫の高史さんがバルコニーで育てていた、何者かに折られていたオリーブの枝の一部を発見し、夫が妙子さんといることを確信しました。

失踪中の夫の帰りを待つ圭子さんは、夫から誕生日プレゼントとしてもらったブルーサファイアのネックレスを身につけていたのですが、夫の段ボールの中から、同じお店の名前の書かれたピンクサファイアのリングの領収書を見つけ、夫が自分以外の9月生まれの女性にもプレゼントを買っていたことを宝石店で確認すると、本間刑事に、羽田さんがピンクサファイアの指輪を持っているか調べてほしいと頼みました。

本間刑事が羽田さんの遺留品から見つけたのは、あるダイヤモンドの粒の入った指輪だったのですが、それを羽田さんに渡したのが外山部長であるということが分かりました。平社員の羽田さんが単独で一億円を横領するのは難しいと考えていた本間刑事は、外山部長が羽田さんを利用して横領させていたことや、部下の高史さん一人に罪を着せようとしていたことに気付きました。そして、夫からの電話の奥に恋人岬の鐘の音を聞いた圭子さんは、妙子さんと一緒にいる夫を捜しにその場所へ出かけていくのでした。

1971年に公開されたという映画作品を私は見ていないので、映画版と比べることはできないのですが、余計な描写がなく、すっきりとした展開のサスペンスドラマであったように思います。

檀れいさんの演じるお嬢さま育ちの圭子さんと、内山理名さんの演じる苦労人の妙子さんは対照的な人物だったのだと思うのですが、どちらも芯の強い女性でした。

原田泰蔵さんの演じる、圭子さんの夫の大手建設会社の課長の高史さんは、仕事はできるけれど、浮気をしたり上司の横領に協力したりする人でもある、いわゆる“ダメ夫”でした。それでも性格が優しいので、妻の圭子さんからも愛人の妙子さんからも大切に思われていました。そのため、そのような点では、演歌的な、男性が作った物語らしいという感じもしたのですが、それでも、圭子さんや妙子さん、外山部長に頼まれた横領に耐えられなくなって内部告発をしようとしていた羽田さん、飛行機墜落事故で夫や婚約者を亡くした女性たちの感情が丁寧に描かれているように思えて、良かったです。何というか、登場人物の女性たちに敬意が払われているように思えました。

高史さんを守りたくて羽田さんをバッグの紐で絞殺してしまった妙子さんは殺人の罪で逮捕され、高史さんは業務上横領の罪で逮捕されたのですが、その後、本間刑事が葉山の圭子さんに、「謝罪の手紙」を届けていました。誰からの手紙とは言っていなかったのですが、おそらく高史さんからの手紙なのだと思います。最後は、圭子さんが海の見える庭でその手紙を開く場面でした。手紙が読み上げられたりしなかったところも、余韻のある雰囲気で、良かったように思います。その後すぐにドラマの画面に提供の文字が出てしまっていたのですが、その文字が出るのがもう少し遅かったなら、もっと良かったように思えました。

“理想の夫婦”として夫と幸せに暮らしていた妻が、夫が出張で乗る予定だった飛行機が墜落したことをきっかけに夫の裏側を知り、それでも夫を信じながら、黒い斜面を転がり落ちるような夫婦の運命に立ち向かっていく、という物語だったのですが、妻の圭子さんや愛人の妙子さんの存在感が際立っていたこともあって、どのような展開になっていくのだろうと、最後まで興味を持って見ることができました。「夫婦愛」がテーマになっていたドラマだったのかもしれないのですが、ドラマを見る前に思っていたよりも、良いドラマだったように思います。
プロフィール

Author:カンナ
ブログ初心者です。
感想などを書いています。
マイペースで更新します。
すきなもの
 月・星空・雨・虹・雪
 飛行機雲・入道雲・風鈴の音
 透き通った水・きれいな色
 富士山・東京タワー・ラジオ・音楽
 本・絵画・ドラマ・(時々)アニメ
 掃除機をかけること
にがてなもの
 人ごみ・西日・甘すぎるお菓子
 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム