「ちかえもん」最終回

NHKの木曜時代劇「ちかえもん」の第八回(最終回)「曽根崎心中万吉心中(そねざきしんじゅうとまんきちのおもい)」を見ました。

不孝糖売りの万吉(青木崇高さん)の勧めで天満屋の遊女のお初(早見あかりさん)と平野屋の徳兵衛(小池徹平さん)があの世で一緒になることを決意したということを知った近松門左衛門(松尾スズキさん)は、息子の徳兵衛さんの行方を捜し回っている平野屋忠右衛門(岸部一徳さん)や番頭の喜助(徳井優さん)に、二人は曽根崎の天神の森に行ったのかもしれないと伝え、その森へ急ぎました。明け方、森に着くと、そこには万吉が立っていて、その前にむしろがかけられた二人の遺体が横たわっていました。遺体を確認した忠右衛門さんと喜助さんは、跡取りの徳兵衛さんの死に号泣していました。

徳兵衛さんとお初さんの心中にショックを受けた近松さんは、しかし、帰宅すると机に向かい、次から次へと溢れ出る言葉を書き綴っていきました。天神の森での二人の心中事件はかわら版になって配られ、町の人々の間でも話題になっていました。二人の死を人形浄瑠璃にして良いものかと自問自答しながらも、『曽根崎心中』の脚本を完成させた近松さんは、それを竹本座の竹本義太夫(北村有起哉さん)に見せに行き、脚本を読み終えた義太夫さんは、5月7日に幕を開けると近松さんに約束しました。

近松さんは、天満屋の年増遊女のお袖(優香さん)にも新作の「曽根崎心中」を見てもらいたいと、義太夫さんに前借りしたお金でお袖さんを見受けすることにしていました。お袖さんは、自分でいいのかと涙を流し、近松さんの人形浄瑠璃を見に行くのを楽しみにしていました。

元禄16年(1703年)の5月7日の初演の日、母親の喜里(富司純子さん)に縫ってもらった羽織を着て出かけようとしていた近松さんは、遺族の忠右衛門さんと喜助さんに怒られないだろうかと急に不安になり、玄関から入ってきた二人にいきなり叩かれるという幻覚を見ていたのですが、激しく戸を叩く音がして玄関に出たところ、背後に隠れていた何者かに拉致されてしまいました。

竹本座には、遺族の忠右衛門さんと喜助さん、天満屋の主人(佐川満男さん)と女将のお玉(高岡早紀さん)、そしてお袖さんが、徳兵衛さんとお初さんの悲恋の物語を見るために集まっていました。観客席も満席になり、義太夫さんの語る「曽根崎心中」の浄瑠璃が始まりました。

目を覚ました近松さんは、天満屋の一室にいました。従業員やお客さんは、捕まって一か所に集められていました。近松さんを拉致したのは、油問屋の黒田屋九平次(山崎銀之丞さん)でした。突然お取り潰しになり、行方不明になっていた黒田屋さんは、近松さんの『曽根崎心中』の本を勝手に読み、九平次が芝居に登場していることを夢だったと喜んでいたのですが、悪者になっているところには怒っていました。己の名声のために人の死を利用する腐れ戯作者だと黒田屋さんに罵られ、刀を向けられた近松さんは、亡くなってものも言えない徳兵衛とお初の気持ちを代弁して何が悪いと言い返し、黒田屋さんをますます怒らせていたのですが、正面から刀を振り下ろされそうになった時、近松さんを庇うように不孝糖売りの万吉が現れました。

万吉さんは、背負っていた不孝糖の壺や傘で黒田屋さんの攻撃の相手をしながら、近松さんを竹本座へ急がせていました。近松さんが天満屋を出た後も、二人は中庭や廊下や階段で戦っていました。いつも黒田屋さんの策略の邪魔をしてきた身軽な万吉に、一体何者だ、と黒田屋さんが訊くと、不孝糖売りだと即答した万吉は、この日のために不孝糖売りになったのだと言いました。そして、戦いながら外に出た二人は、天満屋の前を流れる川に落ちてしまいました。

その頃、近松さんは竹本座に到着し、客席の後ろに立って、席に着いている遺族の平野屋さんやお袖さんを見つけていました。義太夫さんの真剣な語りで浄瑠璃は二人の心中の場面に入り、刀で首を切って倒れるお初と徳兵衛の悲しい恋に、観客は静かに見入っていました。近松さんは芝居が終わっても静かなままの観客の様子に心配になっていたのですが、少ししてお客さんたちは一気に泣き出しました。近松さんの新作浄瑠璃「曽根崎心中」は、成功したのでした。越前から浄瑠璃を見に来ていた母親の喜里さんは、息子のことを日本一の親孝行者だと喜んでいました。

それから、近松さんは、万吉のいる天満屋へ向かいました。天満屋の前では、黒田屋さんが逮捕されていたのですが、万吉の姿はありませんでした。黒田屋さんと一緒に川に落ちた万吉が上がって来ないということを聞いた近松さんは、万吉を捜そうと川へ近づき、バランスを崩して川の中へ落ちてしまったのですが、水から上がった近松さんの羽織の腕に人形が付いていました。

羽織に掴まっていた人形を外し、その顔を見た近松さんは思い出しました。その人形は、近松さんが小さい頃、越前の実家の蔵で見つけて遊んでいた人形でした。近松さんが人形浄瑠璃作者を目指すきっかけになった人形でした。人形は、作家になることを志し親の反対を押し切って家を出た近松さんを応援していました。万吉は、その人形の化身だったのでした。

ずぶぬれのまま着物で人形を抱えて泣きながら商店街を歩く怪しいおじさんになっていた近松さんは、その夜、平野屋さんたちが開いたお祝いの会でさらに衝撃的な事実を聞かされました。それは、天神の森で心中をしたはずの徳兵衛さんとお初さんが実は生きているということでした。万吉からお初さんが心中すると聞かされた天満屋のご主人と女将さんは、森に行って二人を説得し、万吉の提案で死体のふりをして待っていたようでした。駆けつけた平野屋さんたちは、むしろに寝ている女将さんたちを見て戸惑っていたのですが、女将さんに言われてすぐに事情を理解し、息子の死を嘆くように泣いていたということでした。

徳兵衛さんとお初さんが越前に行き、近松さんの弟の知り合いの漁師の弟子になって鯖を獲って元気に暮らしているということを聞かされて拍子抜けした近松さんは、騙されていたと知って怒り出したのですが、すると、平野屋さんたちの姿は消えて、がらんとした部屋に万吉の声が響きました。夢と現実の境が一番面白い、それを物語にするのがちかえもんだと、万吉は近松さんに伝えていました。

そして、いつか、近松さんは、自分を助けてくれた万吉のことを思いながら、新しい物語を書き始めていました。吉田拓郎さんが作詞・作曲した、かまやつひろしさんの「我が良き友よ」を、近松さんが歌っているのが流れていたのですが、「下駄をならして奴が来る」で始まるその歌が、青空の下で楽しそうに不孝糖を売り歩く万吉の姿によく合っているように思えて、とても良かったです。

エンドクレジットが流れて来ていたところも、途中からアニメになっていました。アニメの絵の登場人物たちが、「お」、「し」、「ま」、「い」の札を持って出てきているのも何だか面白くて、陳腐を許さない?ちかえもんさんの物語らしい、楽しい終わり方になっていたように思います。万吉の絵の背景は、現代の大坂の街のようでもありました。

作(脚本)は藤本有紀さん、演出は梶原登城さんでした。

最終回の第8回も、とても面白かったです。

主な登場人物たちの全員がバランス良く活躍している印象だったところも良かったですし、痛快娯楽時代劇らしく?、平野屋の徳兵衛さんとお初さんが実は生きているという展開になっていたのも、良かったのだと思います。

徳兵衛さんとお初さんが本当は生きていて、越前で鯖を獲って暮らしている、ということをちかえもんさんが平野屋さんたちから明かされていた辺りは、「夢と現実の境」というか、もしかしたら「夢」だったのかもしれないのですが、ほっとする展開でした。

北村有起哉さんの演じる竹本義太夫さんの語りの人形浄瑠璃の場面も良かったですし、斬新で、面白くて、世界観の完成度の高い、とても良くできた時代劇だったように思います。

そして、まさに、「万吉心中(まんきちのおもい)」が描かれていました。ちかえもんさんを見守っていた万吉さんが子供の頃の近松さんが大切にしていた人形だったとか、ドラマを見ていて私も少し泣きそうになりました。そのような設定だったことに驚いたのですが、感動的でした。“ちかえもん”の近松さんと万吉さん、あるいは浄瑠璃作者と人形の友情の物語でもあったのだなと思いました。松尾スズキさんの演じる少し情けない感じの近松さんも、青木崇高さんの演じる突き抜けた明るさの万吉さんも、とても良かったです。

単純に、ああ面白かった!という気持ちで見終えることができたということもあるのですが、この「ちかえもん」の時代劇をとても好きでした。私も最後まで無事に楽しく見ることができて、本当に良かったです。
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