「東京センチメンタル」第8話

テレビ東京の「ドラマ24」の「東京センチメンタル」の第8話「観音裏の恋」を見ました。(放送時間が「世界卓球」の試合の中継の延長で75分繰り下げになったため、録画をしておいたものを後で見ました。)

何かを思い出せずに「あれ」を繰り返してアルバイトの須藤あかね(高畑充希さん)を困らせていた、言問橋の老舗和菓子店「くるりや」の三代目店主の久留里卓三(吉田鋼太郎さん)は、懐かしそうにお店に入ってきた上品な婦人のことをすぐには思い出すことができなかったのですが、畳店の娘の坂口恭子だと言われて、「恭子さん!」と嬉しそうに呼んでいました。

久しぶりに戻って来た恭子さん(市毛良枝さん)は、デパートの和菓子フェアに出ていた最中が「くるりや」のものだと知って、懐かしい卓三さんを訪ねて来たようでした。卓三さんは、お店をあかねさんに任せて、すっかり変わった街の様子に驚いていた恭子さんに、昔の雰囲気の残る浅草の観音裏を案内することにしました。卓三さんの二番目の元妻の玲子(大塚寧々さん)は、恭子さんと出かけた卓三さんのネクタイがお気に入りのものであることに気づいて、少し心配そうにしていました。

卓三さんによると、和菓子店の仕事に忙しい両親に代わって小さい頃の自分とよく遊んでくれたという恭子さんは、1943年のオイルショックの頃、畳店の経営が悪化したことなどから、ある日突然引っ越しをしてしまったようでした。卓三さんが最後に恭子さんに会ったのは、恭子さんが22歳の頃だということでした。

言問橋を渡って浅草の観音裏(奥浅草とも呼ばれるそうです)へ行った卓三さんと恭子さんは、昔の思い出話を語り合いながら、待乳山聖天で大根をお供えしたり、山谷堀公園を歩いたり、浅草見番で人力車や芸者さんを見かけたりしていました。

引っ越した後両親が離婚し、様々なところで働きながら苦労を重ねたらしい恭子さんは、結婚し、娘が一人いるということを、卓三さんに答えていました。夫とは死別したようでした。

恭子さんが映画「風と共に去りぬ」の最後の台詞の「Tomorrow is another day」を覚えていると話すと、卓三さんは、「男はつらいよ」の寅さんの歴代のマドンナの名前を全て言えると言い、恭子さんは、卓三君らしいと笑っていました。

二人は、思い出のある甘味処「梅むら」で豆寒天を食べていたのですが、その時卓三さんは、中学一年生の頃にそのお店で一緒にあんみつを食べていた10歳年上の恭子さんを「花やしき」に誘ったことを思い出していました。恭子さんにチケットを渡し、花やしきへ行く約束をしたものの、その約束はまだ果たされていないということでした。

最後にこの街をもう一度見ておきたかった、と恭子さんが話すのを聞いて、不治の病にかかっているのではないかと心配になった卓三さんは、またね、と別れて歩き出した恭子さんに声をかけ、勇気を出して、花やしきへ行きませんかと誘いました。恭子さんは、昔の約束を憶えていなかったのですが、今度行きましょうと約束してくれました。

しかし、後日、「くるりや」に恭子さんの娘さんが卓三さんを訪ねて来たのですが、娘さんによると、母親の恭子さんは、病で最近の記憶がまだらになっているというのでした。母親に病気の自覚がないということで、娘さんは、ご理解くださいと卓三さんに伝えていました。

忘れてしまったならまた新しい思い出を作ればいいと、お酒を少し飲みながらおそば屋の荒木(小栗旬さん)に話していた卓三さんは、約束の日、待ち合わせの場所で恭子さんを待っていました。

元気そうな様子の恭子さんが約束通りにやって来たので、卓三さんはほっとしていたのですが、恭子さんは、娘に言われて来たのだと言い、先日の約束のことは憶えていませんでした。卓三さんにも、久しぶり、と挨拶していました。それでも恭子さんは、久しぶりじゃないみたい、とも言っていて、卓三さんに、花やしきへ行く約束を憶えていると、鞄の中から封筒に入った古いチケットを見せていました。それは、中学一年生の卓三さんが恭子さんに渡していたものでした。

恭子さんは、あの頃は家に帰ると両親がいつも喧嘩をしていたので、卓三さんに花やしきに誘われたことが本当に嬉しかったのだと話していました。あんなに嬉しかったことは一生忘れない、いつか卓三君と花やしきへ行くのだと、あの言葉があったから前向きに生きていくことができたのだと、恭子さんは卓三さんにお礼を言っていました。

卓三さんは、恥ずかしいことなんかありません、と恭子さんの手を取り、二人で手をつないだまま、浅草の花やしきに続く観音裏の道を歩いて行きました。

夕方の橋の上で隅田川を見ながら、恭子さんは、こんなに楽しかったのは久しぶりだと卓三さんにお礼を言い、卓三さんも恭子さんにお礼を言いました。ありがとう、と恭子さんに伝えた卓三さんは、また会えますか、と訊いたのですが、恭子さんは、明日はまた別の一日、と映画「風と共に去りぬ」の台詞を言いました。そして、卓三君、忘れないでね、と卓三さんの顔を見て去っていきました。

「くるりや」に戻った卓三さんは、あかねさんにどうしたのと訊かれて、約束は果たせたと答えていたのですが、それから、古い箱の中にあった恭子さんと写る昔の写真を見つめ、そこに昔の花やしきのチケットを祈るように重ねて、箱の蓋を閉じていました。

脚本はブラジリィー・アン・山田さんでした。監督は日向朝子さんでした。

ブラジリィー・アン・山田さんの脚本であるというところは前回と同じなのですが、今回は、前回とはまた全く異なる雰囲気と展開の第8話でした。

昨日のことも忘れてしまうのに、昔のことはよく憶えている、という要素が、卓三さんとその年上の初恋相手の恭子さんとの離れ離れになっていた間の約40年という時間の残酷さと共に、ロマンティックな雰囲気で描かれていました。

これまでのようなコメディーの感じではない、重みのある終わり方になっていたのも、今回の物語に合っていたように思います。

市毛良枝さんの演じる恭子さんが良かったということもあると思うのですが、何というか、現実味を帯びていく死の気配と夢のような遠い初恋の思い出という組み合わせが、絶妙なバランスで描かれていたように思えました。とても良かったです。

次回は、神保町が舞台となるようでした。次回の物語も楽しみにしたいと思います。
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