「わたしを離さないで」第9話

TBSの金曜ドラマ「わたしを離さないで」の第9話を見ました。

介護人として忙しくする中、亡くなった友人の酒井美和(水川あさみさん)が言っていた「猶予」を得るため、陽光学苑出身者の絵を捜し始めていた保科恭子(綾瀬はるかさん)は、ある日、土井友彦(三浦春馬さん)の読んでいた小説の表紙の絵が子供の頃の自分の描いた絵であることに気付きました。

陽光学苑に出入りしていた“マダム”(真飛聖さん)と連絡を取ることができた恭子さんは、手紙の返事をもらうと、友彦さんの描き溜めていた絵を集め、友彦さんと二人で車に乗って外出し、引っ越していた元校長の神川恵美子(麻生祐未さん)の家を訪ねました。

マダムの案内で室内に入った二人は、車椅子に乗る年老いた恵美子先生と再会し、猶予のことを切り出して友彦さんの絵を見せるのですが、友彦さんが描いた恭子さんの絵を見た恵美子先生は、猶予なんてものはない、と言いました。驚いた友彦さんが恵美子先生に元担任教師の堀江龍子(伊藤歩さん)の手紙を見せると、恵美子先生は、私が陽光を作ったのは私が始めての成功者だからです、私はあなたたちと同じクローンなんです、と二人に打ち明けました。

恵美子先生は、科学者だった父親の実験でその妻のクローンとして生み出され、二人の子供として育てられたようなのですが、後に母親のクローンであることを知らされ、自分が軽蔑していたクローン人間たちと同じであったことを知って戦慄し、それでも少しでもクローンたちの生きる環境を改善しようと、クローンの子供たちが外の子供たちと同じような教育を受けることのできる陽光学苑を創立したということでした。

恵美子先生が陽光学苑の子供たちに絵を描かせていたのは、陽光の教育の成果を見せるためのものであり、クローンの子供たちにも魂があるということを証明するためのものでした。

恭子さんと友彦さんは驚いていたのですが、外の人たちは、クローンには魂がないと思っているということでした。恵美子先生は、人間はあるはずのものがない世界では生きることができない、自分たちの病気が治る便利なものを手放すはずがない、クローンを医療に使うためにクローンには魂がないと思い込んでいるのだ、訴えても潰されるだけだということを二人に話し、あなたたちが少しでも幸せに生きられるようにした、私は間違っていましたか、と涙を流していました。

恵美子先生の話を聞いた友彦さんは、じゃあ帰りますか、と明るく言い、再会した恵美子先生と別れました。恵美子先生の車椅子を押していたマダムは、帰る準備をする恭子さんから、CDの音楽で踊っている自分たちを見て泣いていたのはなぜかと訊かれて、温かい気持ちを持ち続けてほしいと思ったからかもしれないと答えていました。

恭子さんの運転する帰りの車の中で話しながら夕方の窓の外を見ていた友彦さんは、突然ドアを開けて車を降りて走り出し、昔のように癇癪を起こして、白いガードレールを殴り続けて右手から赤い血を流していました。恭子さんは、希望を捨てずに夢を見続けてきた友彦さんが一番傷ついているのだと、友彦さんを守るように抱きしめていました。

脚本は森下佳子さん、演出は山本剛義さんでした。

第9話は、元校長の恵美子先生が訪ねて来た恭子さんと友彦さんに陽光学苑と自身の秘密を打ち明ける話でした。“マダム”と呼ばれていた女性は、政治家などに人脈のある人物だったようでした。恵美子先生が本当のことを打ち明ける場面も良かったですし、「最終章」として、良い第9話だったように思います。

ドラマの中ではほとんど描かれることのなかった“外の人たち”(クローンから臓器提供を受ける側の人たち)がクローンには魂がないと思っているというのが、何だかリアルで、怖い感じがしました。

実際の現実では、クローン人間が生まれていることが公表されたとしても、羊のドリーの存在を知っている一般の私たちは、そのクローンの人を自分たちとは異なる別の人間だとは思わないだろうと思いますし、魂がないとも思わないだろうと思います。そのため、恵美子先生がその話を恭子さんと友彦さんにする場面を見た時には、私には少し不思議にも思えたのですが、この作品の中で描かれるクローンを、ロボットや(人間以外の)生き物や植物や石や水や風や光などと置き換えて考えるなら、人々がそれを魂がないものだと思っている、あるいは魂がないものだと思い込もうとしているという部分は、実際の現実にもあることであるように思いました。

クローン人間も普通の人間だと考える人たちがいたとしても、科学者や医者たちから、クローン人間を作る時に遺伝子操作をして脳の一部を変えているというようなことを繰り返し説明されたなら、多くの人が、それなら安心して良心の呵責を起こさずにクローン人間を移植医療に使うことができると思ってしまうかもしれません。

そのような意味で、「わたしを離さないで」は、普遍的なことが描かれている物語なのかもしれないと思いました。誰かや何かが生きるために別の誰かや何かが犠牲になる、という生物が生きるための仕組みのようなものは、変えることができないものなのでしょうか。

私は原作のカズオ・イシグロさんの小説『わたしを離さないで』を未読なので、物語の結末を知りません。“希望”のある物語になっているのかそうでないのか、次回の最終回がどのようなものになるのか、私も楽しみにして見てみようと思います。
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