「地方紙を買う女」と「黒い樹海」

テレビ朝日で放送された「松本清張二夜連続ドラマスペシャル」の第一夜「地方紙を買う女」と第二夜「黒い樹海」を見ました。

私は原作の小説『地方紙を買う女』も『黒い樹海』も未読です。何度かドラマ化や映画化がなされている作品ということなのですが、私はその過去の映像作品も未見です。

土曜日と日曜日の放送時間には見ることができなかったため、録画をしておいたものを後で見ました。

第一夜の「地方紙を買う女」は、石川県の金沢の新聞に連載小説を書いている推理小説家の杉本隆治(田村正和さん)と小説家志望のアシスタントの田坂ふじ子(水川あさみさん)が、連載小説のファンだとしてその新聞を取り寄せていた、政治家の秘書の潮田早雄(北村有起哉さん)の妻の潮田芳子(広末涼子さん)が突然購読を辞めたことを気にかけ、その新聞の社会部の記者の広田咲(片瀬那奈さん)と部長の服部三郎(佐野史郎さん)と共にその理由を探り始め、芳子さんが心中事件とされていた毒殺事件の被害者の庄田咲次(駿河太郎さん)と福田梅子(須藤理彩さん)の関係者だったことを知り、二人を殺したのは芳子さんではないかと疑っていく、という話でした。

ドラマの各場面の解説のようだったナレーションを担当していたのは、田中哲司さんでした。脚本は竹山洋さん、演出は藤田明二さん、音楽は江口貴勅さんでした。制作協力は、角川映画でした。

原作の小説は昭和32年(1957年)に発表されたものだそうで、ドラマの中の新聞には「平成27年」とあったのですが、登場人物の名前や、地方で起きた事件のことを知るために地方の新聞を取り寄せるという設定など、どうしても昔風というか、昭和風であるように思えてしまいました。代議士の秘書の妻がクラブのホステスの仕事をしているという設定も、現代だったなら、もっとすぐに公表されてしまうことなのではないかなと思いました。

田村正和さんと水川あさみさんと広末涼子さんの競演というところを見所としたスペシャルドラマだとするのなら、これでも良いのかもしれないのですが、私としては、ドラマの時代の設定が昭和30年代になっていたほうがもっと自然な印象の作品になったのではないかなと思えました。でも、“松本清張ドラマ”らしい作品だったのかなとも思いました。

第二夜の「黒い樹海」は、青森の十和田湖へ行くと言って出かけた新聞の文化部の記者の姉の笠原信子(小池栄子さん)を長野の温泉町行きのバスのダンプカーとの衝突事故で喪った就職活動中の笠原祥子(北川景子さん)が、姉の同僚の文化部の記者の吉井貴志(向井理さん)と共に、生前の姉の関係者だった、同僚記者の町田知枝(酒井若菜さん)や小児科医の西脇満太郎(沢村一樹さん)、その妻の西脇亜佐美(麻生祐未さん)、経済評論家の妹尾郁夫(鈴木浩介さん)、ファッションデザイナーの倉野むら子(山本未來さん)、華道家の佐敷泊雲(古田新太さん)、画家の鶴巻完造(六平直政さん)、バス事故の生存者の村田頼子(宮地雅子さん)、姉の遺品のバッグを警察に届けた元食堂従業員の斎藤常子(江口のりこさん)、マンションの管理人の小川カズ(室井滋さん)に当たりながら、姉の事故死の真相を探っていく、という話でした。

脚本は寺田敏雄さん、演出は常廣丈太さん、音楽は井筒昭雄さんでした。制作協力は、オフィスクレッシェンドでした。

今回の「松本清張二夜連続ドラマスペシャル」を楽しみにはしていたものの、何気なく見始めていた私は、脚本や演出や制作会社が、第一夜と第二夜で異なっていることも、特に知らずに見ていました。そのため、「地方紙を買う女」を見た後、「黒い樹海」を見る際、それほど期待して見始めたというわけではなかったのですが、ドラマが始まって少しして、「地方紙を買う女」とはドラマの作りや雰囲気が違うことに気がつきました。主人公の祥子さんの独白のナレーションも自然であるように思えましたし、CGではなく本物の風景だったように見えたのですが、空撮による山の雪景色も圧巻の印象でした。

東京や長野や山梨を行き来する“旅情ミステリー”でしたが、仲の良かった几帳面でしっかり者の姉の信子さんの別の一面を妹の祥子さんが少しずつ知って認めていくという部分も含めて、ミステリーのドラマとして、とても良くできた作品になっていたように思います。

妹の祥子さんは、文化部の記者だった信子さんの仕事を引き継ぐ形で、花山祥子という偽名で関係者に近づいていくのですが、生前の笠原信子を知る仕事関係者たちからは地味で堅物な女性だったという風に言われていた姉が、大切な人から愛されていて、事故で死ぬ直前には本当に幸せな思いでいたのだということを妹の祥子さんが知っていく場面も良かったですし、小池栄子さんの演じる信子さんが良かったということもあるかもしれないのですが、雪道のバスの事故で亡くなった姉の信子さんの存在感がちゃんと描かれていたところも、良かったのだと思います。

私は原作の小説を未読なので、それと比べることはできないのですが、今回のドラマは、「地方紙を買う女」が男女問題の物語であったのに対して、「黒い樹海」は姉妹の物語でした。

昭和33年(1958年)に小説が発表されたという「黒い樹海」を原作とした第二夜も、第一夜と同じく、時代設定は現代になっていたのですが、第二夜のほうが、展開が自然で、全体的に新しさのあるドラマになっていたように思います。真相を探る過程や真相が分かっていく過程の脚本にも演出にも映像にも緊張感があって、最後まで面白く見ることができました。第一夜の物語が悪いというのでは決してないのですが、私は第二夜の物語のほうが好きでした。
プロフィール

Author:カンナ
ブログ初心者です。
感想などを書いています。
マイペースで更新します。
すきなもの
 月・星空・雨・虹・雪
 飛行機雲・入道雲・風鈴の音
 透き通った水・きれいな色
 富士山・東京タワー・ラジオ・音楽
 本・絵画・ドラマ・(時々)アニメ
 掃除機をかけること
にがてなもの
 人ごみ・西日・甘すぎるお菓子
 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム