「ストレンジャー ~バケモノが事件を暴く~」

テレビ朝日のドラマスペシャル「ストレンジャー ~バケモノが事件を暴く~」を見ました。

夜の9時から放送された、2時間と少しのドラマでした。

ある朝の都内の公園で、絞殺された後に頚動脈に二つの穴を開けられて血を抜かれている女性の変死体が発見されました。シリアルキラーによる連続殺人事件として、刑事の熊谷明生(音尾琢真さん)と共に捜査を行うことになった刑事の佐伯章二(萩原聖人さん)は、その夜、別の公園で何者かに首を絞められて殺されていた伊東香織(宮下かな子さん)を発見して警察に通報した、この街に引っ越してきたばかりだと言う三杉晃(香取慎吾さん)を警察署で聴取しました。

また、香織さんが殺害される少し前には、車の助手席で首を切って自殺をしようとしていた女性が、何者かの通報によって救急車で運ばれる時にはすでに応急処置を受けていたという出来事もあり、佐伯刑事は、女性を助けて名乗り出ない謎の人物は無免許の医者なのだろうかと考えつつ、その自殺未遂の女性の出来事と、血を抜き取られていなかった香織さんの事件とに“刑事の勘”で何かのつながりを感じていました。

殺された日が二十歳の誕生日だった香織さんが幼い頃暮らしていた児童保護施設の関係者に過去の話を聞いた佐伯刑事は、14年前、両親を事故で喪った5歳の香織さんをその一年後に施設に連れて来たと思われる、香織さんが「お兄ちゃん」と呼んでいた人物の似顔絵を探してもらい、香織さんが描いた似顔絵の人物が「あきら」という名前であることを知ると、三杉晃のことを思い出しました。

「三杉晃」をインターネットで検索してみた佐伯さんは、そこで『私と三杉晃』という1950年に出版された絶版本を見つけ、図書館で探してその本を読み、不老不死となった同級生の三杉晃と再会したことを記した民俗学者の息子の稲村史郎(益岡徹さん)に会いに行き、稲村さんの亡き父親の持っていた三杉晃の写真を見せてもらい、稲村さんの隣に写っている人物が最近聴取した三杉晃とそっくりであることに衝撃を受けるのでした。

不老不死の三杉晃の存在に半信半疑の思いを抱きながら、連続殺人事件の捜査を続けていた佐伯刑事は、新たに女性の遺体が発見された現場の野次馬たちの中に三杉晃の姿を一瞬見たように思い、それを確認しようと、映像を見返していました。熊谷刑事は、そこに映っていたある男子大学生に事情を聞くことにして、佐伯刑事と共にその大学生の部屋に入ったのですが、そこでは何も見つけることができませんでした。

熊谷刑事と佐伯刑事が困惑していると、佐伯刑事の元に電話がかかってきました。三杉晃からでした。佐伯刑事がその場所へ急ぐと、そこには別の男子大学生が気を失って倒れていて、その部屋の一角の箱の中に冷凍保存された母親の遺体を見つけ、近くの冷蔵庫の中に被害女性の血の入った複数の瓶を見つけたのでした。そうして、殺した母親を生きていると思い込むことで自分に新たな役割を作り「吸血鬼」の仕業に見立てた事件を繰り返していた連続殺人犯は逮捕されました。

普通の人間として生きていれば100歳を超えているはずの三杉晃は、もともと大正時代の医者で、妻と幼い娘を交通事故で喪ったことから森の奥で服毒自殺をしようとしていた時、バンパネラの末裔の真理亜(中条あやみさん)に声をかけられ、一緒に行こうと差し伸べられた手を掴んでいました。自身もパンパネラとなった三杉晃は、亡くなった自分の娘と同じくらいの、両親を交通事故で亡くした香織さんと一年間暮らした後、二十歳になったら迎えに来ると言って銀のかんざしを渡し、香織さんを児童擁護施設へ送り出していました。そして、香織さんが二十歳を迎えた日、約束の公園へ向かっていた三杉晃は、途中で自殺未遂をした女性を見つけて手当てをしたことで、生きている香織さんと会うことができなくなったのでした。

真理亜は、4件目のまだ新しい被害者の血痕に触れて、その血の記憶から犯人の姿を見ていました。三杉晃は真理亜と共に犯人の部屋に侵入し、真理亜に噛み付かれて倒れた男子大学生から香織さんのかんざしを取り戻し、男子大学生を佐伯刑事たちに逮捕させたのでした。男子大学生は、本物の吸血鬼と会った時の記憶を失ってはいるものの、佐伯刑事に見せられた三杉晃の写真には怯えた様子を見せていました。

過去に囚われるならその記憶を消すべきだと考える真理亜とは反対に、まだ人間に近い三杉晃は、香織さんが生きていた証として忘れないようにしたいと決意していました。そして、佐伯刑事に存在を知られた三杉晃は、真理亜さんと共に再び街を離れることとなりました。

脚本は鈴木勝秀さん、監督は本広克行さんでした。

ドラマの原案は、萩尾望都さんの漫画『ポーの一族』です。私は未読なのですが、タイトルは聞いたことがありますし、有名な少女漫画作品ということは知っています。(ポーということは、エドガー・アラン・ポーのことでしょうか。エドガー・アラン・ポーの小説は、私も好きです。)

作品中では、「ヴァンパイア(バンパイア、吸血鬼)」のことは「バンパネラ」と呼ばれていました。吸血鬼ではあるのですが、人間の血を吸うこともありながら、普段は赤いバラの花の生気?を吸い取るというエネルギーの採り方をしているようでした。採ったエネルギーは、他者に与えることもできるようでした。

三杉晃と真理亜さんは気を抜くと鏡に映らないことがあるようで、古書店の店主の前島康夫(段田安則さん)からそのことを注意されていたのですが、前島さんもバンパネラの一人だったのでしょうか。はっきりとは描かれていなかったように思います。また、三杉晃と真理亜さんは本当の家族ではなかったですし、三杉晃に再会した稲村さんの本に書かれていた「不老不死の一族」の「一族」は、そうなるために血を分けたものというくらいの大きな意味で使われているのかなと思いました。

吸血鬼というか、不老不死の人物が登場するドラマとしては、珍しい作品になっていたように思うのですが、「バケモノが事件暴く」というサブタイトルは、ドラマには合っていなかったように思えました。今時、と言うことではないかもしれないのですが、吸血鬼を「バケモノ」と呼ぶのは、何となく古めかしいというか、少し的外れであるようにも思えました。

それに、ドラマの中のバンパネラの三杉晃は、事件を暴こうとしていたのではありませんでした。香織さんを殺した加害者から、香織さんとの思い出のかんざし(自分の娘との思い出の品でもあるかんざし)を取り戻そうとしただけであったように思えました。

三杉晃が存在を知られないようにしているのに同じ名前を使い続けているというのも、私には少し不思議に思えました。戸籍上は死んだことになっているかもしれない三杉晃が各地の学校の教師になっているということも謎に思えるのですが、存在を知られたくなさそうなのにどうしてたくさんの生徒に出会う教師にならなければいけないのか、どうして普通の人間(普通の社会人?)のように暮らさなければいけないのかということも、少し不思議に思いました。

何かもっと自由に生きることはできないのかなとも思ったのですが、「不老不死」も、ある年齢以上には老いることなくいつまでも死なないというだけで、普通の社会で身を潜めるように静かに暮らすということになると、意外と不自由なのかもしれません。

このドラマは三杉晃が主人公なので、三杉晃と真理亜さんのバンパネラ生活を描くことは作品としては重要なことであるかもしれないのですが、私には、佐伯刑事の場面のほうが、“刑事ドラマ”として丁寧に描かれていたように見えました。熊谷刑事や長井監察医(菅原永二さん)と佐伯刑事の会話も自然な印象でしたし、佐伯刑事が養護施設へ行って香織さんの過去を調べたり、三杉晃のことが書かれている本を調べていくところなど、ミステリアスな物語であるという感じが出ていて、良かったです。

バンパネラとしての三杉晃や真理亜さんのCGの映像(鏡に映ったり映らなかったりするところや、目が赤く光るところなど)も、良かったように思います。

ただ、ドラマの劇中音楽は、私には少しうるさいというか、騒々しいというか、過剰であるようにも思えてしまいました。CMに変わる直前にこれから先の物語の予告映像を入れるところや、CMが終わった後の部分がCMの前の部分と重なっていたところなども、私には、あまり良くなかったように思えました。

物語のテーマになっていたのは、「吸血鬼」や「不老不死」というよりは、「記憶」だったのかなと思います。生きていることは奇跡なのだとか、ある人が生きていた証を残すためにもその人のことを忘れないでおこうとか、ドラマの最後のほうは少し道徳的になっていました。

どのような物語なのだろうと楽しみにして見始めた昨夜のこのドラマは、比較的ゆっくりとした展開のドラマだったので、私は途中少し眠い気持ちにもなってしまったのですが、それでも、この先の物語はどうなるのだろうと気になりながら、最後まで見ることができました。

このドラマの物語が面白かったかどうかということとは少し異なるのですが、主人公を“不老不死の吸血鬼”とするのなら、あるいは、事件性のある物語や“刑事ドラマ”ではないほうが良かったのかもしれないなと思います。

先週まではTBSで香取慎吾さん主演の日曜劇場「家族ノカタチ」が放送されていたので、今回の「ストレンジャー」がそのドラマのちょうど終わった後の放送になっていたのは、(あえてそのようにしたのかもしれませんが)良かったように思いました。
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