「生誕300年記念 若冲展」

先日、上野の東京都美術館で開催されている「生誕300年記念 若冲展」を見に行きました。

江戸時代の中期の京都で活躍していた伊藤若冲(1716年-1800年)の展覧会です。

この展覧会が開催されるためか、先月にはNHKのBSプレミアムでは嵐の大野智さんがナビゲーターを務めていた「若冲ミラクルワールド」の全4回が再放送されていました(2011年に放送された番組なのですが、改めて見ても、丁寧に作られていた良い番組だったように思いました)。「日曜美術館」でも若冲が特集されていて、「NHKスペシャル」でも「若冲 天才絵師の謎に迫る」が放送されていました。

今回の展覧会では、京都の相国寺の「釈迦三尊像」の3幅と、宮内庁の三の丸尚蔵館の「動植綵絵」の30幅が東京で初めて一堂に展示されるということで、私も見に行くのを楽しみにしていました。

私が行った時は空が青く晴れていて、人気の展覧会なので仕方のないことかもしれないのですが、美術館に入るまでにもお客さんの行列ができていました。美術館の外の最後尾から2時間近く並んでようやく展覧会場の中へ入ることができました。

その流れからして当然のことながら、展覧会場の中もたくさんのお客さんでとても混み合っていました。私の行った時がちょうどそうだっただけなのかもしれないのですが、伊藤若冲の作品を目の前でちゃん見たいと思うと、それはなかなか大変なことでした。

それでも、伊藤若冲の絵そのものは、やはりとても良かったです。初期から晩年までの代表作という、83点ほどの作品が紹介されていました。

京都の鹿苑寺の大書院障壁画の「葡萄小禽図襖絵」から始まっていました。三の丸尚蔵館の「旭日鳳凰図」も、岡田美術館所蔵の「孔雀鳳凰図」の2幅も色彩が美しく、その大きな掛け軸が並べられて紹介されていたのも良かったですし、「花鳥版画」という木版画の6作品は初めて見たような気がしました。版画の背景は全て黒色で、何となく工芸作品のようにも見えました。巻物の「興乗舟」の絵は、金泥で描かれていたのだと思うのですが、蒔絵の作品のようにも見えました。

1階の会場へ入ると、「釈迦如来像」と「文殊菩薩像」と「普賢菩薩像」の「釈迦三尊像」と、「動植綵絵」の30幅が、半円形の展覧会場にずらりと並んでいました。絹本着色の掛け軸の一つ一つがとても大きいので、作品全体が絵を見るお客さんたちを包み込むような印象でもあり、圧巻でした。

空いているところから見てください、と係員の方が言っていたので、そのようにしようと思ったのですが、混雑していることには変わらないので、比較的空いているところへ行っても、一つ一つをじっくりと見るのは意外と大変でした。特に音声ガイドを聞いているご年配の方?の立ち位置や動線は変則的なので、頻繁にぶつかりますし(そのご年配の方たちは目の前の絵とヘッドフォンのガイドの音に集中していて、人にぶつかることはそれほど気にならない様子でした)、気付いた私のほうが先に避けなくてはいけないので、目が回ってしまう感じでもありました。

そうして人を避けながら、私も若冲の絵の前に進みました。テレビの映像で見るほうが細かいところまで見ることができるとは思うのですが、やはり実物の迫力はすごいです。

細かいところまで確実に描き込まれているということが、はっきりとは見えなくても、よく伝わってくるような気がしました。掛け軸の中の無数の形や無数の色が、迫ってくるような感じがしました。絵の中の生き物たちには今にも動き出しそうな緊張感がありました。

「釈迦三尊像」の3幅と「動植綵絵」の30幅は、若冲が信仰心の深さからお寺に奉納したものだそうで、お釈迦さまが見守っている世界に広がる豊かな生命の美しさを描いた作品ということなのかなと思いました。

展覧会場にいるお客さんの多さなどに関わらず、「動植綵絵」のような大きくて豪快でもありながら繊細でもある若冲の作品を見続けるには、そのための体力が必要なのかもしれないなとも思いました。

2階の展覧会場に展示されていた「菜蟲譜」、「百犬図」(50匹くらいの雛飾りのこま犬のような子犬たちが描かれていました)はかわいかったです。「三十六歌仙屏図風」(私が行ったのは前期なので右隻のみです)や蓮の一生が描かれた「蓮池図」、「象と鯨図屏風」、「石燈籠図屏風」の点描もよく見ることができました。

最後には、メトロポリタン美術館所蔵の「月梅図」、デンバー美術館の「菊花図」、そしてジョー・プライスさんのコレクションの「葡萄図」を始めとする9作品が紹介されていました。

斬新な「鳥獣花木図屏風」もまたとても良かったのですが、先日NHKのBSプレミアムで放送されていた「若冲 いのちのミステリー」という番組によると(若冲の生き方や作品の風景のモデルとなった場所など具体的に紹介されていて、見応えのあるとても良い番組だったように思います)、「鳥獣花木図屏風」は、ドイツのゴットフリートの『史的年代記』の創世記のエデンの園の銅版画の挿絵(マテウス・メリアンという方の作品だそうです)の構図とよく似ているということでした。美術史家の方によると、両脇に木が立っていて奥に海があるというところや、描く対象の大きさを変える遠近法や、鳳凰以外の動物の種類や配置など、共通点が多いそうで、紹介されていた版画と「鳥獣花木図屏風」とを見比べると、確かに似ているように思いました。

混み合っているということで言えば、「鳥獣花木図屏風」の前はまた特にたくさんのお客さんがいて、その一人だった私もそうなのですが、他のお客さんたちも絵を見るのが大変だったのではないかなと思います。忙しかったのかもしれないですし、その時にはそこに係の方はいなかったのですが、会場の係の方には長く立ち止まって見ているお客さんたちをもう少しきちんと誘導してもらえると助かるように思いました。

今回の展覧会は、伊藤若冲の生誕300年記念の展覧会ということで、展覧会のチラシにも「若冲の生涯と画業に迫ります」と書かれているのですが、京都の石峰寺の五百羅漢の石仏のことは紹介されていても、黄檗宗という宗派などについては特に触れられていなかったように思います。

展覧会場を出てすぐのミュージアムショップのレジの前にも長い行列ができていました。でも、私が美術館を出た頃には、夕方に近づいていたためか、美術館へ入るまでの行列の長さはかなり減っていました。

今回の展覧会は、一部の展示作品が前期と後期で入れ替わる展覧会です。5月10日から後期の展示になるそうです。今回の生誕300年記念の伊藤若冲の展覧会を、私も見に行くことができて良かったです。
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