「重版出来!」第7話

TBSの火曜ドラマ「重版出来!」の第7話を見ました。

興都館の『週刊バイブス』の編集者の黒沢心(黒木華さん)は、ベテラン漫画家の三蔵山龍(小日向文世さん)の正式なアシスタントとして働き始めて1か月ほど経った漫画家の中田伯(永山絢斗さん)から、「ピーヴ遷移」の続きの物語が書かれた何冊ものネームノートを渡され、物語の面白さに惹きつけられていたのですが、7冊目が抜け落ちていることに気付き、伯さんに連絡しました。

伯さんの7冊目のネームノートは、絵が下手でありながら三蔵山先生に才能を高く評価されている後輩の伯さんに少し嫉妬するようになっていたチーフアシスタントの沼田渡(ムロツヨシさん)が持っていました。複雑な家庭で育ち、言霊の力を信じている伯さんの心の内側の闇が溢れ出すようなネームの絵に脅かされた沼田さんは、驚いてインクの瓶を投げてしまい、インクで汚れてしまった伯さんのノートを机の引き出しの奥に隠したのでした。

沼田さんの異変に気付いた三蔵山先生は、伯さんのノートの行方を沼田さんに尋ね、沼田さんが自分のネームノートの間に挟んで隠していた伯さんのノートを、自分が伯さんに返すことにしました。

7番目のネームノートを伯さんに渡された心さんは、伯さんがいじめられているのではないかと不安になり、先輩の五百旗頭敬(オダギリジョーさん)に相談して、沼田さんの自宅を訪ねて話を訊きに行き、伯さんは三蔵山先生の妻の時枝(千葉雅子さん)が犯人ではないかと思っているということを伝えました。

心さんは、一方では、編集長の和田靖樹(松重豊さん)と一緒に、『バイブス』に連載されていた昔の大人気漫画『タイムマシンにお願い』の電子書籍化のために、一世風靡をした天才漫画家で札束を周囲に配るほど羽振りの良い生活を送りながら今は漫画を描いていないという牛露田獏(康すおんさん)の自宅を訪ねたのですが、アパートの一室の呼び鈴を鳴らしても誰も出て来なかったので少し待っていると、一人娘の後田アユ(蒔田彩珠さん)が学校から帰宅し、小さい頃のアユさんに会っていた和田さんは懐かしがっていました。

和田さんと心さんを家に入れたアユさんは、母親が亡くなったことを二人に伝え、父親のいる奥の部屋を開けたのですが、そこにいた牛露田獏さんは、お酒の瓶に囲まれて万年床の上に座っていました。

和田さんが『タイムマシンにお願い』の電子書籍化の話を持ちかけると、牛露田さんは、一億円持って来れば考えると言い、和田さんが、電子書籍化すれば少しは生活費になるようなお金も入ると言うと、漫画は紙で読むものだ、俺の魂は売らないと怒って、コップのお酒を和田さんと心さんにぶちまけました。

帰り際、心さんは、何か話したいことがあったらとアユさんに名刺を渡したのですが、その後、編集部の心さんのところに警察から電話があり、アユさんを引き取りに行くことになりました。中学校へ行かずに公園にいたところを補導されたというアユさんは、心さんにお礼を言って、家計を支えるための新聞配達のアルバイトへ出かけて行きました。後日、アユさんとカフェへ行った心さんは、アユさんが、父親に代わって忙しく働き続けて亡くなった母親は漫画に殺されたのだと話すのを聞きました。かつては天才漫画家だった牛露田獏を父親に持つアユさんは、普通の家庭がよかったと心さんに話していました。

三蔵山先生の家では、大塚シュートさんのサッカー漫画『KICKS』を、漫画を描かなくても生きていくことができるような人の描いたつまらない漫画だと吐き捨てるように言っていた伯さんが、沼田さんの机にあったネームノートを見つけました。沼田さんがいつか世に出そうと考えていた作品だったのですが、編集者にも三蔵山先生にも理解されず、アシスタントの仲間も、アンドロイドと人間の恋愛ものというくらいにしか思っていなかった作品でした。沼田さんは、天才の伯さんが自分のネームを読んでいることを知って、やめさせようとしたのですが、ノートを取り上げようとした時、伯さんが泣いていることに気づいて驚きました。伯さんは、これは自分自身の存在を問う物語だと、作者の沼田さんが考えていたことを理解していました。

それから、40歳の誕生日を迎えた沼田さんは、三蔵山先生と二人で実家から送られてきたお酒を飲みながら、いつか自分の漫画を認めてもらえると思いながらここまで来た、夢を見ている自分は特別だと思っていた、特別な人間でいたかったのだと三蔵山先生に話し、お世話になりましたと挨拶をして、辞める決意を固めていました。

帰り道を伯さんと二人で歩いていた沼田さんは、好きな落語がたくさん入った音楽プレーヤーと新人賞を受賞した時の原稿を伯さんに渡し、ネームノートにインクをこぼしたのは自分だと告白しました。どうしてだと思うかと訊かれた伯さんが、絵が下手でむかついたから、と答えるのを聞いて笑った沼田さんは、俺の分まで頑張って、と伯さんに言い、他人にはなれないから無理だと断られると、また笑って伯さんと別れていました。

沼田さんと別れの挨拶をするのに間に合わなかった心さんは、沼田さんの言動を不思議がっていた伯さんに、沼田さんは中田さんが羨ましかったのだと思う、家庭が複雑だったとしても中田さんになりたかったのだと思うと伯さんに話していました。

五百旗頭さんと小料理屋へ来ていた心さんは、伯さんと沼田さんのことを考えて、理解者に出会う漫画家と出会わない漫画家の分かれ目はどこにあるのだろうと五百旗頭さんに訊いていて、五百旗頭さんは、作者自身が乗り越えなければいけない壁がある、それは自分たちにはどうにもできないことだと心さんに話していました。自分の担当している新人作家にはどのような作家になってほしいと思うかという質問には、編集者が代わっても雑誌が代わっても一人で泳いでいくことのできる作家になってほしいと答えていました。

最後、実家の酒店を手伝うようになっていた沼田さんは、近所のおばあさんたちに帰ってきたのと訊かれて、これからはずっといるよと明るく答えて配達のトラックに乗っていました。沼田さんが描いたと思われる、新酒を紹介するポップの絵で終わっていたのが、少し寂しいような、ほっとするような、前向きのような感じで、さわやかに思えました。

脚本は野木亜紀子さん、演出は塚原あゆ子さんでした。

第7話は、自分の作品を理解してくれる人に巡り会うことができずに漫画家になるという夢を持ちながら大御所漫画家のアシスタントの仕事を長年続けている平凡な沼田さんが、独特な感性を持つ天才の新人の中田伯さんの存在によって現実の自分と向き合わざるを得なくなり、特別な存在ではなかった自分を受け入れて夢を諦め、新しい人生を歩み始めるという話でした。

永山絢斗さんの伯さんとムロツヨシさんの沼田さんが良かったということもあると思うのですが、漫画を好きだという共通点以外は正反対のようだった伯さんと沼田さんの対比が良かったです。

“漫画の神様”に愛されるような「天才」にはなることができなかった沼田さんの、漫画家になりたいという夢と、アシスタントのまま終わるという現実が、シビアというか、沼田さんに対して誠実に描かれているように思えて、見ていて少し辛いような気持ちにもなったのですが、とても良かったです。

あと、SNSが得意な編集者の安井昇(安田顕さん)が、「さかなクン」を「さかなクンさん」と呼んで尊敬している感じだったところも面白く思えたのですが、もしかしたら五百旗頭さんの言っていた「一人で泳いで行くことのできる作家」というのと「さかなクン」がつながっていたのかなと、少し思いました。

前回の中で「タイムマシンにお願い」と聞いて、私はサディスティック・ミカ・バンドの歌を思い出していたのですが、今回登場していた劇中のギャグ漫画『タイムマシンにお願い』の表紙の絵は、漫画家の藤子不二雄Aさんの作品でした。絵柄がそうだったのですが、エンドクレジットにも名前が書かれていたので、すごいなと思いました。

次回の「重版出来!」も楽しみにしたいと思います。
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