映画「ソラリス」

先日のフジテレビの深夜に放送されていた映画「ソラリス」を見ました。

「ソラリス」というタイトルが何となく気になって録画をしておいた映画です。

原作は、私は未読なのですが、スタニスワフ・レムの小説『ソラリスの陽のもとに』(または『ソラリス』)です。アンドレイ・タルコフスキー監督の「惑星ソラリス」という映画も私は未見なのですが、そのリメイク作品であるようでした。2002年に公開されたアメリカの映画で、脚本と監督はスティーブン・ソダーバーグさん、製作はジェームズ・キャメロンさんという作品でした。放送されていたのは吹き替えの映画です。

主な登場人物は、心理学者のクリス・ケルヴィン(ジョージ・クルーニーさん、吹き替えの声は山寺宏一さん)、ジバリアン(ウルリッヒ・トゥクールさん、声は津田英三さん)、スノー(ジェレミー・デイビスさん、声は家中宏さん)、ヘレン・ゴードン(ヴァイオラ・デイヴィスさん、声は津田真澄さん)、ケルヴィンの自殺した妻のレイア(ナターシャ・マケルホーンさん、声は鈴木ほのかさん)です。

心理学者のクリス・ケルヴィンは、ある日、NASAと提携している、惑星ソラリスを探査中の宇宙ステーション「プロメテウス」に乗っている友人の科学者のジバリアンからここで何が起きているのかを調査してほしいという依頼を受け、地球との交信の途絶えた宇宙ステーションへ向かうのですが、その床や天井には謎の血痕があり、冷凍室には友人のジバリアンや他の乗組員やセキュリティ部隊の遺体が安置されていました。宇宙ステーションの中に残っていたのは科学者のスノーとゴードンの二人で、スノーによると、ジバリアンは自殺したということでした。二人から聞き取り調査を始めようとしたケルヴィンは、あのことがあなた自身に起きなければ理解できないだろうと言われ、調査は進まないのですが、ある夜、スノーに言われた通りに鍵をかけた部屋で眠りに付いたケルヴィンは、亡き妻のレイアと出会った頃の夢を見ました。そして、ケルヴィンが目を覚ますと、そこにはレイアの姿があったのでした。

宇宙を舞台にしたSFの物語で、宇宙船の窓の外には不思議な光を放つ惑星「ソラリス」の光景が広がっているのですが、宇宙の物語というよりは、心理的、哲学的な物語だったように思います。静かで、不思議な物語でした。

眠っている間に到着しますよ、と宇宙船の会社の人たちに言われていたことから、最初から全てがケルヴィンの夢であるという風に考えることもできるのかなとも思うのですが、近未来の世界を舞台にしたSF物語ということなら、ケルヴィンはそのまま実際に宇宙ステーションへ行ったと考えるほうが自然なのかもしれません。

ソラリスのことは、はっきりとは描かれていないのですが、何らかの知的生命体のような惑星で、宇宙ステーションの研究員たちはソラリスからの「交信」に戸惑っていました。地球にいるはずのジバリアンの幼い息子が船内を歩いていたり、亡くなったレイアが現れたり、ゴードンの前に現れていたのかは誰だか分からなかったのですが、スノーは自分自身に遭遇していたようでした。

宇宙ステーションでの物語と並行して、ケルヴィンが思い出す、ケルヴィンとレイアの過去の出会いから結婚生活の物語が描かれていたのですが、その過去の生前のレイアの記憶が、ケルヴィンだけではなく、ソラリスの一部から現れた幻のレイア(ソラリスの一部であるのを幻とするのはもしかしたら少し違うかもしれませんが)をも苦しめていました。

夢と現実が少しずつ混ざっていくような映画で、最終的には、ケルヴィンの中では、夢のほうが現実を覆ったという感じでした。現実を直視して地球に帰ろうとするゴードンと、レイアへの罪の意識から幻のレイアと一緒にいるほうを選ぶケルヴィンの対比があったところが良かったのかもしれないと思います。

ケルヴィンやその友人たちは「無神論者」的で、自分たち地球生命の存在をただの「数学的偶然」と考えていたのですが、生前のレイアは人知を超えた存在としての神について考えようとしていました。ケルヴィンは、自分が記憶しているレイアと生前の本当のレイアとは違っていた、自分の都合良く記憶していたのだということに気付き、後悔の気持ちを深めていくと同時に、失われたレイアとの暮らしを取り戻すために、目の前にいる幻のレイアと一緒にいることを望むようになっていました。

幻のレイアは自殺を図ってもゴードンに消されても、何度も蘇っていました。ケルヴィンの記憶にある限り、レイアはケルヴィンの前に現れ続けていました。

愛するものが亡くなっても愛は消えない、そして死は支配力を失う、というような詩が映画の中に登場していたのですが、この映画はSF映画というよりも、その詩のように、愛は消えない、ということを伝える映画だったのかなと思います。幻のジバリアンの息子の手を取り、レイアの夢を見たケルヴィンは、妻を死なせてしまった自分が妻に許されたことを感じて安堵し、救われていました。

夢と現実、生と死、人間とは何か、神は存在するのか、というようなことが混ざり合ったような、心理サスペンス風の不思議なSF映画でしたが、音楽も含めて、良い映画だったように思います。見ることができて良かったです。ケルヴィンの記憶の中のレイアが電車の中で持っていたドアノブ?の謎は私には謎のままなのですが、説明の少ないところもこの映画の良いところであるように思いました。

あと、これは映画の本編とは直接関係のないことで、放送上仕方のないことだったのかもしれないのですが、映画の最後のエンドロールの部分がカットされてしまっていたのが少し残念でした。物語の余韻のためには、エンドロールの部分は残されていたほうが良いように思います。
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