「モンタージュ 三億円事件奇譚」前編

フジテレビの「土曜プレミアム」で放送されていたスペシャルドラマ「モンタージュ 三億円事件奇譚」の前編を見ました。

「三億円事件」というのは、1968年の12月10日、日本信託銀行の国分寺支店の銀行員たちが、東京芝浦電気の工場へ従業員たちのお給料分の約3億円を届けるために、現金を積んだ自動車(現金輸送車)で府中刑務所裏の学園通りと呼ばれる通りを走っていた時、後ろから来た白バイ隊員に爆発物が仕掛けられているという連絡が入ったから調べさせてほしいと呼び止められ、その白バイ隊員が車体の下に投げ込んだ発煙筒の煙に慌てて車を降りた直後、車の運転席に座った白バイ隊員に車ごと3億円の現金を盗まれてしまった、という未解決事件です。

私も詳しくは知らないのですが、「昭和の未解決事件」関連の番組で度々特集されているので、何となく聞いたことがあるというくらいには知っています。

今回のドラマは、その「三億円事件」を基にした『モンタージュ 三億円事件奇譚』という渡辺潤さんの漫画作品を原作にしたものでした。私はこの漫画作品を未読ですし、「三億円事件」が描かれるということについてもそれほど新しくないような気がしたのですが、長崎の軍艦島(端島)が関わる「三億円事件」のドラマというのを何となく面白そうに思い、見てみることにしました。

ドラマは、2009年の長崎から始まっていました。高校生の鳴海大和(福士蒼汰さん)と幼馴染みの小田切未来(芳根京子さん)は、通学路の細い路地に血の跡を見つけ、空き家の庭で腹部から血を流して倒れていた老人(香川照之さん)から、お前の父親は三億円事件の犯人だ、誰も信用するな、と告げられました。老人の死後、失踪してから数日経った父親の顔を酷く損傷した遺体が海で発見され、家族のいなくなった大和さんは、未来の父親で、大和の父親に剣道を習っていたという小田切武雄(デビット伊東さん)の勧めで、小田切家で暮らし始めました。

それから7年後の2016年、死んだ父親が三億円事件の犯人かもしれないということが気にかかり、アルバイトをしながら無為な日々を過ごしていた25歳の大和さんは、武雄さんに父親の形見の剣道着を譲った時、名前の刺繍の入った名札だけは持っているように言われて返されたのですが、部屋でそれを眺めていた時、その裏に血まみれの旧五百円札が縫い付けられているのを見つけました。その旧五百円札の番号は、「三億円事件」で盗まれたお札の番号と一致していました。その後、武雄さんが旧五百円札を捜していることに気付いた大和さんは、誰も信用するな、という言葉を再び思い出したのですが、翌日、未来さんの両親が失踪しました。

未来さんは警察に失踪届を提出し、部屋に手がかりが残されていないかと調べ始めた未来さんが出した両親の持ち物の中に、大和さんは、軍艦島の写真集を見つけました。メモの挟まっていたページを開くと、「地獄段」の写真が現れました。大和さんと未来さんは、武雄さんと剣道を習っていた鈴木泰成(劇団ひとりさん)に相談し、二人で軍艦島へ向かいました。

軍艦島に上陸した二人は、武雄さんが本に挟んだままにしていたメモに書かれていた「地獄段」のある石段をバールで外し、奥に入っていた、血の付いた旧紙幣の札束の入った袋を持ち出して島を離れたのですが、港に着くと、そこには未来さんの両親の失踪届を出した時に警察署で会った関口二郎(遠藤憲一さん)が拳銃を持ったヤクザの男と一緒に待っていました。不審に思った大和さんと未来さんは旧紙幣を持って逃げ出し、なぜかそこへ駆け付けた鈴木さんの車に乗って逃走しました。

大和さんは、一先ず鈴木さんを信用することにして、鈴木さんのお世話になることにしました。スーツケースを用意してもらい、旧紙幣をそこに入れ替えたのですが、翌朝のニュース番組で、軍艦島から戻った港の貸し船店の店主がバールで殺害されたことを知りました。関口さんが殺したと察した大和さんは、自分たちが殺人の犯人だと疑われているのを払拭するため、自ら出頭して相談することにしたのですが、交番の巡査が関口さんに直接話したほうがいいと、関口さんのいる中央署へ二人を移送しようとしたため、道路の途中に見かけて何かがあったら利用しようと考えていたコンビニエンスストアへ駆け込み、「三億円事件」の犯人のように発煙筒を使って警察官たちの目をくらませている間に逃げ出しました。鈴木さんや鈴木さんの予備校に通う中野夏美(杉咲花さん)、夏美さんと知り合った警察官の水原大輔(ムロツヨシさん)の協力を得ながら、そうして「三億円事件」の関係者となったために何者かに命を狙われるようになった二人の、長崎から福岡、東京の府中市へと続く、事件の真相を知るための逃走劇が始まったのでした。

脚本は大森寿美男さんで、演出は水田成英さんでした。

大和さんの父親の鳴海鉄也は、本当は川崎雄大(野村周平さん)という軍艦島出身者でした。事件の前の年の1967年、知り合いに会うため東京へ出て来た雄大さんは、仕事を探して街を彷徨っていた時、不良青年の望月竜(渋谷謙人さん)と響子ギブソン(ホラン千秋さん)が別のグループの不良青年たちに殺されそうになっていた現場に割り込んで二人を助けました。その時、雄大さんは、不良たちが信頼をしているらしい東海林明という警察官と出会ったのですが、その人は2009年の大和さんに「お前の父親は三億円事件の犯人だ」と伝えて失血死する人物でした。

炭鉱で栄えた軍艦島の幼馴染みに会うために府中に来ていた雄大さんは、望月さんに府中のジャズバーでの仕事を紹介してもらった後、望月さんたちとも知り合いだった、警察官の沢田慎之介(三浦貴大さん)と再会しました。沢田さんは、人間としての意思を持て、それを社会にぶつけろ、と雄大さんに話していました。沢田さんは、2016年には、民和党の政治家の沢田慎之介(西田敏行さん)として知られていました。

関口さんの裏にいるのは沢田さんだったのですが、沢田さんは、「安全保障関連法」や「集団的自衛権」を推進する政治家のようでした。そして、三億円事件の発生した頃も「安保闘争」の行われていた時代でした。

前編では、それでも、そのような“社会派”の要素は少なかったように思います。

軍艦島の空撮の映像も印象的でした。「廃墟の休日」というテレビ東京のドキュメンタリードラマのことを少し思い出しました。今は「世界遺産」になっているので、ドラマのように、地獄段の一部に傷を付けたりすることなどできないのではないかと思うのですが、ドラマの中では、軍艦島が世界遺産になっているとは言われていなかったですし、石垣の一部が外されていることが報道されたりもしていませんでした。

ドラマによると、「三億円事件」で盗まれた現金は、今のお金の価値に直すと20億円くらいなのだそうです。ただ、「三億円事件」が未解決事件として特に有名な点は、3億円とか20億円とかいう金額よりも、誰も殺傷せずに現金輸送車ごとお金を盗んだという点にあるのではないかと思うので、ドラマの物語の中では、人が傷つけられたり殺されたりすることが、あるいは血が流れることが多過ぎるような気もしました。“ミステリー作品”としては仕方がないのかもしれないのですが、血が流れないほうが、「三億円事件」を基にした物語らしくなるように思えました。

でも、ともかく、テンポの速い展開のドラマだったので、2時間と少しという長めの物語を、途中で眠くなることなく見ることができました。前編は、大和さんの父親の鉄也さんが実は生きていて、鉄也さんがかつて勤めていた府中のジャズバーの店主を訪ねた後、昔の父親の写真を入手した大和さんも、雄大さんだった頃の父親に会うためにそのジャズバーの扉を開ける、という場面で終わっていました。

後編の物語も見てみようと思います。


ところで、このドラマを見た後、途中からになったのですが、NHKのETV特集の「飯舘村 5年~人間と放射能の記録~」を見ました。東京電力の福島第一原子力発電所の爆発事故で放出された放射能によって代々暮らしてきた大切な村を汚染されてしまった人々の5年間を伝える特集でした。来年の春に避難指定が解除されると、補償も徐々に減らされていくのだそうです。当初よりは放射線量は減っているかもしれませんが、「セシウム137」の半減期は30年ということなので、放射性廃棄物も残されたまま、避難区域指定が5年で解除されるというのは、早いようにも思えます。番組の映像の中で、綿津見(わたつみ、わだつみ)神社という地元の神社で避難のために村を出て行った方の家の社殿(神棚)のお焚き上げをしていたのですが、それまで毎朝その家の家族が手を合わせていたと思われる神棚が次々と炎の中に投じられて燃えていく様子にも、何かとても辛い感じがしました。
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