「モンタージュ 三億円事件奇譚」後編

フジテレビの二夜連続のスペシャルドラマ「モンタージュ 三億円事件奇譚」の後編を見ました。

殺人容疑をかけられて逃亡中の鳴海大和(福士蒼汰さん)と幼馴染みの小田切未来(芳根京子さん)は、青年時代の父親の川崎雄大(野村周平さん)が働いていた東京の府中のジャズバーのマスター(クリス・ケプラーさん)から、古い話を聞く人が来たら渡してほしいとある人が置いて行ったという沖縄行きの船のチケットとお金の入った封筒を受け取りました。

そして、大和さんは、警察官の水原大輔(ムロツヨシさん)から、東海林明(香川照之さん)の遺品の中にあったという三億円事件の起きる4か月前に作られた現金輸送車を襲う事件と三多摩地区のローラー作戦に関する計画の書かれた資料のコピーを見せられ、「三億円事件」が、父親の幼馴染みで現在民和党の幹事長を務めている元警察官の沢田慎之介(西田敏行さん)の計画したものだということを知りました。

そして、父親の昔の友人の響子ギブソン(夏木マリさん)に会うために沖縄へ向かい、路地裏でアメリカ軍兵士相手の飲食店を経営していた響子さんに、軍艦島に隠されていた、スーツケースの中の血の付いた旧紙幣の札束を見せて父親は「三億円事件」の犯人なのかと尋ね、生きていた殺人警察官の関口二郎(遠藤憲一さん)と戦いながら、「三億円事件」の後に雄大と共に失踪した婚約者の望月竜(渋谷謙人さん)を思い続けている響子さんから事件の真相を聞くのでした。

犯人は私たちだと、大和さんと未来さんに打ち明けた響子さんによると、関口さんに追われる大和さんと未来さんを領事館の車に乗せて助けた響子さんの友人のハリー・スタンレー(団時朗さん)も、犯人の一人でした。ハリーさんの父親は在日米軍基地にいた公安警察の協力者でした。

1967年の雄大さんは、ジャズバーで知り合った大学生の井上和子(門脇麦さん)と付き合うようになったのですが、幸せな日々を送っていたある日突然、安保闘争の学生運動のデモに参加していた和子さんを学生が奪った警察車両による事故で喪い、塞ぎ込むようになりました。出世欲のある警察官の沢田慎之介(三浦貴大さん)は、今のままでは日本の社会はダメになると言い、二人で世の中を変えようと、現金輸送車を奪うという犯行の計画を提案しました。

沢田さんは、最初は不良青年の竜さんに白バイ隊員役を依頼しようとしたのですが、雄大さんは自分がやると引き受けて、事件を起こす直前、沢田さんに頼んで、和子さんの遺品のカメラで自分と響子さんと竜さんの3人の写真を撮ってもらいました。警察官の扮装をした雄大さんは、バイクの鏡の角度を少し変えて、その写真の中に撮影者の沢田さんの姿も写るようにしていました。

学園通りを走る現金輸送車を止めて発煙筒で騙して車ごと奪った雄大さんは、竜さんの用意していた車に現金の入ったジュラルミンケースを移して乗り換え、それから在日米軍の敷地に移動して車庫に匿われて、竜さんとハリーさんと3人でジュラルミンケースから現金を取り出してまとめました。少しすると、沢田さんが来て、落ちていた旧五百円札を拾ってテーブルの上に置いたのですが、沢田さんの後から公安の須黒という人物が入ってきました。雄大さんは自分が須黒の協力者となった沢田さんの協力者となっていたことに気付きました。須黒さんに命じられた沢田さんは、拳銃を雄大さんに向け、竜さんは雄大さんを助けようとして沢田さんの腕を切り、沢田さんの血が紙幣に飛び散りました。須黒さんはすぐに竜さんを撃ち、竜さんの血も紙幣の上に飛び散りました。大和さんの父親が剣道着に隠していた旧五百円札は、現職の大物政治家の沢田さんの指紋と血の付いた紙幣でした。

大和さんは竜さんをさらに撃とうとした須黒を殴って倒したのですが、撃たれて大怪我を負った竜さんを病院へ連れて行くことができず、竜さんの舎弟の横溝保(瀬戸利樹さん)の家に連れて行ったようでした。竜さんは、響子さんのことを雄大さんに頼んで亡くなり、雄大さんはそれから響子さんを守るための行動を始めました。沢田さんと結婚したハルコさんの生まれたばかりの娘を誘拐して養護施設へ預け、沢田さんから「三億円事件」の現金を取り戻し、軍艦島へ隠しました。

雄大さんは、娘の居場所を沢田さんに伝え、後で引き取りに行くように言ったのですが、沢田さんは娘が三億円事件の犯人の子供になることを恐れて、あるいは自分は幸せになってはいけないのだとして、娘を引き取らずに別の男の子を引き取り、何も知らない妻のハルコさんは苦しんで、沢田さんとは離婚したようでした。しかし、養子の息子を引き取って育てていたハルコさんの再婚相手は暴力を振るう男でした。ハルコさんは暴力を止めることができず、母親の再婚相手に殴られて育った息子は押入れに入れられていたある日、その男を包丁で刺殺しました。警察は犯人を大柄の男だと考え、ハルコさんにも養子の息子に容疑がかかることはありませんでした。それからは養父の沢田さんが、君は悪くないと、息子を引き取って育てることにしたようでした。その息子が、沢田さんに従う刑事の関口さんでした。

響子さんは、知らずに毎日お参りをしていた街を見渡す場所にあるお地蔵さまが雄大さんの建てた竜さんのお墓であることをハリーさんに教えられ、その下の遺骨のそばに古い婚約指輪を見つけると、「三億円事件」の犯人として自首をするため警察署へ向かったのですが、警察には信じてもらえなかったようでした。

鈴木泰成(劇団ひとりさん)に呼び出された大和さんと未来さんがハリーさんのヘリコプターで再び軍艦島へ向かうと、そこには沢田さんもいました。そしてさらに大和さんの父親の鳴海鉄也(唐沢寿明さん)も現れました。

鉄也さんによると、雄大さんは、事件の後軍艦島へ戻り、炭鉱で働いていた時、同僚の鳴海鉄也と爆発事故に巻き込まれ、運び込まれた病院で咄嗟に亡くなった鳴海鉄也の名前を名乗り、本当の鳴海鉄也の生まれたばかりの息子を施設へ預けたのですが、その息子というのが、未来さんの父親の武雄(デビット伊東さん)でした。そして武雄さんと同じ施設で育ったという未来さんの母親の葉子(西尾まりさん)は、沢田さんの本当の娘でした。大和さんは「三億円事件」の犯人の娘であり、その幼馴染みの未来さんも「三億円事件」の犯人の孫でした。鈴木さんは、雄大さんと竜さんを匿った横溝さんの息子で、事故に見せかけて殺された父親の復讐をするために、鉄也さんと知り合いになり、沢田さんの犯罪を追っていたようでした。

沢田さんは島に隠れていた関口刑事に全員を殺すよう命じたのですが、経緯を知った関口刑事は、「親父、俺を育てて幸せだったのかよ。俺は幸せだったよ」と言って、銃口をこめかみに当てて引き金を引きました。雄大さんだった鉄也さんは、観念して自殺をしようとした幼馴染みの沢田さんを説得し、沢田さんは重要参考人として一応警察署へ連行されて行ったようでした。鉄也さんは、大和さんと未来さんと鈴木さんを先に帰し、最後に一人で軍艦島に残って、「三億円事件」で盗んだ旧紙幣を燃やし始めました。帰りの船の上からその煙を見た大和さんは、父親は事件に巻き込まれて亡くなった人たちを弔っているのだろうと未来さんに話して、小さくなっていく軍艦島を眺めていました。

脚本は大森寿美男さん、演出は水田成英さんでした。

ドラマの本編の後、このドラマの原作の渡辺潤さんの漫画『モンタージュ 三億円事件奇譚』が紹介されていたのですが、全19巻という長さの作品のようでした。前編と後編で、それぞれ約2時間、合計約4時間の大型スペシャルドラマになっていましたが、「全19巻」という長さの物語をかなり詰め込んだのではないかと思いました。

後編の後半は特に、大和さんの父親の鉄也さんの説明の台詞で展開する部分が多かったように思います。しかも、証拠の一つとなるはずの旧紙幣は公表されずに鉄也さん自身によって燃やされてしまいましたし、実際の三億円事件がそうであるように、結局ドラマの物語の中でも「三億円事件」は解決していませんでした。

48年前に竜さんを殺した公安の須黒がその後どうなったのかも分かりませんし、自首をした響子さんのその後も、沢田さんのその後も、特に描かれませんでした。一連の事件がどのように報道されたのかも不明です。

昭和の未解決事件の「三億円事件」を基にしたドラマだったのですが、その事件そのものを描くものというよりは、悪い大人たちが作った悪い社会を変えようとした青年自身も結局は同じような悪い大人になってしまった、そしてそのような親世代の生き様を見た現代の青年が自分の人生を積極的に歩む決心をするというような、親子2世代(あるいは3世代)の“青春ドラマ”ということだったのかなと思います。

主な登場人物が「三億円事件」の犯人やその子供たちという、何というか、「世間は狭い」という感じのする物語だったので、最後のほうには、完全に事件の関係者ではない一視聴者の私はドラマを見ながら、ついて行くことができないような気持ちにもなっていたのですが、その中で、遠藤憲一さんの演じるサイボーグ的な殺人警察官の関口さんが、今回のドラマの中では実は一番良かったような気がしました。関口さんの「生い立ちの不幸」は後半に少し描かれていただけなのですが、冷淡さや不気味さや凶悪の迫力の元には生い立ちの悲しみがあったという部分が、静かに表れていたように思えました。

社会派の要素は、前編と同じく、後編でも少なかったように思います。「三億円事件」は安保闘争の時代の警察の仕組んだ事件で、それを犯人の一人である大物政治家が長年隠し続けていたという部分が中心に描かれていたなら、もっと社会派の物語になったのかもしれません。私は原作の漫画を未読なのですが、原作の設定をいろいろ盛り込むあまりに説明的な展開になってしまったのかなとも思います。

二夜連続の前後編で約4時間の大型ドラマでしたが、もう少し長い、例えば全6話くらいの連続ドラマになっていたなら、もう少し丁寧な展開の物語になったのかもしれないなと、昨夜のドラマを見終わって思いました。軍艦島の廃墟の空撮の風景はきれいでしたし、決して悪いというわけではないのですが、私には、いまいちすっきりとしない終わり方の「三億円事件」の物語でした。
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