「ふつうが一番 作家・藤沢周平 父の一言」

TBSのドラマ特別企画「ふつうが一番 作家・藤沢周平 父の一言」を見ました。夜9時からの2時間ドラマです。

藤沢周平さんの時代小説を私は未読なのですが、NHKのドラマや映画では何作品か見たことがあります。「たそがれ清兵衛」や「武士の一分」、「隠し剣 鬼の爪」、「蝉しぐれ」、「秘太刀 馬の骨」、「風の果て」、「花の誇り」、「よろずや平四郎活人剣」(テレビ東京です)などです。先日までNHKのBSプレミアムで放送されていた「立花登青春手控え」も、藤沢周平さんの小説の原作作品でした。

昨夜のドラマは直木賞作家の藤沢周平さんと家族の物語で、原作は、私は未読なのですが、遠藤展子さんの著書『藤沢周平 父の周辺』と『父・藤沢周平との暮し』でした。先週の「居酒屋もへじ5」と同じく、脚本は黒土三男さん、演出は清弘誠さん、プロデューサーは石井ふく子さんでした。

山形県出身の藤沢周平さんは、本名を小菅留治さんというそうです。ドラマの語りは、藤沢周平さんの娘の展子さん(小林綾子さん)でした。留治さん(東山紀之さん)の妻の悦子さんは、展子さんを生んで8か月後に病気で急逝してしまったそうで、展子さんがまだ0歳のその昭和38年から物語は始まり、昭和43年の幼稚園生の展子さん(稲垣来泉さん)と、「加工食品新聞」の記者の仕事をしながら藤沢周平として『オール讀物』などに小説を書き始めていた父親の留治さんと、小菅家を守るしっかり者の祖母のたきゑさん(草笛光子さん)の3人家族の物語は、昭和44年に留治さんが近くの会社に勤めていた高澤和子(松たか子さん)にプロポーズをして再婚をしたことから、4人家族の物語になりました。

その他の主な登場人物は、留治さんが和子さんにプロポーズをした喫茶店の、高級ハムを半分にするために包丁を借してくれたウェイトレス(熊谷真実さん)、和子さんの実家の父親の高澤庄太郎(前田吟さん)、小菅家の近所の町医者の竹下医師(篠田三郎さん)、留治さんの従兄弟で「山師」の木内松五郎(佐藤B作さん)、作家・藤沢周平としての部下の留治さんを応援する「加工食品新聞」の社長の柿沼健三(角野卓造さん)です。

幼稚園生の展子さんが近所の人に和子さんを「継母(ままはは)」と言われて泣いたり、小学生になった展子さん(小林星蘭さん)がわがままを言うのを和子さんが叱ったり、和子さんと喧嘩をして家出をした展子さんを家族全員で捜し回って裏庭で見つけたり、3度落選した「直木賞」の発表に落ち着かない留治さんと和子さんが喧嘩をしたりしながら、昭和48年に留治さんがついに『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞し、結婚5年目の和子さんとプロポーズをした喫茶店でささやかなお祝いをするまでの物語でした。

最後は、ママの趣味は何?と和子さんに訊いた展子さんが、ママの趣味はパパよと答えた和子さんとお迎えに行った父親の留治さんと3人で夕日の道を歩いていく場面で終わっていました。

「ふつうが一番」というのは、留治さんが紙に書いて自宅の壁に貼っていた家訓のような、心得のようなものでした。

父親が直木賞作家というところ以外は、特に変わったことの起こらない、ゆっくりとした穏やかな作風のホームドラマでした。留治さんと和子さんが結婚をしてから5年の物語というところも、短過ぎず長過ぎずという感じがして、良かったのではないかなと思いました。

ドラマの中ではまだ元気だった祖母のたきゑさん(草笛光子さん)は、昭和49年に亡くなったそうなので、その前までの家族4人の物語、あるいは展子さんが「三世代同居」をすることができていた頃の物語だったのだと思います。

昭和30年代や昭和40年代を私は知らないのですが、その頃の「ふつう」の家庭の様子が、小物などにも丁寧に表現されていたように思いました。白黒のテレビもあり、トースターもあり、留治さんたちは「貧しい」とは言っていましたが、「貧しい」というよりは「倹しい」という感じの、確かに当時のごく一般的な普通の家庭だったのだろうと思いました。

でも、今は意外とその「普通」が難しいようにも思います。「ふつうが一番」は、実は理想の高い言葉でもあるような気がします。ドラマでは、お母さんがいないとか、再婚とか、継母のことが少し言われていて、それは今の時代でもあることだと思うのですが、家族の形にいろいろなものがあっても、家族の仲が悪くないということが「普通」に幸せなことなのかもしれません。

お金には細かいたきゑさんが実はとてもしっかりとしていて、留治さんと何かある度に毎回和子さんの味方になっていたというようなところも、良かったです。「ふつう」であって「ふつう」ではない、藤沢周平さんとその家族の優しいホームドラマでした。
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Author:カンナ
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