「喧騒の街、静かな海」

NHKで昨夜の10時から放送されていた、特集ドラマ「喧騒の街、静かな海」を見ました。

大阪放送局制作の、大阪の街を舞台にした物語でした。

人と向き合うのが苦手で風景写真ばかり撮ってきたカメラマンの水無月進(ディーン・フジオカさん)は、死後3週間ほど経って発見された母親の岸部幸子(市川由衣さん)の遺骨を抱えて、東京から大阪の街へ来ていました。

大阪の街角では、「地回り先生」と呼ばれている精神科医の海老沢淳(寺尾聰さん)が「JKビジネス」と呼ばれる仕事をしている女子高校生たちに声をかけ、何かあったら相談をしてほしいと名刺を配っていたのですが、元締めの男たちに見つかって殴れられたり蹴られたりして倒れていました。

倒れている男性に大丈夫ですかと声をかけた進さんは、落ちていたその人の名刺を見てその人が30年前に自分と母親を捨てた父親であることを知ると、その素性を隠してあなたを取材をさせてほしいと近付きました。そして、海老沢さんが関わっている、鬱気味の母親と二人暮らしをしながら息苦しい思いを抱えている女子高校生のクロ(久保田紗友さん)とも向き合いながら、進さんと海老沢さんは、それぞれの人生を見つめ直し、生き直そうとし始めました。

ドラマの原案は藤原新也さん、脚本は田中晶子さん、演出は西谷真一さんという作品でした。

その他の主な登場人物は、行き場のない子供たちの居場所を作るNPO法人を運営している春日レイ子(キムラ緑子さん)、進さんの大学時代の友人で引っ越し会社を経営している青木晴也(和田正人さん)、東京で進さんを待っているデザイナーの大城有子(三倉茉奈さん)、三重の尾鷲市で喫茶店を経営している小山哲男(水橋研二さん)でした。

海老沢さんと進さんの親子だけではなく、その他の登場人物たちにも、親子の問題がありました。親や子供が今生きているか亡くなっているかということよりも、その生き方や死に方が家族に影響を与えるということが静かに描かれていたドラマだったように思います。

30年間離れ離れに暮らしていた、妻と息子を捨てたことを後悔していた父親の海老沢さんと、精神を少し病んでいた母親との暮しを捨てて東京へ行き、母親の異変に気付くことができなかったことを後悔していた息子の進さんの親子は、家族の問題を抱えているのは自分だけではないのだということを切実に感じ、亡くなった幸子さんの尾鷲の海辺の家を訪ねたり、幸子さんに千切り絵を教わっていた女性の息子の小山さんの喫茶店に飾られていた幸子さんの大きな千切り絵を見て、かつて家族3人が幸せに暮らしていた頃のことを幸子さんもいつも思っていたことを知り、「孤独死」のように亡くなっていた幸子さんの人生が決して不幸なだけではなかったことを理解していました。幸子さんの遺言通りの尾鷲の海への散骨を、進さんは、父親と二人で行うことができたようでした。

「バッドエンドじゃなかった」という海老沢さんや進さんの言葉が、とても前向きなものに聞こえました。レイ子さんのNPO法人の施設に通うことを拒絶していたクロも、高校を辞めて定時制の高校に転校し、母親と離れて寄宿舎付きの施設に入って地元の喫茶店で働きながら暮らしていくことになると、明るさを取り戻していました。

ドラマの中の進さんの出版した『木曜の午後のアマリリス』という写真集の花の写真もきれいでしたし、エンディングの場面が写真になっていたところも、良かったです。

約1時間15分のドラマだったので、民放のテレビ局で放送されたなら、1時間半か2時間のドラマになったのだろうと思います。重いテーマの物語だったのですが、登場人物の感情が丁寧に描かれていて、見応えのあるドラマになっていました。市川由衣さんの演じていた幸子さんは30年前の場面だけだったほうが良かったのではないかとも思うのですが、全体的にはとても良いドラマでした。音楽も良かったですし、「喧騒の街、静かな海」というタイトルも、このドラマに合っていたように思います。
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Author:カンナ
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