「未解決事件 File.05 ロッキード事件」

NHKの総合テレビで放送された「NHKスペシャル」の「未解決事件 File.05 ロッキード事件」を見ました。

「未解決事件」は、再現ドラマとドキュメンタリーで構成されている、有名な未解決事件を検証するシリーズ番組です。第5弾となる今回の「未解決事件」は「ロッキード事件」で、全3部が2夜連続で放送されるという大型企画です。昨夜はその第1夜でした。

総合テレビの夜7時半からの第1部は、8時28分頃までは「実録ドラマ(再現ドラマ)」で、ドラマの直後から8時45分頃までは「未解決事件外伝 ~ロッキード事件と田中角栄の時代~」というドキュメンタリーでした。15分間のニュースの後の夜9時からの第2部は、実録ドラマの続きでした。

このシリーズは毎回とても良くできていると思うのですが、今回の「ロッキード事件」の実録ドラマも、最後まで緊張感が続いていて見応えがあって、とても良かったです。

ロッキード事件のことを私は詳しくは知らないのですが、アメリカのロッキード社製のトライスターという旅客機を日本に売るため、ロッキード社から日本の財界や政府高官に約21億円という巨額の賄賂が渡されたとされる事件です。ロッキード社から日本の政府高官へのお金のルートとしては、ロッキード社の代理店の丸紅ルート、児玉誉士夫ルート、全日空ルートの3つのルートが考えられていました。最近再び注目されている田中角栄元首相は、丸紅から5億円の賄賂を受け取ったとして逮捕され、田中角栄元首相自身は無実を主張し続けていたそうなのですが、後に18年も続いたという裁判中に亡くなったそうです。

事件から40年経ち、新たな資料も見つかっているそうなのですが、巨額の賄賂の真相は不明のままなのだそうです。

ドラマは、アメリカからの情報で事件が発覚した1976年(昭和51年)の2月5日から、1976年7月27日に田中角栄前首相が逮捕されるまでの東京地検特捜部の動きを追ったものが中心になっていました。

たくさんの登場人物がいたのですが、主な登場人物は、ロッキード社から日本の政府高官に裏金が流れたルートと政府高官とは誰なのかを探る東京地検特捜部の主任検事の吉永祐介副部長(松重豊さん)、本部長の高瀬禮二東京地検検事正(中村育二さん)、副本部長の豊島英次郎次席検事(小林隆さん)、捜査統括の川島興特捜部長(国広富之さん)、アメリカの日本大使館へ行きロッキード社の関係者の嘱託尋問の交渉をした堀田力検事(石井正則さん)、丸紅の檜山廣会長(村井國夫さん)や大久保利春専務(酒向芳さん)や伊藤宏専務(岩谷健司さん)の聴取を行った村田恒検事(橋本じゅんさん)と松尾邦弘検事(小林正寛さん)、最高検察庁の布施健検事総長(木場勝己さん)、山邊力検事(伊藤正之さん)、安保憲次検事(徳井優さん)、東京高等検察庁の神谷尚男検事長(大谷亮介さん)、三木武夫総理大臣(有福正志さん)、田中角栄前総理大臣(石橋凌さん)、児玉誉士夫(苅谷俊介さん)、その妻の睿子(中島ひろ子さん)、児玉の主治医の孝一(嶋田久作さん)、児玉の通訳の福田太郎さん(阪田マサノブさん)、児玉の秘書太刀川恒夫(渡辺穣さん)、児玉邸に通い病床の児玉の聴取を行った松田昇検事(大場泰正さん)、NHKの吉永番の記者の伊達孝雄(眞島秀和さん)だったように思います。

ドラマの脚本は鈴木智さん、演出は堀切園健太郎さんでした。脚本も演出も良かったですし、川井憲次さん作曲のこの「未解決事件」シリーズのテーマ音楽(歌はおおたか静流さん)も、少し不穏な感じがするのですが、番組によく合っていて、改めて良いなと思いました。

番組では、ロッキード事件の4年前の、田中角栄さんが総理大臣になった1972年のことも検証していて(その年に日中国交正常化を実現した田中角栄さんの前の首相は、佐藤栄作さんです)、日本政府は本当はロッキード社から対潜哨戒機のP3C(対潜哨戒機は潜水艦と戦うことを考えて設計された航空機のことだそうです)という軍用機を買うために、賄賂を受け取っていたのではないかという説が採られていました。田中角栄首相が逮捕された証拠の一つとして、アメリカから渡された資料のメモの人物相関図の矢印の最後が田中角栄にたどり着いていたというものもありました。その前は二階堂さんという人や、若狭さんという人の名前もありました。

吉永さんは、児玉誉士夫が脱税で逮捕され、田中角栄が賄賂で逮捕された後、一度だけ児玉邸を訪ねたことがあるということだったのですが、ドラマでは、応接室で待っていた吉永さんは、銀色の小さなP3Cの模型の台の裏を見て、病床の児玉さんに面会せずに帰っていました。台の裏には、日本の防衛のために、と英語で書かれていたようでした。P3Cは、今では約100機が輸入されていて、海上自衛隊が使っているのだそうです。

児玉誉士夫という人のことも私はよく知らなかったのですが、児玉さんは、福島県出身の人で、ファシズムや国粋主義を掲げる右翼運動家で、暴力団ともつながりのある人だったそうです。ドラマの中で児玉さんの主治医から名前が出ていた(児玉さんが尊敬しているようだった)大西中将という人は、大西瀧治郎という大日本帝国海軍の軍人で、「神風特別攻撃隊」の創始者だそうです。終戦の日(敗戦の日)の翌日に自刃したのだそうです。

児玉誉士夫は1946年に「A級戦犯」として一度巣鴨プリズンに収容されたそうなのですが、反共産主義や反社会主義の?“アメリカに協力的な戦犯”ということで釈放されたそうです。今の与党の自由民主党の結党時の資金提供をしていたそうで、稲野首相の祖父の岸信介さんを首相にする際にも、安保闘争の時にも、ヤクザとつながりのある“黒幕”の児玉さんの協力があったのだそうです。日韓国交回復にも関わっていたり、「東スポ」と呼ばれる新聞「東京スポーツ」のオーナーでもあったという児玉さんは、1987年に72歳で亡くなったのだそうです。

国会に証人喚問された際「記憶はありません」と繰り返していた小佐野賢治さんという方は、実業家として田中角栄さんと親しかったようなのですが、小佐野さんの国会での言葉が「記憶にございません」という言葉として当時の流行語になったということでした。今でも政治家の使う言葉として有名な言葉の一つであるような気がします。

ロッキード事件は、「政治と金」の問題の闇の深さを国民が知ることになる最初の事件だったそうです。その闇の中に何があるのかを知ろうとすればするほど、訳が分からなくなってしまうほどの深いものなのだそうです。

「政治と金」の問題は常にあるように思いますが、お金に釣られるというか、お金や利権で動く人というのが、政財界を含む世の中には本当に多いということなのでしょうか。権力やお金を持つと人が変わると言われているのをよく聞きますが、例えば誠実な人が出世をして権力や大金を手に入れた時にも誠実な人のままでい続けるということは、それほど難しいことなのでしょうか。不思議に思います。

今回の「未解決事件」のロッキード事件の特集は、政治と金と、軍需産業との問題を伝えるものだったように思います。「日本の防衛」に関しては、今の「特定秘密保護法」や「安全保障条約関連法」、「憲法改正」、「日米地位協定」などの問題ともつながっているように思うので、40年前のロッキード事件の問題は現代的な問題でもあるのかもしれないなと思いました。

第3部は、「日米の巨大な闇 40年目のスクープ」というドキュメンタリーだそうです。放送時間に見ることができるかどうかは分からないのですが、私も見てみようと思います。
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